質的調査の方法 【教科書第4章 p93-】

質的調査の方法
【教科書第4章 p93-】
第12回
1月21日
調査方法の区分
• 量的調査
既存統計の二次分析、調査票調査、
シミュレーション
• 質的調査
インタビュー、参与観察、ドキュメント、踏査
質的調査
• インタビュー調査
• 参与観察
• ドキュメント調査
○事例的調査/質的調査
違いもあるが概ね重ねて考える
vs.統計的調査/量的調査
変数・標本のマトリックスの中での
切り取り
•
質的調査
調査対象の中で数を数えることもある
漠然と区別できるが明確に区別できない
事例的調査として捉える
• 普遍性がない
個別的(特殊な)真実 「正しさ」ではない
事例調査を重ねれば次第に普遍性が見えてくる
• 因果関係を直接体験、その情報を直接入手
日常体験を背景として理解がしやすい
統計的調査の場合
• 普遍性の確認
• 因果関係の抽出が困難
日常体験からの理解は必ずしも容易でない
(統計的説明を主体とした本は読み難い)
• 統計的調査
複数の変数の相関が分かるのみ
相関から因果関係を直接導くことはできない
(時間的前後関係があれば若干推測できる)
• 事例的調査
事の成り行き(意識の推移)を直に見る(聞く)
因果関係を直接知る
量的調査と質的調査の
一般的対比
•
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•
確証的/探索的
法則定立的/個性記述的
普遍化的認識/個別化的認識
客観的/主観的
部分的/全体関連的
単純・画一的/総合的・多次元的
外面的/内面的
説明/理解・解釈
静態的/動態的
浅い/深い
科学的言説?
• マルクス「資本論」
運動論的立場
• フロイト 性的抑圧
実践的立場
• ポパーの基準
反証可能性
調査の流れ
• シカゴ学派の質的調査
↓
• 統計的調査
↓
• 現実を語るものとして質的調査の見直し
質的調査の課題
• いかにして、恣意的結果、先入観に囚われた
結果を避けるかが課題
(客観的あるいは科学的手法)
蓋然性の高い言説を求める
謙虚な姿勢で自らが蓋然性が高いと考えられ
るものを求めていく
○各段階でのサンプリングの課題
• 研究対象抽出
単に一般的というのでなく位置付けを明確
にしておく
• 利用データの抽出
収集データの全貌提示
• 結果発表の抽出
検討の全過程の提示
○偏向のないデータの入手
• フィールドへの入り方に留意
入り方によっては偏る恐れ
• データ入手の開放性の確保
研究対象が偏向なく発信するよう留意
(研究の深化とは矛盾しがち)
○偏向のない方法論
• コード化、カテゴリー化
いかにしてデータに語らせるか
• 内容分析の透明化 要約(記述)、説明、構造化
限界を認識し透明にしておく
第1節 質的調査の特徴と種類
1.質的調査の特長
調査の目的 【p94】
•
質的データの分析により
現象の記述、仮説生成、モデル生成
vs.
量的調査 仮説の検証
モデル生成
体系図の描写
システム図
他人に説明するときはこの枠組みに沿って行う
ただしシステム図によって他人にも理解が容
易となるとは考えないこと
理論的立場
• Emic (イーミック) ・・・質的調査の特徴
フィールドに生きる人の視点(解釈)を調べる
• Etic (エティック)
研究者としての視点で調べる
問いの立て方【p94-】
• 量的調査
予め(アプリオリに)仮説と変数の基準があり(設定し)
それを確認するために「妥当」な具体的変数を選び調査する
• 質的調査
対象(当事者)にとっての意味を問い続け記述する
→ 仮説生成
(当初は「作業仮説」を設定)
当該事例では一つの真実であったが、
一般的にもこうしたものであろう(普遍的なものであろう)
当事者自らは 意味合いを明確に語ってくれる訳ではない
調査者が意味を見出していく
研究設問
↓
仮説生成
依拠する認識論(p95)
• 量的調査 唯一の真実が存在
• 質的調査 真実は文脈によって異なる
質的研究の多様な探究
• 何についての探究か
全体社会・コミュニケーション
(民俗学、人類学、農村研究、都市研究)
組織・アソシェーション・集団
(組織調査)
相互作用・会話
(シンボリック相互作用、エスノメソドロジー)
個人
(ライフヒストリー)
• 何を目指しているか
全体的な民族誌的構造の記述
ある社会や集団の特定化された構造の解明
隠れた制度、人々を拘束しているもの、権力、
ルールの発見
観念体系、思想、作品の構造の解明
主観的世界、意味世界の解明
メカニズム的構造発見
質の基準(P95,96)
• 普遍的一般化は困難
• 量的調査での基準が成り立ち難い
信頼性
妥当性
質の基準【p95-】
• 信頼性・妥当性を一応配慮
信頼性
特定の文脈のもとでの再現性 普遍性を問わない
妥当性
多面的な調査へ
→ トライアンギュレーション
対象者のチェックを受ける
調査過程を含め説明する → 濃い記述
• 2つの手法の重ね合わせ
多様な調査を重ねていく
トライアンギュレーション
多くの人の蓄積を重ねていく
(統計的調査は存在を示しつつ
あまり表に出さない)
• 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
質的社会調査の古典
職業統計から近代的企業家にプロテスタント
的色彩の発見
• 「自殺論」 計量社会学の先駆
既婚者の自殺率が低い
→人の孤立によって生じる
自己本位的自殺の発見
•
調査のコラボレーション
(別の見方)
• 質的調査では信頼性・妥当性は成り立たない
調査結果は、研究者と対象者の相互作用で
創られたもの
•
多様な調査の併用を否定?
・・・雑多の調査の発生
研究知見
•
調査結果
追試可能性を持った内容として共有・蓄積していく
• 研究とは新たな研究知見を加えていくための行為
• 卒業研究も
自分で調べ研究知見を何か追加する
各自なりにこのことを意識すること!!
研究知見の提示
• 研究過程の透明性の確保
研究過程の詳細な記述
入手データの提示
2.質的調査の種類
データ収集の方法【p97】
(詳しくは後述)
インタビュー
参与観察
ドキュメント収集
テーマ設定の方法【p97】
• 明確な仮説生成は容易ではない
あまり知られていない対象についての知見
マイノリティの経験世界
対象の深い部分の知見
• 問題構成
新しいテーマの発見、生成
• 問題再検討
従来の知見の再検討、定説への疑問
第2節 調査設計
1.テーマの明確化【p99-】
• 事例的・・・繰返しの試行錯誤
不明点がなくなるまで、限界に達するまで続ける
飽和点まで
• 統計的・・・仮説をしっかり立て、
それを検証するための調査項目を設定し、
周到な実査
繰返しは難しい
テーマの絞り込み
•
•
焦点を当てる
対象集団と内容
既存研究との違いを明確に
内容、時代、地域、・・・
データ収集の可能性を考慮
大風呂敷は広げない
• ミクロ
↓↑
• メゾ
↓↑
• マクロ
個人
集団
地域
2.先行研究のレビュー
レビューの必要性【p100】
• 既存の研究知見を確認
研究知見として既にあることは重ねてやる必要はない
当該分野の基本的学習
先人の知見の学習
テーマの的確な設定
•
•
固定観念の形成は避ける(レビューは避けないこと)
レビューだけで終わらないこと
(ピュアレビューもあるが・・・)
•
•
•
標準的教科書の精読
代表的研究書/論文の通読
最新の展望論文による確認
• 原型事例
• 適合事例
• 不適合事例
内容と方法論の理解【p101】
•
•
調査方法の参照
既存理論の学習
•
方法論
研究テーマを扱うための基本的考え方から
導かれる調査方法
先行研究の読み方【p101-】
• 概説図書
単著
•
学術論文
研究論文12,000~20,000字?
•
方法論概説
難解なことが多い
先行研究の見つけ方【p102-】
•
テーマの周辺も探す
•
インターネットの活用
•
•
学術雑誌
紀要
先行研究の活用方法【p104】
•
•
多少詳しいレジュメを作っていく
おやっと思ったことの箇条書きのメモ
論文の要旨・意義
論文をまとめる際に役立つ
3.調査テーマと方法論の決定【p104-】
• 先行研究の調査の中で絞っていく
• 作業仮説の設定
調査結果の凡その予想
• 出発点でできる限り関連情報を集めておくこと!!
第3節 対象者の選定と調査手続き
1.対象者の選定【p106-】
• 知っている対象者
信頼関係には好都合
既知の事項として語られなくなる恐れがある
知っている人にはかえって話難いこともある
利害関係が表出
• 初対面の対象者
まず信頼関係の形成が必要
知らない人であればかえってわだかまりなく話
せることもある
• フィールドへの入り方で色が付く
誰の紹介か
•
援助=被援助の関係となり易い
• 芋づる式選定
さまざまな質的データ
研究者が作成
• 図表を含む文書(文字テキスト) フィールド
ノート、インタビュー
• 音声記録 録音
• 映像記録 写真、ビデオ
既存データ
• 図表を含む文書(文字テキスト)
日記、手紙、・・・、小説、・・・、
古文書、議事録、・・、新聞、雑誌、・・・、
電子メール、ホームページ
• 音声記録 録音
• 映像記録 写真、映画、テレビ、・・・
• 引出したデータ
⊂見出したデータ
⊂未知のデータ
• 勝手な意味付けをしないよう留意
しかし避け難い
2.調査計画書の作成【p108】
• 目的と背景
関心事、知見の現況、調査の狙い(仮説)
• 調査方法 具体的にやり方を見通して書く
調査対象の取り付け
調査の種類
調査項目
• 倫理的配慮事項
• 日程
時間末レポート
• トライアンギュレーションの必要性について述
べなさい。