スライド 1

受託者の法規制
受託者(fiduciary)の4義務
注意義務
Duty of care
受託者
自己執行義務
Duty not to delegate
忠実義務
Duty of loyalty
分別管理義務
Segregation
委託者・受益者
信託法では…

旧信託法20条
「受託者は信託の本旨に従い善良なる管理者の注意を以て
信託事務を処理することを要す」

信託法29条
「受託者は、信託の本旨に従い、信託事務を処理しなければ
ならない。
2 受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な
管理者の注意をもって、これをしなければならない。ただし、
信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによ
る注意をもって、これをするものとする。
金融法委員会・平成13年6月13日「中間論点整理」より
受託者が委託者などの指図権者の指図に従うだけで信託財産
の管理・運用についての裁量権を有しない場合には、善管注意
義務はその指図に従って管理運用したか否かについてしか問題
にならないとされ、換言すれば、信託が「ハコ」であるようなケー
スにおいては、「信託の本旨」に照らして、注意義務自体も、おの
ずから単純なものになってくるものと思われる。またこのように受
託者の裁量権がないような場合には、信託行為をもって注意義
務を大幅に軽減すること(例えば、故意がない限り損害賠償義務
を負わないというような軽減)についての許容度が高くなると解し
てよさそうに思われる。しかし、「ハコ」たる信託の受託者が「ハコ
」に入れた信託財産を故意で損傷しても損害賠償義務(信託法
27 条)を負わないとすることはさすがに許されない(無効)であろ
う。これを公序良俗違反ということも可能であろうし、そのようなも
のは信託ではないということも可能と思われる。
2項但書の意味
同じ商事信託でも…
積極運用型
受託者
委託者
ハコ型(SPV等)
さらに展開…
ハコ型(SPV等)
委託者
受益者
こっちの方が重要!
商事信託の重要な問題の一つは、誰が誰に対してどの程度
の善管注意義務を負うのかが不明確になるおそれのあること
スキーム全体像の開示という要
請に頼らざるを得ない
再び、信託法では…

旧信託法22条
「受託者は何人の名義を以てするを問わず信託財産を固有
財産と為し又は之に付き権利を取得することを得ず」
*分別管理とは異なるので注意!!

信託法30条
「受託者は、受益者のため忠実に信託事務の処理その他の
行為をしなければならない。」
明文化!!

信託法31条
「受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を固有財産に帰属させ、又は固有財
産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を信託財産に帰属させること。
二 信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を他の信託の信託財産に帰属させる
こと。
三 第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が当該第三者の代理人と
なって行うもの…
2 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をするこ
とができる。…
一 信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき。
二 受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。 …
四 受託者が当該行為をすることが信託の目的の達成のために合理的に必要と認められる場合
であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は当該行為の信託財産に与え
る影響、当該行為の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の
事情に照らして正当な理由があるとき。 」
再び、金融法委員会・平成13年6月13日「中間論点整理」より
「信託法22 条は忠実義務の一部である利益相反の禁止に関
する規定であり、強行規定であると一般に解釈されているが、い
わゆる銀行勘定貸のように実務上広く行われている行為に対す
る適用関係がどうなるのかは必ずしも明確でないし、また、土地
信託において受託者(信託銀行)が信託財産たる賃貸ビルにテ
ナントとして入居することの妨げとなっているようである。しかし、
利潤追求を目的とするこれらの営業信託において、かかる銀行
勘定貸やテナント入居を禁ずるとすれば、かえって受益者の期待
を裏切り、その利益を損なうこととなろう。」
信託法で忠実義務はかなり具体化されたね!!
でも、これがデフォルトになり得るのか?
会社法では一元
義務説の支配
【参考】
会社(株主)の金を
使って、自らの保身に
走っているのでは?
経営陣
Omni Present
Specter
自
社
株
防
戦
買
会
社
の
金
!
Counter
Tender
Offer
TARGET
HOSTILE Tender Offer
BIDDER

信託法28条
「受託者は、次に掲げる場合には、信託事務の処理を
第三者に委託することができる。
一 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託する
旨又は委託することができる旨の定めがあるとき。
二 信託行為に信託事務の処理の第三者への委託
に関する定めがない場合において、信託事務の処理を
第三者に委託することが信託の目的に照らして相当で
あると認められるとき。
三 信託行為に信託事務の処理を第三者に委託して
はならない旨の定めがある場合において、信託事務の
処理を第三者に委託することにつき信託の目的に照ら
してやむを得ない事由があると認められるとき。」
受託者よりも運用能力が高い者を
見つけて運用を委ねることは、信託
財産から見てより望ましいと言えな
いか?
受託者に対する高
度の「信頼」
VS
信託の目的に
照らして相当
「信託行為ニ別段ノ定アル場合」と
「已ムコトヲ得サル事由アル場合」
Q:「運用」と「元本保証」
どちらが自己執行に馴染
む??
Reitを想定すると…
投信受
託会社
信託契約
?
特定目的会社
(SPC)
不
動
産
賃
貸
賃
料
支
払
専門運
用会社
投資家
「証券投資信託」がデフォルトで
あった状態から、不動産の運用
評価を行わなければならなくなっ
た!!
 信託法35条
「第二十八条の規定により信託事務の処理を第三者に委託す
るときは、受託者は、信託の目的に照らして適切な者に委託し
なければならない。
2 第二十八条の規定により信託事務の処理を第三者に委
託したときは、受託者は、当該第三者に対し、信託の目的の達
成のために必要かつ適切な監督を行わなければならない。
3 …ただし、受託者は、当該第三者が不適任若しくは不誠実
であること又は当該第三者による事務の処理が不適切である
ことを知ったときは、その旨の受益者に対する通知、当該第三
者への委託の解除その他の必要な措置をとらなければならな
い。」
しかし…
信託銀行
信託事務の代行
不
動
産
自
己
信
託
投資家
自己信託の設定者(オリジネー
ター)に置くべき信頼を、信託銀
行に置いてしまわないか?
受託者への「信頼」の混乱!
 信託法34条
「受託者は、信託財産に属する財産と固有財産及び他の信託の信託財
産に属する財産とを、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に
定める方法により、分別して管理しなければならない。ただし、分別して管
理する方法について、信託行為に別段の定めがあるときは、その定める
ところによる。
一 第十四条の信託の登記又は登録をすることができる財産(第三号に
掲げるものを除く。) 当該信託の登記又は登録
二 第十四条の信託の登記又は登録をすることができない財産(次号に
掲げるものを除く。) 次のイ又はロに掲げる財産の区分に応じ、当該イ
又はロに定める方法
イ 動産(金銭を除く。) 信託財産に属する財産と固有財産及び他の信
託の信託財産に属する財産とを外形上区別することができる状態で保管
する方法
ロ 金銭その他のイに掲げる財産以外の財産 その計算を明らかにす
る方法
受託者の債権者
×
信託財産
商事信託の場合の特徴は? *金商法
Prudent man(investor) rule
 エリサ法の要請が有名
Employee Retirement Income Security Act
 内容
「信託受託者は、慎重であり知的である人間
が、投機の観点からではなく、むしろ投資され
た資本の安全性と収益を考慮して、永続的な
資金運営を行う場合に、どのような職務を遂
行するであろうかということを考えなければな
らない。」(すでに1830年代の判例)
 ポートフォリオ全体でのバランス
アクティブ運用とパッシブ運用
*もっとも、一項目的な視点から投機的でも、
全体からその投機リスクが相殺されるのであ
れば…
 分散投資
信託財産全部の一方向的な運用の禁止
 インフレ等の予想可能リスクの想定
名目価値の維持ではダメ!!