DI者の権利擁護にかかる相談窓 口とソーシャルワーク・ポリシー 中部学院大学人間福祉学部 宮嶋 淳 博士(ソーシャルワーク) 研究の目的 AIDの実施時並びに実施後における DI者の願いとAIDを選択したカップルの願い との両立をめざす 両者の願いの両立とは、「新しい家族」の福 祉(=QOL&Human well-being)の成立 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 2 着眼点並びに仮説 ソーシャルワークの立場からの研究 DI者の「語り」と「ヒューマンニーズ」に着目 Human Needs=「4つの訴え」と「4つの願い」 充足のための要件=他者との対話 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 3 DI者のHuman needs 4つの訴え 私たちの声を聴いて欲しい 私たちの情動を理解して欲しい 変化しようとしている姿勢を見てほしい 私たちの尊厳を、尊重して欲しい 4つの願い 情報を共有し、信頼できる親子関係を構築したい 親から告知して欲しい 出自を知る権利を認めるルールを創って欲しい 両者を支える仕組みを整えて欲しい 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 4 仮説に関する根拠① 国際ソーシャルワーカー連盟が2008年に採択した 政策文書「国境を越えた生殖サービスに関する国 際方針文書」の理念 女性の生殖能力の商品化は人権侵害である 国境を越えた生殖サービスへの関与は、訪問国の事情 に配慮しないと、搾取になる可能性がある 法整備が進んでいない国々では、十分な事前のイン フォームド・コンセントがなされない可能性がある そのような中では、生まれる子どもの法的権利・心身の健 康が危ぶまれる可能性がある 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 5 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 6 IFSWの立場 人の命、精子・卵子・胚が商品化、あるいは商取引に用 いられてはならない すべての人は、生殖に影響を及ぼす形での搾取や差別か ら保護されなければならない 法を犯さない限りにおいて、自己決定の権利を行使する ことを支持する 遺伝子情報は、個人のものである 国境を越えた生殖サービスに関わるソーシャルワーカー の倫理の確立を必要とする 生殖サービスに関する当事者の参加を促進する役割を果 たすため、世界保健機構などと連携する 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 7 仮説に関する根拠② 対話 知る権利・知らせる 権利 ソーシャル・インク ルージョンの理念 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 8 仮説に関する根拠③ 2011.12.9. Human needsに対応した 実践理論 ナラティブ・アプローチ エコロジカル・アプローチ コミュニティ・ワーク ネットワーキング 第56回日本生殖医学会 9 結 論 出自に関する子の権利と福祉を護るための相談 窓口を「(仮)DI者相談センター」と仮定 同センターにおいてソーシャルワークが機能す ることが大事 ソーシャルワークが機能すると、DI者と他者と の対話が促進される 対話の促進は、ソーシャル・インクルージョン が保持された社会を成立させる 社会的排除のない社会は、全ての人と家族の福 祉を保持する。 したがって、「新しい家族」の福祉も保持され る可能性が広がる 2011.12.9. 第56回日本生殖医学会 10
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