キャリアで語る経営組織 第8章 あこがれの経営企画室へ ー組織デザインー テキスト211~240ページ プロローグ 会社からの異動の辞令が下った。経営企画室 のスタッフとして働けという内示だ。経営企画 室といえば,その会社の頭脳ともいえる重要な 部門である。そこに配属された以上,会社を有 効かつ効率的に動かすための組織デザインを考 え,経営陣に進言しなければならない。得がた い経験を積めると感じたあなたは,いまの会社 にとどまることにした。 1 組織デザインの基本スタンス 疑問8-1 (テキスト213ページ) いったいどこから手をつければよいのか? 基本スタンス 組織の足腰 創造性や成長性は二の次 足腰がしっかりしていれば創造性も発揮しやすい 組織のリフォーム ゼロから作り直すわけにはいかない 原理原則を理解して適用 場当たり的な対応を慎む 2 組織における分業 疑問8-2 (テキスト215ページ) 日常の業務をしっかりこなすために どうしたらよいのか? 図8-1 分業の基本3形態 (テキスト216ページ) 指示を 出す 買い物 洗う 刻む 加熱調理 加 買 洗 熱 刻 い う 調 む 理 物 買い物 洗う 加熱調理 刻む 分業の無い状態 魚 料 理 作業する 垂直(階層別)分業 洗 う ・ 食 材 を 刻 む 水平(機能別)分業 水平(並行)分業 水平分業と垂直分業 水平分業のメリット 高度に分業すれば安い費用で必要なスキルを持った人を雇える 例)料理が作れてワインにも詳しい人2人と料理が出来る人とワイン に詳しい人1人ずつ 専門技能の促進 並行分業のメリット 共通でかかる費用をみんなで負担できる 競争をさせることができる(比較) 垂直分業のメリット 例)考える人と行動する人 それぞれの与えられた作業に没頭できる 計画のグレシャムの法則 分業のデメリット • 全体の中での意味がわからなくなる • 考えることを奪うことで意欲がなくなる – 工夫の余地がなくなる – 現場で仕事している人ならではの知恵がなくなる 分業のデメリットの緩和 • 分業の度合いをゆるめる • 職務充実・職務拡大をはかる • ジョブローテーションを行う • 割り切る 3 分業化されたタスクの調整方法 疑問8-3 (テキスト219ページ) 箱を作って割り振ればそれで十分なのか? 分業だけでうまく行くためには • 標準化 – 適切に刻まれた野菜、仕込まれた肉、ソースがフライパン で焼かれた初めて料理になる – それぞれが手順通りにできていなかったら? • 標準化の3つのアプローチ – インプットの標準化:素材や原材料を画一化する – スループットの標準化:作業プロセスの標準化(レシピ) – アウトプットの標準化:スペックを定める(5mmのにんじ ん) – どこまで標準化をするのか? 事後の調整(ヒエラルヒー(階層)の設計) • コミュニケーションのチャネル数(経路数) – 支配人1名従業員30名のレストランの場合 – 全員がつながるとチャネル数は465(31×(31-2)÷2) – 支配人がシェフとメートルを、シェフが2名のスーシェフを、 メートルが2名の主任をというようにそれぞれ2名ずつの 部下にすると→チャネル数は30 • 設計のポイント – 管理の幅とグルーピング – 管理の幅:1人の人が何人を管理するか – グルーピング:どのような基準でグルーピングを行うか 4 ヒエラルヒーの設計 疑問8-4 (テキスト223ページ) ヒエラルヒー設計のポイントはどこか? 管理の幅とグルーピング • 管理の幅 – – – – – 31名のレストラン 管理の幅が2名だと階層は5 31名のレストラン 管理の幅が5名だと階層は3 作業内容によって適切な管理の幅は異なる 不確実性が低い:適切な管理の幅は広がる 不確実性が高い:適切な管理の幅は狭まる • グルーピング – 機能別分業:機能・職能別にグルーピング – 並行分業:担当製品や担当地域別にグルーピング 機能別グルーピング 管理する オーナー 支配人 給仕する 料理を作る メートル 料理長 食堂主任 副料理長 平のギャルソン 肉料理担当 魚料理担当 食材管理担当 酒の管理 ソムリエ デザート担当 バルマン 市場・顧客別グルーピング 管理する オーナー 総支配人 青山担当 神楽坂担当 三鷹担当 神戸担当 青山店支配人 神楽坂店支配人 三鷹店支配人 神戸店支配人 ソムリエ メートル 料理長 ソムリエ メートル 料理長 ソムリエ ソムリエ 酒 の 管 理 メートル メートル 給 仕 す る 料理長 料理長 料 理 す る 図8-2 機能別組織(テキスト226ページ) 経営責任者 開発部門 製 品 A 1 製 品 A 2 生産部門 製 品 A 1 製 品 A 2 販売部門 製 品 A 1 製 品 A 2 図8-3 事業部制組織(テキスト228ページ) 経営責任者 本社管理スタッフ A事業部 D事業部 C事業部 B事業部 開 生 販 開 生 販 開 生 販 開 生 販 発 産 売 発 産 売 発 産 売 発 産 売 地域別組織 社長 本社管理スタッフ サービス・スタッフ A地域 製造 販売 C地域 製造 B地域 R&D 製造 販売 R&D 販売 R&D 職能別組織と事業部制組織 職能別組織 事業部制組織 利 専門化の利益 点 調整が簡単(全社レベル) 部門間の調整が比較的楽 事業部長の評価が簡単 経営者の育成に適している 欠 部門間のコンフリクト 点 視野の広いマネジャーが育ちづら 事業とは何か(事業の切り方) (どこの事業にも属さない事業) 複数の事業にまたがる技術開発 (トップが現場を分かっていること) い 5 追加的な調整手段 疑問8-5 (テキスト231ページ) 標準化とヒエラルヒーで対処しきれない場合 どうすればよいのか? 基本構造を維持しながら不測の事態に対処するか ①処理負荷を下げる ②処理能力を上げる • 処理負荷を下げる(処理すべき案件を減らす) – – – – – – 環境に働きかける 例)ファーストフード(客が食事を運ぶ) 例)回転寿司(注文も配膳も自動) 例)自動車メーカーのサプライヤーとの協力 組織内に余裕を作る 例)限定何名まで 基本構造を維持しながら不測の事態に対処するか • 処理能力を上げる – – – – – – スタッフ部門の創設 例)財政戦略会議 横断的調整 例)インフォーマルなやりとり 例)タスクフォースやプロジェクトチームを組織する 例)調整専門の職を置く(リエゾン役) 職能別組織と事業部制組織の良いところどり 図8-4 マトリクス組織(テキスト233ページ) 経営責任者 A事業部 開発部門 生産部門 販売部門 B事業部 C事業部 D事業部 マトリックス組織の利点と欠点は何か • 利点 – – – – – 顧客から2通りの要求を答えるのに必要な調整ができる 人的資源の複数の製品間で融通しあえる 複雑な意思決定や不安定な環境の頻繁な変化に対応できる 機能面および製品面のスキル開発のチャンスを与えられる 複数の製品をつくる中規模の組織に最も適している • 欠点 – – – – 従業員を二重の権限下におくことで、フラストレーションや混乱を引き起こす 優れた対人処理スキルや集中的なトレーニングが従業員に必要になる 時間を取られる→会議が多い 従業員がシステムをよく理解し、上下関係よりも、同僚との協力関係に適応 しなければならない – パワーバランスを維持するために、かなりの努力が必要 マトリックス組織の利点と欠点は何か 欠点 従業員を二重の権限下におくことで、フラストレーションや混 乱を引き起こす 優れた対人処理スキルや集中的なトレーニングが従業員に 必要になる 時間を取られる→会議が多い 従業員がシステムをよく理解し、上下関係よりも、同僚との 協力関係に適応しなければならない パワーバランスを維持するために、かなりの努力が必要 6 働く人々の視点 疑問8-6 (テキスト236ページ) 理想的な組織デザインが 難しいのはなぜか? 疑問8-6 テキスト236ページ 個人から見た分業 • 分業のデメリット • • • • • 全体の中で自分の仕事の位置づけがわからない 細分化されるた仕事に習熟してしまう 学習する余地がなくなる 汎用的なスキルが身に付かない 考えることを奪われたらどうなるのか • 人間の潜在力を生かせない 対応策 • 職務充実 • 職務拡大 • ジョブローテーション 次回の問い なぜ外に目を向けなければならないのか?
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