学校教育講座・教育学専修 井 深 雄 二 2015/10/1 1 1.旧教育基本法の成立と意義 (1)教育勅語と旧教育基本法 ・教育勅語 第二次大戦以前の時期の教育政策の基本文書 明治天皇の「お言葉」→法規ではない。にもかかわらず 最高法規としての役割 ・戦後直後のさまざまな主張 「戦後においても教育の指導理念」(敗戦直後の国体 護持論) 「教育勅語の相対化」(田中耕太郎) 「新教育勅語渙発論」(「米国教育使節団に協力すべ き日本側委員会の報告、一部の米軍) 「教育勅語廃止論」(羽仁五郎) 2015/10/1 2 参考:「教育勅語」処理の遅れと衆・参員 の決議 1948年6月19日、衆議院「教育勅語等の排 除に関する決議」 1848年6月19日、参議院「教育勅語等の失 効確認に関する決議」 2015/10/1 3 (2)旧教育基本法の制定過程とその自主性 旧教育基本法の占領軍による押しつけ論の誤謬 ・「間接占領」方式 ・占領軍による文部省批判と教育刷新委員会の 自主性確保 ・田中耕太郎文相の憲法制定議会の答弁 ・教育刷新委員会の建議 ・文部省審議室における教育基本法草案の準備 ・CIEのSuggestion ・内閣法制局意見 2015/10/1 4 2.旧教育基本法の内容 (1)日本国憲法と旧教育基本法の一体性 (2)旧教育基本法の基本理念 1)「前文」の理念総括性と個人の尊厳 2)真理と平和を希求する人間の育成 3)普遍的で個性豊かな文化の創造 2015/10/1 5 3.教育行政の基本理念 (1)権利としての教育 国家及び地方行政官庁の権力行為として の行政が国民の内的価値形成に関与するこ とが、厳しく戒められている。 (2)「不当な支配に服することなく」 「不当な支配」の第一は教育行政に支配 教育と教育行政の概念的分離 (3)「国民全体に対し直接責任を負って」 教育委員の公選制 教育者の直接責任性 2015/10/1 6 4.教育基本法の改正と課題 ・教育内容への国家介入の正当化 =戦後教育行政とは正反対のベクトル (1)教育に対する国家関与 原案の変遷過程 「教育行政は不当な支配に服することな く」 制定法 「教育は不当な支配に服することなく」 (2)教育の法律主義 勅令主義から法律主義へ 重要事項(例えば、教育振興基本計画)が 政府の閣議決定になる。 2015/10/1 7
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