地方政府の持続可能性への挑戦 – ヨーロッパの経験 ボブ・エバンス 持続可能な都市研究所 ノーサンブリア大学 ニューカッスル・アポン・タイン 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 1 3つのテーマ…….. 持続可能性への挑戦の本質 地域の持続可能な発展のための「ガバニング」 持続可能な発展のための制度的(組織的)能力(Institutional Capacity) 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 2 2つの論点……………. なぜ持続可能性を真剣に議論しないといけないのか? どのように地方政府の意思決定過程に持続可能性を組 み入れることが出来るか? 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 3 「持続可能な発展」は物・事ではない – なにかしらの事を行うための方法である 「持続可能な発展」は問いを投げかけている - 「我々 は現在の生き方を永遠に維持できるのだろうか」 「持続可能な発展」は問いを投げかけている - 「もし 維持できなかったとしたら?」 「持続可能な発展」とは全世界的な責任を真剣に受け止 めることである しかし「持続可能な発展」とはまた、変化に対応するため の我々の弾性を発達させることでもある 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 4 なぜ持続可能性を真剣に議論しないといけないのか? なぜなら、我々は利他的で責任感が強いからである 我々は、地球温暖化や「エコロジカル・フットプリント」 「見知らぬ誰か」、そしてまだ生まれていない将来の世代を 気にかけている なぜなら、我々は自己本位的だからである 我々は、自分たち自身あるいは我々の子供たちを 守らなければならない 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 5 西ヨーロッパ社会….. エネルギーや自然資源の主たる消費者である 価格上昇、供給制限や世界的な繁栄・権力の所在の変化 などにより、消費を減少させる必要に迫られる 6 ロンドンの「エコロジカル・フットプリント」… • 4千9百万グローバル・ヘクタール(gha):ロンドンの実際の 面積の293倍もの広さ(英国全土の2倍の広さ) • ロンドンの住民一人あたり6.63gha.に相当 (もし地球上の全ての人間が同量の生物生産資源を分け 合った場合、一人あたりの割り当ては2.18gha.) • もし、現在の消費レベルが全世界的に広がったら、少なく とも地球3つが必要となる 7 「環境スペース(Environmental Space)」…… 持続的な資源利用を確保するために必要な、ヨーロッ パにおける各種資源消費の減少割合 • • • • • • • • エネルギー利用 化石燃料 二酸化炭素排出 農地 森林 アルミニウム セメント 塩素 50% 75% 77% 57% 55% 90% 85% 100% 8 将来の展望を少し覗いてみましょう……. 指数関数的な発展の問題 エネルギー安全保障と資源利用 全世界的な繁栄と権力のシフト 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 9 中央にスイレンの花が咲く小さな池を想像してみてください…… …...そのスイレンは毎年2倍の大きさになります……. ………..そのスイレンが池を埋め尽くすのに30年かかります 10年後はほとんど変わりません……. 20年後でも、そんなに大きな面積ではありません….. でも、29年目までにはスイレンは池の半分を埋めてしまいます… そして、30年目に、最後の半分が埋め尽くされるのです 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 10 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 11 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 12 全世界的な繁栄と権力のシフト… 現在世界経済には、15億人もの人口が存在する 全人口の65%は一度も電話をかけたことがない。 1/3は電気へのアクセスがない 中国、インド、環太平洋諸国の発展の結果、この状況が 著しく変化する兆候 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 13 中国はこのままの成長を続けると、2020年までに現在の 4倍の経済成長を成し遂げる • • もし中国の自動車所有がドイツと同じ密度になったと すると、6億5千万台の新たな自動車が出現すること になる 北京では、市民一人あたり1年間に200個のタマゴを 消費することが奨励されている → 1年間に2千6百 億個のタマゴが必要 → 13億羽のニワトリが必要 → オーストラリアの1年間の総産出量に匹敵する穀 物が必要 インドは2050年までに、中国を抜いて世界で最も人口が 多い国になることが予想されている 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 14 地方政府は持続可能な発展の達成のための重要 な役割を担う、がしかし….. 地方政府だけでは達成できない 個人と地域の各種団体の参加が不可欠となる 地域の持続可能な発展は、地方政府とコミュニティが 共に助け合って活動することで達成されうる 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 15 「ガバメント」あるいは「ガバナンス」? 伝統的・規範的モデル: 「ガバメント」 – 「ガバナンス」 連関 トップダウン ガバメント 「悪」 2015/10/1 ボトムアップ ガバナンス 「善」 16 ディスカス(The DISCUS)モデ ル ガバニング ガバメント ガバナンス 出典: ‘Governing Sustainable Cities’ by Evans, Joas, Sundbach & Theobald, Earthscan Press, 2004 2015/10/1 17 ゆえに、「ガバナンス」とは……. 「ガバニング」のプロセスの一部である 地域市民、各種組織、地方政府の間に生じる、公の議 論、パートナーシップ、相互作用、会話と対立、といったもの が展開される領域である 2015/10/1 18 地方政府(ガバメント)(Local Government)はローカ ル・ガバナンス(Local Governance)への重要な要素で ある 効果的な都市のガバナンスは地方政府によって育まれる ガバナンスのプロセスは、制度(組織)資本(institutional capital)の創造に寄与する ガバナンスのプロセスは、社会資本(social capital)の創造に 寄与する 2015/10/1 19 重要な課題のひとつは、地方政府の制度的(組織的)能力 (Institutional Capacity)を高めることである………. 制度的(組織的)能力 は以下のように定義できる: (地方政府の)組織的・知的資源、またリーダーシップに関 する能力で、それらの確保が変革の促進につながるようなも の もし持続可能な発展が物・事それ自身ではなくて、なにかし らの事を行うための方法であると理解されるのであれば、長期 的な目標は、地方政府やその他の公的組織の日々の活動に 持続可能性の原則を組み入れることである 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 20 制度的(組織的)能力….. 行政的能力(Administrative capacity) – 政策や機能を実践 ガバナンス能力(Governance Capacity) – 外部との関係を 調整 政治的能力(Political Capacity) – リーダーシップ 知的能力(Intellectual Capacity) – 知識、技能、情報 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 21 もし地方政府が持続可能性の政策を進めるのであれば、 ……….. どのように制度的(組織的)能力を地域レベルで高めること が出来るか、またそれに対する投資を行うことが出来るか、早 急に検討する必要がある 地方政府への更なる助言やサポートが必要となる 地方の自治、主導権、創造性を高めるために、中央と地方 政府の関係性を再検討・再構築する必要がある 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 22 Professor Bob Evans Sustainable Cities Research Institute Northumbria University, Newcastle upon Tyne, UK [email protected] www.sustainable-cities.org.uk 2015/10/1 ©Sustainable Cities Research Institute 23
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