魔方陣講義第20回

魔方陣講義第20回
偶数次魔方陣の一般的解法第1弾
(足し算的手法)
目次
一般の意味
 足し算的手法とは?
 足し算的手法で8方陣を作る
 足し算的手法でできる魔方陣の個数

一般的解法の一般の意味
ここ使っている一般的は魔方陣の一般的解法という
わけではない。魔方陣の一般的解法とは、すべての
解を作る方法を指す。
 むしろここで求める魔方陣は特殊な解である。いわ
ば制約のある解である。もちろん特殊解の集合は一
般解の集合に含まれる。
 ここでいう一般は、4以上のいかなる偶数次魔方陣
も作ることが可能という意味である。2*N次魔方陣
のNが一般的といっているのである。

足し算的手法とは?(その1)
かけ算的手法においては、例えば3次魔方陣と4次
魔方陣から12方陣を作った。
 3×4=12からかけ算的手法と名付けた。
 かけ算的手法によって、多くの偶数次魔方陣が作
れる。12,16,18,20,24次魔方陣など。
 しかし、例えば14次魔方陣は14=2×7なのでか
け算的手法では作れない。2次魔方陣は存在しない
からである。魔方陣は3次以上なのである。
 もし、6次魔方陣と4次魔方陣から10次魔方陣を作
れる方法があれば、次に10次魔方陣と4次魔方陣
から14方陣を作れる。

足し算的手法とは?(その2)
以下同様にして18,22,26,30,・・・・を作れる。
 また4から始めれば4,8,12,14,・・・を作れる。
 2系列を合わせれば、4,6,8,10,12,14,1
6,・・・と4次以上の偶数次魔方陣を作れることにな
る。
 10次魔方陣と4次魔方陣から14次魔方陣を作る
のは10+4の計算に対応するので、この方法を足
し算的手法と名付けるのである。
 だが、そんなうまい方法があるだろうか。あれば、偶
数次魔方陣の一般的解法ということになる。

足し算的手法で8方陣を作る。





4次魔方陣2つから8次魔方陣を作ってみよう。
用意する4次魔方陣は、中抜きで使うか連続する数字で使う
かによって、条件が異なる。
中抜きで使うものは、一般領域で作成できる5428個の内、
次の条件を満たす4736個から任意のものを選ぶことができ
る。連続する数字で使うものは、制約がなく7040個の中か
ら任意の1個を選べる。
その条件とはどの行をみてもどの列も見ても9以上と8以下
が2個ずつ並んでいて、
かつ対角線上も同じく9以上と8以下が2個ずつ並んでいる
という条件
5
16
11
2
5
16
11
2
3
10
13
8
3
10
13
8
14
7
4
9
14
7
4
9
12
1
6
15
12
1
6
15
足し算的手法で8方陣を作る(その2)
先の制約条件を満たせば、2個は同じものであってもよ
い。
 今回は次の2個から作ってみよう。
 今回は、1個目は中抜きで、4分割し対角線外側に埋め
込む、 2個目は中抜きせず真ん中に埋める。

5
3
14
12
16
10
7
1
11
13
4
6
2
8
9
15
15
4
6
9
12
1
7
14
5
16
10
3
2
13
11
8
埋め込み先
埋め込む準備
1個目は9以上のすべての数字に48を加える。
 2個目はすべての数字に24を加える。

5
3
14
62
12
60
64
16
58
10
7
1
59
11
61
13
4
6
2
8
57
9
15
63
39
15
28
4
30
6
33
9
36
12
25
1
31
7
14
38
29
5
16
40
10
34
27
3
26
2
13
37
11
35
32
8
埋め込み
残るは空いてい
るセルの埋め込
み
 残っている数字
は9~24と41~
56である。次の
ように埋める。
 クリックで正解の
一例が出てる。
 その他の埋め方
も考えてみよう。

5
3
17
18
48
47
62
60
64
58
46
45
19
20
7
1
9
54
39
28
30
33
16
51
10
53
36
25
31
38
15
52
56
11
29
40
34
27
49
14
55
12
26
37
35
32
50
13
59
61
24
23
41
42
4
6
2
8
43
44
22
21
57
63
4次魔方陣等の埋め込み方
中抜きの観点でいうと、今回
は右の図の順番で入れてい
る。
 1番目は、1~8と59~64
 2番目は、9~12と56~53
 3番目は13~16と52~49
 6番目は25~40で中抜き
でない。最後に入れる場合
は、4次魔方陣には制約が
なく7040個から選べる。

1
2
1
4
6
5
1
3
1
異なる埋め方の1例
例えば、右のように入れられ
る。
 今回は、真ん中に組み込む
方に制約があり4736個か
ら選ぶ。
 対角線外側は制約がなく70
40個から選べる。

6
2
6
4
1
5
6
3
6
埋めて
29
27
17
18
48
47
38
36
40
34
46
45
19
20
31
25
9
54
63
4
6
57
16
51
10
53
60
1
7
62
15
52
56
11
5
64
58
3
49
14
55
12
2
61
59
8
50
13
35
37
24
23
41
42
28
30
26
32
43
44
22
21
33
39
考えてみよう。
1~6は任意の順番で埋め
られる。
 1は中抜きで使えば、4736
個、連続で使えば7040個
の入れ方がある。
 6も同様
 23、45をセットで考えるとそ
れぞれに入れられるのは4
736個以上である。4次魔
方陣も入れられるからであ
る。

1
2
1
4
6
5
1
3
1
魔方陣数を計算しよう!
4次魔方陣は対角線の条件も満たしているが、対角線
の条件は不要なので、23および45に入る場合の数は
遙かに大きい。
 10,000と仮定して計算すると、少なくとも
 4!×4,736の2乗×10,000の2乗
 =53,831,270,400,000,000通り
 これは1,6両方中抜きにした場合である。つまり約5京
 足し算的手法は、非常に制約された方法である。それに
もかかわらずこれだけの数になるのである。一般解の個
数は見当もつかないほど大きい。

続く