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戦略研究について
筑波大学大学院内分泌代謝・糖尿病内科
山田信博
「戦略的アウトカム研究策定に関する研究」班
構成メンバー(平成17年度)
主任研究者:
分担研究者:
顧問:
黒川 清
山田 信博
辻 一郎
福原 俊一
東京大学
筑波大学
東北大学
京都大学
土屋了介
国立がんセンター
(がん戦略研究担当)
吉田浩明
川上浩司
戦略研究とは?
・「戦略研究」は、行政のニーズにより計画され、
その成果を「国民の健康に関する課題」や「国民
生活の安心・安全に関する課題」を解決するため
に使用されることを前提として実施されるアウト
カム研究である。
・その成果は、できるだけ速やかに診療ガイドラ
インなどに反映され、実際の診療などに広く生か
されることが期待される。
背景:欧米の状況
 アウトカム研究
1980年中頃から、国にとって解決すべき優先順位の
高い標的疾患を対象としたアウトカム研究に対して多
額の公的研究資金が投入
 米国NIHコントラクト型研究:
研究の目的や計画の骨子をあらかじめ策定・提示し
た上公募する形式の競争的研究助成。その結果得られ
たエビデンスは、診療現場における医師の行動や意思
決定にインパクトを与え、診療ガイドラインの作成と
普及につながるなど、その研究成果は医療政策にも大
きな影響を与えている。
背景:日本の状況
 日本発のエビデンスの促進
近年、根拠に基づく医療(EBM)の必要性が叫ばれ、わが国
でも診療ガイドラインの作成が進められてきた。しかし、い
わゆる日本発のエビデンスが殆ど見出せない疾患が少なくな
かった。
 エビデンス一実践ギャップの改善
わが国では、時にエビデンスと実際の診療の間には大きな乖
離(エビデンス一実践ギャップ)がある。効果が検証された
既存の予防・治療法をあまねく普及するだけでも、世界の
人々の健康アウトカムを大幅に改善させることがわかってい
る。わが国でも、これを改善する必要がある。
これまでの経緯と研究テーマ
平成14年度
・
新厚
た労
な科
枠研
組費
みの
平成16年度 平成17年度
第2期科学技術基本計画
平成13年3月 閣議決定
平成19年度
「今後の中長期的な厚生労働科学研究
の在り方に関する専門委員会」
中間報告(厚生労働省)
・・・
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究
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平成18年度
「戦略的アウトカム研究策定に関する研究」 班
・戦略研究インフラ ・戦略研究インフラ ・モニタリング・評価
(研究実施体制)
(全体像)
健康フロンティア戦略
等
糖尿病予防に関する戦略研究
自殺関連うつ予防に関する戦略研究
がん戦略研究
エイズ戦略研究
腎臓病戦略研究
感覚器戦略研究
戦略研究の目的
わが国を支える国民の健康を維持・増進
させるために優先順位の高い慢性疾患・健
康障害を標的とし、その予防・治療介入お
よび診療の質改善介入などの有効性に関す
る日本発のエビデンスを生み出すこと。
戦略研究の特徴
戦略研究
研究課題
成果指標と見込まれる改善度
研究計画の骨子
事前評価の視点
報告と評価
応募者
研究期間
金額
課題数
性格
具体的に設定
事前に設定
事前に設定
実現可能性についての
「絶対評価」
年次報告・評価に加え
モニタリング委員会設置
団体へ委託
5年
大型(数億円)
数課題
競争的研究資金
一般公募課題
研究者に一任
研究者に一任
研究者に一任
申請課題の中での
「相対評価」
年次報告・評価
個人・団体
3年
平均約2,300万円
約1400課題
競争的研究資金
第23回(平成17年3月18日)厚生科学審議会科学技術部会資料より
戦略研究のテーマの基本的な要件
1.人間あるいは人間集団を対象とする臨床研究であること
2.掲げた政策目標を達成するために、科学的な仮説を構築
できるだけの基礎的、臨床的研究知見の集積があること
3.評価対象となる医療サービス(例:診断・治療法など)
に関する研究が、実際に政策として国民にひろく普及させ
ることが可能な段階に到達していること
4.患者・国民、社会レベルで意味のあるアウトカムが設定
できること、またこれを測定する信頼性・妥当性の検証さ
れた指標があること
戦略研究のテーマ選択の基準
①頻度とトレンドの軸:frequency and trend
国家レベルのアウトカム研究では、国民の多くが悩み苦しんでいる問題を対象とした研究
であること
②緊急性の軸: Urgency and unmet needs
診断・治療の均てん化や、医療の質の早急かつ大幅な改善が求められる問題を対象とした
研究であること
③アウトカムの軸:impact and burden on population and society
患者や国民のアウトカムに大きなインパクト・影響を与える特定の疾患や健康問題を対象
とした研究であること
④改善可能性の軸:modifiability
アウトカムや診療の質を「変えられる」「改善できる」疾患、健康問題なのか
改善できる余地が大きければ大きいほど優先順位は高い。
⑤実施可能性の軸:feasibility
現実的な診断方法や治療法が得られている、政策として普及することが可能、倫理的に許
容される、など実施可能性の高い問題を対象とした研究であること
研究計画の骨子策定までの基本的な工程
・政策課題申請
科学技術部会
「戦略的アウトカム研究
策定に関する研究」班
・選考
・選考された政策課題に関する
既存研究のレビュー
・ヒアリング
・問題点の抽出
・研究計画の概要(案)策定
科学技術部会
厚労省各課室
・承認
厚労省
・厚生科学課
・所管課室
「戦略研究」の基本的な組織
【厚生審議会科学技術部会】
「戦略的アウトカム研究策定に関する研究」班 【厚生労働省】
戦略研究リーダー選考分科会】
【倫理委員会】
【進捗管理委員会】
【研究実施団体】
主任研究者
【運営委員会】
学術委員、行政委員
【戦略研究推進室】
研究実施支援組織
分担研究者
研究協力者
研究リーダー
研究班員
研究リーダー
研究班
員
第23回(平成17年3月18日)厚生科学審議会科学技術部会資料を元に作成
求められる公的臨床研究
•国民の健康増進のための科学的根拠
•国民のニーズをより反映する研究:
優先順位の高い研究
•透明性、公益性の確保:研究計画を提案して研究
実施者を公募
•確実に将来の診療に反映するアウトカム
•長期、大型研究遂行のための研究費およびインフ
ラ整備