経済学入門

経済学入門３
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2007年5月11日
経済学入門3
1
復習：経済学の五つの重要な考え方
1.
2.
3.
4.
5.
資源は貴重なので何かを犠牲
意思決定者は便益や費用に反応
自発的に＊＊することにより全員が便益を
得る
財や市場に関する知識や＊＊は重要
生産された財がどのように行き渡るかが問
題
経済学入門3
2
復習：経済学の五つの重要な考え方
1.
2.
3.
4.
5.
トレードオフ
インセンティブ(誘因)
交換
情報
分配
経済学入門3
3
英語の復習




経済学とは英語で
economics
市場を英語で
market
交換を英語で
trade
インセンティブを英語で
incentive
経済学入門3
4
教科書のWrap-up



基本的な経済的意思決定問題 p.25
五つの重要な考え方 p.28
図1-1 アメリカでは誰が多くの所得を稼いで
いるか
経済学入門3
5
様々な財とサービス







世の中には様々な商品がある
財(goods)～形あるもの，クルマ，バック
悪い財(bads)～ゴミ，産業廃棄物
サービス(service)～無形の商品，美容院，労働，金
融，教育
サービス産業～第3次産業
労働～働くことも一つの経済活動，賃金が対価
金融～お金を借りたり，貸したりする，郵便貯金，銀
行
経済学入門3
6
財とサービス

1.
2.
3.



サービスの特徴
生産と消費が同時
在庫が不可
品質が一定でない
投入物～生産のために用いられる財
様々な財に共通する特徴を調べる
特に財とサービスを含めて単に財という
経済学入門3
7
三つの主要な市場 (p.29)

1.
2.
3.


経済主体
個人(家計)
企業
政府
家計とは1つの家族のように所得を得て消費
をするような1つのまとまった生活単位を表し
ます
最初は簡単な個人と企業のみを考える
経済学入門3
8
生産物市場

1.
2.
3.

1.
2.
3.
生産物市場
企業の生産物を家計に販売
企業～売り手
個人－買い手
労働市場
労働を取引する市場
企業が買い手
個人が売り手
経済学入門3
9
資本市場


1.
2.
3.
4.
大規模な工場の建設や企業の買収には
多額の資金が必要
資本市場
企業が投入物を購入するための資金を
調達する市場
金融サービス
企業－買い手，借り手
個人－売り手，貸し手
経済学入門3
10
資本


1.
2.

資本市場～資金調達に関わる制度すべ
てを含む広い概念
資本の2つの意味
資金と設備
資本財～機械や建物
どちらを用いているかは状況で判断
経済学入門3
11
貯蓄と保険



1.
2.
3.
みなさんの家では銀行に預金している
銀行は他へ貸し出しをしている
一生で一番多いお金の使い道
子育て
家を建てる
保険
経済学入門3
12
まさかのために


1.
2.
3.
4.
世の中は不確実
リスクや不確実性を回避する
死～生命保険
病気～医療保険
事故～自動車保険
火事～火災保険
経済学入門3
13
まさかの備えを政府が補完


1.
2.
3.
4.
政府の役割～社会保障，警察，軍事．
個人が負えない様々なリスクを負担
年金
健康保険
介護保険
失業保険
経済学入門3
14
三つの市場の図解(p.30)
財の販売
財の購入
生産物市場
価格を支払う
企
業
労働者の雇用
労働供給
労働市場
家
計
賃金を支払う
資金の貸し付け
資金の借り入れ
資本市場
利子を支払う
経済学入門3
15
どのレベルで議論しているか


1.
2.
3.

市場規模の確認
どのまとまり？
労働市場全体
若年者と熟練労働者の市場
コンピュータプログラマーの市場
もっとも大きなくくり方は？
経済学入門3
16
ミクロ経済学とマクロ経済学 (p.31)




経済学の2大分野
ミクロ経済学(microeconomics)
－個々の企業や家計の意思決定を分析
マクロ経済学(macroeconomics)
－経済全体(日本，世界)を動きを分析
経済学の二つの分野 WRAP-UP (p.32)
経済学入門3
17
練習問題(p.40)
1.
2.
3.
大学進学のインセンティブ
a,b,c,d
ミクロ経済的事象かマクロ経済的事象か
a,b,c,d,e,f
三つの主要な市場
a,b,c,d,e,f
経済学入門3
18
第2章経済学的な考え方 (p.43)

1.
2.
3.
4.
４つの鍵となる問い
基本的競争モデル
インセンティブ，所有権，価格，利潤動機
市場制度に代わる資源配分の制度は？
経済学の基本的な手段，費用概念
経済学入門3
19
1 基本的競争モデル (p.44)




数多くの様々な経済主体と様々な財・サービ
スが満ちあふれている理由
それは競争(competition)があるから
企業は消費者を獲得するためにできる限り品
質が良く低価格の財を供給する
それを基本的競争モデルが明らかにする
経済学入門3
20
神の見えざる手


「神の見えざる手」
(アダム・スミス『国富論』1776年)
我々が自分の食事を取るのは，肉屋や酒屋
やパン屋の博愛心によるのではなく，彼ら自
身の利害関心に対する彼らの関心によるの
である．
「私人の悪徳は公共の利益」
(マンデヴィル『蜂の寓話』1714年)
経済学入門3
21
competition=競争と翻訳した人は
だれだろうか？




福沢諭吉が翻訳
徳川政府の勘定方に頼まれて経済書の目録
を翻訳
競争に関する和語がなかったので「競い争う」
から案出
しかし，幕府の有力者はその言葉に注文を付
けた
経済学入門3
22


幕府役人「イヤここに争という字がある、ドウ
もこれが穏やかでない、ドンナことであるか」
福沢「どんなことッて、これは何も珍しいこと
はない、日本の商人のしている通り、隣で物
を安く売ると言えば此方の店ではソレよりも安
くしよう、また甲の商人が品物を宜くすると言
えば、乙はそれよりも一層宜くして客を呼ぼう
とこういうので、またある金貸が利息を下げれ
ば、隣の金貸も割合を安くして店の繁昌を謀
るというようなことで、互いに競い争うて、ソレ
でもってちゃんと物価も決まれば金利も決ま
る、これを名づけて競争というのでござる」
経済学入門3
23

幕府役人「なるほど，そうか西洋の流儀はキ
ツイものだね」

幕府役人「何分ドウモ争いという文字が穏や
かならぬ．これではドウモ御老中方へご覧に
入れることが出来ない」
「争」がなければ翻訳のしようもないので福沢
は競争の二文字を真っ黒に消して目録を提
出．
『福翁自伝』

経済学入門3
24
合理的消費者と利潤極大化企業
( p.45)

1.
2.
合理的選択－費用と便益を比較検討して最
も目的にあった選択をする
個人－効用の最大化
企業－利潤の最大化，極大化
経済学入門3
25
競争的市場 (p.46)



消費者と企業が出会う場＝市場の仮定
完全競争(perfect competition)
－個々の経済主体は市場で成立する価格
に影響を及ぼすことができない．
市場価格を与えられた(所与)のものとして行
動する
経済学入門3
26
完全競争




例えばお米を作っている農家を想像してください．
個々の農家の取引量と日本全体のお米の消費量を
比較するとある農家のお米の生産量は高が知れて
います．
またみなさんの一年間のお米の消費量も日本全体
から比べるとほんの小さな部分です．
米の価格に直接的な影響を及ぼせない
経済学入門3
27
完全競争/2

1.
2.
3.

完全競争市場では
多数の買い手と売り手が存在する
すべての人々が同じ財を売ったり買ったりし
ている
製品差別化がない
このような市場では経済主体はプライステイ
カーあるいは価格受容者であるという
経済学入門3
28
英語の復習



合理的な選択とは英語で
rational choice
完全競争を英語で
perfect competition
プライステイカーを英語で
price taker
経済学入門3
29
基本的競争モデルにおける効率と
分配 (p.48)
現実は完全競争であるとは限らない
 しかし，完全競争ならば資源の浪費がまった
くないという意味で経済は効率的になる
－誰かの生活を改善するには他の人の生活を
悪化させざるを得ない
 パレート効率性が達成される

経済学入門3
30
効率と分配 (p.48)



価格メカニズムによる配分の決定：熟練労働
の賃金は高くなる
未熟練労働の賃金は低くなる
競争的な分配には公平性の問題が生じる
経済学入門3
31
ベンチマークとしての基本的競争モ
デル (p.49)




現実の経済は基本的競争モデルよりももっと
複雑
このモデルは洞察力を与えて，経済の特徴を
理解しやすくなるようなツール
このモデルによる予測と観察される結果を比
較することにより新しいモデルを構築
しかし，完全ではないにしてもかなり現実を上
手く叙述できている
経済学入門3
32
インセンティブと情報 (p.50)



市場経済が効率的に働くには十分な情報が
与えられていて，それに基づいて行動するイ
ンセンティブが必要
価格，利潤，所有権を通じて個人に情報とイ
ンセンティブを与える
価格(price)－財の希少性を測る
経済学入門3
33
インセンティブと情報/2




価格は希少性の情報を運ぶ，それに対して
消費者は自分の消費量を調節する
利潤(profit)
利潤を追求する企業は価格のもたらす情報
に反応するよう動機付けられている
石油価格の高騰－石油の供給不足(?)，石油
製品の需要の減少(?)，理由はどうで
あれ
石油の希少性が高まった
経済学入門3
34
所有権の大切さ




企業はできるだけ安い方法で，できるだけ収
入が多くなる財を生産する
利潤動機が有効に働くためには利潤を自分
のものにできなくてはならない
所有権が不可欠
所有権～所有者が自分の好きなように財産
を使う権利とそれを売る権利
経済学入門3
35
インセンティブと平等(p.52)




土地の所有者はレストランをオープンするか
商店を開くか，もっとも利潤をもたらすように
土地を有効に活用する
そこで生まれた利潤が自分の物になるので
正しい選択をするインセンティブが発生
報酬と業績が深く結びつきすぎると不平等が
発生
インセンティブと平等のトレードオフ
経済学入門3
36
所有権が確立されていないとき
( p.52)

1.
2.
所有権の重要性はそれが無いときにどのよ
うな事態に陥るかを知ることにより分る
北海道のニシンの乱獲によるニシンの減少
(所有権がないケース)
共有地の悲劇(共同所有で所有権が限定)
経済学入門3
37
利潤動機，情報，所有権




現代の市場経済では各個人が価格情報に反
応して取引を行っている．
自分の得た利潤や所得は所有権によって自
分のものとすることができる．
自分の持つ資源や能力を最大限に活かすこ
とができる．
こうした利潤と効用の動機付けは各個人や企
業が真剣に経済活動を行うインセンティブを
与えている．
経済学入門3
38
インセンティブが上手く働くと



企業は消費者の望む物を作り出す
労働者は真面目に働く
自分の持っている資産を有効に活用する意
欲を創出する
経済学入門3
39
割り当て (p.54)


1.
2.
3.
価格システムは資源を配分する一つの方法
割当制度～ある財を提供された条件で欲し
い量だけ入手できない場合の配分方法
行列
くじ引き
配給切符
経済学入門3
40
今日の復習
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
財とサービス
三つの主要な市場
経済学の2大分野
個々の経済主体は市場で成立する価格に
影響を及ぼすことができない市場
そのような経済主体
ある物がある人の物であることを示す概念
3つがあると経済主体に適切なインセンティ
ブを与える
経済学入門3
41
今日の復習
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
形があるか，在庫ができるか
生産物市場，労働市場，資本市場
ミクロ経済学とマクロ経済学
完全競争市場
プライステイカー
所有権
利潤動機，価格，所有権
経済学入門3
42

Download Report