ミクロ経済学Ⅰ &初級ミクロ経済学 -生産者行動理論- 2015年5月29日 古川徹也 2015年5月29日 ミクロ経済学 1 生産者行動理論の目的 市場において, (1)生産物市場(消費者が消費する財・サー ビスの市場)では供給側, (2)生産要素市場(生産に必要な投入物の市 場)では需要側, として振る舞う生産者の行動を分析する。 この講義では,生産物市場での企業を考える。 以下では「生産者=企業」と考える。 2015年5月29日 ミクロ経済学 2 「合理的」な企業 「合理的な」企業の目的は, 技術的制約のもとでの利潤の最大化 である。 利潤とは, 利潤=収入(売上)-総費用 である。 2015年5月29日 ミクロ経済学 3 なぜ利潤最大化と見なしてよいか なぜ利潤最大化とみなしてよいか (1)株式会社ならば当然だから (2)利潤最大化を目指さない企業 が市場で生き残ることはほとんど不 可能だから。 2015年5月29日 ミクロ経済学 4 プライステイカー ここで考える企業はプライステイカーである とする。 プライステイカー:市場で決まる価格を与件 として行動する。 市場に比べてあまりにも小さいので,他の企 業の行動を変えずに自分だけが行動を変えて も,価格に影響を与えることができない。→ 他の企業の利潤に影響を与えない。 2015年5月29日 ミクロ経済学 5 企業の利潤 収入:(生産物の価格)×(生産量) 生産量は企業が決める。そのとき,生産物の価格は 与件(プライステイカーだから) 費用:ある生産量を生産するのに最適な(費用を最 小化した)生産要素が選ばれているとする(合理的 だから)。 費用は生産量の関数として表される。 2015年5月29日 ミクロ経済学 6 費用を考える 可変生産要素と固定生産要素 企業が投入量を選択できるような生産要素を 可変生産要素と呼ぶ。 可変生産要素の例:アルバイトの雇用量,残 業時間等。 企業が投入量を選択できない(与件として見 なす)生産要素を固定生産要素と呼ぶ。 固定生産要素の例:店舗,機械設備等。 2015年5月29日 ミクロ経済学 7 長期と短期 長期:すべての生産要素の投入量を企業が選 択できるほど十分に長い期間。 長期ではすべての生産要素が可変生産要素と して扱える。 短期:一部の生産要素の投入量を与件としな ければならない(動かせない)ような期間。 短期では,労働は可変生産要素だが,店舗そ れ自体や機械は固定生産要素。 2015年5月29日 ミクロ経済学 8 短期の総費用 総費用:費用全体のこと。 可変費用:総費用のうち,可変生産要素にかかる費 用。ここでは,労働にかかる費用と考える。 固定費用:総費用のうち,固定生産要素にかかる費 用。短期では固定生産要素は動かせないから一定と する。 以下の重要な関係が成立 総費用=可変費用+固定費用 2015年5月29日 ミクロ経済学 9 短期の利潤 利潤は売上から総費用を引いたものだから,以下の 関係が成立 利潤=売上-総費用=売上-可変費用-固定費用 2015年5月29日 ミクロ経済学 10 短期の総費用:式とグラフ y を生産量とおく。 可変費用:V ( y ) 可変費用は,生産量に依存し て変化する。 固定費用: F (一定) 総費用:C ( y ) V ( y ) F 短期の総費用のグラフ:黒板 このグラフを総費用曲線と呼ぶ。 縦軸との交点と原点との長さは,固定費用の 大きさを表していることに注意。 2015年5月29日 ミクロ経済学 11 短期の利潤:式とグラフ 利潤を ( y ) ,売上(収入)を R ( y ) という記 号であらわす。 利潤は以下の関係式となる ( y ) R( y ) C ( y ) py V ( y ) F 短期の売上と総費用のグラフ:黒板 利潤の大きさは2つの曲線の縦軸方向の距離。 2015年5月29日 ミクロ経済学 12 「限界」と「平均」 「限界」と「平均」 (1)限界:独立変数にあたるものを追加的に1単位変 化させたときに,従属変数が何単位変化するか。 (2)平均:従属変数を独立変数で割ったもの。 図で区別する「限界」と「平均」 (1)限界:グラフ上の1点における接線の傾きの大き さ。 (2)平均:グラフ上の1点と原点とを結んだ線分の傾 きの大きさ。 2015年5月29日 ミクロ経済学 13 限界費用,平均費用,平均可変費用 限界費用: MC ( y ) C ( y ) V ( y ) 総費用曲線(可変費用曲線)の接線の傾き 平均費用: AC ( y ) C ( y ) / y 総費用曲線上の点と原点を結んだ線分の傾き 平均可変費用: AVC ( y ) V ( y ) / y 可変費用曲線上の点と原点を結んだ線分の傾き グラフ化するとどうなるか?:黒板 2015年5月29日 ミクロ経済学 14
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