宇宙物理学 総研大 2007年度 小玉英雄 構成 宇宙の階層構造 星の構造と進化 宇宙の構造と進化 1. 2. 3. 1. 2. 3. 宇宙モデル 宇宙の物質進化 宇宙の構造進化 第3章 宇宙の構造と進化 3.1 宇宙モデル 3.2 宇宙物質の起源と進化 3.3 インフレーション 3.1 宇宙モデル 一様等方宇宙モデル Hubbleの法則(1929) K=0 銀河の後退速度 / 距離 v= H0 r 宇宙の膨張と一様等方性 Robertson-Walker宇宙モデル • 空間は一様等方で,一様な曲率 K をもつ • 空間のサイズ a(t)が時間 t 共に増大 K>0 K<0 基礎方程式 時空次元 D=1 + n 等長変換群 G=ISO(n), SO(n+1), SO(n,1) ) 空間は定曲率 時空計量 エネルギー運動量テンソル Einstein方程式 G + g = 2 T エネルギー保存則 r T=0 宇宙パラメータ ハッブル定数 宇宙膨張の方程式 密度パラメーター エネルギー方程式 wパラメーター(関数) 物質組成 単純な宇宙モデル w=一定のとき 特徴 <0 の時,常に宇宙は有限時間で収 縮を始める. =0の時は,K=0ないしK<0なら,宇 宙は膨張を続ける. >0の時,Kがある正の臨界値より大 きいと,再収縮するとサイズが有限な 最小値を持つ解の2つが存在. Friedmannモデル (D=4, =0, M=n+r) M=1 (Einstein-de Sitterモデル: K=0) M<1 (Openモデル; K<0) M =0 (Milne宇宙: K<0) 平坦モデル (K=0, w=一定) 物質優勢(4D,=0): =2/3, t0=2/(3H0)=9.3 Gyrs (0.7/h) 輻射優勢(4D ,=0): =1/2, t0=1/(2H0)=7 Gyrs (0.7/h) Flat CDM (4D, M=0.25): t0 ' 1.01 /H0=14Gyrs (0.7/h) 時空特異点 宇宙膨張の加速度 (宇宙項 は = -P = と対応.) 宇宙の初期特異点 強エネルギー条件 が満たされれば、必ず有限な過去にa=0となる.すなわち,宇宙は有限な年齢をもつ. Big-Rip特異点 w<-1のとき,=-n(1+w)/2(>0) とおくと, より,有限な時間でスケール因子も密度も発散 Raychaudhuri方程式 強エネルギー条件 RV V ¸0 が満たされるとき, 重力は引力となる. 一旦収束し始めた非回転的光線束(時間的測地線 束)は 有限時間内に「一点」に収束する. Hawking-Penroseの特異点定理 強エネルギー条件(+一般性条件) 因果性条件 強重力条件(捕捉的集合の存在) の3つの条件が満たされるとき,無限に延長できない光的 ないし時間的測地線が存在する 光の伝搬 光波面の方程式 RW計量が と表される座標系において, 宇宙論的赤方偏移 動径距離の位置から時刻 t およびt+ t に出た光が原点=0 に到達する時刻 をそれぞれ t0, t0+ t0 とすると これより,時刻 t に共動的天体から出た光の赤方偏移は ホライズン 現在 粒子ホライズン 時刻 t の観測者を頂点とする過去の光円錐は 時刻 t までに観測できる球領域の共動半径 LH(t) は LH は次の条件が満たされると有限となる. LH(t)は,初期面上の1点から出た光波面の時刻 t での共動半径と一致する. Hubbleホライズン ゆらぎの力学的振る舞いなどでは,Hubbleホライズン半径 1/Hが上記の LH(t)より重要となる. Friedmannモデルでは,Hubbleホライズン半径は LH(t) と同程度となり,時 間 t に比例して増大する. 時間 宇宙晴上 り 初期面 宇宙の熱史(概要) エントロピー密度 温度の変化 3.2 宇宙パラメーターの観測 宇宙パラメーターの決定法 幾何学測定 物質の存在量,組成の観測 電磁波(電波・赤外線・光・X線観測) ) ガスの量 銀河・銀河団の構造・運動,重力レンズ ) ダークマターの量 宇宙サイズの時間変化の観測 半径と円周長,半径と面積 半径と体積 (例えば,距離と銀河数の関係) 過去の宇宙膨張率 H の測定 宇宙膨張(進化)に依存した物理量(の関係)の観測 一般に,実際の観測量では,これらは複雑に絡み合う. 宇宙における天体までの距離測定 光度距離 固有光度 L,見かけの明るさ Fobs ) L=4 dL2 Fobs ) 光度距離 dL 角径距離 固有径 D, 見込み角 ) D = dD ) 角径距離 dD: 一般に 固有量 + 見かけの量 ⇒ 天体までの(様々な)距離 宇宙の距離はしご 方法 適用距離 年周視差測定 0~100pc 星団視差法 100pc~10kpc 散開星団主系列星 100pc ~ 50kpc Cepheid型変光星 Tully-Fisher法 SN Ia 10kpc~25Mpc 10Mpc~200Mpc 60Mpc~4000Mpc Hubble Telescope Trigonometric Parallax Hipparcos Satellite 1989.8.8 -- 1993.6 高精度視差観測衛星 角度精度 1/000'' 118,274個の恒星の視差を観測 JASMINE (Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration) http://www.jasmine-galaxy.org/indexj.html 高精度赤外線位置観測衛星 角度精度 10 s 1億個の恒星(銀河面の半分)を観測 予定 Star Cluster Parallax 散開星団の距離決定法 星団内の星の天球での運動方向の 交わり => 星団の運動方向 これと赤方偏移観測により,視線に 垂直な運動速度を決定. この速度と天球上ので固有運動の 観測から距離を決定. 適用範囲;我々の銀河系内 標準距離指標のキャリブレーションに 利用 主系列星や赤色巨星の表面温度ー 光度関係 変光星の光度ー周期関係 Hyades: by Hipparucos From Perryman et al. (1998) A&A 331: 81: Main Sequence Fitting 主系列星を含む星団の距離決定法 星団のHR図から主系列星を取り出す. 主系列星の温度ー光度関係と温度の観 測から光度を決定 適用範囲:Magellan雲 キャリブレーションへの利用 SMC, LMC内のCepheid変光星の光 度ー周期関係 Cepheid Variables Cepheid型変光星の距離決定 周期光度関係 <MV> = -3.53 log P + 2.13 (<B0> - <V0>) + f f ~ -2.25: a zero point. P in days 適用範囲: 7Mpc (M101) on Ground; 25Mpc by HST Cepheidは超巨星であるため,遠方まで観測可能. Pop I 型星なので,楕円銀河(や球状星団)には含まれない. Mathewson, Ford and Visvanathan (1986) ApJ 301: 664 Hubble Key Project H0= 71 ± 6 km/s Mpc From 25 galaxies Mould et al.(2000) ApJ 529: 7867 RR Lyraes RR Lyrae型変光星の距離決定 光度がほぼ一定:<MV> = 0.75 ± 0.1 Cepeidより2等ほど暗い. Pop II型星なので,楕円型銀河,球状星団に存在. Planetary Nebulae 惑星状星雲を用いた銀 河の距離決定法 惑星状星雲の光度関数が 普遍的であることを利用 HII領域と比べて非常に明 るい[O III] l5007 輝線によ るnarrow band観測が有 効 適用範囲;Virgo銀河団以 遠 Faber-Jackson Relation 楕円銀河の距離決定法 楕円銀河の光度Lと中心 速度分散 の関係(L-4) を利用 適用範囲: Tully-Fisher Relation 渦巻き銀河の距離決定法 渦巻き銀河のHI輝線の回転によ るDoppler幅と絶対光度の関係 を利用 適用範囲: <200Mpc 問題点 分散が大きいため,銀河団内の 5,6個の銀河のデータが必要 理論的根拠が不明 SNIa Ia型超新星までの距離 光度曲線が、ピーク時の 色指数と光度減衰時間に よりよく分類されることを用 いて,絶対光度を推定. 適用距離: >60Mpc その他の距離指標 銀河の最も明るい星 HII領域 新星(ピーク光度と減衰時間相関) 銀河の表面輝度ゆらぎ 球状星団光度関数(普遍性) 渦巻き銀河の腕の太さ Sosie法 銀河団の最も明るい銀河 GRBs Hubble定数 by HST Hubbleの法則 cz = H0 d (v/c ¿ 1) H0の観測値 H0= 71 +/- 7 km/s/Mpc 光度距離ー赤方偏移関係 赤方偏移 z と宇宙サイズ a の関係 距離と面積の関係 dL – z関係 Extended Hubble Diagram Flat ΛCDM models Curved CDM models Degeneracy SNIa as a Standard Candle Ia型超新星までの距離 光度曲線が、ピーク時の色指数と光度減 衰時間により良い精度で分類されることを 用いて,絶対光度を推定. 適用距離: >60Mpc これまでの観測 (High z) Supernova Search Team 1998 Riess AG et al 16 SNe Ia (z=0.16-0.62) + 34 nearbys 2004 Riess AG et al 16 SNe Ia (z>1.25 by HST) + 170 SNe Supernova Cosmology Project 1997 Perlmutter S et al 7 SNe Ia (z=0.35-0.46) 1998 Perlmutter S et al 42 SNe Ia (z=0.18-0.83) 2003 Knop RA et al 11 SNe Ia (z=0.36-0.86, HST) Supernova Legacy Survey 1st yr 2005 Astier P 71 SNe Ia (0.249<z<1.01) + 44 nearbys Supernova Legacy Survey SNLS collaboration: A&A 447:31 ( 2006) Dark Energy Dark Pie of the Universe 通常物質 暗黒 物質 ダークエネルギー WMAP Collaboration: ApJ Suppl. 170:377 (2007) SDSS Collaboration: ApJ 633: 560 (2005) 3.3 Thermal History 現在の宇宙の物質構成 可能な成分 非相対論的: baryonic matter, light massive neutrinos, dark matters, (primordial) black holes 相対論的: CBR(CMB, CIB, CXB), GW, massless neutrino その他: /Dark energy エネルギー密度 h=0.696-0.762 ) cr=1.88£ 10-29 h2 g/cm3 = 2.77£ 1011h2 M⊙/Mpc3 = 1.12£ 10-5 h2mp /cm3 Dominant components[ WMAP 3 yrs 1: flat power-law CDM] h2b=0.021-0.023, h2M=0.114-0.134, =0.732-0.803 Radiations: CMB: TCMB=2.735+/- 0.06 K (COBE) ) h2CMB=2.39£ 10-5 T2.74 IR/Optical/UV: IR+opt+UV » 5£ 10-7 h-2 X: X » 6£ 10-9 h-2 エントロピー密度 CMB: sCMB= 1440 T2.73 cm-3 Photon-baryon ratio: sCMB/nb=1.28£ 108 (h2b0)-1 cf. (s/n)star»30, sopt/sCMB» 10-5 Baryonic matter 存在形態 星 ガス 恒星 中性子星・白色矮星・ブラックホール 褐色矮星 惑星・衛星 星間ガス 銀河群の暖かいガス 銀河・銀河団電離ガス 銀河・銀河団外ガス Lymannα雲 組成 主要成分: 水素:ヘリウム=10:1(個数比) メタル 種族I: X=0.7, Y=0.28, Z=0.02 種族II: X=1-Y-Z. Y=0.25 +/- 0.03, Z=2£ 10-3» 2£ 10-5 重い元素間の相対比は種族によらない. 軽元素 He: Yp=0.249 +/- 0.009 D/H = (2.78+/- 0.29)£ 10-5 , ( 3He/H)p » 10-5 ( 7Li/H)p ' 2£ 10-10 e 熱化学平衡における物質組成 一般論 全体でa種類の粒子Ai が互いに相互作用しているとする.起こりうる反応を, kiI (I=1,,b)を有理数の列として,kI¢ A ≡ i k Ai= i kiI mi c2 ≡ QI と表す.ベクトル列 kI は一次独立にとることができる.このとき,ni をAi の粒 子数密度として,c=i li ni の反応による変化は, c/ l¢ kI.よって,独立な保 存量(の密度)c=l¢ nがa-b個存在.よって,反応が化学平衡にある条件を 考慮すると,a個の独立な式 が成り立つ.これより,温度と保存量密度(c)が与えられると,すべての種類 の粒子数密度(ni)(および化学ポテンシャルi)が決まる. Sahaの式 反応 A + B + … $ C + … +Q が化学平衡にあるとき 電離平衡 水素 H+ + e ! H + , QH=13.6 eV に対して,Xe=ne/nHは より,Trec ' 3800Kより高い温度では水素はほぼ完全電離 する. ヘリウム He+ + e ! He + : QHeI=24.6 eV ) THeI' 7,000K + ++ He + e ! He + : QHeII=54.0 eV ) THeII' 16,000K よりHeの電離する温度はさらに高くなる. 核種平衡 Z p+ N n ! X(Z,A) + QXに対して, より,一般に 程度の温度で原子核X(Z,A)は分解する. 例えば, 重水素: QD=2.22 MeV ) TD' 74keV' 8.6£ 108 K ヘリウム:QHe=27.25 MeV ) THe' 300 keV. e--e+平衡 対生成・消滅反応 e- + e+ $ 2 について平衡が成り立つとすると,e +e+=0より, Boltzmann近似が成り立つとき,Xe+=ne+/npに対して, ここで これより,TがTe‘ mec2/25 ’ 20 keV以上となると,陽電子が電子と同数程度となる. さらに,Tがmec2‘ 500keVより十分大きくなると,電子と陽電子の数密度は,いずれも光子の 3/4倍に近づく.このとき,光子のもつエントリピーは光子,電子,陽電子に,1:7/8:7/8の割合 で配分される. p-n平衡 p/nの比を変える反応は これらの反応について平衡が成り立つと,e= '0として, したがって、T>>Qnでは陽子数と中性子数は同数となり、逆にT<<Qn (た とえば、T=TD)では、中性子はほとんど存在しないことになる。しかし実際 には、ニュートリノとの相互作用がT >> Qnで無視できるようになるので、 平衡の場合より長く中性子が残存する。 非平衡な粒子数変化 一般論 種類 i の粒子の数密度を ni, その単位時間当たりの消滅率をi, 生成率をi、宇宙膨張率をHとすると、 が成り立つ。ここで、i, i は注目している相互作用系の温度T と保存量密度c=(c)の関数。 宇宙膨張が無視でき、完全な化学平衡にあるとき、ni=ni (0) (T,c)(熱化学平衡値)が成り立つ。これより、i とi の依存する 粒子数が化学平衡にあるなら、それらの間には i=ni (0) i の 関係が成り立つ。このとき、 >> Hのとき において、第2項は宇宙膨張より速くゼロに近づく。さらに、第3項と第1項の比は H/iの程度となる。したがって、良い精度で ni(t)=ni(0)(t)が成り立つ。 << Hのとき より、a3n(0) が単調減少のとき、 よって、 なら、(a3n)(t)' (a3n)(t0) が良い精度で成り立つ。 粒子数の凍結 以上より、粒子の反応率が /H <1 となると、その粒子数が凍結される。 宇宙の晴れ上がり 宇宙の光学的厚み 現在から測った宇宙の光学的厚み は、ne を電子数密度、T を Thompson散乱断面積として Xeとして平衡値を使うと、x=Trec/Tとして より、Tdec '3030Kで '1となる。 WMAPの観測値とCMBFIRSTから決めた値は,Tdec' 3000K. 現実の宇宙は,z<zr=10.9(+2.7/-2.3)(=0.10+/-0.03)で再電離 (WMAP3yr). ニュートリノ反応 ニュートリノ数の凍結 反応断面積: » GF2E2 » 2 E2/MW 2. 宇宙膨張率との比較: ' (T/~ c)2 c ) /H' 2 MplT3/MW 4' (T/T)3. より,T<T ' 3MeVでニュートリノ数は凍結. 正確には,e-+e+ $ + ’において,,はZ粒子のみが寄与するのに対して,eに対してはWも寄与するの で反応率が6.3倍あり,eの乖離温度は (500MW 4/Mpl)(1/3)' 1.2 MeVと少し低くなる. 残存ニュートリノ ニュートリノ乖離後,電子陽電子対消滅によりそれらの持っていたエントロピーが光子に流れるため,ニュー トリノ数と光子数の比は減少する. 現在非相対論的(m > 2£ 10-4 eV)な残存ニュートリノ(HDM)のエネルギー密度は P/N比 中性子数の変化する反応 Xp+Xn=1に対して ここで, 反応率 Aは中性子の寿命より決まる: また,pとnは詳細釣り合いの原理より,p=exp(-Qn/T)n で結ばれる. 中性数の変化 Xnの発展方程式は,x=Qn/Tとして, に従う.ここで,Rnは,全統計的重みNおよびn, Qnを用いて次のように表される: β崩壊の寄与(第2項)を無視したとき,XnはT<<Tn» Qnで定数に近づく.ここで, この近似値をXn(0)とすると,β崩壊を考慮したXnの振る舞いは,T<<Tnで T=TnでのXnの値は1/6程度 Big-Bang Nucleosynthesis 合成反応 p D p+n n p D n e D n e 3He n p D 重い元素生成の障害 e 3H 4He 2p 3He 3He n p p 7Li p D 3H A=5,8に安定な原子核が存在しない。 7Be 軽元素の観測 He: Yp=0.249 +/- 0.009 D/H = (2.78+/- 0.29)£ 10-5 ( 3He/H)p » 10-5 ( 7Li/H)p ' 2£ 10-10 エントロピーへの制限 4.5 < 10=1010£ < 6.5 (95%CL): =nB/n. バリオン密度パラメータで表すと 0.017 < b h2 < 0.024 (95%CL) Cf. lum' 0.0024 h-1 Cf. 星でのヘリウム合成 SN rate:» 30yr, SN爆発をする星の質量 M » 10M⊙、爆発で放出される重い元素の割合ZSN» 0.6、銀河 のガスの総量 MG » 1011M⊙とすると,宇宙年齢の間に宇宙空間に放出される重い元素の量Zは, これは,種族Iの重元素組成を説明する.また,星の中での元素合成により観測されるヘリウムの量をとうて い説明できないことも意味する. PDG2006:review on BBN Quark-Hadron Transition バッグモデル ハドロン相: クォーク相: 自由エネルギー 転移温度 バッグモデル Lattice QCD: TQH '150 MeV (相転移でない可能性あり) Dark Matter 分類 HoT DM: m<100MeVのニュートリノ(実質的にe,,のみ) 最初輻射と熱化学平衡にあり,相対論的な時期でかつQH転移の 後に輻射と乖離 Warm DM: QH転移の前に輻射と乖離することを除いて,Hot DMと同様 Cold DM: neutralinos, axions, … 生成時ないし輻射との乖離時に非相対論的 WIMPs 熱化学平衡値 粒子数が保存量でないとき,X=0より 粒子数の凍結 粒子数の時間変化の方程式は,nX=nX’ として, 反応断面積が h vi= 0 (T/mX)n と振舞うとすると,nX/n=(gX/2)(3/4)F Y, x=mX/Tとおくとき, これより,凍結後の時期(x>x_*>1)での粒子数変化は 粒子数の凍結は,TX ' mX/20で起きる. 密度パラメーター Axion 電磁場との相互作用および質量が次式で与えられるとする. 密度パラメーター QCD axion (ga» 10-3/fa)に対し,PQ対称性の自発的破れのスケールをfa,axion場の振幅に 対応する初期位相をiとして、 ここで,a=0.5»3 [PDG2006] 観測的制限 球状星団の水平分枝星(Heコア燃焼段階の星)の寿命推定より,ga<1/1010 GeV. CAST実験:太陽からのアクシオンがCAST実験で検出されていないことより, ma<0.01 eVに対して,ga<8.8 £10-11 GeV-1 (95%CL) [CAST Coll: JCAP 04:010 (2007)] Electroweak Transition 対称性の自発的破れ: UY(1)£ SU(2) ) Uem(1) Weak boson Z, Wに質量を与える. レプトンとクォークに質量を与える. Chiral Anomaly バリオンカレントを とおくと,カイラルアノーマリーより 巻き付き数 が変化すると,バリオン数も変化する: B=nf nw . GUT Standard model GUT Ref: Wilczek, F: in Physics in the 21st Century, eds. K.Kikkawa et al.(1997, World Scientific) Coupling Constant Unification Standard Model MSSM De Boer, W & Sander, C: PLB585, 276(2004)[hep-ph/0307049] Baryogenesis Sakharovの3条件 B非保存反応 CとCPの破れ 非平衡反応 GUT baryogenesis: » 0.01e SU(5): (B-L)=0 Heavy gauge bosons X: (3,2,-5/6) ! lLdR (1/3), qL’uR’(-2/3), qLeR(2/3) Heavy higgs bosons H: (3,1,4/3)! ur er(1/3), qLlL(1/3)dR’uR’(-2/3),qK’,qK’(-2/3) SO(10): (B-L)0 Electroweak anomaly Winding numberの変化は,バリオン数の変化を生む: B= B5=nf nW. 1013 GeV> T>Tc ' TEW で , spherelonの励起により B= L を保って, バリオン数とレプトン数が変化.) B-L=0なら B=L=0に緩和. よって,バリオン数がEW転移の後に残るためには,B-L0が必要. 逆に,レプトン数を生成しB-L\neq0とできれば,EW転移の後にバリオン数が残る. (Leptogenesis) Cline JM: Baryogenesis, hep-ph/0609145 Trodden M: Electroweak baryogenesis, RMP71:1463(1999). Inflation Model 平坦性問題 (古典的な)宇宙の始まり Planck定数 h, 光速 c, 重力定数 G Einstein方程式 Planck時での空間曲率 Planck時間 tpl ¼ 10-43s Planck長 Lpl ¼ 10-33cm Planckエネルギー Epl¼ 1019GeV ¼ 1032 K Planck時の曲率半径 > 1030 Lpl 平坦性問題は,宇宙初期にエネルギー密度 m が曲率 K/a2より緩やかに減少する(i.e. 宇宙の加速膨張)時期が十分長く続けば解消される. ホライズン問題 Friedmannモデルを仮定すると 我々がCMBで観測する領域のサイズ は,宇宙晴上りの時点で,ホライズン サイズの50倍程度 現在 時間 観測領域で,CMB温 度ゆらぎは 10-5 程度 宇宙晴上り 初期面 宇宙の一様等方性は,宇宙誕生時の 初期条件.量子論と整合しない. ホライズン問題も,宇宙初期に宇宙膨張が加速する時期が十分長く 続くと解消される. 宇宙膨張の起源 なぜ宇宙は膨張を 始めたのか? 宇 宙 の 膨 張 速 度 イ ン フ レ ー シ ョ ン 熱いビッグバン宇宙 宇宙時間 暗 黒 時 代 現 在 の 宇 宙 の 加 速 膨 張 宇宙構造の起源 Friedmannモデルを仮定すると、 宇宙誕生時のゆらぎのスペクトルは L 観測は 「曲率ゆらぎがすべてのスケールで一定」(HarrisonZeldovichスペクトル)を支持。 モノポール問題 素粒子標準モデルの 構造と限界 大統一理論 宇宙初期での相 互作用の分化 バリオン数生成 相 互 作 用 強 度 SU3 電磁力 GUT SU2 ??? U1 重力 1012 K 1015 K QH WS 宇宙相転移 温度 1028 K 1032 K GUT インフレーション 位相的励起の過剰生成 (モノポール、宇宙ひも, ドメインウォール) 真空のエネルギー インフレーションモデル • ビッグバンの起源 宇 宙 の 膨 張 速 度 イ ン フ レ ー シ ョ ン 熱いビッグバン宇宙 • 平坦性問題 宇宙初期での 加速膨張 解 決 • ホライズン問題 • モノポール問題 • 宇宙構造の起源 インフラトン =重力が斥力となる物質 宇宙時間 宇宙加熱(graceful exit)問題 新インフレーションモデル カオスインフレーションモデル 量子ゆらぎから銀河へ インフレーション時 インフラトンの量子ゆらぎは,波長が1/Hとな るときにほぼ一定の振幅をもつ(モデル依 存). ゆらぎは,波長が 1/H を超えると,それに伴 う曲率が時間的に変化しなくなる. インフラトンの量子ゆらぎはスケール不変な 宇宙ゆらぎを生成する. 同様に,インフレーションによりスケール不 変な重力波背景放射が生成される. 宇 宙 の 加 熱 宇 宙 の 晴 上 り 熱い膨張宇宙 長 さ インフレーション後 インフラトンのゆらぎは再加熱により通常の 物質密度のゆらぎに変化し,CMBのスカラ 型ゆらぎを生み出す. 重力波背景放射は宇宙晴れ上がり後, CMBにテンソル型ゆらぎを誘起する. 時間 t 現 在 予言 現在の宇宙は非常に平坦で ある. 宇宙構造の種となるゆらぎは Zeldovichスペクトルとなる. 曲率ゆらぎはスケール不変 , ns ¼ 1 WMAP data: ns= 0.951+0.015-0.019 課題 インフレーションの詳細は不明 インフレーション後の加熱機構は 不明 加速膨張の程度,期間 インフラトン場のエネルギー スケール 特に,再加熱温度と時間 基礎理論(重力を含む統一理論) のみに基づいたインフレーションモ デルは作られていない. Cf. 加速膨張に対するNo-Go定理 Future Experiments Projects Beyond Einstein (USA) Cosmic Vision P. (ESA) インフレーションのメカニズムを探る には,重力波の観測が決定的. CMB円偏光成分(Bモード)観測: Polar Bear, Quiet (羽澄G) Inflation Probe … 重力波の直接観測: LISA, DECIGO 2010年代後半から宇宙物理学は黄 金期を迎えるであろう! 参考図書 全般 高原文郎著: 宇宙物理学 (朝倉書店,1999) 佐藤文隆著: 岩波講座現代の物理学11 宇宙物理 (岩波書店,1995) 湯川秀樹,林忠四郎,早川幸男編:岩波講座 現代物理学の基礎12 宇宙物理学(岩 波書店,1973) 小玉英雄著: 相対論的宇宙論 (丸善,1991) 小玉英雄著: 宇宙のダークマター (サイエンス社,1992) シリーズ現代の天文学 全17巻 (日本評論社,2007-) 星の構造・進化 Clayton DD: Principles of Stellar Evolution and Nucleosynthesi (UCP, 1983) Kippenhahn R, Weigert A: Stellar Structure and Evolution (Springer, 1994) Shu FH: Physics of Astrophysics I Radiation & II Gas Dynamics (University Science Books, 1991, 1992) Gallart C, Zoccali M, Aparicio A: The Adequacy of Stellar Evolution Models for the Interpretation of the Color-Magnitude Diagrams of Resolved Stellar Population, Ann. Rev. Astron. Astrophys. 43: 387-434 (2005). Shapiro SL, Teukolsky, SA: Black Holes, White Dwarfs and Neutron Stars (John Wiley and Sons, 1983) 参考図書 中性子星 太陽ニュートリノ・ニュートリノ物理 Haensel P, Potekhin AY, Yakovlev DG: Neutron Stras 1 Equation of State and Structure (Springer, 2007) Fukugita M: Astrophysical Neutrinos and Nucler Physics, Trends in Nuclear Physics (CIII Corso, 1989) Strumia A, Vissani F: Neutrino masses and mixings and …, hepph/0606054. Particle Data Group: http://pdg.lbl.gov/2007/reviews/numixrpp.pdf 銀河系 Binney J & Tremaine B: Galactic Dynamics (Princeton U Press, 1988) 参考図書 宇宙論 Particle Data Group Live http://pdglive.lbl.gov/listings1.brl?exp=Y Kolb EW, Turner MS: The Early Universe (Perseus Books, 1993) Liddle AR, Lyth DH: Cosmological Inflation and Large-Scale Structure (CUP, 2000) 問題 問題1 問題2 3反応の反応率とその基本定数への依存性の計算 光子が散乱しながら太陽の中心から表面に到達する のに要する時間を計算 輻射輸送に対する拡散近似式を,実際に光子拡散に よるエネルギー輸送を評価することにより導け. 問題3 4Heの光分解が起きる温度をSahaの式を用いて推定 せよ。 問題4 宇宙の晴れ上がり近傍での水素の電離率Xe=ne/nH の時間変化を数値的に求め,Sahaの式を用いた場 合と比較せよ. 水素中性化以降でも有限な電子密度が残ることを考 慮して,現在から過去向きに測ったCMB光子の光学 的深さを時間の関数として求めよ. 残留自由電子とCMBとの相互作用を考慮して,宇宙 の晴れ上がり後でのバリオン的物質の温度変化と Jeans長の変化を求めよ. 問題5 宇宙進化に伴う統計的重みg(T)の時間変化を温度の 関数として求めよ.
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