日本における貧困問題 ~ホームレスとワーキングプア~ 国際文化学部2回 向井奈都子 目次 (1)なぜこのテーマを選んだか (2)ホームレスとワーキングプアについて (3)原因、理由 (4)行政による取り組み (5)民間での取り組み:社会起業、NPOにおいて (6)提言 (7)まとめ なぜこのテーマを選んだか? 元々貧困問題に興味があった。 今年の春に西成区に行って、 日本の貧困を目の当たりにした。 現状を知って、この問題について 考えてほしいと思ったから。 ホームレス問題 数字で見るホームレス問題 ネットカフェ難民 ワーキングプア 日本のホームレス問題の現状 大阪だけで、年間200人以上が寒さと飢えで死亡。 後を絶たないホームレスへの襲撃事件。 2012年11月 JR大阪駅周辺で暮らしていた路上生活者5人が 襲撃され、67歳の男性が殺害された。 府立高校一年の男子生徒ら5人による犯行。 「ストレス解消のため、面白半分でやった」 ワーキングプア ワーキングプアとは 仕事には就くものの低賃金を余儀なくされる層。 生活保護の水準以下の収入しか得られない社会層。 年収200万円以下 →537万人以上 →労働者の4人に1人がワーキングプア ワーキングプアの実例 ある夫婦の例 夫は12歳で両親をなくし、叔母のところに引き取られるも、 トラブルが続き、高校を中退し、働かざるを得なくなる。 職を転々として、上京。ゲストハウスで妻と出会う。 妻は、高校生のときから精神的に病気がちで、 仕事を続けることができなかった。 やり直そうと上京し、ゲストハウスで夫に出会う。 結婚後も安定した職を求めて日本を転々とするが、 派遣などの不安定な雇用しか見つからない。 日本のワーキングプアの現状 働こうとしても、安定した働き先がない。 生きていくためには不安定な職場や条件で働かざるを得ない。 違法に搾取されていても、知識がないから気づかない、 状況を改善できない。 その日暮らしの収入しか得られないため、貯金もできない。 →ゲストハウス暮らし、ネットカフェ難民、ホームレス →病気になったときに、生活できない。 原因・理由 なぜこのような問題が生じてしまうのか 「五重の排除」 「溜め」がない 「すべり台社会」 「労働市場・社会」の変化 「自己責任論」 「差別・偏見」 「五重の排除」 「五重の排除」 1:教育課程からの排除 2:企業福祉からの排除 3:家族福祉からの排除 4:公的福祉からの排除 5:自分自身からの排除 「溜め」がない 「溜め」とは? 金銭的な「溜め」 →失業したときに、次の仕事を探すまでの金銭的余裕 人間関係における「溜め」 →困ったときに助けてくれる家族、友人がいるかどうか 「貧困」とはこの「溜め」が総合的に失われた状態。 「すべり台社会」 三層のセーフティネット ①雇用のネット ②社会保険のネット ③公的扶助のネット 今、日本社会は一度落ちるとどこにもひっかかることなく 一番下まで滑り落ちてしまう社会になりつつある。 「労働市場・社会」の変化 市場経済を重んじる新自由主義や市場原理主義 ※新自由主義/市場原理主義とは 政府や国家の介入をできるだけ小さくし、利益を 追求する個人や企業が市場で自由に行動すること により一国全体の効率性、合理性が実現する という考え方。 →グローバル化の進展 →労働価値の低下 「自己責任論」 日本社会にはびこる「自己責任論」 「ホームレスやワーキングプアに陥るのは、 自助努力が足りないからだ。」 →実際は、努力の問題ではない。 「差別・偏見」 ホームレスへの根強い差別・偏見 →ホームレス襲撃事件 「自分は社会から必要とされていない」 「社会に迷惑をかけている」 「生きている価値がない」 なされている取り組み 行政による取り組み 生活保護制度 「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な 保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障すると ともに、自立を助長することを目的としている」 生活保護に対するマイナスイメージ 行政による水際作戦 不正受給:1万4669件 必要なのに受給できていない人:600万~850万 行政による取り組み 「自立支援プログラム」@北海道釧路市 いきなり「就職」ではなく、まずは「ボランティア」から。 再就職できるよう「資格取得」「職業訓練」のサポート。 生活保護の受給を終える人 2002年 62世帯 ↓ 2006年 200世帯 自立支援員による精神的サポート。 民間による取り組み ビッグイシュー 1991年イギリス発のソーシャルビジネス。 2003年日本でもスタート。 300円での雑誌販売、160円がホームレスの収入に。 民間による取り組み ホームレスワールドカップ 2003年から開催、ホームレスによるワールドカップ。 スポーツの力で、ホームレスの社会復帰を目指す。 73か国、5万人もの選手が参加。 民間による取り組み ホームドア「HUB CHARI」 2012年スタート。 大阪の放置自転車とホームレス問題の 同時解決を目指すソーシャルビジネス。 民間による取り組み NPO法人 自立生活サポートセンターもやい アパート入居時の連帯保証人を提供するシステム構築 当事者同時の交流の場の設置 社会的排除を失くし、安心して暮らせる社会へ。 提言 提言 わたしたち一人ひとりの意識改革が必要 →子供たちへの教育、知る機会を。 行政による「自立支援プログラム」の積極的導入 →自分のペースで自立に向かえる社会へ。 もっと社会との「つながり」を。 まとめ 思ったこと 社会との「つながり」 目をそむけてはならない「現実」 「他人事」ではない 論点 日本における貧困問題(特にホームレス問題や ワーキングプア)を解決するために、政府や民間が 取るべき対策は何か? また、私達一人ひとりにできることは何か? 参考文献 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2970.html 厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000027ptf.html http://www.isfj.net/ronbun_backup/2010/j03.pdf ニュース記事 http://mainichi.jp/select/news/20121123k0000m040096000c.html 「反貧困~「すべり台社会」からの脱出~」湯浅誠 「ワーキングプアは自己責任か」門倉貴史 「ワーキングプア 解決への道」 NHKスペシャル「ワーキングプア」取材班編
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