低温レーザー干渉計用 ローカルコントロールの研究

東大宇宙線研・産総研A ・天文台B ・KEK C・JST D
斎藤陽紀(D1・主実験者)・寺田聡一A ・内山隆・三代木伸二D(発表者)
宮川治・我妻一博・大橋正健・黒田和明・中谷一郎、 ・石塚秀喜
上田暁俊B ・鈴木敏一C
平成21年度・共同利用研究費:50万円
2009/12/19
平成21年度 共同利用研究成果発表研究会
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目次
1. 実験動機
2. LSPI (Local Suspension Point Interferometer)
3. 実験装置
4. Analog回路での制御結果
5. デジタル化
6. まとめ
2009/12/19
平成21年度 共同利用研究成果発表研究会
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0.LSPIの位置づけ
重力波望遠鏡の感度を犯す原因リスト
地面振動防振装置が必要。その防振装置の共振揺れ安定化@低温
環境重力揺らぎ雑音
残留ガス雑音
レーザー周波数雑音・強度雑音・ビーム出射方向揺らぎ雑音
鏡の熱雑音
鏡の振り子の熱雑音
制御回路雑音(長さ制御、鏡姿勢制御)
制御信号混合による雑音(最大5個の制御すべき長さの自由度)
磁石コイルアクチュエーターへの電気雑音
磁石と金属間に働く渦電流経由の熱雑音
音響雑音
・・・・
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0.地面振動防振用振り子
共振ダンプ倒立維持装置
振り子で鏡を地面振動から防振。
(共振周波数以上で自由落下質点としてふるまう)
X [m/rHz]
多段
低周波
振子
単振子
水平防振用倒立振り子
f0 [Hz]
Y [m/rHz]
共振揺れを抑制する制御が必要
防振比
Y  f0 
 
X  f 
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さらなる防振は・・・
(1)振り子の低周波化
(2)多段(N)化
Y  f0 
  
X  f 
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垂直防振用反ばね
2N
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1.実験動機(CLIOの課題)
CLIO懸架系
常温部
3-stage
vibration
isolation
system
damping
stage
upper mass
CLIOでのローカルコントロール
 低温動作時にマグネットダンピングとして
の効果が弱まる。
 力が弱くなるのでなく、強すぎて、
DampingStageとCryoBaseが一体のように動
き出す。
 かといって、低温に最適な振り子は、常温
調整中にダンピングがかからない。
低温部
CLIOで初めて認識された問題
cryo base
新しいダンピング装置が必要
test mass
 CLIOのタンクを改造することなく設置
 低温時の振り子の高さ調整に追従するよう
な変位センサーが必要
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2.Local Suspension Point Interferometer
LSPIとは
(Local Suspension Point Interferometer)
Mirror
常温部
第1干渉計
L1
Diode
Laser
BS
Mirror
L2
Mirror
メイン鏡の懸架点(Cryo Base)で干渉計を構成し、その
懸架点の揺れの検出を行い、感度を犯さないようにダ
ンプするための装置
タンデム干渉計とは
 マイケルソン干渉計を2つ直列構成
BS
L3
PD
L4
第2干渉計
Mirror
低温部
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タンデム干渉計型
ローカルコントロール装置
タンデム干渉計の長所
 干渉計のアライメント調整は常温部
(第1干渉計)だけで行うことが可能
 BS間の距離は光路長差に影響がない
振り子の上下移動に追従させたことに
よる光路長合わせの必要がない。
(振り子は、冷却すると、5mm短縮す
る)
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2.LSPI:実は偏光タンデム干渉計
Mirror
常温部
第1干渉計
Diode
L1
Laser HWP
 偏光がπ/2ずれるため、各干
渉計だけで干渉は起こらな
い
QWP
Mirror
PBS
L2
 HWP-PD間で起こる
 光の取り回しがしやすい
CCM
L3
QWP
第2干渉計
Mirror
低温部
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PBS
PBS
L4 HWP
PD
PD
 最大効率を得るためには、
干渉計1台につき2つPDが
必要
 差動を取ることで信号取得
HWP-PD間で
干渉が起こる
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2.LSPI:概略図
全体図
Laser
1st Interferometer
1st Interferometer
active
mirror
Laser
QWP
M1
cryo
base
upper
mass
常温部
PD
M2
HWP
PBS1
PBS3
M3
PD
2nd Interferometer
干渉に影響を及ぼす変動
test
mass
CCM PBS2
低温部
Yaw運動を検出するため
干渉計を2台設置し、
各CCMの変位を独立に検出
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QWP
M4
2nd Interferometer
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2.LSPI:インストールの流れ
CLIOへのインストールまでの流れ
 原理検証実験・・・斎藤君の修士論文成果
この成果をもとに、共同利用申請
 CLIOへインストール(Per-arm End Cryostat)
 実機のインストール(光学系など)
 Actuator付Mirror (Active Mirror)のみで干渉計制御
• 各CCMの変位スペクトル測定(近状態では、CryoBaseは制御されてない)
 Coil-Magnet Actuator(振り子)のみで干渉計制御
• ローカルコントロール
 性能評価
• 振り子の共振をダンプしつつ、干渉計感度を犯さない。
 デジタル制御化
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日本物理学会
@甲南大学
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3.実験装置
常温部
Laser
M1
常温部
 Laser波長 633nm, Power 0.9mW
 コヒーレンス長が短いものをわざと選定
 2本のLaserの高低差は10mm
CCMの中心の距離だけ離れている
 干渉計1台につき1つのPDで信号取得
PBS1
M3
PBS3
M2
低温部
PD
active mirror
1st Interferometer
 PBS, QWP, Mirrorを1つのmass (reference
mass)に取り付け、斜め張りに吊るした
 Φ100μmのボルファーを4本吊り、長さ938.5mm
 常温部クランプ点間隔90mm, 低温部クランプ点
間隔50mm
 外乱が加わると振り子振動が止まらなく
PBS2
CCM
M4
2nd Interferometer
低温部
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なるため、reference massにはマグネット
ダンピングをかけている
振動しないように、吊り方やreference
massを改良する必要がある
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4.アナログ制御実験
Active Mirrorのみでの干渉制御(2系統独立)
制御
Laser
Mirror
Coil Magnet
Actuator cryo-base
PBS
PBS
 左図のセットがもう一
Active
Mirror
CCM
upper mass
Mirror
Coil
Driver
Filter for CMA
変位スペクトル測
定のため、振り子
にフィードバック
していない
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PD
error
error
Driver
for AM
セットあり、2系統から
信号取得。
 Error信号を振り子と
Active Mirrorにfeedbackし、
ミッドフリンジにロック
させる
 変位スペクトル測定のた
Filter for AM
offset
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め、Active Mirrorのみで
フリンジロック
2台の干渉計の同時ロッ
クに成功。
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4.アナログ制御実験結果
Active Mirrorのみでの干渉制御(2系統独立)
CCM変位スペクトル
 現在は0.48Hzの振り子
振動が支配的
 RMS
1.8×10-7 m @Right
6.4×10-8 m @Left
 現在、cryo baseには弱い
マグネットダンピング
がかけられている
最終的にはマグネット
をはずすため、振り子
(cryo base)に取り付け
るアクチュエーターは
これ以上押せるものが
必要
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CLIO要求値: 1×10-512m
4.アナログ制御実験結果
Active Mirrorのみでの干渉制御(2系統独立)
 生のfeedback signalと
差動を取ったfeedback
signalで比較
 生の変位を超えるピー
クが現れない
現在見えている振動は
並進運動
 弱い磁石ダンピングをはず
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したときはYawにも揺れる
 2台の干渉計のfeedback
signalの周波数応答を見る
と、1〜2Hz間で位相差が
180°になる周波数がある
Yawの振動はダンプされて
いる可能性
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4.アナログ制御実験結果
Cryo -Baseの磁石コイル力のみでの制御(並進・ヨー独立)
 制御成功
Lasers
 ただし、磁石コイル力の
Mirrors
Coil
Magnet
Actuator
cryo-base
Active
Mirrors
PBS
CCM
力不足か、予期せぬ振り
子の共振揺れのせいで、
不安定化する事あり。原
因究明中。
 振り子のメカモデル再検
討
PBS
upper mass
PD1,2
信号
混合
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Mirrors
足し算信号(並進
用)
引き算信号(ヨー
用)
並進用フィルター
ヨー用フィルター
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5.デジタル制御化
 アナログ制御と同等の制御成功
 フィルターの変更の簡易化で、開
発スピードアップ
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6.まとめ
 LSPI (Local Suspension Point Interferometer)とは
 Cryo Baseの揺れを感度を犯さないように抑えるためのタンデム干渉計
型ローカルコントロール装置
 LSPIをCLIO (Per-arm End Cryostat)にインストール
 タンデム干渉計2台をインストールし、干渉信号取得に成功
 2台の干渉計をActive Mirrorのみで同時ロックに成功
 Cryo Base (CCM)の変位スペクトル測定し現在の振り子の揺れの把握
 CryoBaseを使って、並進とヨーの独立制御成功、も問題あり。
 原因究明中
 制御フィルターの最適化速度向上のためデジタル制御へ移行
中
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