放射加熱によって調節された 二酸化炭素氷雲の散乱温室効果と

Coming soon…
発表資料 URL
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~totera/wtk/
放射加熱によって調節された
二酸化炭素氷雲の散乱温室効果と
古火星の温暖化
北海道大学 大学院理学研究科 地球惑星科学専攻
惑星物理学研究室 博士後期課程 3 年
光田 千紘
[email protected]
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~chihiro/
2007/05/10 (Thu)
惑星大気研究会 オンラインセミナー / DM seminar
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題
生命の存在は普遍的か
惑星系は普遍的
 200 以上もの系外惑星系が発見
 5 地球質量? の惑星発見 ( Udry et al. 2007 )
 地球型惑星も普遍的であると期待できる
 地球型惑星 = habitable ?
 液体の物質が必要 (H2O, NH3, CH4,…)
 太陽系内での地球型惑星における H2O
water の存在条件をまず押さえることが重要
 本発表はその 1 例として古火星を取りあげる
現在の火星環境
 太陽放射入射 :
地球の 0.43 倍
 有効放射温度 : 216 K
地球: 256 K
 大気成分 : CO2 (96%)
 大気圧 : 6 hPa
 地表面温度 : 220 K
赤道直下では 273 K まで上昇
 乾燥寒冷な気候
 H2O water は存在不可
地形が示唆する温暖な火星古気候
バレーネットワーク
 数 100 km も続く谷地形
 38 億年前頃に形成
クレータ年代より
 形成要因
 降水 ?
 地下水の流出 ?
Valley Networks
当時の地表面温度は
* 平常時は氷点下
* ときどき氷点下前後まで上昇
であったことを示唆
CO2-H2O 大気による温室効果の限界
(Kasting 1991)
 CO2 凝結による温室効
果の弱化
 潜熱加熱による対流圏上
部の温度上昇
 地表面温度低下
 最大地表面温度 230 K
 大気圧 2 気圧
 雲の放射特性は無視
凝結物はすぐ落下
CO2 凝結が温度構造に与
える影響の模式図
CO2 凝結による鉛直構造の変化
 大気構造
 成層圏; 放射平衡
 対流圏: 放射対流平衡
 対流中立になるように傾き
が決まる
 大気圧↑
 地表面温度↑
 ある気圧での温度T(p)↓
 CO2 凝結
 CO2 が凝結すると
 対流圏上部温度↑
 地表面, 対流圏温度↓
 更に CO2 が凝結…
CO2 凝結による鉛直構造の変化
 大気構造
 成層圏; 放射平衡
 対流圏: 放射対流平衡
 対流中立になるように傾き
が決まる
 大気圧↑
 地表面温度↑
 ある気圧での温度T(p)↓
 CO2 凝結
 CO2 が凝結すると
 対流圏上部温度↑
 地表面, 対流圏温度↓
 更に CO2 が凝結…
CO2 凝結による鉛直構造の変化
 大気構造
 成層圏; 放射平衡
 対流圏: 放射対流平衡
 対流中立になるように傾き
が決まる
 大気圧↑
 地表面温度↑
 ある気圧での温度T(p)↓
 CO2 凝結
 CO2 が凝結すると
 対流圏上部温度↑
 地表面, 対流圏温度↓
 更に CO2 が凝結…
二酸化炭素氷雲の散乱温室効果
 温室効果は雲パラメタに
強く依存(Pierrehumbert and Erlick 1997)
 粒径/光学的厚さ
 条件次第では強い温室効
果を生じさせる (Mischna et al. 2000)
 粒径: 〜赤外放射波長(10m)
 光学的厚さ : 1 〜 20
赤外放射反射 > 太陽放射反射
散乱温室効果
 雲パラメタの見積りはあま
り行われていない
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題
雲パラメタの見積もり
 古火星大気:
主成分が凝結する系
どのような雲対流が起き
るかは明らかにされてい
ない
 我々の主張:
雲層が対流しない解も
あり得る
凝結が対流よりも素早く
生じればよい.
凝結時間 << 対流時間 とすると…
 放射冷却が潜熱加熱で打ち消され, 対流は駆動されない
 雲粒径は放射平衡を満たすように自律的に調節される
本研究では…
放射による雲の形成消失過程を考慮した一
次元放射対流平衡モデルを用いて
 放射平衡を満たす雲層構造
 その雲による散乱温室効果
を調べる
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題
鉛直一次元放射対流凝結平衡モデル概要
 放射対流平衡, CO2 気固平衡
を同時に満たす温度-雲構造
を求める
-- 計算の流れ -初期構造
温度 T(z), 雲質量混合比 m(z)
放射場を解く
 仮定
雲層で対流は生じない
放射による加熱冷却
 放射冷却を受けた分, 雲粒が成長する
雲粒の運動は無視
 凝結核混合比は一定値を保つ
 雲粒落下, 併合成長の効果は考えない
各層内は単一粒径
 粒径は凝結量から算出
• 雲質量混合比 (予報変数)
• 凝結核混合比 (パラメタ)
CO2凝結蒸発
対流調節
収束条件
Yes
平衡構造!
No
モデル設定
 大気成分: CO2, H2O (飽和蒸気圧)
 太陽光度: 0.75 x 現在値 (Gough 1981)
 地表面アルベド: 0.2 (Mischna et al. 2000)
 パラメータ:
大気圧: 0.5, 1.0, 2.0, 5.0, 10.0 気圧
凝結核混合比:
104, 105, 106, 107, 108 , 109 個/大気1kg
 鉛直解像度 50 層
 タイムステップ: 102 〜 104 sec
 収束条件: dT/dt < 10-8 K/sec
放射コード
 放射伝達
二方向近似(Toon et al. 1989)
 太陽放射: δ-Eddington 近似
 赤外放射: Hemispheric mean 近似
多重散乱を考慮
 光学定数
気体(CO2 & H2O): 相関 k 分布法
 吸収線DB: HITRAN2004+HITEMP
 CO2 圧力励起帯(@0-350, 1150-1800cm-1 ): Kasting et al. 1984
 CO2 wing(@300-600cm-1): 500cm-1 cutoff
• Sub Lorentzian: Winters et al. 1961
 H2O 連続吸収: Roberts et al. 1976
雲(CO2 ice): Mie 理論
 複素屈折率: Warren 1986
厚い CO2 大気に
対応
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題
結果1: 平衡大気-雲鉛直構造
 初期構造:
 雲の放射特性を無視し
た場合の平衡構造
 凝結物は地面へ落下
 地表面温度 227 K
 放射対流凝結平衡構造
 高度 15-35 km
 平均雲粒径 3.0 m
 雲氷量 0.026 kg m-2
 光学的厚さ 0.5
(@波長 20m)
 地表面温度 252 K
 雲の温室効果 25 K
大気圧: 2 気圧
凝結核混合比: 107 kg-1
結果1: 平衡大気-雲鉛直構造
大気圧: 2 気圧
凝結核混合比: 107 kg-1
 初期構造:
 雲の放射特性を無視し
た場合の平衡構造
 凝結物は地面へ落下
 地表面温度 227 K
 放射対流凝結平衡構造
 高度 15-35 km
 平均雲粒径 3.0 m
 雲氷量 0.026 kg m-2
 光学的厚さ 0.5
(@波長 20m)
 地表面温度 252 K
 雲の温室効果 25 K
雲粒径と成長率の負のフィードバック
* 雲の成長に伴って
- 光学的に厚くなった雲がより赤外加熱を受ける
- 温室効果が増加し, 下層からの赤外加熱が強まる
結果2:凝結核混合比依存性(大気圧2気圧)
 地表面温度は凝結核混
合比に強く依存
粒径の凝結核混合比依存性
 地表面温度に極大値
大気の窓(9, 20 micron)を
効率よく後方散乱できる粒
径(5, 15 micron)の雲が形
成
 凝結核混合比 > 109 kg-1
平衡解なし
 1micron の雲粒による強い
反温室効果
 地表面凍結, 大気崩壊へ
結果3:大気圧依存性(凝結核混合比 107kg-1)
 大気圧↑: 地表面温度↑
大気圧 > 3 atm で
地表面温度 > H2O 凝固点
 大気圧の増加に伴って
粒径; ほぼ一様
雲氷量; 増加
雲の形成高度範囲が広がっ
たため.
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題


雲層での対流安定性
大気圧: 2 気圧
凝結核混合比: 107 kg-1
 静的安定度 N2
 N : 浮力振動数
 N2 > 0 で対流安定
dm
dm
N 2  g ad 

 dz
dz 

dmad
1  dT
  C p
 g

dz
L  dz
g : 重力加速度
m : 雲質量混合比
z : 高度
L : CO2 潜熱
C p: 定圧比熱
T : 温度
平衡状態雲層は対流安定:
* 雲層が対流しないという仮定と矛盾しない
落下による雲の消失時間
 落下による雲の消失時間
雲面密度
落下による質量消失率
 質量消失率 [kg/m2/sec]
Ffall  cloudv(r)
凝結核混合比 > 105 kg-1
で

形成時間 < 消失時間
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題
温暖湿潤な気候の必要条件
 温暖湿潤な気候の必要条
件
大気圧 > 数気圧
凝結核混合比 105-107 kg-1
 地表面温度の凝結核混
合比依存性
温暖化の一時性と調和的
凝結核量を変動させるメカニ
ズム: 火山噴火, 隕石衝突な
ど
観測的にも 1,2 オーダ程度
の変動が示唆(Twomey and Wojciechowski
1969; Pollack et al. 1979)
温暖湿潤な気候の必要条件
温暖湿潤な気候の必要条件
 温暖湿潤な気候の必要条
件
大気圧 > 数気圧
凝結核混合比 105-107 kg-1
 地表面温度の凝結核混
合比依存性
温暖化の一時性と調和的
観測的にも 1,2 オーダ程度
の変動が示唆(Twomey and Wojciechowski
1969; Pollack et al. 1979)
凝結核混合比の
定量的評価が重要
目次
 はじめに
生命の普遍性
地形が示唆する温暖な火星古気候
二酸化炭素氷雲による散乱温室効果
 雲パラメタの見積もり
 一次元放射対流凝結平衡モデル
 計算結果
 仮定の検証
 温暖湿潤な気候の必要条件
 まとめと今後の課題
まとめと今後の課題
 放射冷却によって形成される CO2 氷雲の鉛直構造とその
散乱温室効果を見積もった.
 古火星での habitable condition
 大気圧: 〜 数気圧, 凝結核混合比: 〜 105-107 kg-1
 地表面温度の強い凝結核混合比依存性より, 地形より示唆
される温暖化の一時性を説明可能.
 今後の課題
 凝結核混合比の決定機構
 地表からの巻き上げ/隕石衝突/火山噴火/宇宙線 …
 対流/雲粒落下の効果
 雲対流を陽に解くモデル (→ 北大, 小高グループ)
 大気微量成分(CH4)の影響
参考文献1
 Gough, D. O.,1981, Solar interior structure and luminosity variations, Sol. Phys., 74,
21-34
 Kasting, J. F.,1991, CO2 condensation and the climate on early Mars, Icarus, 91,
1-13
 Kasting, J. F.,1993, Early Earth’s atmosphere, Science, 259, 5097, 920-926
 Kieffer, H. H., Martin, T. Z., Peterfreund, B. M., Miner, E. E. and Paulluconi, F. D.,
1977, Thermal and albedo mapping of Mars during the VikingPrimary mission, J.
Geophys. Res., 82, 4249-4291
 Pierrehumbert, R. T. and Erlick, C.,1998, On the scattering greenhouse effect of
CO2 ice clouds, J. Atmos. Sci., 55, 1897-1903
 Mischna, M. A., Kasting, J. F., and Freedman, R., 2000, Influence of carbon dioxide
clouds on early Matrian climate, Icarus, 145, 546-554
 Mitsuda, C., Yokohata, T., and Kuramoto, K., 2006, Vertical structure an d
greenhouse effect of radiatively controlled CO2 ice cloud layer in a Martian
paleatmosphere, Proc. of the 39th ISAS Lunar and Planetary Science Conference,
128-131
参考文献2
 Pollack, J. B., Kasting, J. F., Richardson, S. M. and Poliakoff, K. 1987, The case for
a wet, warm climate on early Mars, Icarus, 71, 203-224
 Rothman, L. S., and A. Barbe, D. Chris Benner,L. R. Brown, C. Camy-Peyret, M. R.
Carleer, K. Chance, C. Clerbaux, V. Dana, V. M. Devi, A. Fayt, J.-M. Flaud, R. R.
Gamache, A. Goldman, D. Jacquemart, K. W. Jucks, W. J. Lafferty, J.-Y., Mandin,
S. T. Massie, V. Nemtchinov, D. A. Newnham, A. Perrin, C. P. Rinsland, J.
Schroeder, K. M. Smith, M. A. H. Smith, K. Tang, R. A. Toth, J. Vander Auwera, P.
Varanasi, K. Yoshino, 2005, J Quant. Spectrosc. Radiat. Transfer, 95, 139-204
 関口美保, 2004, ガス吸収大気中における放射フラックスの算定とその計算最適化に関
する研究,東京大学博士論文
 佐々木晶, 1997, 火星の表層環境とその歴史, 遊星人, 6, 10, 70-79
 Toon, O. B., McKay, C. P., Ackerman, T. P. and Santhanam, K., 1989, Rapid
calculation of radiative heating rates and photodissociation rates in inhomogeneous
multiple scattering atmospheres, J. Geophys. Res., 94, 16287-16301
 Yokohata, T., Kosugita, K.,Odaka, M. and Kuramoto, K.,2002, Radiative absorption
by CO ice clouds on early Mars:Implication to the stability and greenhouse effect of
the clouds, Proc. of the 35th ISAS Lunar and Planetary Science Conference, 13-16
 Warren, S. G., 1986, Optical constants of carbon dioxide ice, Appl. Opt., 25, 26502674
Appendix
各古火星モデルの概念図
今後の課題
 凝結核混合比の決定機構
 非均質核の”核”の供給源は?




ダスト巻き上げ
隕石衝突
火山噴火
宇宙線
 雲層の上部(高度 35 km)まで核は巻き上がるか?
 成層圏まで含めた大気の循環を調べる必要がある
 対流/雲粒落下の効果
 雲対流を陽に解くモデルを構築中 (北大, 小高グループ)
 雲の水平分布
 大気大循環モデル(三次元モデル), 雲解像モデル(二 or 三次元
モデル)
 雲の温室効果 + 大気微量成分(CH4)の影響
雲パラメタの見積り
 雲層 = 活発な湿潤対流??
 対流の励起源; 放射冷却
 放射冷却 = 凝結潜熱であれ
ば, 対流は駆動されない
 雲成長に伴い, 雲が正味
加熱を受ければ…
 雲層は放射平衡構造へと収
束
 CO2降雨降雪なしに雲構造を
決定可能
本研究:
放射平衡を満たす雲構造と
その温室効果の見積り
火星古気候の謎 (〜 38 億年前)
 温暖湿潤な気候
多数の流水地形(e.g. Carr 2000)
 温暖化メカニズムは?
厚い(〜数気圧) CO2 大気の
温室効果(Pollack et al. 1989)
 暗い太陽下では大気凝結
による温室効果弱化(Kasting
1991)
+ CO2氷雲の温室効果
 雲粒径/光学的厚さ次第で
温室効果強(e.g. Forget and
雲パラメタの
定量的評価が重要
Valley Networks
火星版 暗い太陽のパラドックス
当時の太陽光度
現在の 75% 程度
 恒星進化の理論
(Gough 1981)
温暖湿潤な気候を得るためには, 75 K も
の温室効果が必要(惑星アルベド 0.216 の場合)
 参考 ) 現在の地球型惑星の温室効果
 火星: 2K, 地球: 30K, 金星: 520K
参考) 地球版 暗い太陽のパラドックス
暗い太陽の下でも海が存在していた?
形成時に海の存在が必要となる岩石が 40 億年
前に形成
 堆積岩, 枕状溶岩
現在と同程度の地表面温度が長期的に維持さ
れていた可能性を示唆
当時, CO2の分圧が高かった場合, 理論的
に説明可能 (Kasting 1993)
38 億年前で 1 気圧

雲層での対流安定性
 雲質量混合比の鉛直勾配による成層の判定
 雲層での熱力学第一法則より 1 >> mでは
dq  Cv dT  pdV  Ldm  0
 これに静水圧の式を組み合わせて解くと, 気塊を断熱変
化させた場合の雲質量混合比の鉛直勾配が導かれる

dmad
1  dT
  C p
 g

dz
L  dz
 成層条件
dm dm ad

dz
dz
タイムスケール
 雲の放射時定数: 〜1 日
 大気の凝結率は雲層の放射冷却率に律速される
 放射冷却率: 0.1 K/day
 ただし, 雲粒径が大きくなると光学特性の時間変化が小さ
くなり, 時定数は長くなる
 大気のバルクでの放射時定数: 〜数週間
 雲層の日変化
 雲層の放射冷却率は赤外放射で決まるため, 地表面温
度の日変化に対応した雲層の日変化が存在
 ただし, 平衡解がずれるのみで, 平衡状態へ収束するの
は変わらない
9  iceg 2 ice  1.565E  3[kgm3 ]
ストークス沈降速度 v(r)  2  r air  1.47E  5[Pa* s]
air


併合成長の影響の見積り
 大きい雲粒の粒径を R, 小さい雲粒の粒径を rとするとそ
の相対速度は
9  iceg 2 2
v'(r) 
R r 

2 air
9iceg 2
Ffall  mair
r
2air
雲粒落下フラックスの見積り
 雲粒の落下フラックス [kg/m/sec]
4 r 3
Ffall  n cloud v(r) ice
 m airv(r)
3
 雲粒の落下速度はストークス沈降速度とすると



9iceg 2
Ffall  mair
r
2air
ice  1.565E  3[kgm3 ]
air  1.47E  5[Pa* s]

9  iceg 2
v(r) 
r
2 air
考察
 平衡雲構造の安定性
鉛直断熱的摂動に対して,
雲層の内部領域は安定
 雲質量無視: 対流中立
 雲質量考慮: 対流安定
 地表面温度の凝結核混合比依存性
→ 古火星気候の温暖化が一時的であったことと調和的
* 凝結核混合比を変動させるメカニズムは多数
* 観測的にも 1,2 オーダ程度の変動の存在が示唆
(Twomey and Wojciechowski 1969; Pollack et al.
1979)
凝結核混合比の定量的評価が重要
二酸化炭素相変化の気候への影響
極冠
地表面アルベド
CO2保存
地表面温度
有効放射温度
レイリー
散乱
気体の
温室効果
惑星全体の
放射エネルギー
バランス
惑星アルベド
大気
赤外放射
反射
対流圏上層温度
雲の自己冷却
凝結温度
雲への
赤外加熱
雲への
赤外加熱
氷雲
太陽放射反射
CO2 保存
正の相関
負の相関
放射スキーム : -Eddington 近似
 近似
散乱位相関数を関数 + ルジャンドル関数で表
記する方法.  = 0 のピークを表現.
Eddington 近似
放射強度の天頂角方向の分布をルジャンドル関
数展開し, 二項目まで考慮したもの
I (,) ~ I0() + I1()  天頂角余弦
光学的に薄い場合や, 天頂角が 90 度に近づく
場合, 精度が落ちる (e.g. Goody, 1989)
よりよい精度が欲しい場合(観測屋さん)は adding 法
など.
放射スキーム : Hemispheric mean
Hemispheric mean 近似
散乱位相関数を以下で表現.
 1 + g ( 0 < < 90 )
 1 - g ( 90 <  < 180 )
赤外放射では, δ-Eddington 近似と比較してよい
精度を得る(Toon et al. 1989)