岡山企業に対する ICカード・ICタグ導入意向に関する 調査研究 岡山商科大学商学部商学科 田中 潔 [email protected] 無線ICチップとその応用技術 • ゴマ粒大の無線ICチップ(Radio Frequency IDentification=RFID)の進歩が著しい • 例: 2003/9 日立「ミューチップ」0.4ミリ大 • RFIDをシールとして使用すれば,電子荷札 =ICタグとなる • 単品識別が可能なバーコードの後継として期待 • カードとして使用すればICカード • 読み書き可能な会員証として期待 無線ICチップの原理と応用 • ICタグやカードは1ミリ以下の無線ICチップ を搭載した荷札やカード • ICには情報を保存することができ、搭載し たアンテナを通じてリーダやライタで情報を 読み書きすることが可能 • ICチップはバッテリを搭載せず、リーダ/ラ イタが発する電波を受信し、電磁誘導など の仕組みで電流を発生させる • バッテリを搭載しないことで、小型化を実現 し、商品などに貼り付けることができるよう になった ICタグの主要2団体 • オートIDセンター(アメリカ) – 1999年設立世界で100社程度が参加 – 米ウォールマート,独メトロ,仏カルフィールなど – 大日本印刷,NTT,キャノンなど • ユビキタスIDセンター(日本,代表:坂村健) – 国内企業を中心に200社程度 – 大日本印刷や日本ユニシスなど • この2団体の競争・標準化などの過程にある – 各種の実証実験などが実施中 電子マネー企業相関図 電子通貨Edy加盟店舗数 • http://www.edy.jp/search/shop/index.htmlのデータより作成(2005/8) • am/pm、サークルKサンクス、ケーズデンキ、ホンダベルノ・クリオ・オー トテラスの情報は含まない(サイト) 本研究の目的 • RFID技術を用いたICタグ・ICカードは近年急 速に普及し,今後も発展する • これら,次世代デバイスは地方企業にも次第 に影響を及ぼすことは確実 • 岡山県内企業を対象に,これら新デバイスに 対する意向や動向をさぐる目的で調査研究を 実施した 調査要領 • 方法: 所定の用紙(A4,4頁)によるアンケート法 – 記名式 – 配布・回収は郵送 • 対象: 岡山企業年報2004(経済レポート社) – 従業者数21人以上2,386社から無作為に抽出 • 配布: 400社 • 回収: 155社(回収率38.8%) • 実施: 2004年10~11月 回収: 受取人払い封筒と切手封筒 • 返送方法 • 方法1 受取人払い返信封筒 • 配布: 300 • 回収: 106(回収率35.3%) • 方法2 切手付き返信封筒 • 配布: 100 • 回収: 49(回収率49.0%) • 今回は切手封筒>受取人払い封筒であった 配布企業と回収企業 基礎統計表 平均 配布400 中央値 回収155 配布400 回収155 資本金 51,313 23,521 3,000 3,000 従業員 数 159 141 53 53 年間売 上高 21,512,858 38,627,585 1,425,888 1,483,142 計上利 益 312,410 213,094 26,689 25,222 回答社・者の属性 業種 38.06% 40.00% 27.74% 28.39% 30.00% 18.06% 18.06% 20.00% 10.97% 10.00% 4.52% 0.65% 以 20 -4 9 卸 小 飲 売 食 宿 泊 金 不 融 動 サ 産 ー ビ そ ス の 他 林 鉱 漁 建 設 製 電 造 運 気等 輸 通 信 未 0.65%0 .65%0.00% 0.00% 農 20 人 4.52% 2.58% 上 0.00% 満 10.00% 12.90% 9.68% 9.68% 30 0人 12.90% 10 029 9 20.00% 50 -9 9 30.00% 従業員規模 回答者の立場 1% 1% 15% 製造業/以外の内訳 35% 9% 28% 製造業 製造業以外 72% 39% 経営者 管理職 主任 社員 その他 未回答 配布企業と回収企業 ICタグ・カードの現況 50.00% 40.00% 30.00% 20.00% 10.00% 0.00% 38.71% 23.87% 15.48% 関 係 あ る 係 あ る 21.94% 将 来 関 • 50%の企業で何らかの 関心を示し,大いにあ る企業が17%ある 現 関 時 点 で 不 係 な 明 い • 39%の企業で関係なし と回答し,24%の企業 で不明な状況 自社に関係があるか 自社の関心 40.00% 34.84% 32.26% 30.00% 20.00% 17.42% 15.48% 10.00% 0.00% なし あまりない 少しはある 大いにある 導入実績の状況 導入実績 • 実施や検討中の企業 は12%に過ぎず,79% は何も行っていない 12% 9% なし 一部検討 実験・検討中 79% • 何らか実施している企 業の48%が自社単独 で導入し,残りは業界 や取引先の影響による 実施の発端 (一部検討,実験・検討中の37社) 54% 46% 自社独自 業界・取引先 ICタグ・カード関連用語の認知 • ICカード・タグ,おサイフケータイなどの用語は比 較的良く知っており,関心も高い 知らない/関心ある用語 100.00% 80.00% 60.00% 40.00% 20.00% 0.00% フ タグ ケ Su ータ ic a/ イ Ic oc フ a ェ リ カ E オ ISO dy ク トパ 144 ス 43 カ ー ド RF ID お サ イ IC IC カ ー ド 知らない 関心ある • Suica以降の用語は知らない割合が,関心ありを 上回り,半数以上が関心なしとしている ICタグの利用意向 • ICタグは在庫や単品管理に活用することに関心がある • ICタグがわからない企業も12%ある ICタグの興味事項(3つまで) 10.00% 20.00% 30.00% 40.00% 在庫管理 47.10% 38.71% 21.29% 20.65% 15.48% 16.77% 3.87% 2.58% 1.94% ー ル 管 理 上 向 げ コ 資 転 ・運 庫 在 リ 金 点 利 他 な い 跡 追 品 商 ス ト削 な い 管 出 荷 / 入 2.58% 減 0.00% コ 11.61% ら タグわからない 8.39% 10.00% 理 15.48% 荷 盗難予防 か セキュリティ 20.00% の 25.81% 上 高速対応 売 27.10% 減 非接触式 40.00% 34.19% 31.61% 30.00% そ 30.97% 特になし 削 単品管理 その他 50.00% わ 0.00% 利点や長所(2つまで) • 利点は出荷や入荷などの効率向上としている ICタグの印象 • 費用面での負担,知識などがネックになっている • 自社独自よりは業界の普及に合わせてとする意向 が強い ICタグの印象(肯定的な意見割合) 72.26% 66.45% 65.81% 61.29% 39.35% 39.35% 17.42% 初 期 費 用 が か 運 か 用 る 費 用 情 で 報 大 や 変 支 援 少 物 な 品 い 管 理 に バ 使 ー 用 コ ー ドで 自 十 業 分 界 で 拡 自 が 社 る 単 独 で も 導 入 100.00% 80.00% 60.00% 40.00% 20.00% 0.00% ICカードの興味ある事項 • カード導入の目的は「顧客管理」 • ついで,電子決済や通貨としての活用 ICカードの興味(3つまで) 38.06% 26.45%25.81% 18.06%18.06%15.48%14.84% 10.32% 7.10% 3.23% 顧 客 管 理 興 味 電 な 子 い 決 済 ・通 貨 非 接 触 単 施 品 設 管 利 理 用 チ ェ ッ ク 購 入 管 理 信 カ 用 ー 向 ド 上 わ か ら な い そ の 他 40.00% 30.00% 20.00% 10.00% 0.00% ICカード導入の可能性 • 現時点でカード可能性 ありの企業は28% • わからないは39% 自社にカードの用途・可能性 5% 28% わからない ない ある 未回答 39% 28% • 可能性ありの48%は顧 客向けの利用であり, 21%は社内管理を目 的とする 社内用か顧客向け(ありと答えた48社) 21% 31% 社内用途 顧客向け 両方とも 48% カード導入の動きと役立つ機能 導入の動きや可能性 100.00% 80.00% 60.00% 40.00% 20.00% 0.00% 未 回 答 導 入 中 以 内 年 3 1年 以 内 で 時 点 現 研 究 中 単独 業界 な い • 導入の可能性は自社 独自,業界いずれも 80%前後で「動きなし」 40.00% 30.00% 20.00% 10.00% 0.00% 利用者の位 置情報 電子マネー機 能 カードへの情 報記憶 重視する 重視しない 商品単位の 履歴 • 重視している項目は, カード自身の情報記録 • その他は重視するより しないが上回る ICカードの役立つ機能 カード:プライバシー保護への考え • 半数近くが各企業が保護・管理を努力すべきと考 えている カードのプライバシー保護 44.52% 1.94% その他 未回答 4.52% 現技術で対応 可能 15.48% 7.74% 大きな障害で ない 企業で厳重管 理 保護大変,導 入困難 10.32% 15.48% 恐れあり良く ない 50.00% 40.00% 30.00% 20.00% 10.00% 0.00% • 侵害の恐れあり10%,保護大変なので導入困難 15%などの意見も見られた ICタグ,カード推進の重要事項 わからない 業者やパート ナー 性能や規格 資金援助 企業間提携 チップ・カード 価格 知識や情報 50.00% 42.58% 40.00% 25.16% 23.87% 30.00% 19.35% 18.71% 14.19% 12.90% 12.90% 20.00% 10.00% 0.00% 安価な端末機 器 推進の重要事項(続き) 0.65% その他 同業者交流 7.10% 6.45% 導入は困難 社内合意 7.74% 7.10% 異業種交流 社内人材 50.00% 40.00% 30.00% 20.00% 12.26% 10.32% 8.39% 10.00% 0.00% 運用女性 – 端末機器やチップ・カー ドなどの価格 – 導入や運用のための知 識や情報 – 企業間での提携・共通 化 タグやカード推進の重要事項(3つ) 業界協力 • 3つの外的環境の整備 や成熟がカギ ICタグ・カード導入の意向 • 自社での導入は,27%がいずれ導入と予想する • どちらともいえない24%,わからない19%などの意見 も多い 自社の導入予想 6% 17% 19% 24% 27% 7% 導入されない どちらともいえない 様子を見て検討 いずれ導入 わからない 未回答 • 様子を見て検討,導入されるだろうとする肯定的意見 は全体の1/3程度 まとめ • 岡山企業155社から回答を得た • 岡山企業でのICタグ・カードの現状は12%程 度であった • 関連用語の認知は,専門的な内容について はあまり知られていない • ICタグは入荷・出荷などの単品管理に関心が 高い • ICカードは顧客管理に利用し,カード自身へ の情報記録蓄積機能の活用を考えている まとめ • 導入推進のためには以下の事項が重要 – 端末機器やチップ・カードの価格・費用 – 導入・運用のための知識や情報 – 利用企業間の連携・共通化 • 現状の利用は低いものの今後,動向を見て 導入されるとする企業が約3割程度 • 今後,これらの技術は確実に進展するため企 業としても自社としての姿勢や方針を十分に 検討しておかなければならない 今後の課題 • 業種別(製造業・非製造業別)に見るICタグ, ICカード導入意向の把握 • 普及・導入のためのネックや導入などの要因 を分析 • 活用事例研究などによる成功(失敗)事例の 取りまとめ 謝辞 • 調査にご協力頂きました回答企業各位に感 謝いたします • 本研究は,岡山商科大学附属社会総合研究 所の平成16年度の研究助成を受けて実施さ れたものである ご清聴ありがとうございました
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