インターネットプロトコル実習 第2回:インターネットの基礎知識 石井啓之,小林勝 1 はじめに インターネットって何? みなさんにはどう見える? 技術的にはどう説明される? 電話網とはどう違う? 2 インターネットって何? 目に見えるもの:パソコン、携帯電話 ウェブブラウザ IE, Firefox この応用は多数ありますね(ホムペ、ブログ、 SNS、ショッピング、メール、・・・・) メーラー Outlook Express, Thunderbird, 携帯のメール ゲーム P2P ネトゲ各種 Winny でも 3 インターネットって何? でも、これは正確にはインターネットで は無い! インターネットアプリケーションと呼ぶ みんなに見えているのは、アプリケーシ ョンであってネットワークではない それがインターネットの特徴とも言えま す ネットワークを使ったアプリケーションが自 由に使える!!→だから発達した 4 通信網(ネットワーク)とは ネットワーク(大辞林より) ① テレビ・ラジオで、番組を送り出す局を中心 に、中継回線によって結ばれた、全国的な放 送局の組織。放送網。ネット。 ② コンピュータネットワークのこと net:網 - work:-の構造 通信業界では,電気通信網のこと.単に 網(モウ)とも言う.通信網とは情報を複数 地点間で伝達するための電磁的手段を用 いたシステムである. 5 インターネットって何? 本来の意味で(遠隔地とつなぐ)ネット を使うことを意識するのはあまりない メールのアドレスを入れるとき でもじかにアドレスを入れることはほとんど無い ですね ウェブのURLを入れるとき お気に入りやブックマークから選ぶ P2Pはもはや「通信相手」を選ばないで「コ ンテンツ」を指定して通信する 6 電話網では? 目に見えるもの:電話機 相手の電話番号を指定して通話する 単一のアプリケーション(通話)のため のネットワーク アプリケーションは自由に使えない ユーザもネットワークを使っている(遠 隔の相手とつなぐ)意識を持っている ダイヤルして、呼び出し音を聞いて、応答が あって通信 7 インターネットの定義 The Internet, sometimes called simply "the Net," is a worldwide system of computer networks - a network of networks in which users at any one computer can, if they have permission, get information from any other computer (and sometimes talk directly to users at other computers). 8 インターネットの歴史 9 きっかけ 1960年ころまでコンピュータは1台ずつ 独立して動いていた 1台に複数の端末がつながっている形 1960年代初めころに、コンピュータを相 互につないで効率よく処理をしようと、 新しい通信方式である「パケット交換方 式」が考案された 10 コンピュータ間の通信の特性 計算処理 計算処理 11 コンピュータ間の通信の特性 データ データ データ 時間 「とびとびに」しかデータは発生しない しかしそのころネットワークは電話網しかなかった 電話は、まず「つなぐ操作(ダイヤル、呼び出し、応答)」を行 って回線をつなぎ、そのあとはつなぎっぱなしで、最後に切る手 順→コンピュータ間の通信には「無駄(使っていなくても回線は つなぎっぱなしになっている)」が多い そこで 12 パケット交換方式の発明 データ送るときだけ回線を使いたい 電話型ではデータの有無に関係なくつなぎっ ぱなし 回線の空いてる時間は他の人が使いたい 電話型では回線はひとりで占有する パケット交換方式の発明:インターネッ トの始まりの始まり 13 パケット交換方式とは データをパケットと呼ぶ小包のようなも のに入れて、小包毎に宛先を書く 途中の交換局では、届いたパケットをひ とつずつ検査して宛先を確認して送って いく 料金は、基本的にパケットの数に比例す る 14 電話網型(回線交換)通信 エンド・エンドに回線という情報のパイプを 設ける 15 電話網型(回線交換)通信 ひとつの通信に1本のパイプがあるので,誰にもじゃまされない 一旦つながれば,速度は一定値を保証(64kb/s) 電話には十分 黙っていると回線は空いたまま,ほかの誰も使えない 自由な速度で通信できない(電話以外の場合) 16 インターネット型(パケット交換)通信 黙っているとき,回線はほかのパケットが使える(少ない回線ですむ かもしれない) すいていたら,ひとりで回線をめいっぱい使って通信できる 混んでくると,遅れたり,無くなったりするかもしれない 17 インターネットの先祖 パケット交換方式の発明(1960年代初め) 同時に3カ所で、個別にパケット交換方式が 発明される ARPAnetの実験開始(1960年代後半) 世界で初めてパケット交換機(IMPと呼ばれ た)が作られた:4つの局からネットワーク が始まった 1972年には 15局に拡大 18 ARPAnetとは 米国の国防省が、核攻撃を受けて部分的 にネットワークが壊されても、残りの部 分で通信を確保できる分散型ネットワー クの開発という研究委託を大学に行った 集中型(中心が壊れると全 体が動かなくなる) 分散型(部分が壊れても回 り道でつながる) 19 インターネットの発展(1970年代) ARPAnetはひとつのネットワークでしかな かったが、それ以外の複数のネットワー クが誕生し、それら同士をつなぐように なった これがネットワークのネットワーク、す なわち「インターネット」という用語の 誕生となった(1974年) 20 つながるためには1 コンピュータ同士がつながってデータをやりと りしたり、さらにネットワークとネットワーク がつながってデータをやりとりできるには 人と人が会話するように、ことばが共通である べき これを通信プロトコルと言って、手順(やりと りの順番や問題発生時の対処)と書式をコンピ ュータやネットワーク装置が理解できるよう、 世界共通にするものが必要 21 つながるためには2 プロトコルとして、今のインターネット で使われているTCP/IPの原形がこのとき できた(1974年) また、今のインターネットの接続方式と して最もよく用いられているイーサネッ トもこのころできた(1976年) 22 インターネットの発展(1980年代) 最初の発展の時代 70年代の終わりに200のコンピュータが ARPAnetにつながっていたが、80年代終わり には、数十万のコンピュータがインターネッ トにつながっていた インターネットとは違うデータ通信サー ビスも発展した フランスでは各家庭にMinitel端末がおかれ て、いろんな公衆データサービスが受けられ た。 日本ではインターネット型ではないパケット 交換ネットワークやISDNが作られていた 23 インターネットの爆発的発展(1990年代) 要因1:ARPAnetからNSFNET、商用ネットへ 実験ネットワークは終了し、大学や研究所の 間を結ぶネットワークとしてNSFNETが登場し た 1991年には、それまで研究目的にしか使えな かったインターネットが商用目的で使えるよ うになった 多くのインターネットサービスプロバイダ (ISP)が登場してきた 24 インターネットの爆発的発展(1990年代) 要因2:WWW(World-Wide Web):「世界中 に張り巡らされた蜘蛛の巣」の意味 HTML,HTTP,webサーバ,webブラウザの発明 GUI(マウスでクリック、移動できるユーザ インタフェース)の発明により飛躍的に使い やすいブラウザが登場:Mosaic/Netscape 単にホームページが作れるだけでなく、多く のアプリケーションがこのwebで実現できて いる事実 25 インターネットの爆発的発展(1990年代) 要因3:安価で使いやすいパーソナルコ ンピュータの登場 コンピュータはとても高いものであったが、マイク ロコンピュータの発明により、個人が所有できるパ ソコンが登場してきた アップル・マッキントッシュで使われていたGUIで操 作できる考え方を踏襲して、マイクロソフトが Windows95を1995年に発売し、一気にユーザ数が増え た 26 私のコンピュータ使用歴(家で) 最初に買ったコンピュータ(1992年頃) Apple Macintosh SE/30 CPU68030 16MHz メインメモリ 2MB HDD なし(フロッピーに 記憶) モニタ 9インチモノクロ 定価 50万円くらい(自 分は中古で買った(^_^;) 会社ではまずワープロが入り、 その後1987年頃にPC(マック) に置き換わった 27 私のコンピュータ使用歴(家で) 二代目:Apple Macintosh LC 575 三代目:Pioneer MPC-GX1(Apple互換機) この環境で、1996年にホムペ開設 四代目:Apple Power Macintosh8500/150 Windows初代:SOTEC PC STATION M350V 現在のメイン: DELL Domension 4600C(クラ)2.3GHz VSPEC Type-S/SPORTS-2200+(鯖) 1.7GHz 28 私のコンピュータ使用歴 1996,7年ころの自宅の机の上 29 インターネットの爆発的発展(現在まで) たくさんのアプリケーションが開発されて、イ ンターネットがますます便利になり、いまや 「インフラストラクチャ」にまでなった 銀行、買い物、メール、ブログ、SNS、P2P 元々向いていない、音声や動画像までインター ネットで転送できるようになってきた IP電話、Gyao、YouTube、にこにこ動画、ネトゲー Everything over Internet の時代 30 インターネットの構造 31 インターネットの構造 アクセス 網 アクセス網 アクセス 網 コア網 アクセス 網 アクセス 網 アクセス網とコア網でできている コア網は多くのネットワークの集合体 32 インターネットアクセス網の変遷 電話網 ダイヤルアップモデムで最大速度56kb/s ISDN ディジタル通信で最大64または128kb/s ADSL アナログ電話線にADSLモデム追加で数Mb/sか ら20Mb/s程度の下り速度(上りは1Mb/s程 度) 光 ディジタル通信で最大100Mb/s 33 ダイヤルアップモデム アナログ電話で通る周波数(人間に聞こ える音)にコンピュータのデジタル信号 を変換する ファクスのピーガーって言う音、あれです 初期のモデム:音響カプラー(0.3kb/s程 度) 34 ADSL (Asynchronous Digital Subscriber Line) 電話網 データ 音声 インタ ーネッ コンピュータのデジタル信号を、高い周波 ト アナログ加入者線 M S 交 DSLモデム スプリッタ 電話交換機 数のアナログの信号に変換して送る 35 光ファイバアクセス(FTTH) 複数の家庭で帯域を共有する方式 36 光常時接続の屋内配線の例(我が家) ノートPC LAN 1 Bフレッツ BB ルータ S/T-1 アナログ コードレス LAN ドアホン サーバ LAN WAN LAN 光電話 無線 LAN PC 3F和3 光 終 端 LAN A3 3F洋2 A2 A1 3F洋3 PC ノートPC ネット HDD ネット プリンタ PC 2F居間 CD管(25㎜) ケーブル種別 アナログ ファクス LAN 10BaseT(8極8芯 CAT5) アナログ (6極2芯)ただし、A1,A2は4芯ケーブル1本で同時配線 1F和2 ドアホン (門柱) 37 光終端装置などの例 38 コア網 ISPとIX IX(下図ではIIJ)がISP相互をつないでいる 39 コア網の構成 LANやコンピュータはISPにつながる(アクセス網経由) 40 コア網の構成 小さなISPは大きなISPにつながる 41 コア網の構成 大きなISPはIXにつながる 42 コア網の構成 各国のIX同士がつながり、インターネッ トのコア網を作る 43 要素技術:プロトコル プロトコル(Protocol )はそもそも外交 用語として使われていたもので「条約な どの原案」「相互間の規約」などと称さ れていた.言語も文化も異なる国家間の いろいろな取り決めを定めた約束ごとと いう意味で「Protocol」が使われている 44 要素技術:プロトコル ネットワークやコンピュータ間で,共通 のことばや手順を細かく決めておく必要 がある. この取り決めが,人間の世界の共通言語 であり,コンピュータの世界では「通信 プロトコル」となる. インターネット等で,多くの異なる装置 をつなぐことができるのも,共通の取り 決めである通信プロトコルの存在のおか げ 45 階層モデル 階層(レイヤ:layer)とは 46 OSI7層モデル OSI(Open Systems Interconnection)階層モデル 応用層 データ意味内容の制御 応用層 プレゼン テーション層 データ表現形式の制御 プレゼン テーション層 セション層 会話単位の制御 セション層 トランスポート 層 ネット ワーク層 データリンク 層 エンドシステム間のデータ転送制御 ネット ワーク層 データリンク 層 トランスポート 層 ネット ワーク層 データリンク 層 物理層 物理層 物理層 相手選択接続 伝送誤りの制御 電気・物理条件 47 OSI7層モデル 48 インターネットの課題 49 インターネット型(パケット交換)通信 あふれてなくなったり,遅れたり 50 セキュリティ (a)電話網型の例 勝手につなげない。 業者が管理していて安心 回線は専有して盗聴されない 情報パイプを専有 経路上の侵入,盗聴は不可能 (b)インターネット型の例 情報の通り道は公共の道路 A>B 侵入(なりすまし) A>B A>B A>B 複製(盗聴) 51 IPアドレスはいつ不足するか IPv4 アドレス寿命予測 IETF(Internet Engineering Task Force) 1995年における予測 ALE(Address Lifetime Estimation BOF) 5x109 4x109 IPv4アドレスの寿命 2018±8年 割り当て可能アドレス 3x109 2x109 1x109 0x109 1983 05 85 90 10 95 Year 15 2000 2020 52 対策 ネットワークレベルでの処理 経路を工夫する 入力を絞る パケット損失に対応するプロトコル セキュリティ ファイアウォール ウィルス対策 暗号 やることがいっぱいあります 53 IPv4 からIPv6 へ アドレス空間の拡大と経路制御の効率化 32ビットから128 ビットのアドレス空間へ(従来の7.9×1028倍, バケツ一杯の砂の数が地球1個分の砂の数に) セキュリティのサポート (IPv6 IPsec) IPパケットの暗号化と認証 54 我が国のネットワークサービス加入数の推移 平成18年版 総務省情報通信白書より 55 日本のインターネット普及率の変化 平成18年版 情報通信白書より 56 広帯域アクセスの急速な伸び 平成18年版 情報通信白書より 57 携帯インターネットの伸び 平成18年版 情報通信白書より 58 自宅におけるパソコンからの インターネット接続方法の推移 59 通信手段の変化(2年前との比較) 60 ブロードバンド料金の国際比較 (100kbps当たりの料金、2003年度末) 平成17年版 情報通信白書より 61 まとめ これからの通信ネットワークは一体どう なっていくのだろうか? Anything over Internet の状況は変わるか 高速化のさらなる進展 いろんな品質の実現 ユビキタス:どこでも自由に通信 これから検討すべきことはまだまだたく さんあります 62
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