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日語文法研究
(大学院)
4月30日(木)~
担当 神作晋一
第5章 ハとガの話ーー主語か
主題か
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


ねらい:
助詞のハとガの違いについて、情報の新旧・格
助詞・とりたて助詞の観点から考えます。
キーワード:
主語、主題、スコープ、現象文、有題文、
無題文、新情報・旧情報、対比、総記、中
立叙述、無助詞
第5章
ハとガの話ーー主語か主題か

§1 主語と主題
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

ーーハとガのスコープ
§2 情報の新旧とハとガ
§3 「象は鼻が長い」の文
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ



解釈
⇒助詞の及ぶ
領域(スコープ)
ハとガの使い分け
(1)妹は→怪我をしたので、仕事を休みます。 → 」
(2)妹が→怪我をしたので 」、仕事を休みます。
怪我
休む
解釈
は
妹
妹
「怪我をした」
「仕事を休む」両方
が
妹
私(話し手)
「怪我をした」
だけ
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ



ハは主語?
(3)その本は買いました。
(4)田中さんには会いませんでした。
(3)
(4)
「は」の前
本(対象)
田中さん(目的)
→文の主題を表す。
「は」の後
買う(述語)
会う(述語)
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ

主題の性質を述べるもの

「太郎は学生だ」


名詞述語文
「空は青い」「花子は元気だ」

形容詞述語文
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ

主題を持たない文
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



話し手が発話の時点で認識したことをその
まま叙述
「犬が走っている」「空が青い」
「雨が降っている」など → 現象文
主題を持つ文
→ 有題文
主題を持たない文 → 無題文
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ

名詞句以外につく「ハ」
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


「あまり 速く は 歩けない」
「その本を買ったが、読み は しなかった。」
文の成分や述語の構成要素(青い部分)に
付き、残りでコメント(黒太字部分)
補語の格助詞がガとヲの場合 ハを使う。



例:昨日ツヨシが酒を飲んだ。
→ツヨシは昨日酒を飲んだ。
→酒は昨日ツヨシが飲んだ。
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ
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対比の「ハ」
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

(5)田中さんは来たが、山田さんは来なかった。
(6)コーヒーは飲んだが、ケーキは食べなかった。
二つ以上の物事を対比的に述べる
ハの機能 とりたての機能
 主題(何かをとりたてる)
 対比(二つ以上を比べる)
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ

総記の「ガ」
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


「他でもないX」 総記
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

(該当するものすべてを表す)
「この会の主催者は誰ですか。」
⇒「私です」
⇒「私が主催者です」(総記のガ)
「コーヒーはいかがですか。」
「(いいえ)私は紅茶をお願いします。」
現象文の「ガ」 中立叙述

総記の意味はない
「犬が走っている」「空が青い」「雨が降っている」
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ



無助詞の主題提示
(7)これ旅行のお土産です。召し上がってく
ださい。
注意を喚起し、コメントする主題の提示
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

無助詞(Φ)
(8)これは旅行のお土産です。 対比
(9)これが旅行のお土産です。 総記
§1 主語と主題
ーーハとガのスコープ

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

その他の主題提示
ハと無助詞以外
「田中さんなら会議室にいましたよ」
「田中さんってどんな方ですか」 「とは」「とい
うのは」
私だったらそんなことはしません」
§2 情報の新旧とハとガ
§2 情報の新旧とハとガ
1. 昔あるところにおじいさんとおばあさん[a.が]
いました。
2. おじいさん[b.は]山へ柴刈りに、おばあさん
[c.は]川へ洗濯に行きました。
3. おばあさん[d.が]洗濯をしていると、川上から
大きな桃[e.が]流れてきました。
§2 情報の新旧とハとガ
1. 昔あるところにおじいさんとおばあさん[a.が]
いました。 柴油 芝
2. おじいさん[b.は]山へ柴刈りに、おばあさん
[c.は]川へ洗濯に行きました。
3. おばあさん[d.が]洗濯をしていると、川上から
大きな桃[e.が]流れてきました。
§2 情報の新旧とハとガ
1. 昔あるところにおじいさんとおばあさん[a.が]
いました。
新情報 が
2. おじいさん[b.は]山へ柴刈りに、おばあさん
[c.は]川へ洗濯に行きました。 旧情報 は
3. おばあさん[d.が]洗濯をしていると、川上から
大きな桃[e.が]流れてきました。
新情報 が
旧情報 は?
従属節中のガ
第15課(P.86)
おばあさんが洗濯をしていると(おばあさん)、:川上から大きな桃が(大きな桃)
§2 情報の新旧とハとガ
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情報の新旧によるハとガの使い分け
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


「だれが来ましたか」
「何語が話せますか」
「*だれは来ましたか。」
「*何語は話せますか。」
疑問詞の「だれ」「何」は不定の要素
→新情報の「ガ」
§3 「象は鼻が長い」の文
「~ハ~ガ述語」の文
主題ハ
述語の表す属性ガ
§3 「象は鼻が長い」の文



(11)弟はサッカーが上手だ。
(12)兄はスポーツが得意だ。
「弟」や「兄」が主題「ハ」、能力発揮の対象分
野を「ガ」
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
能力や可能性「上手だ」「下手だ」「得意だ」
好悪の感情「好きだ」「嫌いだ」
§3 「象は鼻が長い」の文
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

(13)東京は人口が多い。
(14)田中さんは息子が大学生だ。
[全体ハ 部分ガ 述語]
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


東京の人口が多い
田中さんの息子さんが大学生だ
象の鼻が長い
[全体]と[部分]の関係
§3 「象は鼻が長い」の文
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(15)春は桜がきれいだ。
(16)日本は富士山が有名だ。
「春」「日本」が主題 ハの後がコメント(陳述)
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
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
#春の桜がきれいだ
#日本の富士山が有名だ
→#意味が変わる
[全体]と[部分]の関係ではない
§3 「象は鼻が長い」の文
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
主題ハ
述語の表す属性ガ
第5章
ハとガの話ーー主語か主題か
は
スコープ 文の最後まで
焦点
主題と対比
情報の
新旧
機能
旧情報
主題、topic
が
直近の述語だけ
総記
新情報
述語の属性の主体
主格