高精度DEMを用いた伊豆半島 の段丘地形の特徴・分布 小山研究室 30916002 総合科学4年 石崎 淳 研究目的 2004年にユネスコ支援の下世界ジオパークネットワークが発 足。伊豆半島でも2011年3月、「伊豆半島ジオパーク推進協 議会」が設立。しかし、伊豆の持つジオパーク資産の整理や 分析は十分されていない。 そこで、伊豆半島の地形を調べ、研究する。 特に、伊豆半島に限定的に知られている河岸段丘、海 岸段丘、山間部に存在する平坦地などの分布や特徴、 を調べ、その実態を把握するとともに、それらの成立 過程の考察を行う。またどのような土地利用がされて いるか調べ、ジオパークとの関連性を考える。 河岸段丘、海岸段丘 ◎河岸段丘(河成段丘) 河川の中・下流域に流路に沿って発達する階段状の地形で ある。平坦な部分(段丘面)と傾斜が急な崖(段丘崖)が交互に 現れる。 ◎海岸段丘 海岸線に発達した階段状の地形。隆起地帯に発達した地形 であり、海水準変動または地盤隆起により形成される。 図:河岸段丘 出典:大和紀伊のみちくさトリビアより 図:海岸段丘のできかた 出典:NHK高校講座 河岸段丘のでき方 1.山の谷間には雨や土砂が流れ込み、やがて平らな面ができる。 2.雨や山から染み出た水は集まって川となり、平らな面を深 く掘り下げていく(川の侵食作用)。 3.そこへ地殻変動などにより、上流の地域が隆起すると、 川の勾配は急になり、流れも速くなる。 4.川が乱流したエリアは周りの土地より一段 低くなります。川の影響のなかったところは そのままの高さで残り、その結果、段丘とな る。 <大和紀伊のみちくさトリビアより> 研究方法 操作手順 ・伊豆半島の赤色立体地図を入手する。 ・赤色立体地図から河岸段丘、海岸段丘を読み取り GoogleEarth上のポリゴンを用いてマッピングする。 ・河岸段丘、海岸段丘の分布を分析する。 ・マッピング、色分けした河岸段丘、海岸段丘上で どのような土地利用がされているか調べる。 赤色立体地図 赤色立体地図とは、急斜面ほどより赤くなるように、尾根や独立峰ほど明 るく、谷や窪地ほど暗くなるように調製した疑似カラー画像である。 ・等高線図では表現できない線と線の間の情報の可視化 ・これまで見ることのできなかった土地の姿を見ることができる 航空写真 (アジア航測株式会社のHPより) 赤色立体地図 ポリゴン図形を用いたマッピング 伊豆半島中央に流れる狩野川の中流、修善寺東小付近の図を使用 なお伊豆の赤色立体地図は国土交通省沼津河川国道事務局の提供による 500m GoogleEarth上 の航空写真 500m 航空写真に赤色立 体地図をのせる 500m 赤色立体地図の上に ポリゴンをのせる 河岸段丘(狩野川)の特徴① 現在、抽出したのは伊豆 中央に流れる狩野川、南 伊豆町を流れる青野川、 河津町を流れる河津川の 河岸段丘。 特徴① 河岸段丘は下流、 上流では発達し ない。 中流に発達して いる。 下流 中流 上流 5000m 河岸段丘(青野川、河津川)の特徴① 上流 5000m 中流 5000m 特徴① 河岸段丘は下流、 上流では発達し ない。 中流に発達して いる。 下流 河川ごとの比較 河津川 青野川 少ない! 狭い! 狩野川 多い! 広い! 少ない! 狭い! 5000m 5000m ・河川の大きさ によって段丘の 大きさ、広さ、 数、範囲が違う。 5000m ・大きい河川ほ ど段丘は多く範 囲も広い。 ・小さい河川ほ ど段丘も小さく 範囲もせまい。 河岸段丘のまとめ 谷も深くなく 三つの河川の共通点 河川の幅も大きすぎな い中流に発達する。 ・上流、下流には河岸段丘は現れず、中流に現れる。 ・河川の大きさに合わせて段丘の大きさ、広さ、数、 範囲は変わる。 3つの河川の相違点 河岸段丘の数、範囲は 河川の大きさ、範囲に 比例している。 ・狩野川では大きく広い河岸段丘が広範囲で見ら れ、青野川、河津川では小さく狭い河岸段丘が局 大きい河川ほど流れが 強く、入り組んだ段丘が 所的に見られた。 多く、緩やかな流れの小 ・狩野川では入り組んだ段差が多いのに対して、 さな河川はきれいな段差 青野川、河津川では入り組んだ段差は少ない。 になる。 河岸段丘の色分け 狩野川 青野川 5000m 段差が途切れていても同じ色 の段差はつながっていて、同 じ時代にできたものと推測で きる。標高等を調べて詳しく 500m 検証していく。 河津川 500m 一段目を青、二段目を緑、 三段目を肌色で色分けした。 海岸段丘 北から伊豆大川駅付近、 稲取港、須崎海岸付近の 三か所の海岸段丘をマッ ピングした。 現在では伊豆半島の東側 の海岸に多く見られるこ とが分かった。 10km 海岸段丘 須崎海岸付近 稲取港付近 1000m 伊豆大川駅付近 1000m 1000m 海岸線に発達し、平坦な面、 傾斜が急な崖が連続する。 岬や入り組んだ地形に発達し やすい。 河岸段丘の土地利用 低い段丘は新しい段丘 のため、陸地としての 時間が短い。 江間IC、市立長岡北小学校 付近の河岸段丘の土地利用 緑の部分(二段目)は建 物が多いが、水色の部分 (一段目)は建物がほと んどなく田んぼ、畑が多 い。 拡大図 2000m 水害の被害を受けるた め低い段丘には建物、 民家が少ない。 300m 今後の予定 ・色分けした河岸段丘、海岸段丘の分布を分析し、 標高、時代ごとに分け、成立過程を調べる。 ・海岸段丘の特徴を分析する。 ・狩野川だけでなく青野川、河津川の河岸段丘の 土地利用を続けて調べる。 ・海岸段丘の土地利用を調べる。
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