MEMSセンサを用いた 小型INS/GPS航法装置 の開発 56367 成岡 優 指導教員: 土屋助教授 1 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 概要 1. 2. 3. 4. 2015/10/1 背景: 小型、軽量、安価かつ高精度な 航法装置の必要性 手法 評価: 精度はどれくらいか? 結論 修士輪講会2006 2 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 背景 (1/5) 高精度な航法データの必要性 多くのアプリケーションて精度よい航法情 報(位置や速度、姿勢)が必要とされる 飛行機や宇宙機のナビゲーション 車や電車等の移動体の監視 ロボットやUAVの誘導制御 航空機で培われたナビゲーション技術を 汎用的に利用することはできないか? 2015/10/1 修士輪講会2006 3 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 背景 (2/5) 優れた航空機の航法技術の1つとしてINS/GPS INS/GPS複合航法 慣性航法装置 (INS) 早い更新周期 but 誤差が蓄積 Global Positioning System (GPS) + INS GPS Error Error Time Integration 誤差が蓄積しない but 更新周期が低い Time INS/GPS Error 2015/10/1 Time 修士輪講会2006 早い更新周期 and 誤差蓄積しない 4 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 背景 (3/5) INS/GPSの仕組み 運動の法則 INS GPS 慣性センサ 受信機 位置 加速度 角速度 位置 速度 速度 姿勢 三角測量 衛星 電波 統合 INS/GPS 2015/10/1 位置, 速度, 姿勢 修士輪講会2006 5 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 背景 (4/5) 航空機 vs. 汎用 INS/GPS 航空機向け(既存) 超高精度 (誤差: <1m, <1deg) Trade-Off 大きい(> 1000 cm3) 着目点 小さい (< 1000 cm3) 重い (> 1 kg) 2015/10/1 汎用向け(近年開発中) 高精度? 軽い (< 1 kg) 高価 安価 (> 100万円) (< 100万円) 修士輪講会2006 6 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 背景 (5/5) 研究目的 精度とその他スペックの間に存在するト レードオフを議論することは非常に重要 である 本研究の目的 1. 2. 2015/10/1 できる限り小さく、軽く、安価なINS/GPS装 置を構成し その精度を正確に評価し、汎用的に使用可 能か検討する 修士輪講会2006 7 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 手法 (1/7) 構成機器 使用しない 高精度だが大きく重く高 価な特殊部品 Ring laser gyro 軍用、特殊用GPS 2015/10/1 使用する 小さく軽く安価な汎用部品 MEMS慣性センサ 民生用GPS 修士輪講会2006 8 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 手法 (2/7) MEMSセンサと民生用GPS MEMS慣性センサ 電気回路と検出部を一体化 小さく(~1 cm2), 軽く(<1 g), 安価(<1万円) MEMS慣性センサを用いたINSは誤差が非常 に早く溜まりやすい. 民生用GPS受信機 カーナビなどに使われている 小さく(~10 cm2), 軽く(<10g), 安価(~1万円) 比較的よい精度 (位置誤差: 10~20m) 2015/10/1 修士輪講会2006 9 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 手法 (3/7) INS/GPSアルゴリズム Strap-down構成 extended Kalman filtering (EKF)による統合 機械的なジンバルが必要ない Loose-coupling: 計算リソースの節約 クォータニオンの活用 2015/10/1 MEMSセンサの大きな誤差を補償するための数学的 に単純なモデル オイラー角で発生するような特異点を完全に除去 修士輪講会2006 10 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 手法 (4/7) 式(1) : INS運動方程式 • 速度 (3[North, East, Down Speed] 状態量) 0 0 ~e d 0 ~ n 0 ~ b 0 n e n q n e qb b q n n n 2 r a g dt ren e/i n/e e e / i re e/i Acceleration Gravity ~ n qe • 位置 (4[Latitude, Longitude, Azimuth] + 1[Height] = 5 状態量) d ~n 1 ~e 0 d qe q n n , h ren dt 2 n / e dt z • 姿勢 (4[Roll, Pitch, Heading] 状態量) quaternion d ~ b 1 ~ b 0 0 0 ~ b q n q n b n n q n dt 2 b / i e / i n / e Angular Speed 2015/10/1 修士輪講会2006 11 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 手法 (5/7) 式(2) : EKF向け線形化 INS運動方程式に以下の代入をすることでEKF用の線形化 が完了する ren ren ren 1 ~ n n ~ qe n qe , h h h u e 1 q~nb b q~nb u n b a a b a b , bb/ i bb/ i bb/ i , g g g quaternion 大きさを維持したままのクォータニオンの線形化 • Jacobian i.e. 足し算型 (4 状態量) • 掛け算型 (3 状態量) q q 2 2 q~ q~ ( q q ) 2 q q q q 1 q q 2015/10/1 修士輪講会2006 1 ~ 1 q 2 2 q ( q q ) 1 u u q 12 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 手法 (6/7) 式(3) : EKF INSが時間更新するとき GPSから情報が得られたとき EKF Time Update d x Ax Bu dt ren a b n u x e , u bb/ i h g b u n T Pk E xk xk , Qk E uk uk T T T ren n u xk e K k z k h b u n k Rk E vk vk q~ 1 ~n qe n u e k n e INS 2015/10/1 T ren INS 修士輪講会2006 INS K k Pk H k H k Pk H k Rk Pk ( I K k H k ) Pk ren quaternion q~en q~en z h h ren ren INS GPS z Hx v Pk 1 I At Pk I At Bt Qb Bt EKF Correct q~ ren b n INS k INS T T 1 1 ~b qn b u n k , hINS hINS h k 13 INS MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 手法 (7/7) 全体図 Strap-down 構成 MEMS 慣性センサ クォータニオンの利用 民生用GPS 2015/10/1 修士輪講会2006 14 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (1/11) 概要 プロトタイプ 提案手法に基づいて作成 較正を行う 精度評価試験 2015/10/1 プロトタイプと高精度な既存航法装置の比較 修士輪講会2006 15 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (2/11) プロトタイプ 大きさ: ~ 100 cm3 重さ: ~ 30 g 費用: ~ 3万円 (構造部材ぬきで) 小さく、軽く、安価である 2015/10/1 修士輪講会2006 16 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (3/11) プロトタイプ詳細 2015/10/1 修士輪講会2006 17 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (4/11) MEMS INSの較正 温度ドリフト 取付け誤差 rotating settling 容易に取り除ける 誤差要因の中で 最も効果が大きい 2015/10/1 修士輪講会2006 18 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (5/11) 較正結果 温度ドリフトと取付け誤差の測定結果 温度ドリフト 傾いている 取付け誤差 傾いている Y,Z X 真の角速度 (X軸) vs. 検出角速度 (X, Y, Z-軸 ジャイロ) 温度 vs. 検出加速度 (X-軸 加速度計) 2015/10/1 修士輪講会2006 19 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (6/11) 精度評価試験 GAIAとの比較 (2006/06) GAIA: JAXAによって開発された超高精度な INS/GPS装置、誤差は絶対位置で < 1m 同JAXA所有の実験用航空機 MuPAL-a内に プロトタイプとGAIAを設置 飛行し、両者の履歴を比較 2015/10/1 修士輪講会2006 20 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (7/11) 実景風景 GAIA MuPAL-a 2015/10/1 プロトタイプ 修士輪講会2006 21 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (8/11) 試験結果 プロトタイプ: 赤 GAIA: 緑 位置 (3D) 速度 姿勢 GAIAとほぼ等しい 2015/10/1 修士輪講会2006 22 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (9/11) 結果詳細 GAIAを基準としたときの プロトタイプの誤差の統計量 位置 速度 姿勢 2015/10/1 水平距離 [m] 姿勢 [m] 北方向速度 [m/s] 東方向速度 [m/s] 下方向速度 [m/s] ロール [deg] ピッチ [deg] ヘディング [deg] 平均 (Offset) 6.44 0.85 0 0 -0.08 0 -0.67 4.17 修士輪講会2006 標準 最悪値 偏差 2.97 17 2.1 6.9 0.12 1.25 0.12 -1.13 0.1 -0.67 0.26 -1.19 1.21 -3.9 9.68 23.9 < 10m < 2 deg > 10 deg 23 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (10/11) 試験結果のまとめと考察 誤差: < 10 m(位置), < 2 deg(ロール、ピッ チ) 汎用的に使用するのに十分な精度と考えられる ヘディングが特に悪い (誤差: >10 deg) 運動の周波数モードの影響が考えられる ロールやピッチは比較的高い周波数の運動 (> 1Hz) 一方ヘディングは周波数の低い運動 (< 1 Hz) 除去が難しい周波数の低いノイズ成分、例えばゼロ 点変動と重なってしまっている 2015/10/1 修士輪講会2006 24 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 評価 (11/11) 較正の効果 較正あり 較正なし 例 : ロール履歴 較正の効果を確認できる 2015/10/1 修士輪講会2006 25 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 結論 提案した手法とその結果 汎用的利用を目指した小さく、軽く、安価なINS/GPSを提案し た MEMS慣性センサと民生用GPS受信機を構成機器とし、 Strap-down構成をとった アルゴリズムではEKFとQuaternionを利用した 温度ドリフトと取付け誤差を較正し、その効果を確認した 試験結果によると、汎用利用には十分な精度を有する、誤差 は位置で10 m以内、ロールとピッチで2度以内であった 2015/10/1 修士輪講会2006 26 MEMSセンサを用いた小型INS/GPS航法装置の開発 今後の課題 低い周波数のノイズへの対応 時間-周波数解析 Waveletによる多重解像度解析 Waveletによるノイズ除去 他の補強システムの利用 2015/10/1 地磁気センサ 修士輪講会2006 27
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