食料自給率低下によって 日本が抱える危機とその対策

食料自給率の向上と農業の未来
2311206
小澤 裕太
このテーマにした理由
自分の身近な所について調べたかったので
なくてはならない食料について調べようと
思い
いま問題になっている日本の食糧自給率
についてテーマにした。
結論
食料自給率上昇のためには、日本型食生
活(主食である米を中心として畜産物や
果実などがバランスよく加わった健康的
で豊かな食生活)への見直しと、衰退し
ている農業の立て直しという、2つの視
点から考えた対策が求められる。
そもそも食糧自給率とは
食料自給率とは、国内の食料消費が、国
内の農業生産でどの程度まかなえている
かを示す指標のこと。
食料を省略して自給率と言われる場合も
ある。
日本と他国の現状
2010 年現在、人口約1 億2700 万人に対
して、日本の食料自給率は40%前後と先
進国内でも非常に低い値である。主要先
進国と比較すると、2003 年度では、ア
メリカ128%、フランス122%、ドイツ
84%、イギリス70%というように、日本
の値の低さがわかる。
先進国と比べると、アメリカ124%、フランス111%、ド
イツ80%、イギリス65%となっており、我が国の食料自
給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準と
なっています。
食料自給率の推移
日本のカロリーベースの食料自給率は、昭和40年度の73%か
ら大きく低下し、近年40%前後で推移しています。
食料消費構造の変化
国民1 人・1 年当たりの供給純食料の推移
からみると、1965 年から2008 年の間に、
米; 111.7kg から59kg へ、野菜; 108.1kg から
94.2kg へ減少しているのに対して、肉類;
9.2kg から28.5kg へ、果実; 28.5kg から
40.1kg へ、牛乳・乳製品; 37.5kg から86.3kg
へ、油脂類; 6.3kg から13.9kg へ増加してい
る。そして、1969 年から2004 年にかけて、
所得階層間での食料費支出の格差が小さく
なっていることから、食料消費構造の変化
が所得水準に関係なく日本全般に広まった
と考えられる。
食料自給率向上への対策
具体的には、食料自給率の向上に向け
て、食料自給率に大きく影響すると考え
られる米、飼料作物、油脂類、野菜の4
つの重点品目に着目し、集中的に実施す
べき追加的な取り組み。
6つの集中重点事項
①米粉利用の推進を含む米の消費拡大
②飼料自給率の向上
③油脂類の過剰摂取の抑制など
④加工業務用需要に対応した野菜の生産拡
大
⑤食育の一層の推進
⑥国民運動を展開するための戦略的広報の
推進
の6つを集中重点事項と位置付け、生産・消
費の両面から国民運動としての取り組み強化
を図ることが重要である。
農業労働力不足の問題
農業労働力の主力となる基幹的農業従
事者は、65 歳以上が6 割を占めている。
今後、高齢者の多くが引退したとき、
農業労働力の脆弱化の進行が懸念され
る。そして、新規就業者は7 万5000 人
で、60 歳以上が半数、39 歳以下は1 万
1000 人(そのうち2480 人が新規学卒
者)である。
農業労働不足の解決
農業法人に関して言えば、初期投資が不
要であり、働きながら技術習得が可能と
いうメリットがあり、今後、雇用の受け
皿として、農業法人の増加が期待される。
農業へ就職する人の採用経路は、知人紹
介、新規就農就職センター、ハローワー
ク、民間職業紹介事業所、インターネッ
ト、農業法人合同説明会など多種多様な
経路が存在する。しかし、なかなか存知
はされておらず、この情報提供をいかに
うまく行えるのがひとつの課題である。
農家の担い手への対応
担い手への農地の利用集積が進まない
のは、
 農業所得や農産物の価格が不安定と
いった経営環境
 経営する農地が分散している
 集落内に担い手がいない
 農地への資産保有意識が強いこと
農家の担い手への対策
まずは今あるものを活かすことが一番
である。担い手への対応を強化するた
めに、農協の有効活用を行い、個別に
ニーズを把握し、各種事業を個別に提
供すること。そうすることで、担い手
の農協利用が拡大し、農協経済事業の
収支改善にも寄与し、低価格資材の供
給などを通じて、担い手の所得向上と
なるであろう
地産地消の推進
地産地消は、地域で生産された農産物を
地域で消費するだけでなく、生産と消費
を結び付け「顔が見え、話ができる」関
係づくりを行う取り組みであり、各地域
で大きな広がりをみせてきている。
そして、地産地消は、小規模農家や高齢
農業者も取り組みが可能であり「食」や
「農」に関する理解の向上、地域の伝統
的食文化の継承、地域活性化、食料自給
率の向上といった多様な効果が期待でき
る。
地産地消の推進2
地産地消の取り組みは、関係者の一体
となった取り組みが重要である。この
ため、市町村などを主体として、地域
の実情に応じた実践的な取り組みを進
めるための「地産地消推進計画」の策
定を推進しており、2007 年8 月末、全
国942 地区で計画が策定されている。
「新・農地法」の必要性
「農地の流動化は農地の賃貸借を中心と
して行われているが、農地法では所有と
利用の一致を求めている。このような理
念を含め、農地を経営資源として位置付
け、経営として利用すべきとの理念に
立った簡潔でわかり易く使い易い(要す
るに農地法、農業経営基盤強化促進法及
び、農業振興地域の整備に関する法律の
関係を見直した総合的な)新たな農地関
連法制の整備を急ぐ」。つまり、農地を
経営資源であると明言し、競争力のある
農業経営を総合的に支援する。
農業革新のための「道州制」
農業はいまや「国家の競争」ではなく
「地域社会の競争」へと段階が大きく
変わっている。日本の農業が決定的に
間違えてきたことは、国家主導で農業
を監理し続けてきたことである。気候、
風土など農業を取り巻く自然環境を考
えたとき、地域社会を束ねるエリアは
都道府県ではなく、日本を4つから6つ
くらいの大きなエリアにまとめるべき
である。
農業革新のための「道州制」2
世界の農業事情に精通するある経営者は、道州
制が日本の農業にもたらす効用が絶大であるこ
とを確信している。「日本の農業にとって必要
なことは、国際競争に勝つことである。食料自
給率の低下は日本の農業が海外勢に惨敗した結
果にほかならない。都道府県単位で農業戦略を
考えても、技術革新を担える主体はせいぜい農
業試験場ぐらいである。とても世界とはわたり
合えない。国際競争力をつけるためには、地域
と運命共同体となるハイレベルの農業大学の存
在が欠かせない」。
おわりに
国民の「食生活」への意識と、国の
「農業」への政策のどちらか一方だけ
が改善されても効果はなく、同時に改
善されなければならない。安心した
「食生活」を送るため、そして、日本
の農業が培ってきた技術や知識・ノウ
ハウを守っていくために、新たな仕組
みが今後一層求められる。