第6回プル型生産とプッシュ型生産 プル型企業? プッシュ型企業? 在庫の役割? 完全なプル型サプライチェーン? 1 【サプライチェーン内の3つの意思決定局面】 (情報、製品、現金の流れ関する意思決定) ①サプライチェーンの戦略あるいは設計( 数年 単位) サプライチェーン構造の決定とステージごとの役割分担(生産・倉 庫・小売拠点の立地と処理能力、輸送手段、情報手段/予測の不 確実性が大きい) ②サプライチェーンの計画(年単位) オペレーション 政策 を決定(需要予測、協力企業の選定、在庫 蓄積・政策、販売促進、バックアップ体制/タイムスパンが短くなる ので、 不確実性 が減少し、柔軟な対応が業績を左右) ③サプライチェーンの オペレーション (週あるいは日単位) 顧客の注文に応じて対応/サプライチェーンの構造は固定的なの で、オペレーション政策を上手に実行するかが重要である。注文を 在庫と製品に配分し、作業実施日を決め、ピックリストを作成し、 輸送手段、配送日時を決定する。(所与の条件化で不確実性を最 2 小にし、パフォーマンス最大化) 【サプライチェーンのプロセス的見方】 サプライチェーンにおいては、各サプライチェーンのステージおよび その間で様々な活動が行われる。サプライチェーンは、顧客の要求 を満たすために、それらのプロセスを組み合わせたものである。 そのようなプロセスの見方は2つある。 ・循環的 な見方(連続するステージ間のサイクルの連続) 既に説明したようにマーチャンダイジング・サイクルをサプラ イチェーン前提として繰り返す。 ・プッシュ/プル 型の見方(顧客の注文の予測/顧客の注文) 「見込み生産」あるいは「受注生産」か? 3 【サプライチェーン・プロセスの循環的な見方】 サプライチェーンを5ステージ(顧客・小売・卸売・工場・協力企業)に 分類した場合、境界は4つになる。 顧客注文サイクル/(製品)補充サイクル/製造サイクル/ (材料)調達サイクル ※連続するステージの境界付近において、サイクルが行われる。 オペレーション上の意思決定を行う場合、この分類は便利(役 割と責任が明確であるから) ①顧客注文サイクル( 顧客/小売 ) 顧客到着 ;購買につなげる(購買目的でスーパーに訪れる、通 信販売のセンターに電話する、購買可能なWEBにアクセスす る;注文に結びつく設計、陳列、待ち時間、探索可能が必要) 顧客の注文;迅速かつ正確に受注、それを伝達する(顧客が具体 的な製品を注文、受注;カートに入れる、製品と数量の選択) 注文の実行:安い費用で期日までに正確に配送する 4 顧客の受領(製品の受領と所有権の移転) 【サプライチェーン・プロセスの循環的な見方】(続き) ②(小売製品在庫)補充サイクル( 小売/卸売 ) 小売が将来の需要を予測し、発注することから始まる(品切 れや品薄防止)。 ・小売が発注(販売可能性とコストを考慮して発注) 顧客への製品提供⇒在庫減⇒前ステージへの発注 ・小売から 受注 (正確に受注し、関連部署に伝達) ・小売からの注文の実行(納期遵守とコスト最小化) ・小売の製品受領(在庫情報更新・費用の最小化) 5 【サプライチェーン・プロセスの循環的な見方】(続き) ③製造サイクル( 卸売・小売/製造業者 ) •顧客の注文から製造活動が始まるのが プル 型 •需要予測と製造業者の製品在庫水準から始まるのがプッシュ型 製造サイクルに含まれるプロセス •卸売・小売・顧客からの受注; 卸売・小売の予測と在庫水準を考 えた発注 •生産計画(最小のコストで納期遵守);注文に基づいて生産計画 作成 •製造と出荷(必要な数量を最小の費用で納期どおりの配達) (製造)必要な数量を生産計画に基づいて生産 (出荷)卸売、小売、顧客、倉庫への輸送 6 •卸売・小売・顧客の製品の受領 【サプライチェーン・プロセスの循環的な見方】(続き) ④(材料)調達サイクル( 製造業者/協力企業 ) 生産計画に基づいて必要な材料の準備 (製造業者の部品・材料在庫の補充) (需要予測ではなく、具体的な生産計画に基づく) (協力企業を生産計画に連動させることが重要) ※このようなサイクルがそれぞれ繰り返される。この循環的な見 方)では、含まれるプロセスとその責任者が明確になっている。 ※プッシュ (需要不確実/投機的) / プル (需要確定後/ 受身的)型の違い 7 【完璧なプル型生産は可能?】 DELLの生産体制は、 受注生産型 と言われている。 顧客に直接販売(転売業者・卸売業者不要) 受注生産(製品在庫で対応しない) 受注⇒最終組立 しかし、 DELLのサプライチェーンの中では、プッシュ型部分も存在。 実際には、プルとプッシュを組み合わせている。 注文・補充・製造サイクルはプル型の部分と 調達サイクルは、プッシュ型の部分が並存 (部品や材料は予測に基づいて確保しておかないと、時間 がかかる。) 企業によってステージ数の違いとプッシュ型/プル型の比率の違い 8 があり、これがサプライチェーンの業績に大きな影響を及ぼす。
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