2012年3月13日 第2章 空間データの取得と作成 4. 既存データの地図データと属性データの利用例 矢野桂司 [email protected] 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 空間データの取得と作成 紙地図の空間データ化 既存統計資料の空間データ化 既存空間データ(数値地図など)の取得 数値地図 細密数値情報(10mメッシュ土地利用) 国勢調査データ 国土数値情報 デジタル道路データベース 住宅地図(Zmap Town II) 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 ここで学ぶこと • GISで利用できる空間データは,アナログ・デジタルともに, 様々な機関から提供されている. • 紙地図などのアナログデータを扱う場合は,デジタイジン グなどにより,デジタルデータに変換する必要がある. • 数値地図や国土数値情報などのデジタルデータの場合は, 圧縮解凍処理やデータ形式変換などを実行することによ り,直ちにGISでデータを展開することができる. • デジタルデータは,CDやDVDなどの媒体で提供されていた り,サーバからダウンロードして入手することができる. • なお,提供機関によっては,データが無償で入手できるも のもあれば,有償で頒布されているものもある. • GISの広範な普及を目指す観点からすれば,有用性の高 いデータが無償もしくは廉価で,個人ユーザに提供される ことが求められよう. 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 既存データの利用 • 地理空間情報 – アナログ – デジタル(Born Digital:作成時点でデジタルなもの) • 頒布方法 – CD、DVD – Web • データ提供 – 国、地方自治体 – 民間 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 紙地図の空間データ化 • 紙地図のラスタ化 – 紙地図をスキャニングして、画像データとし、GISソフトに 取り込んで、位置参照情報を付加する。 – 紙地図に投影法や経緯度などの正確な位置情報がある 場合はそれを用いる。 – 紙地図に位置参照情報がない場合は、位置参照上の明 確なデジタル地図と紙地図を重ね合わし、両者の3点以 上の参照ポイントを一致させる(例えば、アフィン変換)。 • 紙地図のベクタ化 – デジタイザを利用して、点、線、多角形の頂点を入力する。 最近は、PC上のマウスで頂点を入力することができる。 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 既存統計資料の空間データ化 • 統計資料の多くは、時間的・空間的な位置情報 を所有している。 • 行方向に空間単位(都道府県や市区町村など)、 列方向に属性を配した2次元の地理行列を作成 する(Excel形式)。 • 時間次元を取り入れる場合は、3次元地理行列 となる。 • それらの位置情報に対応する空間単位が地図 として存在していれば、それら統計情報を地図と 対応付けることによって、主題図のように、当該 統計情報の地図をGISで地図化することができる。 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 既存空間データ(数値地図など)の取得 • 1980年以降、印刷技術のデジタル化によって、 地形図、道路地図など、デジタルの形で作成さ れるようになった。 • 民間が作成される地図、政府や自治体が作成 する地図のいずれもが、デジタルで作成される ようになった。 • それらは有償で頒布されるが、平成19年8月29 日に施行された、地理空間情報活用推進基本 法以降、政府が作成した空間データの多くは、 Webを介して無償でDLできるようになりつつある。 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 数値地図 • 数値地図とは、電子的に処理可能な数値情報と して記録した地図 • 国土地理院が発行し、販売は(財)日本地図セン ター。 • コンピュータシステムで表示・加工することを前 提としてCD-ROMで配布されており、地理情報シ ステム(GIS)で分析を行う際の基礎データとなるも のである。 • 国土地理院のHPからDLできるものは、数値地図 (空間データ基盤)(試験公開)から、H19年より、 基盤地図情報に移行した。 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 CD-ROM版数値地図の種類 http://www.gsi.go.jp/MAP/CD-ROM/cdrom.htm 1.数値地図25000(地図画像) 日本測地版・世界測地版 2.数値地図50000(地図画像) 3.数値地図200000(地図画像) 4.数値地図2500(空間データ基盤) 5.数値地図25000(空間データ基盤) 6.数値地図25000(行政界・海岸線) 7.数値地図25000(地名・公共施設) 8.数値地図500万(総合) 9.数値地図5mメッシュ(標高) 10.数値地図50mメッシュ(標高) 11.数値地図250mメッシュ(標高) 12.数値地図10mメッシュ(火山標高) 13.数値地図25000(土地条件) 14.数値地図5000(土地利用) 15.日本国勢地図 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 基盤地図情報 http://www.gsi.go.jp/kiban/index.html • 基盤地図情報とは、平成19年8月29日に施行 された、地理空間情報活用推進基本法(平成 19年法律第63号)第2条第3項に定義されて いる用語 • 地理空間情報のうち、電子地図上における地 理空間情報の位置を定めるための基準とな る測量の基準点、海岸線、公共施設の境界 線、行政区画その他の位置情報であって電 磁的方式により記録されたもの 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 基盤地図情報の種類 http://fgd.gsi.go.jp/download/ 1. 縮尺レベル2500 測量の基準点、海岸線、公共施設の境界線(道路区域界)、公共施設の境界線(河川区域界)、 行政区画の境界線及び代表点、道路縁、軌道の中心線、標高点、水涯線、建築物の外周線、市 町村の町若しくは字の境界線及び代表点、街区の境界線及び代表点 2. 縮尺レベル25000 測量の基準点、海岸線、公共施設の境界線(道路区域界)、公共施設の境界線(河川区域界)、 行政区画の境界線及び代表点、道路縁、軌道の中心線、標高点、水涯線、建築物の外周線、市 町村の町若しくは字の境界線及び代表点、街区の境界線及び代表点 3. 4. 5. 数値標高モデル 測量の基準点 街区の境界線及び代表点 JPGIS形式、JPJIS(GML)形式 基盤地図情報閲覧コンバートソフト(Shape形式への変換ソフトを提供) 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 細密数値情報(10mメッシュ土地利用) • 宅地利用動向調査をもとに作成された土地利用 に関する数値情報 • 本調査は首都圏、中部圏、近畿圏について実施 されている。 • 土地利用データは、15種類の土地利用項目(山 林・荒地等、田、畑・その他の農地、造成中地、 空地、一般低層住宅地、密集低層住宅地、中高 層住宅地、工業用地、商業・業務用地、道路用 地、公園・緑地等、その他の公共公益施設用地、 河川・湖沼等、その他)に分類 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 細密数値情報(10mメッシュ土地利用) 調査実施時期 1998年現在において、首都圏、中部圏及び近畿圏とも過去4回の調査を実施。 ただし、第1回調査では1974年(第1時期)と1979年(第2時期)についての 土地利用データを作成しています。 表1 調査実施時期一覧 (首都圏データ) 調査回 調査実施年度 土地利用調査基準 年(調査時期) 第1回調査 1981~1982年 1974年(第1時期) 6329平方km 1979年(第2時期) 7679平方km 第2回調査 1985~1986年 1984年(第3時期) 8241平方km 第3回調査 1989~1991年 1989年(第4時期) 8247平方km 第4回調査 1994~1996年 1994年(第5時期) 8256平方km 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 調査対象地域面積 細密数値情報(10mメッシュ土地利用) 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 国勢調査データ • • • • • 1920(大正9)年、本調査と簡易調査 1970年から地域メッシュ統計 1990年から基本単位区 1995年から町丁・字等 市区町村単位のデータはWebからDL可能 – http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/index.htm • GISデータは(財) 統計情報研究開発センター (Sinfonica:シンフォニカ) – http://www.sinfonica.or.jp/ • 『e-stat』から無償で一部ダウンロード可能 – http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 Cf.調査区 From 1990 From 1995 From 1970 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 国勢調査データ http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 国土数値情報 • 国土数値情報は、全国総合開発計画、国土利用計画、国土形成 計画などの国土計画の策定や推進の支援のために、国土に関す る様々な情報を整備、数値化したデータです。 • 全国総合開発計画等の策定の基礎となるデータを整備するため、 昭和49年の国土庁発足に伴い、国土に関する基礎的な情報の整 備、利用等を行う国土情報整備事業が開始されました。国土数値 情報は、この国土情報整備事業により整備された情報で、地形、 土地利用、公共施設、道路、鉄道等国土に関する地理的情報を 数値化したものです。メッシュ化したデータも多く、人口統計などほ かの統計情報と合わせて分析することが可能です。また特に土地 に関する情報は時系列的に整備されており、経年変化などの分析 を行うことも可能です。 • 当初は公的機関(政府機関、地方公共団体、大学など)に無料 で貸出を行っていましたが、さらに広く一般に提供するため、平成 13年4月よりインターネットによる無償提供を開始しました。 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 国土数値情報(1) • 国土数値情報は、全国総合開発計画、国土利用計画、国土形成計画 などの国土計画の策定や推進の支援のために、国土に関する様々な 情報を整備、数値化したデータ • 全国総合開発計画等の策定の基礎となるデータを整備するため、昭 和49年の国土庁発足に伴い、国土に関する基礎的な情報の整備、利 用等を行う国土情報整備事業が開始 • 国土数値情報は、この国土情報整備事業により整備された情報で、 地形、土地利用、公共施設、道路、鉄道等国土に関する地理的情報 を数値化したもの • メッシュ化したデータも多く、人口統計などほかの統計情報と合わせ て分析することが可能 • 特に土地に関する情報は時系列的に整備されており、経年変化など の分析を行うことも可能 当初は公的機関(政府機関、地方公共団体、大学など)に無料で貸出 さらに広く一般に提供するため、平成13年4月よりインターネットによ る無償提供を開始 • • 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 国土数値情報(2) • データ – – – – – – – – 指定地域 三大都市圏計画区域、都市地域、農業地域、森林地域 など 沿岸域 漁港、潮汐・海洋施設、沿岸海域メッシュ など 自 然 標高・傾斜度3次メッシュ、土地分類メッシュ、気候値メッシュ など 土地関連 地価公示、都道府県地価調査、土地利用3次メッシュ など 国土骨格 行政区域、海岸線、湖沼、河川、鉄道、空港、港湾 など 施設 公共施設、発電所、文化財 など 産業統計 商業統計メッシュ、工業統計メッシュ、農業センサスメッシュ など 水文 流域・非集水域メッシュ など • データ形式 – JPGIS準拠のデータ形式 – Shape形式へのコンバータ(国土数値情報データ変換ツール(試作版) )が提 供されている。 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 国土数値情報(3) http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/ 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 デジタル道路データベース • 最も大縮尺なデジタル道路データベースは、 都市部にみられる500分の1の道路台帳平面 図で、空間データ基盤や数値地図の中にも 道路データがある。 • ラインデータとしての道路データは、 – 政府が提供するもの • 数値地図2500(空間データ基盤)、数値地図25000(空 間データ基盤)など – 民間が提供するもの • 北海道地図、昭文社など 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 住宅地図(Zmap Town II) • 家屋や敷地の形状を含んだ2500分の1縮尺 よりも大縮尺の地図で、マンションや事業所 名、さらには居住者の表札名を含ものもある。 http://www.zenrin.co.jp/product/gis/zmap/zmaptown.html 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 参考文献 • [PDF] 国土数値情報作成アプリケーション 利 用マニュアル – http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/jpgis/ksjtoolGS_manual. pdf • 矢野桂司(2007);『デジタル地図を読む』ナカ ニシヤ出版 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 戦後の高齢者人口比率の推移 140,000,000 20.0% 120,000,000 総人口 100,000,000 12.0% 80,000,000 10.3% 9.1% 60,000,000 40,000,000 5.7% 5.3% 4.9% 6.3% 7.1% 7.9% 12.0% 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 20,000,000 2.0% 0 0.0% 50 955 960 965 970 975 980 985 990 995 000 9 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 総人口 高齢者比率 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 高齢者人口比率 Ratio of Elderly people 18.0% 17.3% 16.0% 14.5% 14.0% Total population 2000年(都道府県) 12.8-14.0% 14.0-21.0% 21.0-24.8% 島根県 24.8% 埼玉県 12.8% 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 2000年(市区町村) 2000年(市区町村) 0.0- 7.0% 7.0- 14.0% 14.0- 21.0% 21.0- 28.0% 28.0-100.0% 千葉県浦安市 7.6% 山口県東和町 50.6% 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 2000年(町丁目) 2000年(市区町村) 0.0- 7.0% 7.0- 14.0% 14.0- 21.0% 21.0- 28.0% 28.0-100.0% 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 3 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 3 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 5,280 polygons 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 17,706 points 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 センサスの空間単位の比較 Comparison of Areal units of Population Census Japan 2000.10.1 U nited Kingdom 2001.4.29 USA Ireland 70,280 3,917,336 1,287,958 2000 Ireland 2002.4.29 51 C ounties (377HH) S tates 3,414D ED s (D istrict Electoral M S A s (M etropolitan S tatisticalADreas) C ounties C ounty S ubdivisions (26HH) C ensus P laces (108HH) ZC TA s (ZIP C ode Tabulation A reas) 124 C ensus Tracts(500HH) 66,000 P ostalA rea 211,000 2,930 B lock G roups P ostalD istrict 8,500,000 P ostalS ector(15HH) 9,750 C ensus B locks (388HH) (12HH) S tatisticalA rea 19,979 1.7 m illion 121,146 U nit P ostcode 26 m illion 21,129 P ostalA ddress (70HH) 47 P refectures (233HH) 3,371 M anucipalities 202,326 C ho-cho-azanado 1,789,894 Kihontaniku P ostC ode 9,826,630 281,421,906 105,480,101 244,820 58,789,194 23,000,000 377,835 126,925,843 47,062,743 A rea P opulation H ousehold U SA UK Japan 4 C ountries 55 C ounties 434 D istricts (2,294HH) 10,672 W ards 227,060 O as 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 国勢調査小地域統計の表章変数Variables in Population Censuses of Japan • 1990 Census – Kihon Tan-i ku (No GIS) 236 Variables x 1,606,236 units • 1995 Census – Kihon Tan-i ku (Points) – Cho-Cho (Polygons) 98 Variables x 1,742,557 units 3,064 Variables x 202,326 units • 2000 Census – Kihon Tan-i ku (Points) – Cho-Cho (Polygons) • 2005 Census 84 Variables x 1,789,894 units 5,625 Variables x 211,314 units Variables list 2000 – Kihon Tan-i ku (Points) – Cho-Cho (Polygons) 4 Variables x 1,845,016 units 491 Variables x about 210,000 units 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 高等教育修了者比率(2000年) Ratio of College, university or graduate course 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 ブルーカラー比率(1995年) Ratio of blue collar 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 管理的職業従事者比率(1995年) Ratio of Managers and officials 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 年少人口の比率(2000年) Ratio of Juvenile people 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 持家世帯比率(1995年) Ratio of Owned houses 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 過去5年間の流入人口(1990年) Ratio of In-migration 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司 Ratio of Foreigners N W E Nagoya Keihanshin S Tokyo M13_95951.shp -1 - 0 Std. Dev. Mean 0 - 1 Std. Dev. 1 - 2 Std. Dev. 2 - 3 Std. Dev. > 3 Std. Dev. No Data 50 0 50 100 km M23_95951.shp -1 - 0 Std. Dev. Mean 0 - 1 Std. Dev. 1 - 2 Std. Dev. 2 - 3 Std. Dev. > 3 Std. Dev. No Data M27_95951.shp -1 - 0 Std. Dev. Mean 0 - 1 Std. Dev. 1 - 2 Std. Dev. 2 - 3 Std. Dev. > 3 Std. Dev. No Data 三大都市圏(1995年) 外国人比率(95年) 地理情報科学教育用スライド ©矢野桂司
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