東海大学付属本田記念幼稚園 園 長 高 橋 功 正高信男 『0歳児がことばを獲得するとき』 (中央公論新書) 〇 生後すぐ 授乳時の反応 ウォルフ • 4週から5週で母親と目を合わ せ、微笑む 最初の社会的関わり 『日本人の教育としつけ』 日本人の子育て アメリカ人の子育て 東 洋 (東京大学出版) 内田伸子 『乳幼児を育てる』(岩波書店) • 母子関係に見られる日米の違いは、ちょうど 国民性の違いとも似通っているように思われ ます。何事も言葉で白黒をはっきりさせるアメ リカ社会と、協調性を旨とし、非言語的な情報 伝達を介して意を通わせ、解決に持っていこ うとする日本社会での人間関係をすでに生後 3,4ヶ月で身につけてしまうように見えるのは 興味深い • 6~8ヶ月 ハイハイができるようになる 大人の指差しに応答するように なる • 7ヶ月 信頼できる人を認識する • 8ヶ月 基本感情が出揃う 表情を理解する 武藤 隆 『赤ん坊から見た世界 言語以前の光景』 (講談社現代新書) • 基本感情 恐れ・怒り・嫌悪・悲しみ・喜び 肯定的感情 喜び・安心・誇り・快楽・歓 喜は 共通して微笑でくくることができ 否定的感情は他の表情郡とは異なり、 60もの細分化がある • 9ヶ月 構音機能が整う • 10ヶ月 言葉が出始める • 1歳児 言語の獲得 • 3歳児までに 一生使う言葉の3/4を理解 スミスの言語獲得数の表 『子供はどのように心を発見するか』 (新曜社) J.W.アスティントン • 4歳 誤謬が理解できる • 5歳 人の心に手が届く フィンランドと日本の学校教育 • 日 本 1年生 先生1人 子ども40人 理解度の低い子どもは各自の家庭で補うの み。落ちこぼれがいじめにつながる ・フィンランド 1年生 先生3人 子ども17名 理解度の低い子どもには特別にその子のた めに補助者が1人付き、理解が整ったらまた クラスに戻る。自分の力を整えてもらう。落ち こぼれはでず、いじめはない フィンランド教育で大切なこと ① 問題解決力 ② コミュニケーション力 ① 問題解決力 • 例として「桃太郎」とあげる。 物語がテキストとしてどの様な問題を提示し ているか、特定しなければならない。 *爺さんと婆さんには子どもがいない *どうやって、犬・猿・雉を家来にするか 大切なのは「鬼」である。退治して宝物を奪取す ること、つまり物語りでは、これを提案している。 • これを受けて、 *他に解決方法はないのか *宝物まで奪う必要はないのではないか *鬼と話し合って平和共存してはどうか ○ 発想の限りを尽くして解決策を模索する 子どもは自分にとっての最善の解決策を提案 する。桃太郎というテキストを受けて、「自分 だったらどうするか」という意見を提案する。 フィンランドの国語教育でたいせつにしている のはこの思考プロセスであり、問題解決力の 基礎を育むこと もう一つの力 • 集団での問題解決を重視している点が上げ られる。 • 特に義務教育の段階では、グループで問題 解決を目指していくプロセス、テキストの提案 を受け止め、さまざまな解決策を模索し、そ の中から最善の解決策を考えていくことが評 価されている。 この時に必要とされるものが ② コミュニケーション力 • 一人だけが素晴らしい問題や解決策に気が 付いても、他人に伝えられなければ問題や解 決策を共有することはできない。 • 集団で問題解決を図る対話は、徹底的に「な ぜ?」を問い、徹底的に「なぜか」を説明する ことが求められる。 価値観の共有が前提 • 文化、言語、伝統を共有する集団では重要であり、 それを否定する必要はない。人の表情や気持ちを 読み込む力、これは日本人の大きな力になる。 • 日本人の日本文化の伝承を、生活の仕方やものの 感じ方、日本文化の独特な素晴らしさはこれは否定 せずに、受け継ぐべき課題だ。特に、大人や年より は若い人にしっかりと自信をもって伝えていくべきで す。 しかし・・・・・ 価値観の共有を前提としない • 文化や言語や伝統を異にする集団同士が集 まっている場合、つまり、国際的なコミュニ ケーションをする時には価値観の共有を前提 としてはならない。 • コミュニケーション力は集団での問題解決に 必要であるだけでなく、国際的な対話を進め るためにも必要不可欠な技能である。 未来からの留学生である子ども達が 生きる世界はグローバル化した世界 • さまざまな価値観の人々と対話し、共に問題を解決 していくためには、この2つの技能 ① 問題解決力 ② コミュニケーション力 これが、人類の「共に生きる力」として全ての国で育ん でいかなければならない。 フィンランドは学力で世界一を目指しているのではなく、 この問題の先駆けとして取り組んでいる。 内的起業家精神教育 • 国際舞台で、 【自己効力感】と【社会性】を身につけて、 活躍する人材の育成を図っている。 それを支える技能、力として ①問題解決力 ②コミュニケーション力 を小さい時からの課題として育成しているとい える。 次代を担う子ども達に • 国をあげて、自国の未来の繁栄を目指して 教育で立国することを目指しているように伺える。 さて、日本の役人は、フィンランドがこんなに先の見通 しをもって、子ども達を慈しみ、育成し、投資しようとし ている姿に気付かずに、ガソリンの暫定税について 子どものような討議をする姿をテレビやラジオを通して、 我が身を晒していることを、どの様に思っているので しょうか。 大きい声では言えませんが、実に、情けない。
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