健やか親子21中間評価のための 母性健康管理指導事項連絡カード認識率調査 ~自由記載分析~ Ⅰ.研究の目的 • 平成17年度厚生労働科学研究(主任研究者 山縣 然太朗,分担研究者 松浦賢長)では,健やか親子 21中間評価のために,母性健康管理指導事項連絡 カードの認識率調査を行った。(別稿O-057) • 本研究では,働きながら妊娠・出産することの現状を 把握するための一手段として,調査票の自由記載部 分に注目し,回答内容の分析を行った Ⅱ.対象者 全国75市区町村の母親学級に参加して いる妊婦 2577名 ※協力が得られた全国75市区町村 北海道,東京都,埼玉県,茨城県,千葉県, 山梨県,愛知県,奈良県,大阪府,滋賀県, 愛媛県,福岡県,鹿児島県 の自治体 Ⅲ.方法 • 研究班より市区町村へ調査票を郵送した • 母親学級の中で,担当職員から妊婦に配布 し,自記式により回答を得た • 調査票の自由記載部分,「働きながら妊娠・ 出産することについて,考えていることを自 由にご記入ください」の回答内容を,回答の 視点に注目し,大分類,中分類,小分類と, フロー図(資料1)を書いて分類し分析した。 Ⅳ.結果および考察 1.回収状況 • 72市区町村から,1917名の回答を得た • 自由記載部分は,1917名中,526名から回答を得た 自由記載回答状況(n=1917) 27.4% 回答 非回答 72.6% 2.回答の分類 •大カテゴリー • 中カテゴリー 2 5 • 小カテゴリー 25 回答数 615 • 少数意見(回答数 5) ※ 資料1参照 2-(1) 大カテゴリーへの分類 大カテゴリーへの分類(n=618) 5; 0.8% 144; 23.3% 働きながら妊娠出産することに対する意見 469; 75.9% 地域・社会・職場・家族への意見 少数意見 ・妊婦の就労に対する関連因子に視点を当てた意見が多い 2-(2) 中カテゴリーへの分類 (「働きながら妊娠・出産すること」に対する意見) 働きながら妊娠・出産することに対する直接的意見の分類 (n=144) 27; 18.8% 117; 81.3% 第三者的意見 当事者的意見 • 妊婦の就労に対する直接的な意見の中では,第三者的な意 見が多かった 2-(2) 中カテゴリーへの分類 (地域・社会・職場・家庭への意見) 地域・社会・職場・家族への意見の分類(n=469) 58; 12.4% 271; 57.8% 140; 29.9% 理解・配慮・協力に対する意見 制度に対する意見 心理的負担に対する意見 • 妊婦の就労に対する関連因子に視点を当てた回答の中では、 理解・配慮・協力に対する意見が多かった。 2-(3)小カテゴリーへの分類 (直接的意見-第三者的意見の分類) 第三者的意見の分類(n=117) 67; 57.3% 38; 32.5% 働くことに賛成(肯定的) 働くことに反対(否定的) 6; 5.1% 6; 5.1% 個人の自由 困難・無理 ・ 妊婦の就労に対して肯定的(賛成)である意見が多かった 2-(3)小カテゴリーへの分類 (直接的意見-当事者的意見の分類) 当事者的意見の分類(n=26) 5; 19.2% 16; 61.5% 2; 7.7% 働けるなら働きたい 大変だけどがんばりたい 3; 11.5% 働きたくないが働いている 仕事を辞めることが希望だった ・ 「働けるなら働きたい」と就労を希望する意見が多かった 2-(3)小カテゴリーへの分類 (関連因子への意見ー理解配慮に対する意見) 理解・配慮に対する意見(n=265) 36; 13.3% 職場の理解・配慮・協力があった 職場の理解・配慮・協力が得られずつらい思 いをした 職場の理解・配慮・協力が得られない 職場の理解・配慮・協力が必要 家族の理解・配慮・協力が必要 65; 24.0% 115; 42.4% 地域の理解・配慮・協力が必要 通勤電車がつらい ・ 職場への「理解・配慮・協力」を求める意見が多かった 2-(3)小カテゴリーへの分類 (関連因子への意見ー制度に対する意見) 制度に対する意見(n=140) 36; 25.7% 5; 3.6% 38; 27.1% 休暇の充実 保育園・育児環境の充実 行政サービスの充実 9; 6.4% 制度の充実 52; 37.1% 制度を知らない ・ 各種制度の充実を求める意見が多かった 2-(3)小カテゴリーへの分類 (関連因子への意見ー心理的負担に対する意見) 心理的負担に対する意見(n=58) 5; 8.6% 4; 6.9% 11; 19.0% 職場の負担・迷惑 自己実現との葛藤 就労の継続に対する不安 10; 17.2% 28; 48.3% 働いていることがつらい 胎児への影響 ・ 「就労の継続」に対する不安をうったえる妊婦が多かった Ⅴ.まとめ • 回答内容をひとつずつみていくと, 「軽易業務への配置転換や,育児休暇などの制度が あっても,実際にはその通りに対応してもらえない」 「男女雇用機会均等法が,妊娠出産を理由にした解雇 を禁止しても,実際にはその通りではない」 ことを訴える回答がみられた。 • 職域への対応が必要である
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