国際比較ゼミ 佐藤 藍 真田 博幸 芳賀 良定 堀内 優子 結論 競争力の源泉の1つである『グローバル 化』は、世界の主要な自動車企業の利潤、 シェア、売上を高める為に競争力の源泉 のなかでも非常に大切な条件(要素)であ る。 自動車産業における 競争力の源泉 生産性 コストダウン 技術提携 安全性 高付加価値 研究開発 ブランド グローバル化 国際比較ゼミが考える競争力 競争力とは競争力の源泉の組み合わせで ある 組み合わせによっては相乗効果が得られ る 競争力は潜在競争力と顕在競争力のふた つに分けられる ・競争力の源泉は無数にあり、源泉とは企業の活 動、市場での評価である。 ・企業はそれらの競争力の源泉を選択することがで きる。 競争力の源泉 企業 ・企業が選択した競争力の源泉の組み合わせが潜在 競争力 競争力の源泉 潜在競争力 ・企業は潜在競争力を昇華しようとして市場において 顕在化していく ・これが顕在競争力である 潜在競争力(企業) 顕在競争力(市場) ・顕在競争力は市場での競合環境の影響を受け、企 業にとって正にも負にもなる。 ・その結果として企業の損益・シェア・売上に表れる。 正(損益・シェア・売上↑) 負(損益・シェア・売上↓) 顕在競争力(市場) 企業が潜在競争力をプラスの顕在競争力として具現 化する上で重要な三点 潜在競争力は顕在競争力へと昇華させることが必 要である。そして、この顕在競争力というものは 損益とシェア、売上として表れる。 1、潜在競争力を顕在競争力とするには、競争力 の源泉を企業の特性(現在企業を構成している 要素)に合った組み合わせにすること(+付け加 えること) 2、競争力の源泉を相乗効果のある組み合わせに することが必要である。 3、他の競合の状況を把握すること。 第一部 グローバル化 グローバル化、 グローバル企業の定義 グローバル化とは、世界を単一市場と捉え 生産販売、経営を行うこと。 グローバル企業とは国内外を問わず、世 界全体にある資源を利用し、効率的な生 産や、効率的な経営を目指す企業の事を 指す。 グローバル化によるメリット 自国内だけだった販売規模が拡大 成功すれば販売規模拡大の影響により売 り上げ拡大、さらには利潤拡大 提携などにより新しい技術、ノウハウなど が取り入れられる コストの削減 自動車産業 におけるグローバル化 多くの自動車企業がグローバル化してい る 技術面や資本面で外国企業と提携をして いる 比較優位を有効に利用し、現地生産工場 を展開している。 競争力の源泉としてグローバル化は自動 車産業は強い 第二部 自動車企業の概要 自動車産業のグローバル企業 TOYOTA GM HYUNDAI 提携、工場 利潤、販売額、シェアなどの推移および変 化率 GMの海外自動車展開の歴史 1920年代の欧州(イギリス・ドイツ・オーストリア)において、すべて現地会社を買収 し、そこでの自動車生産によって始まった。 1950~60年代に入り自動車の世界的需要の上昇に伴って本格始動を始めた。ここ での、GMとしての展開方法として、現地で企業を買収し、完全所有子会社設立 というものだった。 1970年代に入り、自動車産業自体が世界的に普及し他社と競合の中でアメリカ・ ヨーロッパにおける伸び悩みに伴い、それらを克服、又安価な労働力を求めてアジア 進出の本格始動を開始した。 しかし、アジアにおいては固有政策における海外資本進出規制、政情不安定に よるリスクなどといったことによって、従来の形態通りにはいかず、資本参加・合併 企業設立といった形をとった。 これらが基礎となり、GMのグローバル展開としては 「緩やかな提携関係の中で、個別事業単位の補完関係を目指す」といった形 態が確立した。 GMの提携の現状 グループ会社として いすゞ、スズキ、富士重、D-MAX、CAMI、 SAI、NUMMI、GM大宇、上海GM、FIAT、OPEL、 SAAB、IBC、ISPOL 他社との提携関係 トヨタ、FORD、上海汽車、ルノー、BMW などと多岐に渡り、他社との関係を維持している。 GMにおける海外事業の補完 最初に補完といったキーワードをあげたとおり、 GMにとってのグローバル化の狙いとしては・・・・ ①製品の補完 ②地域事業の補完 ③技術の補完 ④スケールメリット 自動車産業の世界市場のシェア カナダ 3% インド 2% その他 19% 米国 30% ロシア 3% 日本 10% ブラジル 3% スペイン 3% フランス 4% 中国 8% イタリア イギリス 5% 4% ドイツ 6% FOURIN 中国自動車産業2004/2005 より作成 GMのスケールメリット 南米アフリカ・ 中近東 3% GM海外事業 アジア・大洋 州 1% 欧州 14% 北米 82% FOURIN世界自動車メーカー年鑑2004より作成 近年のGMの動向 最近シェア率の低下の理由として、一番シャア率の高い北米地域の 収益減退も上げられるが、社員の年金問題といった社内制度におけ る収益圧迫もあげられる。しかし、こういった状況下のなかでも、いま だ一位でいるといった現状には、資本の大きさがあると考えられる。 GMは設立当初から、他社に先駆けて、吸収合併といった形態をとり 自身の会社を大きくしていくといった政策をとっていたため世界第一 位の会社にもなり資本としても大きかった。よって、今日では自動車 の製作・販売のみならず、自動車・住宅ローンといった金融関係の会 社(general motors acceptant corporation)をもち利益をあげている ので、自動車のほうで不振であってもGMグループとして補完できて いるといった現状である。 GMの強さとは よって、GMの強さとしては・・・ 他社よりも先駆けて、海外事業展開を行い 自身が「吸収合併」により、国内外問わず 世界的に大きな組織を構築した。というこ とであると考えられる。 TOYOTA ~概要 ~ 「経営理念」 オープンでフェアな企業活動を通じて国民社会 から信頼される企業市民を目指す 「経営実績」 売上高・当期純利益ともに過去最高を記録 全世界で671万台を販売 国内・北米事業の利益率が突出して高く、世界全 体を補完(2004) 地域別世界販売 販売地域別構成 欧州 12% アフリカ 1% 南米 3% 日本 35% 大洋州・ アジア 17% 北米 32% FOURIN世界自動車メーカー年鑑2004 地域別世界生産 欧州 7% 南米 1% アフリカ 1% 世界生産 大洋州・ア ジア 8% 北米 22% 日本 61% FOURIN世界自動車メーカー年鑑2004 海外展開の歴史 1957~輸出開始 1959~初の海外生産ブラジル工場 のちアジア、中近東、中南米、 アフリカ地域へ 1984~北米進出 GM社と合併でNUMMI生産 開始(NUMMIはGM社時代と比べ生産性 が二倍に上がった) 1966~日野自工業務提携 1967~ダイハツ業務提携 2003~中国 一汽トヨタ自動車販売有限会社 海外生産拠点の推移 1980年9カ国11拠点 1990年14カ国20拠点 2003年24カ国42拠点 海外生産拠点(部品含む) 生産拠点 北米 11 中南米 4 ヨーロッパ 6 26カ国46拠点 アフリカ 2 140カ国以上で販売 アジア(日本除く) 17 オセアニア 1 中近東 5 海外合計 46 2003年末時点 出典:FOURIN世界自動車メーカー年間2004 TOYOTAグループ・世界自動車メー カー との提携関係 NUMMI(米) GM(米) ダイハツ TPCA(チェコ) トヨタ 日野 PSA(仏) VW(独) Ford(米) 第一汽車集団(中国) 出資 製品・サービス供給 その他相互協力 2010年予測~ 海外生産を大幅拡大 国内生産は現状レベル+α 国内外生産台数 「2010世界シェア15%獲得」 を目標に・・ 海外 ~国内事業に依存せず、地域 毎に独立した海外戦略を~ 約2倍 海外 海外 国内 259万台 国内 国内 412万台 2003 2010年代 今後のグローバル展開 欧州でのブランド力強化 2004 PSAとのチェコで小型車を合弁生産 Fordグループとのハイブリットシステムや軽自動 車分野での提携 ハイブリットカーの増産対応・燃料電池 環境技 術対策の開発 ダイハツ・日野との部品共通化、共同購買による スケールメリットを追求 HYUNDAI 1967年に設立された韓国の自動車メー カー 1986年に初めて輸出を開始する グローバル企業としてはTOYOTA、GMに は劣る 現在、同じ韓国のメーカー起亜を子会社化 し共同で事業展開している HYUNDAIの方針 利潤のみを追求する企業からの脱却 環境に配慮した企業 グローバル経営の加速化 ブランド価値の向上(高付加価値化) HYUNDAIのグローバル化 現在アメリカに30万台規模の工場を建設 中(2005年生産開始予定) 3000万ドルをかけアメリカのR&D施設を 拡張 2003年から2008年までに生産能力を 大幅に拡大予定(国外の生産能力だけで 121万台UP) HYUNDAIグループと提携 HYUHDAI自動車グループ Daimler Chrysler HYUNDAI 自動車 北京現代汽車 Daimler Hyundai Truck 現代モービス 三菱 自動車 中国 起亜 自動車 万通汽車 東悦達起亜汽車 各社のグローバル化の方向性 トヨタのグローバル化は独自展開としてお り、GMでは、買収や提携を中心として展 開している。また、HYUNDAIは今後の規 模の拡大を模索している状況である。 3社比較 財務状況を中心として GM売上高 百万ドル 200000 175000 150000 125000 100000 75000 売上高 50000 25000 0 1980 1985 1990 1995 2000 2001 2002 自動車年鑑 TOYOTA売上高 百万円 10000000 9000000 8000000 7000000 6000000 5000000 4000000 3000000 売上高 2000000 1000000 0 1980 1985 1990 1995 2001 2002 2003 自動車年鑑 HYUNDAI売上高 億ウォン 200000 175000 150000 125000 100000 75000 売上高 50000 25000 0 1980 1985 1990 1995 2000 2001 2002 自動車年鑑 シェア率 30.0 % 25.0 20.0 GM TOYOTA Hyundai 15.0 10.0 5.0 0.0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 FOURIN 自動車統計白書 自動車販売台数 万 万台 1400 1200 GM TOYOTA Hyundai 1000 800 600 400 200 0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 FOURIN自動車統計白書 利潤のグラフ 現代 トヨタ GM 利益率(%) 7 6 5 4 3 2 1 0 1997 1998 1999 2000 2001 2002 年度 三社比較のまとめとして 提携や、グローバル展開を早い段階から展開し ているGMに関しては、アメリカという強力な市場 を背景に世界最大の自動車企業となっている。 また、トヨタに関しては、独自のグローバル展開に より、世界で規模を増している。また、原価低減の 努力によって、利益率が高く確保されている。 HYUNDAIに関しては、9割以上の完成車を韓国 で生産し、輸出を中心とした販売で基盤を作った。 また、その基盤を足がかりとして、近年規模を拡 大している。 最初に 各企業が、競争力の源泉である『グローバ ル化』をプラスの顕在競争力とすることが重 要であるとすれば、国際市場として今後期 待できる市場はどこか?またその現状とは どのようなものか。 第三部 中国市場 グローバル企業の競争の舞台へ 中国市場の流れ 1、世界での中国市場の位置づけ 2、中国政府の現状と方針 3、グローバル企業の手段と状況 4、生産能力過剰による競争激化 世界での中国市場の位置づけ 現在、世界第三位の消費大国 2010年には日本を抜き世界第二位の可能性 世界の工場へ なぜ中国なのか? ~グローバル企業が活動していく上で最も重要な場所へ~ 1、今後の10年から20年を考えたときに 最も成長が予測される国である。 2、自動車が売れる条件である人口において世 界最大の規模である。 3、自動車が売れる第二の条件である所得が臨 海部を中心に伸びている。 4、現在は消費大国としてアメリカが中心だが、 後は中国も並ぶ大国となる。 世界の販売台数 販売台数(万台) 6000 5800 5600 5400 5200 5000 4800 4600 4400 4200 4000 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 FOURIN 世界自動車統計白書2000年、03年、04年度版より作成 年次 1995年-97は世界49カ国、98-02は63カ国、03は65カ国 中国販売の現状と予測 販売・2003年度実績、それ以後予測(万台) FOURIN 中国自動車産業2004/2005より作成 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2002 2003 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 800 700 600 500 400 300 200 100 0 世界市場のシェアと伸び率 2004年度(1から5月は確定値、その後は推測より)世界の市場のシェアと2001から2004年度 の前年比売り上げ台数伸び率の平均より作成 19.6% -4.6% インド 2% カナダ 3% その他 19% 0.4% 米国 30% 0.4% 7.3% ロシア 3% 日本 10% 3.9% ブラジル 3% 5.1% 1.2% スペイン 3% フランス 4% 0.0% 0.2% 中国 8% イタリア イギリス 5% 4% -1.0% ドイツ 6% 18.6% 1.1% FOURIN 中国自動車産業2004/2005 より作成 保有自動車1台当たりの人口と一人 当たりの名目GDP 1 人 当 た り の 名 目 G D P( ドル ) 米国 日本 中国 ドイ ツ イ ギリス イ タリア フラ ン ス スペ イ ン ブ ラ ジル ロ シア カ ナダ イ ンド 保 有 自 動 車 一 人 当 たり の 人 口 ( 人 / 台 ) 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0 0 20 40 60 80 100 120 保有自動車1台当たり の人口( 人) FOURIN 世界自動車統計白書 2004 より作成 世界65カ国の拡大版 所得(ドル) 所得(ドル) 50000 18000 16000 40000 14000 12000 30000 10000 8000 20000 6000 10000 4000 2000 0 0 0 25 50 75 100 125 150 一人当たりの保有台数 0 5 10 15 20 25 一人当たりの保有台数 FOURIN 世界自動車統計白書 2004 より作成 経済成長著しい中国 実質GDP成長率 伸び率(%) 10.0% 8.0% 6.0% 4.0% 2.0% 0.0% 1999 2000 2001 2002 2003 2004 年度 2005 FOURIN 世界自動車統計白書 2004 より作成 中国政府の現状と方針 WTO加盟 新10ヵ年計画 WTO加盟のインパクト 輸入関税 投資規制 輸入上限規制 自動車ローン 自動車販売権 国産化規制 輸入割当制度、輸入割当の枠を拡大 新「自動車産業政策」 2004年6月1日発表 2010年までに自動車産業を国民経済の基幹 産業へ 政府は、自動車産業政策にも続き産業発展計 画の制定を指導する 国内シェア15%以上の大型自動車企業を認定 し、この企業は自主的に成長計画を作成できる グローバル企業の動向 参入の手段と現状 企業のグローバル化の手段 輸出 提携 現地子会社 資本参入 企業の提携の状況 トヨタ VW 第一汽車 東風汽車 乗用車、商用車ともに2010年1位 商用車で2010年第二位 GM 上海汽車 中国、企業別乗用車生産能力 計画生産台数(万台) 160 VW 現代自 第一汽車 長城汽車 奥克 三菱 トヨタ 140 120 100 80 2010年度 合計 1244万台 予定 GM 江南汽車 吉利汽車 ホンダ スズキ FORD 60 40 20 0 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 年度 FOURIN 中国自動車産業2004/2005 より作成 生産能力過剰による競争激化 2010年の生産能力計画に対し、販売台 数予測が低い ⇒ グローバル化の選択肢の1つである中 国での潜在需要は高いが、今後の中国で 全ての自動車企業がプラスの顕在競争力 を享受できるかは難しい。 現在の世界の稼働率 2004年の世界の生産能力は8050万台、 2003年生産実績で見た稼働率は76.6% 北米78.8% 西欧83.8% 日本85.9% 南米52.8% アジア・太平洋77.4% 中国の予測稼働率の低下 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 生産能力 稼働率 38.6% 稼働率 68.1% 10 20 09 20 08 20 07 20 06 20 05 20 04 20 03 20 02 20 01 20 00 20 19 99 稼働率 44.9% 98 19 生産規模 FOURIN 中国自動車産業2004/2005 より作成 結論 中国市場は今後の潜在的な市場として 今後、大きな売上及び利潤が期待できる 市場である。 また、この市場での『グローバル化』を含 んだ顕在競争力を達成する企業が出てく ることで、今後の自動車産業全体の再編 へとつながる可能性がある。 結論 『グローバル化』とは、自動車企業にとってな ければならない競争力の源泉のひとつで あり、企業が『グローバル化』を含む潜在 競争力をプラスの顕在競争力にすることが 企業の業績に多大な影響を及ぼす。 競争力を獲得することにより見ら れる変化 利潤が拡大 売り上げが拡大 シェアが拡大 参考文献
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