基本情報技術概論 (第12回) 基本ソフトウェア (OS) (前回の続き) 埼玉大学 理工学研究科 堀山 貴史 1 前回の復習: ソフトウェアの体系 ユーザ アプリケーション ソフトウェア 基本 ソフトウェア (OS) 制御プログラム 言語プロセッサ コンパイラ、アセンブラ、インタプリタ サービスプログラム ハードウェア スーパバイザ 制御 (管理) やユーザプログラム 実行の監視 ジョブ管理、タスク管理、記憶管理 データ管理、運用管理、障害管理 ユーザインタフェース 2 記憶の管理 3 コンピュータの構成 (第1回の復習) CPU 制御装置 入力装置 演算装置 主記憶装置 出力装置 補助記憶装置 主記憶 (main memory, メモリ) に、 プログラム と データを置く 4 記憶の管理 主記憶に 複数のプログラム を置きたい 主記憶よりも 大きなサイズのプログラム を扱いたい 実記憶管理 _________________ プログラムから、実際の主記憶 (の大きさや番地) が見える スワッピング方式 / オーバーレイ方式 仮想記憶管理 _________________ プログラムからは、仮想記憶が見える OS が、仮想記憶と実記憶とを対応させる セグメント方式 / ページング方式 5 実記憶管理(1) ________________ スワッピング方式 主記憶に複数のプログラムを置きたい スワップアウト 1. スワップ プログラム D アウト 実行に関係のない プログラムを、 主記憶から 待避させる プログラム C プログラム B プログラム A OS 主記憶装置 2. 空き領域 に ロード プログラム E 補助記憶装置 新しいプログラム を実行したい 6 実記憶管理(1) スワッピング方式 主記憶に複数のプログラムを置きたい スワップイン プログラム E スワップ ___ イン プログラム D プログラム A OS 主記憶装置 実行を 再開したい 補助記憶装置 スワップアウト されていた プログラムを 主記憶に戻す 主記憶に空きが なければ、 他のプログラムを スワップアウト 7 実記憶管理(2) ________________ オーバーレイ方式 主記憶よりも大きなサイズのプログラムを扱いたい 実行するプログラムを、セグメントに分ける (OS ではなく) プログラム自身が ロードのタイミングを指定 ルート セグメント セグメント A セグメント C セグメント B セグメント D ※ AとB、CとDは同時に使わない 必 要 な 最 大 サ イ ズ ルート A B C D 主記憶装置 8 用語: フラグメンテーション (断片化) OS が記憶領域の割当てと開放を繰り返す → こま切れの未使用領域 (断片) 合計では十分な空き領域があるが、 こま切れのため、使えない プログラム E プログラム D OS ? プログラム F 主記憶装置 9 練習問題: フラグメンテーション (断片化) (H19年度 春 改変) モジュール A ~ E を次の順で操作する。 操作終了時点で、 主記憶の空き領域は何か所存在するか。 ここで、主記憶は 500 kB、初期状態では何もロードされて いない。また、モジュールは空き領域の先頭からロードする。 [操作] A ロード → B ロード → C ロード → B 解放 → D ロード → A 解放 → E ロード モジュール 大きさ (kB) A 200 B 100 C 150 D 80 E 90 10 仮想記憶 主記憶よりも大きなサイズのプログラムを扱いたい OS が必要な所を必要に応じてロードしてくれると便利 OS が主記憶よりも大きなサイズの記憶空間を 仮想的に用意する (仮想記憶という) プログラムは、実記憶 (のサイズや番地) を気にしなくてよい 実 記 憶 分割 E 分割 C 分割 A OS 主記憶装置 OS が、 必要に応じてロード 補助記憶装置 分割 D 分割 C 分割 B 分割 A 仮想記憶 プ ロ グ ラ ム 11 仮想記憶管理(1) ________________ セグメント方式 セグメント … 論理的に意味のある、分割単位 プログラムをセグメントに分割して、OS が管理 セグメントのサイズは、可変 (フラグメンテーションが起きる可能性あり) 12 仮想記憶管理(2) ________________ ページング方式 ページ … サイズ固定の分割単位 プログラムをページに分割して、OS が管理 ページフォルト 必要なページが、実記憶に配置されていない ページ置き換え ページフォルトが発生したら 必要ないページを補助記憶に待避 (ページアウト) 必要なページを主記憶にロード (ページイン) _____________ 13 ページ置き換えアルゴリズム FIFO First-In First-Out どのページを必要ないと判断するか F I FO … 最初に入ったページが、最初に出ていく 次の仮想ページの参照に対し、実記憶の状態は F I FO により どのように変化するか示しなさい。 割当て ステップ 1 2 3 4 5 6 参照する 実記憶の状態 仮想ページ 1 1 4 1 4 2 1 4 2 1 5 1 (H18年度 秋 改変) 参考: Belady の例外 実記憶の割当て量を 増やすと、かえって ページフォールトが 増えることがある 14 ページ置き換えアルゴリズム LRU Least Recently Used どのページを必要ないと判断するか LRU … 最も長く使われていないページを捨てる (最後に参照されてからの時間が最も長いページ) 次の仮想ページの参照に対し、実記憶の状態は LRU により どのように変化するか示しなさい。 割当て ステップ 1 2 3 4 5 6 参照する 実記憶の状態 仮想ページ 1 1 4 1 4 2 1 4 2 1 5 1 (H18年度 秋 改変) 15 用語: スラッシング 実記憶が極端に小さいと … ⇒ ページング (ページイン と ページアウト) が 頻繁に発生 ⇒ 処理時間のほとんどがページング、 プログラム実行のスループットが極端に低下 16 用語: 時間的局所性 参照の局所性 今 参照されている箇所は、 近い将来 にも参照される可能性が高い 空間的局所性 今 参照されている箇所の 近くの場所 が、 参照される可能性が高い ※ 仮想記憶やキャッシュは、 これらの局所性のおかげで有効に機能する 17 18 19 この教材のご利用について この文面は、TOKYO TECH OCW の利用 条件を参考にしました この教材は、以下に示す利用条件の下で、著作権者にわざわざ許諾を 求めることなく、無償で自由にご利用いただけます。講義、自主学習は もちろん、翻訳、改変、再配布等を含めて自由にご利用ください。 非商業利用に限定 この教材は、翻訳や改変等を加えたものも含めて、著作権者の許 諾を受けずに商業目的で利用することは、許可されていません。 著作権の帰属 この教材および教材中の図の著作権は、次ページ以降に示す著 作者に帰属します。この教材、または翻訳や改変等を加えたもの を公開される場合には、「本教材 (or 本資料) は http://www.al.ics. saitama-u.ac.jp/horiyama/OCW/ の教材です (or 教材を改変したものです」 との旨の著作権表示を明確に実施 してください。なお、この教材に改変等を加えたものの著作権は、 次ページ以降に示す著作者および改変等を加えた方に帰属しま す。 同一条件での頒布・再頒布 この教材、または翻訳や改変等を加えたものを頒布・再頒布する 場合には、頒布・再頒布の形態を問わず、このページの利用条件20 この教材のご利用について 配布場所 http://www.al.ics.saitama-u.ac.jp/horiyama/OCW/ この powerpoint ファイルの著作者 堀山 貴史 2007-2010 [email protected] 改変等を加えられた場合は、お名前等を追加してください 図の著作者 p. 4 ハードディスク : 堀山 貴史 CPU, メモリ, キーボード, USB : http://webweb.s92.xrea.com/ パソコン, ディスプレイ, プリンタ, マウス, FD, CD : Microsoft Office Online / クリップアート p. 2 クリップアート : Microsoft Office Online / クリップアート その他 21 堀山 貴史
© Copyright 2024 ExpyDoc