バイオ特許

バイオ特許
2002.12.04
生物の特許
• 欧州は、主に倫理上の理由から動物を特
許対象から除外
• 多くの途上国は、動物も植物も特許対象
から除外
• わが国は、動物・植物というだけの理由で、
特許対象から除くことはしていない
特許権の付与1
• 単なる発見は特許法上の発明でない
– 新種の生物・微生物を単に発見しても特許権
は付与されない
– 遺伝子組替え技術を用いて新種の生物や微
生物を創生した場合は「自然法則を利用した
技術思想の創作」にあたる
特許権の付与2
• 遺伝子の発明も構想と機能・用途が明ら
かである以上、化学物質と同様に、特許の
対象となる
• ゲノム解析結果に係る発明については,
構造を明らかにしただけで機能・用途を明
らかにしていないものは特許の対象としな
いことで日米欧三極の特許庁間に了解が
ある
パスツール
• 1873年パスツールは、「製造品として有機
病原菌のないイースト」をクレームした米国
特許を取得した。
• 生存する微生物は特許性を有する
• 原油を分解するように遺伝子操作された
新規なバクテリアの発明(自然現象でなく、
人間の工夫のたまものだ)
バイオテクノロジー
• 1973年:コーエンとボイヤーが、制限酵素
と核外遺伝子を用いて、組み換えDNAを
大腸菌に組み込むことに成功
• つまり、どんなDNAでも大腸菌を介して大
量生産できる
• もしくは、有害な遺伝情報を獲得した大腸
菌がばらまかれるかもしれない
バイオ特許の始まり
• 1980年:遺伝子組み替え技術を特許として
登録(スタンフォード大学が特許権者)
• 1983年:遺伝子導入(トランスジェニック)植
物の生成法(ライデン大学)
• 1984年:トランスジェニック動物の生成法
(ハーバード大学)
• 1985年:遺伝子を大量生産する合成酵素
連鎖反応法(シータス社)
トランスジェニック・マウス
• 1988年特許:ガンになりやすい遺伝子を組
み込んだ実験動物(ハーバード大学)
• ローマ法王、宗教、思想、倫理、環境など
から批判
• アメリカ特許商標庁「自然界に存在しない
人間以外のすべての多細胞生物は、動物
を含め、特許の対象となる」
日本の対応
• 1998年種苗法の改正
• 遺伝子やたんぱく質を特許の対象に認め
る
• 細胞培養による生産にも開発者の権利が
及ぶ
• 保護期間も、登録日から20年間
遺伝子特許1
• 1999年の日米欧の三極特許庁の首脳合
意
• 遺伝子の塩基配列の解読だけでは特許に
ならないが、その有用性を明記すれば特
許が認められる
• 例:遺伝病の要因と思われる塩基配列を
解読すれば、遺伝病の診断薬に有用
遺伝子特許2
• 遺伝子の塩基配列を特許として押さえれ
ば、遺伝病やガンなどの難病に対して画
期的な新薬が開発できるし、遺伝子診断
や遺伝子治療が生まれる
• 個人差DNAの一箇所の配列がある病気
の人に特有であることを見つけ、「診断薬
として利用できる」と出願した場合、既知の
ものでなければ拒絶されない
個人差DNA
• 遺伝病や糖尿病、高血圧症、痴呆症、ガン
などの病気の要因となる塩基配列(疾患感
受性遺伝子)の有無を調べることによって、
将来それらの病気になる可能性が高いか
どうか判断できる
• ↓
↓
• オーダーメイド医療
• もしくは、プライバシーの侵害
生物多様性条約
• 遺伝資源の利用から生じた利益をその遺
伝資源提供国と配分する
• 問題:資源提供国はその資源を利用した
企業から通知がない限り、自国の遺伝資
源が利用されたことに気づかない
• 欧州委員会は、前文に、特許明細書に材
料の地理的出所の記載を、大きな条件付
で、求めた
遺伝子組み換え食品
• 病気や害虫に対する抵抗力を強くしたり、
栄養価を高めたりするため、他の生物や
品種の遺伝子を組み込んで新しい性質を
加えた農作物
• 除草剤耐性と害虫抵抗性に関する基本特
許は、米国企業がほぼ独占
• キリンビールが日持ちトマトを申請