科学概論 - 情報学群 in KUT[高知工科大学]

科学概論
2005年2月3日
酒居敬一([email protected])
http://www.info.kochi-tech.ac.jp/k1sakai/Lecture/N2004/
宇宙の探査
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地球上からの観測に限界をきたす原因
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地球大気の存在
• 大気の構成成分に吸収されてしまう波長域が存在する
• 大気のゆらぎ
• 補償光学系は研究されているが…
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人間活動
• 光害(可視光)に代表される観測波長域でのノイズ

物理的限界
• 分解能は波長と有効径で決定される
• 精度を維持するため、望遠鏡の大きさに限界がある
• 例: 冥王星の視直径0.04秒 vs. すばるの分解能0.014秒
円盤形状の確認はできるが、表面の観察は困難
宇宙探査機(spacecraft)
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月・惑星・太陽・小惑星・彗星の探査を目的
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通信衛星・気象観測衛星などとは目的が異なる
有人探査
月探査(アポロシリーズ)が有名
 複雑なことができる
 膨大な資金がかかる
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無人探査
圧倒的に多い
 遠隔操作で複雑なこともできるようになりつつある
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主な探査機1
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Luna 2号・3号(旧ソ連 1959年)
[前年、IC誕生]
 2号は月へ突入。3号は月の裏側を撮影
Mariner 2号(USA 1962年)
[MOS FET誕生]
 金星へ接近、表面温度を測定
Mariner 4号(USA 1965年)
 火星に到達、表面を撮影
Apollo 11号(USA 1969年)
 月に軟着陸し有人探査
Luna 16号(旧ソ連 1970年)
 月に軟着陸し無人探査
Venera 7(旧ソ連 1970年)
 金星の表面から観測データを送信
主な探査機2
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Mariner 9号(USA 1971年)
[i4004が誕生]
 火星の人工衛星
Pioneer 10(USA 1972年)
[i8008が誕生]
 1973年に木星を探査
Pioneer 11(USA 1973年)
[C言語誕生]
 1974年に木星に接近後、1979年に土星にも接近
Mariner 10(USA 1974年)
 金星をスイングバイし水星到達
Venera 9(旧ソ連 1975年)
 金星に軟着陸し金星表面の写真撮影
Pioneer Venus(USA 1978年)
 金星表面の高品質な地図を作成
主な探査機3
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Viking 1・2(USA 1975年)
 1976年に火星に軟着陸。火星を探査。
Voyager 1(USA 1977年)
 1979年に木星、1980年に土星を通過。
Voyager 2(USA 1977年)
 1979年に木星、1981年に土星、1986年に天王星、
1989年に海王星を通過し、多量の映像を撮影。
Giotto(ESA 1985年)
 1986年、ハレー彗星に540kmまで接近
さきがけ・すいせい(日本 1984年)
 ハレー彗星に接近
打ち上げ
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多段ロケットを使用する理由
1段で質量1のものを100kmまで打ち上げるの
に質量9の燃料が必要とするロケットがあるとき、
人工衛星を300km上空まで持ち上げるにはど
うする?
→燃料をどれだけ増やしても単段式では無理。
 例えば、ごく簡単には、
3段目 1tの人工衛星+9tの燃料
2段目 10tの3段目+90tの燃料
1段目 100tの(2段目+3段目)+900tの燃料
という構成にする

Saturn V(アポロ11で使用)
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ロケット1段目
 F-1エンジン(液体酸素+ケロシン)×5基
 乾燥質量 133t、燃料充填時質量 2283t
 推力 3484t、到達高度 61km
ロケット2段目
 J-2エンジン(液体酸素+液体水素)×5基
 乾燥質量 38t、燃料充填時質量 487t
 推力 528t、到達高度 184km
ロケット3段目
 J-2エンジン(液体酸素+液体水素)×1基
 乾燥質量 11.7t、燃料充填時質量 118.8t
 推力 92.4t、地球から月への軌道遷移まで使用
H2Aロケット
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固体ロケットブースター(2本使用時)
 ポリブタジエン系コンポジット固体推進薬
 乾燥質量 20t、燃料充填時質量 150t
 推力 461t、燃焼時間100秒
ロケット1段目
 LE-7A(液体酸素+液体水素)×1基
 乾燥質量 13t、燃料充填時質量 114t
 推力 112t、燃焼時間390秒
ロケット2段目
 LE-5B(液体酸素+液体水素)×1基
 乾燥質量 3t、燃料充填時質量 20t
 推力 14t、燃焼時間530秒
[http://www.nasda.go.jp/press/2000/02/le7a_000201_j.html]
[http://h2a.jaxa.jp/design/index_zoom0006_j.html]
放射線
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銀河宇宙線(太陽系外、銀河から到達する)
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太陽宇宙線
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高エネルギー重イオン粒子線、X線
粒子線(電子線・陽子線)、紫外線
捕捉放射線(地磁気に捕捉された粒子線)
電子線や陽子線
 バンアレン帯(高度500km~数千km)に存在

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これら放射線により、半導体では結晶欠陥、
有機材料では変質・劣化をきたす。
熱
真空中では熱は対流により出入りしない
 真空中では熱を伝達することもできない
 熱は放射によってのみ出入りする
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温度調節が困難になる
 太陽に当たれば吸熱量が増え温度上昇
 太陽が見えなくなると放射により温度低下
 観測機器の動作に影響する
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温度変化は構造物の熱膨張を引き起こす
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ときに、太陽電池パネルの破断などを起こす
電力
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太陽電池
太陽から比較的近い場合に使用できる
 放射線による劣化がある
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原子力電池
太陽から遠い場合に使用される
 放射性同位元素の崩壊熱を利用
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• 熱を熱電対により電気に変換
• プルトニウムなどが使用される
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熱電対の放射線による劣化や放射性同位元
素の半減期により寿命が決定される
通信
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一般に距離が非常に遠いことが問題
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Round Trip Timeで数分~1日
• 遅延そのものが問題→データの誤り訂正技術
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距離による電界強度の低下
• 電源容量による送出電力の制限がある
• 帯域がかせげない→データ圧縮技術
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指向性アンテナを用いることが多い
パラボラアンテナなど指向性アンテナの問題
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常時地球を捕捉する必要がある
• 姿勢制御が必要であり、電力が必要である
• 姿勢変更のために推進剤を消費する
姿勢制御
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スピン安定方式
コマのように衛星本体をつねに回転させておく
 低コスト
 大きな太陽電池パネルが使えない

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三軸制御方式
衛星本体は回さない
 バイアスモーメンタム方式

• 内部に大きなフライホイールを持ち、それにより安定

ゼロモーメンタム方式
• 小型のフライホイールやガスジェットで安定
軌道制御
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スラスト
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イオンエンジンのような高性能エンジンの使用
• 性能は比推力で表す
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スイングバイ
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天体の重力により速度を変える
• 天体を焦点とした双曲線軌道をとる
• スラストを併用する場合もある
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天体が公転しているエネルギーも利用
• (公転の)回転量を天体から衛星へ移動する
• その分だけ推進薬を節約できる
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緻密な計算ができるようになり、よく使用される
クオータ末試験について
日時: 2005年2月10日
1時限(9:00~10:30)
 場所: C101
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学生証持参
 持ち込めるもの: 筆記用具、教科書、自筆ノート、
印刷したプレゼンテーション資料、配布資料
 持ち込めないもの: 携帯電話、PHS、PC、人
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