質的調査の方法 【教科書第4章 p110-】 第12回 1月21日 復習 調査方法の区分 • 量的調査/統計的調査 既存統計の二次分析、調査票調査、 シミュレーション(実験) • 質的調査/事例的調査 インタビュー、参与観察、ドキュメント、踏査 変数・標本のマトリックスの中での 切り取り • 統計的調査 複数の変数の相関が分かるのみ 相関から因果関係を直接導くことはできない (時間的前後関係があれば若干推測できる) • 事例的調査 事の成り行き(意識の推移)を直に見る(聞く) 因果関係を直接知る 調査の歴史的流れ • ヨーロッパで調査 ↓ • シカゴ学派の質的調査 ↓ • 統計的調査 ↓ • 現実を語るものとして質的調査の見直し 質的調査の課題 • いかにして、恣意的結果、先入観に囚われた 結果を避けるかが課題 (客観的あるいは科学的手法) 蓋然性の高い言説を求める 謙虚な姿勢で自らが蓋然性が高いと考えられ るものを求めていく 第1節 質的調査の特徴と種類 1.質的調査の特徴 調査の目的 【p110】 • 質的データの分析により 現象の記述、仮説生成、モデル生成 vs. 量的調査 仮説の検証 モデル生成 体系図の描写 システム図 他人に説明するときはこの枠組みに沿って行う ただしシステム図によって他人にも理解が容 易となるとは考えないこと 理論的立場 • Emic (イーミック) ・・・質的調査の特徴 フィールドに生きる人の視点(解釈)を調べる • Etic (エティック) 研究者としての視点で調べる 問いの立て方【p110-】 • 量的調査 予め(アプリオリに)仮説と変数の基準があり(設定し) それを確認するために「妥当」な具体的変数を選び調査する • 質的調査 対象(当事者)にとっての意味を問い続け記述する → 仮説生成 (当初は「作業仮説」を設定) 当該事例では一つの真実であったが、 一般的にもこうしたものであろう(普遍的なものであろう) 当事者自らは 意味合いを明確に語ってくれる訳ではない 調査者が意味を見出していく 依拠する認識論(p111) • 量的調査 唯一の真実が存在 • 質的調査 真実は文脈によって異なる 質的研究の多様な探究 • 何についての探究か 全体社会・コミュニケーション (民俗学、人類学、農村研究、都市研究) 組織・アソシェーション・集団 (組織調査) 相互作用・会話 (シンボリック相互作用、エスノメソドロジー) 個人 (ライフヒストリー) • 何を目指しているか 全体的な民族誌的構造の記述 ある社会や集団の特定化された構造の解明 隠れた制度、人々を拘束しているもの、権力、 ルールの発見 観念体系、思想、作品の構造の解明 主観的世界、意味世界の解明 メカニズム的構造発見 質の基準(P111-) • 普遍的一般化は困難 • 量的調査での基準が成り立ち難い 信頼性 妥当性 • 信頼性・妥当性を一応配慮 信頼性 特定の文脈のもとでの再現性 普遍性を問わない → 濃い記述 妥当性 多面的な調査へ • 複数の手法の重ね合わせ 多様な調査を重ねていく トライアンギュレーション 多くの人の蓄積を重ねていく • 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」 質的社会調査の古典 職業統計から近代的企業家にプロテスタント 的色彩の発見 • 「自殺論」 計量社会学の先駆 既婚者の自殺率が低い →人の孤立によって生じる 自己本位的自殺の発見 • 調査のコラボレーション (別の見方) • 質的調査では信頼性・妥当性は成り立たない 調査結果は、研究者と対象者の相互作用で 創られたもの • 多様な調査の併用を否定? ・・・雑多の調査の発生 • メンバーチェック • ピアチェック 研究知見 • 調査結果 追試可能性を持った内容として共有・蓄積していく • 研究とは新たな研究知見を加えていくための行為 • 卒業研究も 自分で調べ研究知見を何か追加する 各自なりにこのことを意識すること!! 研究知見の提示 • 研究過程の透明性の確保 研究過程の詳細な記述 入手データの提示 2.質的調査の種類 データ収集の方法【p113】 (詳しくは後述) インタビュー 参与観察 ドキュメント収集 踏査 テーマ設定の方法【p113-】 • 明確な仮説生成は容易ではない あまり知られていない対象についての知見 マイノリティの経験世界 対象の深い部分の知見 • 問題構成 新しいテーマの発見、生成 • 問題再検討 従来の知見の再検討、定説への疑問 第2節 調査設計 1.テーマの明確化【p115-】 • 説明済み ・・・復習 2.先行研究のレビュー レビューの必要性【p116-】 • 既存の研究知見を確認 研究知見として既にあることは重ねてやる必要はない 当該分野の基本的学習 先人の知見の学習 テーマの的確な設定 • • 固定観念の形成は避ける(レビューは避けないこと) レビューだけで終わらないこと (「研究状況の取りまとめ」もあるが・・・) (第5講 既出) ◎先行研究 • 標準的教科書 • 代表的な研究書・論文 • 最新の展望論文 ◎既存統計、関連制度 ①問題領域について知る ②何が研究されているか確認する これらの先行研究に対して何をしようとしているのか 先行研究の見つけ方【p118-】 第6章 ITの活用 1情報収集【p166-】 • テーマの周辺も探す • インターネットの活用 • • 学術雑誌 紀要 3.調査テーマと方法論の決定【p121-】 • 先行研究の調査の中で絞っていく • 作業仮説の設定 調査結果の凡その予想 • 出発点でできる限り関連情報を集めておくこと!! 第3節 対象者の選定と調査手続き 1.対象者の選定【p123-】 • 知っている対象者 信頼関係には好都合 既知の事項として語られなくなる恐れがある 知っている人にはかえって話難いこともある 利害関係が表出 • 初対面の対象者 まず信頼関係の形成が必要 知らない人であればかえってわだかまりなく話 せることもある ○各段階でのサンプリングの課題 • 研究対象抽出 単に一般的というのでなく位置付けを明確 にしておく • 利用データの抽出 収集データの全貌提示 • 結果発表の抽出 検討の全過程の提示 ○偏向のないデータの入手 • フィールドへの入り方に留意 入り方によっては偏る恐れ • データ入手の開放性の確保 研究対象が偏向なく発信するよう留意 (研究の深化とは矛盾しがち) さまざまな質的データ 研究者が作成 • 図表を含む文書(文字テキスト) フィールドノート、インタビュー • 音声記録 録音 • 映像記録 写真、ビデオ 既存データ • 図表を含む文書(文字テキスト) 日記、手紙、・・・、小説、・・・、 古文書、議事録、・・、新聞、雑誌、・・・、 電子メール、ホームページ • 音声記録 録音 • 映像記録 写真、映画、テレビ、・・・ • 引出したデータ ⊂見出したデータ ⊂未知のデータ • 勝手な意味付けをしないよう留意 しかし避け難い 2.調査計画書の作成【p124】 • 目的と背景 関心事、知見の現況、調査の狙い(仮説) • 調査方法 具体的にやり方を見通して書く 調査対象の取り付け 調査の種類 調査項目 • 倫理的配慮事項 • 日程 時間末レポート • トライアンギュレーションの必要性について述 べなさい。
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