情報通信技術に よるSustainable Societyの実現可能性と

情報通信技術によるSustainable
Societyの実現可能性と
わが国情報化投資の現状
三友 仁志
早稲田大学国際情報通信研究センター教授
実積 寿也
郵政研究所通信経済研究部主任研究官
鬼木 甫
大阪学院大学経済学部教授
アウトライン
 Sustainable Societyと情報通信技術
– What is the Sustainable Society?
– 情報化投資のSustainabilityへの貢献
 わが国情報化投資の現状
– アンケート調査結果の要約
 今後の研究計画
What is the Sustainable Society?
 2種類のSustainability
– Sustainable Growth
– Sustainable Living Standard, or
Sustainable Consumption
 How to improve sustainability?
– 限りある生産資源の節約
– 生産性の向上
– 地球環境の維持・改善
情報通信投資のSustainabilityへの貢献
情報通信投資
直接効果
間接効果
生産性向上
行動パターンの変化
Sustainable Societyの実現
企業の情報通信投資の効果
 直接効果
– 同じ投入量でより多くの産出量を生み出す
– 同じ産出量をより少ない投入量で生み出す
– 労働節約効果
 間接効果
– 人々の行動パターンの変化
• より環境負荷が少ないライフスタイルへの転換
eg.テレワーク
• 企業組織の構造的変化 eg. バーチャル企業
情報通信投資のSustainabilityへの貢献
情報通信投資
社会の情報化
直接効果
間接効果
生産性向上
行動パターンの変化
知的社会の実現
合理的な意思決定
Sustainable Societyの実現
情報通信投資【直接効果】の波及経路
情報通信投資
プロダクト イノベーション
プロセス イノベーション
個別企業の収益改善・競争力強化
市場競争
経済トレンドの変化【マクロ経済への波及】
Sustainable Societyの実現
わが国情報通信投資の現状
 問題意識
– わが国の情報通信投資はどういった形でSustainability
に貢献するのか?
• 情報化投資によるSustainability向上はどの程度ありうるのか?
• New Economyと称される経済効率改善が実現する条件は?
 企業を対象としたアンケート調査による現状分析
– 調査対象 全国の上場・店頭公開企業3,300社
– 調査時期 2000年1月17日~1月31日
– 回収状況 有効回答数195(有効回答率6%)
情報関連経費の伸びと今後の意向
情報関連諸経費の対前年度伸び率( 平均値)
平成 9 年度
平成 10 年度
平成 11 年度
全体( N=195)
8.0%
17.3%
12.4%
製造(N=81)
3.1%
3.9%
11.4%
イ ン フ ラ (N=41)
-4.8%
38.6%
5.1%
ア プリ ケ ーショ ン (N=67)
22.7%
20.7%
19.6%
0%
25%
50%
75%
100%
製造業
インフラ関連産業
アプリケーション関連産業
ICT経費の割合を高める
変化なし
非ICT経費の割合を高める
IT投資に関する日米比較
米国のNew Economyを巡る議論
 You can see the computer age everywhere but in the
productivity statistics.【Robert Solow (1987)】
 The recent performance of the economy, characterized by
strong growth and low inflation, has been exceptional -and better than anticipated.【Alan Greenspan (1997) 】
 マクロ分析では否定的
 最近になって漸く肯定的な実証研究が出現
– Brynjolfssonらの研究
情報通信投資の目的
0%
25%
50%
75%
100%
情報の共有化
経営スピード向上
損益管理
コスト削減
サービス改善・CS向上
市場機会発見
新製品開発
その他
製造業
インフラ関連産業
アプリケーション関連産業
情報通信アプリケーションの導入状況
ネッ ト ワ ーク 比率
総台数
新規導入分
全体
78.9%
88.4%
製造
82.8%
91.9%
イ ンフラ
68.9%
80.7%
ア プリ ケ ーショ ン
80.8%
85.6%
0%
25%
50%
75%
100%
Eメール
スケジュール管理システム
プロジェクト管理システム
電子稟議システム 電子会議システム
全社導入
一部導入
検討中
未導入
情報化が企業に及ぼした効果
0%
YES
NO
情報・データの量が増加した
情報・データの質が向上した
情報・データが迅速に収集できるようになった
情報・データ収集のためのコストが低減した
情報・データの高度・精緻な分析が可能になった
25%
50%
75%
100%
情報化効果の発現
0%
効果あり
効果なし
企業間の連絡
取引コスト
他社の情報入手
自社の情報発信
ヒトの移動
企業間交流についての情報交換
新製品・サービス、新業態の創造
顧客とのコミュニケーション
25%
50%
75%
100%
情報化によるコスト削減・売上増加
【短期的効果】
0%
25%
50%
75%
100%
総経費
人件費
抑制
0%
25%
50%
影響なし
増加
75%
不明
100%
売上・収入
増加
影響なし
不明
情報化によるコスト削減
【中・長期的効果、部門別】
0%
管理部門
事務部門
営業・販売部門
カスタマーサービス部門
研究・開発部門
生産・製造部門
物流部門
その他
25%
50%
75%
環境負荷と情報通信投資
0%
25%
50%
75%
YES
NO
環境改善が投資目的であった
情報化投資に期待される効果
ヒト・モノの移動
紙の使用量
エネルギー消費
温暖化物質排出
環境汚染物質の排出
産業廃棄物
100%
負荷を減少
効果なし
負荷を増大
主成分分析によるアンケート結果の集約1
【情報通信技術導入指数 ICT Introduction Index】
第一主成分の
固有ベクトル
従業員一人あたりのパソコン台数
0.4391
ネットワーク化率
0.3811
E-mailシステムの普及度合
0.2864
スケジュール管理システム、プロジェクト管理シス
テムの普及度合
0.5185
電子稟議システム・電子会議システムの普及度合
0.3807
従業員一人あたり情報関連諸経費合計(H10年
度)
0.4706
主成分分析によるアンケート結果の集約2
【企業経営効果指数 Operational Impact Index】
第一主成分の固有ベクトル
人件費の抑制
0.1288
企業間の連絡効率向上
0.2995
総経費の抑制
0.1304
企業間取引コストの低下
0.2163
売上・収入増加
0.1023
他社の情報入手の容易化
0.2848
情報・データの量的増加
0.2085
自社の情報発信の容易化
0.3340
情報・データの質的向上
0.2365
交渉に係るヒトの移動の抑制
0.2490
情報・データの迅速な収集
0.2630
企業間交流の情報交換
0.3056
情報・データ収集のコスト削減 0.2468
商品・サービス・業態の創造
0.2659
情報・データ分析の高度化
顧客とのコミュニケーション
0.2978
0.2872
主成分分析によるアンケート結果の集約3
【環境効果指数 Environmental Impact Index】
第一主成分の
固有ベクトル
ビジネスに係る交通量の削減(ヒト・モノの移動)
0.2033
紙の使用量削減
0.3853
エネルギー使用量の削減
0.4477
温暖化物質の排出削減
0.5097
環境汚染物質の排出削減
0.4607
産業廃棄物の排出削減
0.3712
情報通信投資の企業経営に対する効果
Operational Impact Index
6.0
y = 0.6841x + 0.1461
R 2 = 0.2556
4.0
2.0
0.0
-6.0
-4.0
-2.0
0.0
2.0
-2.0
-4.0
-6.0
IC T Introduction Index
4.0
6.0
情報通信投資の環境負荷に対する効果
Environmental Impact Index
6.0
-6.0
4.0
2.0
y = 0.2263x + 0.1035
R 2 = 0.0424
0.0
-4.0
-2.0
0.0
2.0
-2.0
-4.0
-6.0
IC T Introduction Index
4.0
6.0
アンケート調査から判明したこと
 わが国大企業の情報化投資に対する姿勢は依
然として積極的であり、ネットワーク化率も8割に
達している。
 わが国企業では、プロダクトイノベーションよりも
プロセスイノベーションが重視される傾向にある。
 情報化投資の多寡は企業経営の効率化の進展
度と強い相関を持っている。それに対し、環境改
善効果に対する相関はそれほど強くない。
今後の研究計画
 本年度の作業:
– アンケートデータと財務諸表データを組み合
わせることで、情報通信投資と企業収益性と
の関係を明らかにする。
 次年度以降の作業:
– 情報化投資が企業経営・マクロ経済への効果
を経てSustainable Societyを実現する経路を理
論化し、検証する。
 最終報告は2002年を予定