化学概論

化学概論 第12回
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前回のまとめ
熱力学第2法則:自然界で起こる現象は不可逆であること
を経験則としてまとめたもの
不可逆変化:自発的に変化が進み、平衡状態に向かう
可逆変化:現実的には平衡状態で、見た目の変化なし
理想気体の準静的等温体積変化
準静的断熱体積変化
熱機関の効率:カルノーの定理
先週の内容で特に印象に残った事項は?
可逆変化と不可逆変化
熱力学第2法則
気体の等温体積変化
気体の断熱体積変化
あまり記憶にない
51%
31%
11%
に
な
い
化
記
憶
積
あ
ま
り
体
熱
断
の
気
体
等
の
4%
変
化
変
積
体
温
学
熱
力
気
体
逆
変
化
と
不
可
第
逆
2法
変
則
化
4%
可
1.
2.
3.
4.
5.
次のうち不可逆変化はどれ?
84%
10%
0%
し
くな
い
張
も
正
等
温
静
的
準
物
体
の
度
じ
温
同
膨
動
熱
移
間
の
...
物
温
低
ら
か
物
体
温
高
6%
ど
れ
1. 高温物体から低温物
体への熱移動
2. 同じ温度の物体間の
熱移動
3. 準静的等温膨張
4. どれも正しくない
温度Tでの準静的等温膨張(体積V1→V2)
で、n molの気体が行う仕事は?
2.
3.
4. ?
 V1 
 W  RT ln 
 V2 
74%
20%
6%
0%
?
1.
 V1 
 W  nRT ln 
 V2 
 V2 
 W  nRT ln 
 V1 
断熱体積変化でのpVの関係は?
1. pV g = 減少
2. pV g = 一定
3. pV g1 = 一定
4. わからない
74%
12%
12%
な
い
か
わ
一
=
g1
pV
ら
定
定
一
g =
pV
pV
g =
減
少
2%
カルノーサイクルー熱エンジンの効率
高温熱源(TH)から熱(QH)を吸収し、外部にWの仕事をし
て、低温熱源(TL)に熱(QL)を放出して、元の状態に戻る
熱機関(エンジン)の効率を考える
高温熱源 TH
QH
等温膨張TH
断熱圧縮
TL →TH
断熱膨張
TH →TL
等温圧縮TL
p123 図7.4の類似図
W
E
 QL
低温熱源 TL
カルノーサイクルー熱エンジンの効率
高温熱源(TH)から熱(QH)を吸収し、外部にWの仕事をし
て、低温熱源(TL)に熱(QL)を放出して、元の状態に戻る
熱機関(エンジン)の効率を考える
高温熱源 TH
1サイクル後のDUは0
熱力学第1法則より
QH
QH + QL + W = 0
W
 W QH  QL
E


QH
QH
理想気体を用いて、すべて準静的
過程の場合(カルノーサイクル)、
は最大となり、
 max
QH  QL TH  TL


QH
TH
 QL
低温熱源 TL
:カルノーの定理
熱エンジンの効率は
(1)温度THとTlの差が大きいと効率は大きい。二つの熱源
の温度が等しい極限において、仕事はできない。仕事をす
るためには温度差が必要
(2)低温熱源の温度TLが低いほど仕事の効率は大きい
低温熱源の温度が零の極限で効率は100%となり、吸収し
た熱をすべて仕事に変えられる。しかし、絶対零度は実現
不可能なので、効率が100%の熱機関(第2種永久機関)は
実現できない。(熱力学第2法則の別の表現)
一般の過程(不可逆過程、可逆過程)からなるサイクルで
の効率は
QH  QL TH  TL

≦
QH
TH
等号:可逆過程
不等号:不可逆過程
熱力学的温度と温度計
TL QL

可逆過程の熱エンジンの効率を書き直すと
TH QH
可逆サイクルの吸収する熱 |QH|と放出する熱|QL|の比が両
熱源の温度比であることを示している。
温度をこの比となるように定義したものを
「熱力学的温度」または「絶対温度」(ケルビン)
ただし、1Kの大きさを
水の三重点の温度
1K =
273.16
と定義されている(SI単位)。
水の三重点:水(液体)、氷(固体)、水蒸気(気体)の3つの
状態が共存(平衡)する温度、圧力。物質の種類のみで決
まる固有の値。273.16 K、610.6 Pa
水の三重点セル(産業技術総合研究所HPより)
温度計と温度目盛
・温度計:物質(作業物質)の温度によって変化する性質(体積、圧
力、電気抵抗etc)の物理量を測定して温度の値を得る
・摂氏温度(セ氏) ℃
元々は 標準大気圧下の氷の融点を
0℃
水の沸点を 100℃
として温度目盛をつけたもの
(英語ではdegree Celsius またはdegree centigrade)
温度計に目盛をつけるには
作業物質のある物理量の値が
0℃でF0、100℃でF100として
温度 t での値 F との間に
𝐹 − 𝐹0
𝑡 = 100
𝐹100 − 𝐹0
とする
⇒ F100とF0の間を100等分して目盛をつける
物質B
理想的
F100
物質A
物
理
量
F0
0
50
50
50
100
t/℃
作業物質の「ある物理量」と温度との関係は物質により異なり、
必ずしも直線関係ではない。
⇒ 物質の異なる温度計で測定すると温度が変わる?!
理想的なふるまいの物質(例えば、理想気体)を用いた「標準温
度計」を基にして目盛をつける必要がある。
エントロピー
一般の過程(不可逆過程、可逆過程)からなるサイクルで
の効率は
より
𝑄𝐻 +𝑄𝐿
𝑇𝐻 −𝑇𝐿
𝜂=
≤
𝑄𝐻
𝑇𝐻
𝑄𝐻
𝑄𝐿
+ ≤0
𝑇𝐻
𝑇𝐿
熱源が3個以上あるときは
𝑄𝑖
𝑖𝑇
𝑖
≤0
𝛿𝑄
𝑇
≤0
一般的に連続的に温度が変化する場合は
可逆サイクル:等号
不可逆サイクル:不等号
クラウジウス
の不等式
経路 I
状態
A
経路 II
状態
B
経路 III
状態A → 状態B の可逆的な経路 I、II と
状態B → 状態A の可逆的な経路 III を考える
𝐵
A
I
B
III
Aのサイクルで
(I)𝐴
𝛿𝑄
+
𝑇
𝐵
A
II
B
III
Aのサイクルで
(II)𝐴
𝛿𝑄
+
𝑇
𝐴
(III)𝐵
𝛿𝑄
=0
𝑇
𝐴
(III)𝐵
𝛿𝑄
=0
𝑇
辺々引き算して
𝐵
(I)𝐴
𝛿𝑄
=
𝑇
𝐵
(II)𝐴
𝛿𝑄
𝑇
つまり、経路によらず
𝐵
𝐴
𝛿𝑄
𝑇
は、始めと終わりの状態が決まれば、一定の値をとる→
状態量の変化
𝐵 𝛿𝑄
Δ𝑆 = 𝐴
= 𝑆𝐵 − 𝑆𝐴 「S : エントロピー」
𝑇
等温変化では
Δ𝑆 = 𝑄/𝑇 (可逆)
微少変化としては
𝛿𝑄
𝑑𝑆 =
𝑇
経路 IV
状態
A
経路 II
状態
B
経路 III
状態A → 状態B の不可逆的な経路 IV と
状態B → 状態A の可逆的な経路 III を考える
𝐵
A
IV
B
III
Aのサイクルで
(IV)𝐴
𝐵
A
II
B
III
Aのサイクルで
(II)𝐴
𝛿𝑄
+
𝑇
𝛿𝑄
+
𝑇
𝐴
(III)𝐵
𝐴
(III)𝐵
𝛿𝑄
<0
𝑇
𝛿𝑄
=0
𝑇
辺々引き算して
𝐵
(IV)𝐴
𝛿𝑄
<
𝑇
𝐵
(II)𝐴
𝛿𝑄
= Δ𝑆
𝑇
つまり、不可逆過程の場合、系のエントロピー変化DSは
𝐵
Δ𝑆 >
(IV)𝐴
𝛿𝑄
𝑇
入った熱の積分から得られる値より系のDSの方が大きい
一般の過程での微少変化としては、
𝛿𝑄
𝑑𝑆 ≥
𝑇
温度𝑇でδ𝑄の熱を受けて状態変化する系の𝑑𝑆は
可逆過程の場合 𝛿𝑄 𝑇 に等しく
不可逆過程の場合 𝛿𝑄 𝑇より大きい
𝛿𝑄
𝑑𝑆 ≥
𝑇
これは、熱力学第2法則の数学的表現
特に、孤立系、断熱系では δ𝑄 = 0 であるので
𝑑𝑆 ≥ 0
孤立系、断熱系で自然に起こる変化(不可逆変化)は、エ
ントロピーの増大する方向に起こる。
⇒
エントロピー増大の原理
(熱力学第2法則の別の表現)
外界と系との間で熱の出入りがある場合
系と外界のエントロピー変化の和が、不可逆変化では
増大する。しかし、可逆変化ではその和は変化しない。
(系での増大分と同じ量だけ外界では減少する)
エントロピーの計算例
(a)平衡の基準とエントロピー
孤立系では、系が平衡状態(可逆変化)になれば
DS=0
エントロピー最大が平衡の尺度
エントロピーは状態量 ⇒ 状態Aから状態Bの、系の状態
変化に伴うエントロピー変化は、経路に無関係
◎可逆的な変化の場合
𝐵
Δ𝑆 = 𝑆𝐵 − 𝑆𝐴 =
𝐴
𝛿𝑄
𝑇
◎不可逆な変化の場合:AとBを結ぶ任意(仮想的でもよ
い)の可逆過程を考えて、上記の式を適用して求める。
(b)理想気体の等温可逆変化に伴うエントロピー変化
理想気体 n mol が一定温度Tで体積V1→V2の可逆変化について
このとき、気体の行った仕事は
𝑉2
𝑉2
𝑛𝑅𝑇
𝑉2
−𝑊 =
𝑝𝑑𝑉 =
𝑑𝑉 = 𝑛𝑅𝑇ln
𝑉
𝑉1
𝑉1
𝑉1
理想気体の内部エネルギーは温度一定なので変化しない
したがって、熱力学第1法則より
𝑉2
𝑄 = −𝑊 = 𝑛𝑅𝑇ln
𝑉1
エントロピー変化は
𝑄
𝑉2
𝑝1
Δ𝑆 = = 𝑛𝑅ln
= 𝑛𝑅ln
𝑇
𝑉1
𝑝2
V2>V1ならば、DS>0
気体のエントロピーは定温可逆膨張で増大する
外界は系にQの熱量を供給したので、外界のエントロピー変化は
DS = Q/T となり、系と外界を含めたエントロピー変化は0となる
今日のまとめ
熱機関の効率:カルノーの定理
熱力学的温度
温度計
エントロピー :状態によって決まる新たな状態量
可逆過程では
DS =Q/T
不可逆過程では DS > Q/T
エントロピー増大の原理(熱力学第2法則)
様々な変化に伴うエントロピー変化の例
理想気体の等温可逆変化
温度変化
相変化
気体の混合
出席確認
レスポンスカードを用意
エントロピーを用いて、熱力学第2
法則を表すと
𝑑𝑆 =
4. どれも正しくない
2
1
3%
0%
し
くな
い
3.
33%
正
𝑑𝑆 ≤
も
2.
63%
3
𝑑𝑆 ≥
ど
れ
1.
𝛿𝑄
𝑇
𝛿𝑄
𝑇
𝛿𝑄
𝑇
出席確認、今日の講義はどうでしたか
1. 興味がわかなかった
2. 少し興味が持てた
3. 興味を持って聞けた
71%
16%
持
を
味
興
少
し
興
味
っ
が
持
て
聞
て
た
た
っ
な
か
わ
か
が
味
興
け
た
13%