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危険と不確実性
フォン・ノイマン効用関数
• 1,…,n:起こりえる状態
• x1,…, xn : 1,…, nが起こったときもらえる金額
• x1<…< xn :(実際は、 x1が最悪、 xnが最善のみに
依存し、金額であることには、依存しない。)
• P=(p1,…, pn ),Q= (q1,…, qn ) : 1,…, nが起こる
確率・・・二つの籤と考える
• p1 x1+…+ pn xn
• q1 x1+…+ qn xn :(x1,…, xn ) の期待値
命題
•
•
•
•
•
•
選好がある公理系を満たすとき、
あるu(x)が存在して、
(p1,…, pn )が (q1,…, qn )より選好されるのと
p1 u(x1) +…+ pn u(xn) > q1 u(x1) +…+ qn u(xn)
が同値
最後のは、籤の効用の期待値、つまり、期待
効用と解釈できる。
ステップ1
• x1を確率1で取る籤(1,0…, 0)が一番悪く、
• xnを確率1、で取る籤(0,0…, 1)が一番いいと
する。
• 一般に、
• xkを確率1で取る籤よりxk+1を確率1で取る籤
のほうがいい。、
• (以下の議論は、 x1,…, xnが数値であることに
依存しないことに注意)
ステップ2(連続性)
• あるqk ,0qk が存在し、
• xkを確率1で取る籤(0,0,...,1,…, 0)
• x1を1 -qk 、xnを確率qk で取る籤(1 -qk,0…,
qk)
• が同等に選好される。
• (0,0,...,1,…, 0)は、 (1,0,...,0,…, 0)と
(0,0,...,0,…, 1)の間だが、丁度一致するのが
ある。
ステップ3(線形性)
• (p1 , p2 ,... , pk-1 , pk , pk+1, ... pn-1, pn)
• (p1,…, pn )と
• (p1 + (1 - qk )pk , p2 ,... , pk-1 , 0 , pk+1, ... pn-1,
pn + qk pk )
• が同程度選好される。
• 真ん中の確率を分ける
• 複合くじにする
ステップ3(続き)
• 繰り返すと
• (p1 +(1 - q2 )p2 +...+ (1 - qn-1 )pn-1 ,0,...0,..., q2
p2 +...+qn-1pn-1 + pn)まで落ち
 q1=0, qn=1を入れると
• (1 -{q1 p1 + q2 p2 +...+qn-1pn-1 + qnpn },0,...0,...,
q1 p1 + q2 p2 +...+qn-1pn-1 + qnpn )
• となる
ステップ4
• (p1,…, pn )と (q1,…, qn )は
• (1 -{q1 p1 + q2 p2 +...+qn-1pn-1 + qnpn },0,...0,...,
q1 p1 + q2 p2 +...+qn-1pn-1 + qnpn)と
• (1 -{q1 q1 + q2 q2 +...+qn-1qn-1 + qnqn },0,...0,...,
q1 q1 + q2 q2 +...+qn-1qn-1 + qnqn )
• と同等で、
 q1 p1 + q2 p2 +...+qn-1pn-1 + qnpn> q1 q1 + q2 q2
+...+qn-1qn-1 + qnqn のとき、(p1,…, pn )は (q1,…,
qn )より、選好される。
ステップ5
•
•
•
•
u(x1)=q1,..., u(xn)=qnとおくと
p1 u(x1) +…+ pn u(xn) > q1 u(x1) +…+ qn u(xn)
のとき、(そしてそのときのみ)
(p1,…, pn )は (q1,…, qn )より、選好される。
注意
• au(x)+b,a>0が同じ選好を表す。
• 実際の人の選好は、線形性を満たさな
い。・・・アレのパラドックスなど
• 同様に主観確率も定義できる(Savage)
危険回避
• 多くの人は、x円とy円が半々の籤より、確実
な(x +y)/2円を好む
• このときは、 u”(x)<0(凹関数)
• E(u (X))< u (E(X) )  x  y 
u

 2 
• E(u (X))= u (z):
u  x  u  y
確実性等価額
• E(X)- z :
リスクプレミアム
2
x
x y
2
y
簡単な保険モデル
p 事故確率
保険がないと き の期待効用
1- p u  y   pu  y - z 
y : 事故が起こ ら ないと き の所得
z : 事故によ る 損害
pz : 保険料 z: 保険金
y - pz : 両方の場合の所得
u  y - pz   1- p  u  y   pu  y - z  : 危険回避的
保険会社の期待利潤=保険料-期待保険金
= pz  - pz  0
保険市場における
モラル・ハザード
• モラルハザード
– 被保険人が保険会社に観察されない形で事故の
確率に影響を与えること
– 何でも悪いことをすることではない
• セルフ・アドバース・セレクション(自己逆選
択)
– 被保険人の事故確率は人ごとに異なっていて、
被保険人は知っているが保険会社は知らない
モラルハザードを含む保険モデル
p c
費用cをかけたと き の事故確率
p ' c  0
費用を かける と 事故確率が下がる
保険がないと き の期待効用
1- p c u  y - c  p c u  y - c - z 
y : 事故が起こ ら ないと き の所得
z : 事故によ る 損害
最適な資源配分
同質な人がたく さ んいる と する
大数法則によ り 、 p  c の割合の人が事故にあう
 資源制約
1 - p  c   y
0
 p  c  y1  y - p  c  z - c
y0 : 事故がないと き の消費
y1 : 事故があ る と き の消費
資源制約のも と で期待効用
1- p c u  y   p c u  y 
0
を 最大にする 。
1
最適な資源配分(続き)
例によ って、 ラ グラ ンジュ 乗数法を使う と
1 - p  c  u  y   p  c  u  y 
- {1 - p  c   y  p  c  y - { y - p  c  z - c}}
y で微分し て0  1- p  c  u '  y    1- p  c 
0
1
0
1
0
0
y1で微分し て0  p  c  u '  y1   p  c  
 u '  y0     u '  y1   y0 =y1

事故にあっても合わなくても、所得が同じ。
危険が完全にカバーさせる
最適な資源配分(続き2)
1 - p  c  u  y   p  c  u  y 
- {1 - p  c   y  p  c  y - { y - p  c  z - c}}
0
1
0
1
cで微分し て0  - p '  c   u  y0  - u  y1   - {- p '  c { y0 - y1} - p '  c  z - 1}
 y0 =y1を代入
1  - p 'c z
限界的事故防止費用=限界的な損失の軽減
モラルハザード
最適な保険は、完全にカバーされる
しかし、完全にカバーされる保険があれば、
軽減努力は、0になる。
y0 =y1  c  0
したがって、最適な資源配分は、市場では、
達成されない
市場モデルの例
仮定
•個人は、保険を一単位しか購入できない(保険会社は、
他の保険を購入しているとき、払わないことが可能)
•保険市場は、競争的で参入が自由・・・超過利潤があると
きは、保険会社が参入し、より、被保険人に有利な保険を
売る
市場モデルの例(数式で書くと)
max 1- p  c  u  y - c - t   p c  u  y - c - z - t  v 
st
t : 保険料 v : 保険金
- {u  y - t - c  - u  y - z - t  v - c } p '  c 
 1 - p  c   u '  y - c - t   p  c  u '  y - c - z - t  v 
被保険者の行動
p  c  v  t : 保険会社の収支均衡
maxと収支制約が自由参入の結果
被保険者の行動が、前の問題に追加的な制約
市場均衡における外部性
被保険者の行動
- {u  y - t - c  - u  y - z - t  v - c } p '  c 
 1 - p  c   u '  y - c - t   p  c  u '  y - c - z - t  v 
は、保険会社の収支を改善させる効果
p ' c v
を含んでいない
モラル・ハザードの意味から、ピグー補助金などの
直接のコントロールは、難しい
補完財に対する課税、補助金である程度コント
ロール可能