コンピュータと化学 関西分子設計研究会 Computer-Aided Molecular Modeling (CAMM) Research Center Kansai 合田 圭吾 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 1 コンピュータと化学 コンピュータと化学の結びつき 情報化学 理論化学 生物計算化学 栄養学とコンピュータ化学 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 2 コンピュータとは? July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 3 コンピュータの歴史 ENIAC (1946)ペンシルバニア大学 ・ 真空管18,800本 ・ 床面積 100m2、重量 30トン、消費電力 150KW ・ 床面積60畳、車約 20台分の重さの、1KW の ストーブ150台に相当する熱を出すコンピュータ ・ 弾道計算や暗号解読 x = v0 •cos • t y = v0 •sin • t - 1/2 •gt2 x = v02/g •sin2 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 4 コンピュータの特性 正確さ 高速に計算 繰り返し作業 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 5 コンピュータと化学の結びつき 物理法則 物理 気候、風、気温、気圧、空気抵抗、 大砲の設置場所 化学反応 反応物質、分量、温度、触媒、容量 コンピュータ 化学 化学物質の性質を実験せずに予測・解析 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 6 コンピュータ化学 情報化学 生物計算化学 理論化学 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 7 情報化学 化学における情報とは? • 化学物質 名称、化学構造式、分子量 • 化学物質の性質 沸点、融点、密度、安定性 • 製造方法(合成方法) 化学反応式、温度、気圧、pH • 利用法 素材(コスト、特性、環境安全性) 医薬(薬効、毒性、安全性) July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 8 情報化学 例: H3C OH H3C CH3 OH HO HO ??? July 2002 ??? Keigo Gohda / CAMM Kansai 9 情報化学 例: H3C OH H3C CH3 HO OH HO エストロゲン(女性ホルモン) ビスフェノールA 生殖機能に作用 脳や中枢神経機能 蛋白・糖・電解質・水分の バランスの維持 脂質や皮膚、骨の代謝 環境ホルモン(内分泌撹乱物質) 女性ホルモン様作用 ポリカーボネート樹脂 自動車部品、CD等のディスク、 シートや窓ガラス等 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 10 情報化学 化学物質データベース CAS(Chemical Abstract Service 1900万件) メルクインデックス(医薬関連1万件) 化学物質データベース検索システム 厚生労働省 国際化学物質安全性カード 環境省 WebKis-Plus(化学物質データベース) 国立健康・栄養研究所 健康栄養情報基盤データベースシステム 米国環境保護局(EPA) 内分泌撹乱化学物質関連データベース July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 11 情報化学 国際化学物質安全性カード ビスフェノールA ICSC番号 0634 ビスフェノールA BISPHENOL A 4,4'-(1-Methylethylidene)bisphenol 4,4'-Isopropylidenediphenol C15H16O2/(CH3)2C(C6H4OH)2 分子量 228.3 CAS番号 80-05-7 RTECS番号 SL6300000 ICSC番号 0634 検索例: 災害/ 暴露のタイプ 一次災害/ 急性症状 応急処置/ 消火薬剤 予防 火災 可燃性である。 裸火禁止。 爆発 空気中で粒子が細かく拡 散し、爆発性の混合気体 を形成する。 粉末消火薬剤、水噴霧、泡 消火薬剤、二酸化炭素。 吸入 咳、咽頭痛。 粉塵の堆積を防ぐ;密閉系、 粉塵防爆型の電気ならびに 照明設備。 粉塵の拡散を防ぐ! 作業環 境管理を厳密に! 局所排気。 皮膚 発赤。 保護手袋、保護衣。 眼 発赤、痛み。 安全ゴーグルまたは顔面 シールド。 経口摂取 吐き気。 作業中は飲食、喫煙をしな い。 食事前に手を洗う。 身体への暴 露 漏洩物処理 貯蔵 新鮮な空気、安静。 医療機 関に連絡する。 汚染された衣服を脱がせる。 多量の水かシャワーで皮膚 を洗い流す。 数分間多量の水で洗い流し (できればコンタクトレンズを はずして)、医師に連れて行く。 口をすすぐ。 多量の水を飲 ませる。 医療機関に連絡す る。 包装・表示 ・こぼれた物質を密閉式容器内に掃き入れる;湿らせても ・酸無水物、酸塩化物、酸化剤、食品 よい場合は、粉塵を防ぐために湿らせてから掃き入れる。 や飼料から離しておく。 ・残留分を注意深く集め、安全な場所に移す。 ・(特別個人用保護具:P2有害粒子用フィルター付マスク)。 Prepared in the context of cooperation between the International 重要データは次ページ参照 ICSC番号 0634 Programme on Chemical Safety & the Commission of the European Communities © IPCS CEC 1993 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 12 理論化学 化学物質を形作っている原子(電子)の状態を解き明かすことに よって、化学物質の性質(物性)を解明する。 量子化学とも言う。 NH3 H2O 水素原子 H CH4 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 水分子(H2O)の電子状態 13 理論化学 • 物性の予測 新素材の特性(耐性、環境の中での安定性) 新色素の色(吸収波長) 生物活性(薬効、発ガン性) • 化学反応を予測 環境に最も“やさしい”化学研究 • ノーベル化学賞受賞 1981年 福井謙一 & Roald Hoffmann 「化学反応過程の理論的研究」 1998年 John A. Pople & Walter Kohn 「分子の構造や性質,化学反応の量子化学的な 計算手法研究」 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 14 理論化学 物性の予測: 農薬の生物活性 A B C D 予測 活性あり N CH3 N NH 活性なし N 静電ポテンシャル分布 CH3 N S 活性あり July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 15 理論化学 化学反応の予測 2 H2 + O2 化学物質A 2 H2O + 化学物質B ?? HOMO/LUMO軌道 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 16 生物計算化学 化学物質が生物にどのような影響を及ぼすか、または 望ましい影響を与えるのは、どのような化学物質か? 6500 個 4個 5-8年 2個 3-7年 1個 2-3年 新 医 薬 品 の 研 究 開 発 プ ロ セ ス July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 17 生物計算化学 『鍵と鍵穴』 James W. Black, Gertrude B. Elion & George H. Hitchings 1988年ノーベル生理学・医学賞受賞 「薬物療法における重要な原理の発見」 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 18 生物計算化学 抗インフルエンザウイルス薬: ウイルスの増殖に必須の酵素であるノイラミニ ダーゼ(NA)の阻害剤が理論的にデザインされ、 1993年、世界最初のNA阻害剤ザナミビルが合 成・開発された。 O H2N O July 2002 N H O O Keigo Gohda / CAMM Kansai 19 生物計算化学 慢性白血病(CML)薬: ガン化した白血球の異常増殖に必須の酵素で あるチロシンキナーゼの阻害剤が合成・開発さ れ、2001年、日本・米国・EUで承認・販売された。 N H N N N N HN N July 2002 O Keigo Gohda / CAMM Kansai 20 生物計算化学 スクリーニング ハイ・スループット スクリーニング: ロボットを使って、数百万の化合物 を短期間に試験(スクリーニング)する バーチャル スクリーニング: コンピュータ上で、数百万の化合物 を短時間にドッキングする July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 21 生物計算化学 ネットワーク分散型計算 コンピューターが使用されている間は 背後で待っていて、使用されなくなるとス クリーンセーバーのように作動し、分子 のスクリーニング作業を開始する。 小分子が、抗ガン剤のターゲットとな る可能性のあるタンパク質とどのくらい 結合しやすいかを評価する。ソフトウェア はその結果をセンターに送り返し、分析 すべき新しいデータを受け取る。 2億5000万種類の分子がスクリーニ ング用に準備されている。 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 22 栄養学とコンピュータ化学 日本農芸化学会 2002年3月 ・ 「プロピオン酸菌による乳清発酵物」に含まれる新規ビフィズス菌増殖促進物質の 単離と構造解析 (明治乳業食品) 日本ビタミン学会 2002年4月 ・ ・ ・ ・ ビタミンB12酵素の立体構造と精密触媒機構 (岡山大学工学部) フラビン酵素における反応制御の構造的基盤 (熊本大学医学部) ビタミンD-1α-水酸化酵素の三次元構造と機能発現 (東京医歯大生材研) B 群ビタミンにおける各国の食品成分値の比較検討 (女子栄養大医化学) July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 23 コンピュータと化学 コンピュータと化学の結びつき 情報化学 理論化学 生物計算化学 栄養学とコンピュータ化学 July 2002 Keigo Gohda / CAMM Kansai 24 質問? July 2002 コンピュータ化学 医薬品の研究開発 薬 製薬会社 就職 その他 Keigo Gohda / CAMM Kansai 25
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