リーガルリスクマネジメント プログラム ■ はじめに(現状認識と研修の目的) 今日的職場の人間関係、特に上司と部下との関係においてお悩みの企業が増えております。「個性 が多様化している」とか、「ゆとり世代だからやる気がない」とか… このお悩みに対応するために、部下指導の仕方、部下のモチベーションの上げ方、中には部下への 叱り方を習得されているお客様もたくさんいらっしゃいます(次ページ「部下のいる管理者のマネジ メントの悩み」を参照)。 反対に部下側の実体を鑑みてみますと、いじめ・嫌がらせ・ハラスメントといった問題や、残業拒 否・配転拒否を行ったり、職場の規律や習慣に馴染めずに休みがちになったり、最悪退職するケース も少なくありません。そして、これらのミスマッチは年々激しくなっており、同時に、民事訴訟や労 働審判のような争訟行為にしていく労働者も高い増加傾向にあります。 この現象は、ミスマッチや退職、争訟行為に恐れ、管理者様が萎縮してしまい、言うべきことをいわない 傾向にもつながってきています。このままでは、上司と部下とのミスマッチはますます広がり悪化の一途を辿る ことにもなりかねません。 以上は現状の一般的労働関係になりますが、もしかしますと、貴社におきましても、いつ、どこで、誰かがこれ らの事態を起こさないともいえません。 今回提案する研修では、これらのことへの改善を図り、客観的にそして合理的に管理者様の権利と義務を 知っていただくことを目的といたします。法的に裏付けがある指示命令やコミュニケーションが行われることで、 部下が納得し、管理者様が指示命令に自信が伴うため、効果的なマネジメントへつながることをお約束させて いただきます。 2 ■ 部下のいる管理者のマネジメントの悩み(300人のアンケートより) 1 強く注意できない、叱り方や叱るタイミングがわからない 2 感情的・反抗的な部下と接する際、強いリーダーシップがとれない、自信がない [1] 11.9% 3 コミュニケーションの取り方が分からない(世代の差、異性) [11] 31.3% [2] 9.7% 4 仕事以外の会話をするのが苦手、積極的にコミュニケーションがとれない 5 部下の視野を広げたり、自発的に行動させるよう促せない 6 業務知識や経験が不足している [3] 9.4% [10] 4.0% 7 分かりやすい説明ができない、論理的な説明ができない 8 部下との接し方に偏りができてしまう、自分に合う人ばかり話してしまう [9] 4.3% [4] 8.6% [8] 4.7% [7] 5.0% [6] 5.0% [5] 6.1% 9 部下に任せられない、忙しそうな部下をみるとつい手を貸してしまう 10 部下の個性・立場に応じた指導、部下の話を聴いてあげられない 11 その他 ※オンラインビジネスマガジン WEB in source から引用 3 ■ 管理者の権限と義務 ※ここでは「不当労働行為回避義務」、「人事考課権」につきましては省略させていただきます 一般的に管理者がマネジメントを行ううえで遵守する領域 1. 業務命令権 人事制度改訂 2. 職場秩序維持権限 不利益変更 昇進・昇格 3. 安全配慮義務 配置・転換 4. 職場環境調整義務 採用・内定 5. セクハラ・パワハラ配慮義務 6. 契約内容と業務命令内容確認義務 7. 労働時間管理の責任 安全衛生・ 労災 退職管理・ 退職金 ボーナス・一時金 就業規則・労働協約 ↓ これらは多くの場合、 会社の専門担当者 8. 時間外労働命令権 の領域になります。 会社がリスクマネジメントを行う上で遵守する領域 4 ■ 本研修の目的・効果 労務管理において法的 な分析能力をつけること 事前の紛争予防、穏や かな紛争解決を行える 能力をつけること 研究技術専門職が、労 務問題について、自力で 対応する力をつけること 5 ■ 本研修の進め方 • 単なる座学ではなくケースメソッド 方式を取り入れる • アウトプット=書面化 を行う作業 を取り入れる • fact-finding的な手法を取り入れる 6 ■ 本研修の特徴 [1] 法的思考である「要件」・「効果」・「趣旨」 発想のマスターにより、法律の考え方、事例分析 の仕方、カンドコロを身につけていただきます。 [2] 講義と議論を組み合わせた実践さながらのケース メソッド方式で進行するため、職場で必ず活用で きます。 [3] 職場の部下のマネジメントを主眼に構成している ため、受講者様全員が気付く項目になっています。 7 ■ タイムテーブル 時間 項目 9:30 目的 職場マネジメントのリーガルリスクの現状と課題 法的な思考方法 法的な思考、(要件・効果・趣旨)発想とは何か。 10:30 10:40 12:10 研究技術専門職が直面する 労務問題の全体像 最低基準を上回った任意法規の決定プロセスを理解する ケース1 メンタルヘルス問題 メンタルヘルス疾患ラインケア対策を広範囲に習得していく ケース2 職場における協調性 労務指揮権の可能性と労働者の義務論を言及する ケース3 能力成果の評価 人事考課上の諸問題と合理性判断を当てはめていく 総括討論 1日の振り返りとまとめ、質疑応答 13:00 14:00 14:10 15:10 15:30 16:30 16:40 17:30 8 ■ その他のオプション № 項目 ターゲット 職場マネジメントのリーガルリスクの現状と課題 1 現状認識と法律解釈の基礎 法的な思考、(要件・効果・趣旨)発想とは何か? 2 業務命令権 「管理者の指示命令に抵抗する部下を合理的に説得する」 3 職場秩序維持権限 「貴社の服務規律を徹底させるための根拠が身に付く」 4 安全配慮義務 「メンタル疾患ラインケア対策を広範囲に習得していく」 5 職場環境調整義務 「セクハラ問題の予防と対策を法的にアプローチできる」 6 パワハラ配慮義務 「いじめ・嫌がらせと指導の区別を法的に理解する」 7 契約内容と業務命令内容確認義務 「非正規の方の契約内容と指示命令の範囲を理解する」 8 労働時間管理の責任 「長時間労働を回避するための管理者義務を理解する」 9 時間外労働命令権 「時間外労働を拒否する部下への対応を法的に理解する」 9 1. 業務命令権 学習の目的 想定される リスク 部下は契約上の労働義務を履行すること、管理者は指揮命 令をする権限を持ち合わせていることを理解する。 業務命令権を活用できないと、仕事に積極的な部下への指 示命令を集中させることで、この部下は超過労働が余儀なく され、疾病がおき、仕事が回らなくなるリスクがある。 根拠となる 電電公社帯広局事件(最一小判・昭61.3.13) 裁判例 東日本旅客鉄道事件(最二小判・平8.2.23) ※[参考]福島県地方労働委員会HP 本セッションの ターゲット 「管理者の指示命令に抵抗する部下を合理的に説得する」 10 2. 職場秩序維持権 学習の目的 想定される リスク 根拠となる 裁判例 管理者は会社の正当な利益を侵害させない様々な出来事に 対して改善するための権限を有していることを理解する 職場秩序維持権を活用できないと、無断での欠席・遅刻・早 退(職場離脱)、会社の名誉・信用を毀損する行為、服装、髪 型、ビジネスマナーといった違反を過剰に叱責し、このことが 違法性を持つようになる。 富士重工業事件(最三小判・昭52.12.13) 東京電力塩山営業所事件(最二小判・昭63.2.5) ※[参考]独立行政法人労働政策研究・研修機構 本セッションの ターゲット 「貴社の服務規律を徹底させるための根拠が身に付く」 11 3. 安全配慮義務 学習の目的 想定される リスク 根拠となる 裁判例 管理者は、労働者の生命および健康などを危険から保護す るよう配慮しなければならないことを理解する。 安全配慮義務を遵守できないと、例えばメンタル不全の問題 などから民事上の損害賠償責任、業務上過失傷害などの刑 事責任、人材の損失、社会的信頼の失墜といった様々なリス クを負うことになる。 川義事件(最三小判・昭59.4.10) 電通事件(最二小判・平12.3.24日) ※[参考]電通事件判例 本セッションの ターゲット 「メンタル疾患ラインケア対策を広範囲に習得していく」 12 4. 職場環境調整義務 学習の目的 想定される リスク 根拠となる 裁判例 管理者は、働きやすい職場環境を調整するよう配慮する義 務を負っていることを理解する。 職場環境調整義務を遵守できないと、職場の風土を悪化さ せ職場の人間関係が悪化し、生産性が低下する。債務不履 行や職場環境調整保持義務違反に基づく損害賠償責任を問 われる場合がでてくる。 沼津セクハラ(鉄道工業)事件(静岡地沼津支判平11.2.26) 福岡セクハラ事件(福岡地裁判決・平4.4.16) ※[参考]独立行政法人労働政策研究・研修機構 本セッションの ターゲット 「セクハラ問題の予防と対策を法的にアプローチできる」 13 5. パワハラ配慮義務 学習の目的 想定される リスク 根拠となる 裁判例 管理者は、職権を利用して相手の人格や尊厳を侵害する言 動や精神的な苦痛を与えてはならない ことを知る。 パワハラ配慮義務を遵守できないと、部下は精神的苦痛を 被り、管理者自身も「パワハラ」に萎縮し職場の規律が保て ず、職場に秩序なくなり、統制が困難とれずに職場環境が悪 化する トナミ運輸事件(富山地裁判・平17.2.23) 川崎市水道局事件(東京高裁判・平成15・3・25) ※[参考]中央労働災害防止協会、職場@いじめバスター 本セッションの ターゲット 「いじめ・嫌がらせと指導の区別を法的に理解する」 14 6. 業務内容と業務命令内容確認義務 学習の目的 想定される リスク 根拠となる 裁判例 管理者は、コース別に労働契約内容(パートタイマー等)とそ れに伴った業務命令を判断し実行しなければならない 業務内容と業務命令内容確認義務を遵守しないと、均等待 遇の理念に反することになる。(広義の)賃金格差と部下の 仕事の内容が一致していないと、管理者に許された裁量を 逸脱したものとして公序良俗違反となる。 丸子警報器事件(長野地上田支判・平8.3.15) 日本ステリ事件(東京地裁判・平7.10.23) ※[参考]独立行政法人労働政策研究・研修機構 本セッションの ターゲット 「非正規の方の契約内容と指示命令の範囲を理解する」 15 7. 労働時間管理義務 学習の目的 想定される リスク 根拠となる 裁判例 管理者には、部下の労働日数や労働時間数などを、できる だけ正確にかつ確実に把握し算定し義務がある。 労働時間管理義務を遵守しないと、重複するが、刑罰法規だ けではなく業務起因性のある疾病に侵され損害賠償責任を 免れなくなる。最低基準を超えた労働時間を超えて働かせた 場合、使用者責任も免れない。 スズキ自動車過労死事件(静岡地浜松支判・平18・10・30) 豊田労基署長(トヨタ自動車)事件(名古屋高裁判平15.7.8) ※[参考]独立行政法人労働政策研究・研修機構 本セッションの ターゲット 「長時間労働を回避するための管理者義務を理解する」 16 8. 時間外労働命令権 学習の目的 想定される リスク 根拠となる 裁判例 管理者は、業務上相当の理由がある場合、36協定に従って、 時間外・休日労働を命じることができる。 時間外労働命令権を活用しないと、仕事の分配が不均衡に なり、特定の部下に仕事が偏り、その結果長時間労働が特 定労働者に蔓延し、違法行為につながる。罰則と損害賠償 の責任を負う可能性もでてくる 日立製作所武蔵工場事件(最一小判・平3.11.28) 近若石油労働基準法事件(最一小判・平21.7.16) ※[参考]労働法第八版 菅野和夫(弘文堂)、岩崎秀政HP 本セッションの ターゲット 「時間外労働を拒否する部下への対応を法的に理解する」 17
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