スライド 1

災害時の携帯電波確保のために
‐役目を終えたアナログ電波塔を利用して‐
南山大学 寳多康弘研究会
大野有梨・田村早希・舩尾日菜
松井愛・キョウテキ
東日本大震災で発生した主な事象
• 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震
の発生。
• 地震の規模:マグニチュード 9.0
• 最大震度:7(宮城県栗原市)
• 震源域:岩手県沖から茨城県沖まで
• 被害:地震の揺れ、津波、液状化現象、地盤
沈下、ダムの決壊など
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
情報通信インフラの重要性
阪神淡路大震災と東日本大震災の比較
出典:総合通信基盤局電気通信事業部 データ通信課 齋藤晴加
「大規模災害等緊急事態における 通信確保の在り方について」
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
携帯電話の普及率
2000年頃を境にインターネットは我々の生活の中で必要不可欠な存在に
なり始め、現在では70歳以上でも半数の人が携帯電話の所有をしている。
出典:総務省「通信利用動向白書」(2011年)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/120530_1.pdf
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
大震災発生時、持ち出して逃げる物
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
図1 大地震発生時、持ち出して逃げるもの
出典:株式会社マクロミル「防災に関する調査」
東日本大震災発生時、
携帯電話は通じたのか?
通信施設の
被災
輻輳
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
電気通信事業者の被災状況1
最
大
発
信
規
制
値
(
%
)
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
NT T
ド コモ
(音声)
NT T
ド コモ
(パケッ ト)
KDDI
(音声)
KDDI
(パケッ ト)
ソフト
バン ク
モバイ ル
(音声)
ソフト
バン ク
モバイ ル
(パケッ ト)
図 携帯電話の輻輳状況
出典:「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会」より筆者作成
• 輻輳の発生
地震や台風等の自然災害発生時や、テレビ・ラジオの電話リクエストやチケット予約等に伴い、
電話が集中し通話の量が交換機の処理能力や中継回線等の容量を大幅に越えた場合、
電話がかかりにくくなること
電気通信事業者の被災状況2
図 携帯電話ネットワークの被災箇所
出典:「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検会」

通信施設の被災
通話回線や通信回線、そのために必要な機器や設備が震災による影響で被災してしまうこと
<最大停止基地局数>
NTTドコモ:6720 au:3680 ソフトバンクモバイル:3786
イーモバイル:704 ウィルコム:13760
携帯電話会社3社の対応
図 電気通信事業者の東日本大震災時にとった対応
出典:NTTドコモ 「東日本大震災におけるドコモの取組み」
KDDI(2011/04/08) 「東日本大震災への対応状況と今後の見通しについて」
SoftBank (2011/03/12) 「災害対応・復旧支援情報」
以上より、筆者作成
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
携帯電話会社3社の対策
図 電気通信事業者の災害対策
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
出典:NTTドコモ (2012/02/03) 「新たな災害対策の取り組み状況」
KDDI 「東日本大震災の影響とKDDIの復旧までの取り組み」
SoftBank (2012/03/12) 「災害対応・復旧支援情報」
以上より、筆者作成
最初に試した連絡手段は何であったのか?
出典:総務省総合通信基盤局電気通信技術システム課
「東日本大震災発生後の通信状況に関するアンケート」
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
携帯電話の割合が最も高く、インターネットサービスや
アプリケーションがあることからも、携帯電話を利用
しようとしていた人が多いことが分かる
携帯電話を利用して
どのように連絡を取ろうとしたのか?
連絡を取ろうとした方法のうち、
連絡が取れた方法の割合が最も高い
災害発生時の連絡手段
メールで
・連絡を取ろうとし
た人
・連絡が取れた人
の割合が最も高い
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情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
出典:「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方
に関する検討会」より
携帯電話を利用して
連絡を取ろうとした目的は?
出典:総務省総合通信基盤局電気通信技術システム課
「東日本大震災発生後の通信状況に関するアンケート」
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
多くの人々が
家族・恋人・友人など
の安否を心配し
連絡を取ろうと試みた
考察①安定した電波確保とは
固定通信における影響回線の最大数は3月13日
移動通信における停波基地局の最大数は震災翌日の3月12日
出典:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
「災害時の通信連絡手段について」
停電は地震発生直後に発生しているが、通信サービスの停止のピークにはタイムラグがある
東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
広範囲かつ長時間に及んだ停電により震災直後は
予備電源で作動していた基地局がサービス中断した
出典:総務省総合通信基盤局(2011/11/11)
『「大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方につ
いて」通信と震災~ISPの集いin仙台~』
24時間対応可能のバッテリー
を設置し、通信を可能にする
考察②バッテリーの設置場所の推定
出典:WirelessWire News(2011/07/22)『「3.11」で強化、携帯電話キャリアーの停電・節電対策 [前編]24時間稼働基地局
を全国に配置、電源車で有事に備える』 http://wirelesswire.jp/special/201107/01/article/1.html
人口密集地や災害発生時に
支援の拠点となり得る場所に設置
大ゾーン方式携帯電話基地局
•
•
•
•
大ゾーン方式
半径約7kmをカバー
広域災害・停電時に人口密集地の通信
を確保する
費用(試算)は約480万円/局
24時間稼働可能基地局




東日本
大震災
情報通信
の重要性
「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
鉄塔基地局にバッテリーを設置
約1.5トンのバッテリーを4つ程度
雨風防止の収容函が4トン
費用(試算)は約700万円/局
出典:NTTドコモ(2012/02/23)「新たな災害対策の取り組み状況」
全国化
大ゾーン方式をとり
半径7キロメートルの
カバーエリア
災害発生時に
人口密集地など
の支援の拠点と
なり得る場所に
設置
新防災
基地局
バッテリーの都合上、
自立式の鉄塔基地局
に設置
東日本
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「新防災
基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
費用(試算)は
約1180万円/局
名古屋テレビ塔を存続させる意義
名古屋テレビ塔
2012年3月5日、名古屋市は市有化する考えを示した。
市有化により、テレビ塔の耐震費用のために
社会資本整備総合交付金などの
国の補助金制度が適用される可能性が高い。
補助金を活用すれば改修費が4~5割は軽減できる。
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「新防災
基地局」
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の利用
全国化
名古屋テレビ塔入場者数の減少
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全国化
先行研究
• 類似事例の比較
東日本
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基地局」
テレビ塔
の利用
全国化
出典:名古屋市「名古屋テレビ塔の活用調査」
市が建物を所有し、
民間に貸し出しているのは・・・
横浜マリンタワー
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テレビ塔
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全国化
横浜マリンタワーの特徴
• 昭和33年
画
•
• 昭和36年
• 平成17年
市民からの発意により建設が計
民間運営会社が設立
マリンタワー開業
民間運営会社が営業終了表明
市民から保存・活用について要望
• 平成18年 横浜市が再生することを決定
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基地局」
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の利用
全国化
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全国化
運営方法
・施設の貸付け
貸付(定期建物賃貸借契約)
横浜市(建物所有者)
運営事業者(リスト株式会社及び
株式会社ゼットン)
・施設の運営
運営事業者は建物を一括して借り受け、
自らの事業収益をもって、施設の運営、維持、管
理 を行う。
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「新防災
基地局」
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の利用
全国化
効率的な運営方法
<運営主体に求められる点>
• 自立し意思決定できる組織体制
• 運営事業者として、継続して採算が採れる効
率的な運営体制
• 運営の公共・公益性
• 市・市民との協働、理解
• 長期的視点での経営
• 市内への経済波及効果の増大
東日本
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「新防災
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全国化
PFI方式
PFI方式=Private Fainance Intiative
これまで、民間のみ又は国や地方公共団体によって
運営されていた施設など。
PFI方式
民間企業 + 国・地方公共団体 =
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「新防災
基地局」
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全国化
PFI方式
• 民間の資金、経営能力、技術的能力の活用
↓
公共サービスの
効率的かつ効果的なサービス提供
• 国や地方公共団体の事業コストの削減
より質の高い公共サービスの提供可能
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全国化
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の利用
全国化
桑名市図書館
• コスト削減効果
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の利用
全国化
政策提言の方向性
東日本大震災
災害対策の見直し
「新防災基地局」
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テレビ塔
の利用
全国化
地上デジタル化で
使われなくなった
電波塔を再利用
一般化に向けて
南海トラフ巨大地震=東海、東南海、南海地震などが同時発生する地震のこと
今後30年以内の巨大地震発生確率
東海地震
東南海地震
南海地震
87%
60~70%
60%
3地震が連動して発生した場合
最大死者数 32万3千人
経済被害総額81兆円
出典:中央防災会議(2012/08/29)
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事例研究
-新防災基地局を設置した場合の想定カバーエリア-
事例①東京タワー
設置条件
• 人口密集地や災害発生時に
支援の拠点となり得る場所
• 自立式の鉄塔
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事例②名古屋テレビ塔
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事例③大阪通天閣
政策提言の有効性
東京・名古屋・大阪の3大都市圏
の占める人口の合計が
日本の総人口の半数
3つの塔に新防災基地局を設置
した際には、多くの人口に渡って
電波を確保することが可能となる
3大都市圏及び東京圏の人口が総人口に
占める割合
出典:総務省「平成24年度版情報通信白書」
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基地局」
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の利用
全国化
災害発生時に多くの人々の
情報伝達に貢献できる