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QGPは実現したか?~RHIC加速器でのQGP探索~
QGPとは何か
原子核は核子(陽子と中性子)からなり、核子の中には強い相互作用
をする粒子、クォークとグルーオンがつまっている。
クォークやグルーオンは、強い相互作用をする粒子“ハドロン”の中に
閉じ込められているが、物質が高温・高密度の状態になると開放されて
自由に動けるようになる。 このクォークとグルーオンのスープのような
状態を Quark Gluon Plasma (QGP) という 。
Big Bang の10マイクロ秒後の宇宙はこのような状態であったと考えら
れている。
QGPを実現するには
RHICでQGPを確認する
高エネルギー重イオン・重イオン衝突実験でQGPが
実現されることが期待されている
衝突により発生した jet を観測する。
衝突型(RHIC)
静止標的(CERN-SPS)
原子核を
加熱圧縮
u・dが主
jet
QGPが生成した場合
静止
高エネルギー
密度状態
(QGP)
energy loss
qq 対を
多く含む
高密度
高温
• 散乱されたクォークやグルーオンは
カラー電荷密度が高い領域を通るた
め、グルーオンの制動放射によりエネ
ルギーを損失する。
• 中心からのjet は吸収され、周辺から
の jet のみが観測される。
jet
この jet は
吸収される
Δ
• QGPが生成しない場合に比べ、
観測される jet の量が減る
(jet quenching)
冷えてハドロンの
固まりに
CERN NA50 ExpでQGPの有力な証拠を発見(2000年)。 衝突型ではまだ。
• two particles azimuthal distribution
を観測すると、 Δ   で生成量
が抑制される(中心へ向かう jet は
吸収されるため)
Relativistic Heavy Ion Collider (RHIC)
STAR 検出器
PHENIX検出器
RHICでの結果 (2000~2003)
d-Au 衝突(QGPは生成されない)と、Au-Au衝突(QGP生成が期待)の結果を比較
d-Au
Azimuthal distribution (方位角分布)
Jet の観測(hadronのPT分布)
nucler modification factor
Au-Au
RAB
dN AB / dpT d

pp
TABd / dpT d
異なる質量数の原子核を比べ
るために、衝突で発生した jet
の生成量を核子-核子衝突あ
たりの生成量に換算たもの
Au-Au 衝突では d-Au 衝突に比べ
jet の生成量が少ない
縦軸:
jet quenching
縦軸:RAB
横軸:PT(ビームに対して横方向の運動量)
上図:d-AuとAu-Auの比較
下図:Au-Auでのπ0とcharged hadron の
比較
nucl-ex/0306021
1
N Trigger
dN
(規格化したハドロンの生成量)
d(Δ )
横軸: Δ (同じ場所から発生した2つのjetの間の角度)
nucl-ex/0306024
(観測されたのはRHICが初めて)
反応領域のカラー電荷密度
が高い
QGPを示唆
まとめ
Au-Au 衝突では Δ   の
付近でハドロンの生成量が
抑制されている。
jet の片方が反応領域(QGP ?)
で吸収されたと解釈される
これからの実験
RHIC加速器での d-Au, Au-Au 衝突実験の結果の比較か
ら、Au-Au衝突でカラー電荷密度の高い領域が生成された
ことがわかった。
•Heavy Quark State の観察
•電磁気的な Probe
QGPを示唆。より詳しい研究が必要。
閉じ込めの解消を確認
熱的放射の観測