ショック・循環不全

ショック(循環不全)の理解と
急変時看護のポイント
北光記念病院
心臓血管外科 大川洋平
ショック・循環不全
ショックの概念と定義
ショック
この言葉でどんなことを連想しますか?
ショックの概念

「ショック」
広辞苑

急に加わる強い打撃。衝撃。 追突のショック

予期しないことに出会ったときの心の動揺。心理
的衝撃。「―を受ける」 失恋のショック

急激な末梢血液循環の不全状態。血圧および体
温の低下、意識障害等を来し、重症の場合、脳・
心臓・腎臓などの機能障害を招来して死に至る。
出血・外傷、細菌毒素の作用などが原因。
ショックの定義の変遷1

1743年にフランスのLeDuranという医師が最
初にこの言葉を「弾傷治療の経験の反省」で
使った。
日本では徳川吉宗が将軍だった
 中国では清王朝
 アメリカは独立に程遠い


モーツァルトは産まれてなくてバッハやハイドンの
時代
ショックの定義の変遷2

1883年「国際外科辞典」
ショックは単に心臓血管系だけに限局せず
神経系全体の機能に関しての反射麻痺状
態である
医学界における近代的な意味の初めての定義
日本鉄道の上野駅が開業。 [独]コッホ、コレラ菌を発見
ショックの定義の変遷3

1940年 Blalock
ショックとは、血管床の大きさと血管内液体
容量の不一致による末梢循環不全である
末梢循環に言及する定義
ショックの定義の変遷4

1964年 Simeone
心拍出量が低下して、十分な血液を臓器や
組織に供給することの可能な血圧で、動脈
系に血液を送ることができなくなった場合に
生ずる症候に特徴づけられる臨床的な状態
ショックの定義の変遷5

1982年 宮崎正夫
出血や細菌毒や心臓自体の病変、あるいはアナフィラキ
シーや薬物の反応によって、心機能が高度に抑制されて、生
体機能を維持するのに必要な心拍出量が減少し、組織循環
の不全を起こす。この急性症候に対して生体は自律神経や
内分泌反応で防御体制をとるが、循環不全は組織細胞の低
酸素症をきたし、細胞代謝が障害され、アシドーシスの発生
や乳酸の蓄積などの諸症状が出現し、適切な治療を早期に
行わないと悪循環に陥って、不可逆性の重要臓器不全が起
こって死亡する症候群である。
現在たどりついた一応の定義
ショックの基本的病態

「必要としている場所に必要なだけの血液を
送れなくなった状態」
つまり、循環不全
ー重要な臓器の組織潅流量の低下ー
全てのショックに共通した基本的病態
SIRSという概念

1992年アメリカ合同医学会で提唱
Systemic Inflammatory Response Syndrome
外傷や疾病の後に、その原因の如何を問わず生体
に全身的な炎症症状が起こった状態
ショックとSIRS
 ショックの基本は「重要な臓器の組織潅流量
の低下」
 この低下の程度と持続時間が予後に大きく関
わる
 ここに炎症反応という要素を前面に押し出し
たのがSIRS
SIRSの概念
第23回救急救命士国家試験問題
第23回救急救命士国家試験問題
1.
2.
3.
4.
5.
一回換気量は約500mlである。
呼吸数は約20回/分である。
肺胞気の酸素分圧は約100mmHgである。
心拍出量は約5リットル/分である。
心拍数は約70回/分である。
4
第23回救急救命士国家試験問題
第23回救急救命士国家試験問題
1. 気管支拡張作用があるため、気管支喘息
の発作時に用いられる。
2. 末梢血管を拡張ではなく、収縮させる。
3. 心拍数を増加させる。
4. 心収縮力を増加させる。
5. 瞳孔を散大させる。
2
第23回救急救命士国家試験問題
第23回救急救命士国家試験問題
薬物アレルギーは、投与量には無関係で、微量の
接種でも起こる。
3
10:30
ショック・循環不全
ショックの病態と分類
ショックの病態
どんな患者を見た時にショックだなと思うか?
復習
ショックの基本的病態を言いなさい
ショックの典型的な状態
顔面は蒼白で苦悶状であり、ぐったりしている。
手足は冷たいにもかかわらず、冷汗のためか
皮膚は湿っている。家族が心配して呼び掛けて
も周囲のようすにはほとんど無関心である。脈
拍は速く、弱く、触れにくい。血圧は最大
80mmHg以下で脈圧も小さい。呼吸は不規則で、
浅く速い
ショックの5P

pallor 顔面蒼白

prostration 虚脱

perspiration 冷汗

pulselessness 脈拍触知不能

pulmonary deficiency 呼吸不全
「具合い良そう(ぐあいよそう)」

ぐ=ぐったり

あ=汗

い=息苦しい

よ=弱い脈拍

そう=蒼白
ぐ=ぐったり

prostration 虚脱
筋肉の緊張性が低下し、結果として患者はぐった
りと虚脱状態となる。
あ=汗

perspiration 冷汗
交感神経系の緊張により汗腺が開き、冷汗が出る。
冷汗は四肢に始まることが多く、順次体幹に及ぶ。
患者は寒気を訴えることが多い
敗血症ショックの場合はこれと異なり、頬は紅潮し
温かく乾燥していることが多い。
い=息苦しい

pulmonary deficiency 呼吸不全
初期には呼吸は速く浅いが、意識障害の増悪と
ともに呼吸運動は弱くなる。さらに悪化すれば舌
根沈下から気道閉塞をきたす。
ショックの患者の搬送に当っては決して呼吸状
態から目を離すことなく、常に最良の気道確保が
できる用意が必要
よ=弱い脈拍

pulselessness 脈拍触知不能
一回心拍出量の減少を表す、多くの場合脈拍数
は増加(100-120/分)する。
橈骨動脈触れる:
肘動脈:
大腿動脈:
頸動脈:
80mmHg
60mmHg
40mmHg
20mmHg
そう=蒼白

pallor 顔面蒼白
交感神経の緊張により末梢血管は収縮し、結果
として顔面は蒼白となる。
敗血症ショックの場合はこれとは異なる。
ショックの分類 1
1.
神経性ショック(neurogenic shock)
一次性ショックともいう
2.
3.
4.
5.
6.
7.
循環血液量減少性ショック(hypovolemic shock)あるいは出血性
ショック(hemorrhagic shock)
細菌性ショック(bacteremic shock)、敗血症ショック(septic shock)、
エンドトキシンショック(endotoxin shock)
心原性ショック(cardiogenic shock)
アナフィラキシーショック(anaphylactic shock)、アレルギー性
ショック(allergic shock)
熱傷ショック(burn shock)、体液喪失性ショック(shock due to loss
of body fluid) 2.に含まれる
薬物性ショック(drug induced hypotension) 5.とは原因が薬剤の
中毒である点が異なる。
ショックの分類 2
1.
循環血液量減少性ショック
1.
2.
2.
心原性ショック
1.
2.
3.
3.
失血(内出血や外出血、それぞれに外傷性と非外傷性がある)
脱水(体液喪失(血漿、消化管液、汗など))
心収縮力低下(急性心筋梗塞、心筋炎など)
機械的障害(僧帽弁逆流、大動脈弁逆流など)
「閉塞性ショック」(心タンポナーデ、緊張性気胸など)
その他のショック
1.
2.
3.
感染性ショック(敗血症性ショックともいう)
アナフィラキシーショック
神経原性ショック
急変時の現場におけるショック分類法
1.
水が足りないショック
1.
2.
2.
心臓が悪いショック
1.
2.
3.
直接的
間接的
肺が悪いショック
1.
2.
4.
絶対的
相対的
器質的
機能的
その他
水が足りないショック

絶対的…体の水分量が少ない
循環血液量減少性ショック
熱傷ショック

相対的…体の水分量は同じ
神経性ショック
アナフィラキシーショック
薬物性ショック
熱傷ショック
心臓が悪いショック

直接的…心臓自体に原因がある
心原性ショック

間接的…他の影響で心機能が悪化する
心タンポナーデ
緊張性気胸
肺梗塞
肺が悪いショック

器質的
穿通性の外傷、大きな肺嚢胞の破裂

機能的
成人呼吸促迫症候群、喘息重症発作
その他
SIRS
第23回救急救命士国家試験問題
第23回救急救命士国家試験問題
現場での応急処置が優先されるもの

傷病者の生命に影響を及ぼす状況の回避
のための処置



気道の確保
呼吸・循環の管理
出血のコントロール
5
第23回救急救命士国家試験問題
第23回救急救命士国家試験問題

熱中症
体温上昇を伴わない:日射病、熱痙攣
 体温上昇を伴う:熱疲労、熱射病


敗血症


細菌感染症により、弛張熱、末梢血管拡張
蜂窩織炎

皮下の細菌感染、局所に熱感がある
1
第23回救急救命士国家試験問題
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仮面様顔貌:パーキンソン
口唇チアノーゼ:貧血では起きづらい
顔面紅潮:悪液質では赤くならない
下肢紫斑:皮下出血のこと
5
第23回救急救命士国家試験問題
第23回救急救命士国家試験問題





除細動は電極が逆でも可能である。
心房細動では同期式があった方が良い
2相性の方が低いエネルギーで除細動が
可能
半自動式除細動器は最初は200J
除細動のエネルギーが大きいほど心
損傷は大きい
3
11:10
ショック・循環不全
ショックの原因と発生機序
復習
ショックの基本的病態を言いなさい
ショックの基本的病態
重要な臓器の組織潅流量の低下
復習
どんな患者を見た時にショックだなと思うか?
ショックの5P

pallor 顔面蒼白

prostration 虚脱

perspiration 冷汗

pulselessness 脈拍触知不能

pulmonary deficiency 呼吸不全
「具合い良そう(ぐあいよそう)」

ぐ=ぐったり

あ=汗

い=息苦しい

よ=弱い脈拍

そう=蒼白
循環の基本についての復習
重要な臓器の組織潅流量の低下
つまり「循環不全」
この「循環」についての復習は大切
血圧の仕組み
V=IxR
血圧の仕組み
血圧 = 心拍出量 x 血管抵抗
血圧の仕組み
最高(収縮期)・最低(拡張期)血圧と
脈拍数の関係

最高血圧(収縮期圧):
左室仕事量、一回心拍出量に比例する

最低血圧(拡張期圧):
末梢血管抵抗に比例する
最高(収縮期)・最低(拡張期)血圧と
脈拍数の関係

脈拍数が増加
→拡張期が減少
→心臓に十分血液が充満しない
→一回拍出量が減る
→収縮期圧が低下、末梢血管が収縮するた
め拡張期圧は上昇
最高(収縮期)・最低(拡張期)血圧と
脈拍数の関係

脈拍数が増加
→拡張期が減少
→心臓に十分血液が充満しない
→一回拍出量が減る
→収縮期圧が低下、末梢血管内の血液が流
れる前に血流が来るので拡張期圧は上昇
心機図
心電図
心音図
心内圧
出血に伴う変化

脱血量が10%までは平均血圧、心拍出量に変化はない
心臓へ返ってくる血液量は減少するが、交感神経が興奮して静
脈系を収縮させることで、心臓へ返ってくる血液量を維持しようと
する、このため一回心拍出量は変わらない
一回心拍出量が減少しだすと、末梢血管抵抗が上昇し、心拍数
を増やすことにより、平均動脈圧、心拍出量に変化はない。ただ
し、この時点で心拍数の増大と脈圧の低下を見ることになる。

脱血量が25%近くで心拍出量は大きく変化するが動脈
圧は保たれる
一回心拍出量がかなり減少し(心臓に血が返ってこないから)、そ
の分心拍数の増加をみる。末梢血管抵抗はさらに増大し、最高
血圧は低下するが最低血圧は上昇しさらなる脈圧の低下を見る。

脱血量が25%を超えると明らかな血圧の低下を来たし、
誰の目にも明らかなショックとなる。
45%の出血で心停止となる。その前に、心拍出量が50%の時に
平均動脈圧が50%程度で維持する時期(最後の崖っぷち last
ditch stand)がある。
最後の崖っぷち
正常時:
心拍出量の15%は脳、冠動脈は5%、腹部臓器へ30%、腎臓へ
25%、皮膚・骨格筋へ25% (ところで肺は?)
最後の崖っぷち(正常の50%の心拍出量):
脳は50%の減少、冠動脈は45%、腹部臓器は60%、腎臓や皮
膚・骨格筋は75%減少
交感神経系の緊張の極限であり、これ以上末梢血管が収縮で
きない状態。これを超えると臓器不全から死に到る。
循環動態を通してのSOS
血圧、脈圧、脈拍などの変化は患者から我々への命を賭
けたメッセージ。最後の崖っぷちに到る前に正しく理解して
適切な処置を行うことが大切
血圧を測るときの注意
必ず両側で測定すること
左右差があれば解離性動脈瘤が疑われる
各種ショックの原因と発生機序
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
循環血液量減少性ショック
心原性ショック
アナフィラキシーショック
感染性(細菌性)ショック
神経原性ショック
熱傷ショック
その他のショック
循環血液量減少性ショック
救急外来等で遭遇するショックの中でもっとも頻度の
高いもの
失血
内出血:大動脈瘤、胃潰瘍、外妊
外出血:外傷
脱水
重症膵炎、汎発性腹膜炎、広範囲熱傷
熱中症
循環血液量減少性ショック
骨折による出血が意外と軽視されがち
肋骨骨折
上腕骨骨折
下腿骨骨折
大腿骨骨折
骨盤骨折
100ml
350ml
500ml
1000ml
2000ml
循環血液量減少性ショック
熱発による不感蒸泄にも注意
通常
軽度の熱発
中等度熱発
40℃の熱発
15ml/kg/日
20ml/kg/日
40ml/kg/日
50ml/kg/日
心原性ショック
心臓が悪いもの
収縮力低下
機械的障害
不整脈
:急性心筋梗塞、激症型心筋炎
:弁膜症、心室中隔穿孔
:頻脈、徐脈
閉塞性ショック
心タンポナーデ
緊張性気胸
肺塞栓
アナフィラキシーショック
薬物、虫刺傷(特に蜂刺傷)、食物アレルギーが原因
となる
異種蛋白抗原が体内に侵入しIgE抗体を介した抗原
抗体反応(I型)が起ることにより好塩基球や肥満細胞
からヒスタミンやロイコトリエンといったchemical
mediatorが遊離される。
その結果、末梢血管の拡張や血管透過性の亢進が
起き、血圧低下、喉頭浮腫、気道狭窄症状が出る。
感染性(細菌性)ショック
感染や炎症の進行と共に細菌毒素の影響を
受けて、体内で種々のサイトカインを産生し、
末梢血管抵抗が低下する
感染がなくても、絞扼性イレウスや重症膵炎
などでも全身性炎症反応(SIRS)により血管の
拡張と血管透過性亢進によってショックとなる。
神経原性ショック
脳幹部損傷や高位脊髄損傷で生じる
交感神経系の遮断により、血管の緊張が低下し、
血管容量が増大することにより、正常の循環血液
量でも血管を十分に満たせなくなり生じる
頻脈にならないのが特徴
迷走神経反射によるものとは区別する。
11:50
ショック・循環不全
ショックにおける生体反応と臓器障害
復習
ショックの基本的病態を言いなさい
ショックの基本的病態
重要な臓器の組織潅流量の低下
復習
どんな患者を見た時にショックだなと思うか?
ショックの5P

pallor 顔面蒼白

prostration 虚脱

perspiration 冷汗

pulselessness 脈拍触知不能

pulmonary deficiency 呼吸不全
「具合い良そう(ぐあいよそう)」

ぐ=ぐったり

あ=汗

い=息苦しい

よ=弱い脈拍

そう=蒼白
ショックの病態生理
ショックの治療を急ぐ理由
1.難治性ショックから死に移行する
2.ショックから回復しても臓器障害が発生する
ショックの病態生理
ショックは循環系を形作っている3つの要素
①循環血液量
②心臓のポンプ作用
③末梢血管の収縮度(抵抗)
が破綻して発生する
ショックの病態生理
そして、ショックの基本的病態である
重要な臓器の組織潅流量の低下
がおきる
ショックの病態生理
重要な臓器の組織潅流量の低下
によって
末梢微小循環の障害
が生じる
ショックの病態生理
末梢微小循環の障害
によって
臓器や細胞の直接的な障害が
起きる
微小循環について
心血管系
導管系

血液の輸送が
主な目的
抵抗血管系

血圧や血流量
の調整
微小循環系

ガス、物質交換
容量血管系

リザーバー
(70%の血液)
微小循環について

全血管系の長さの90%

毛細血管は内皮細胞だけで平滑筋はない

毛細血管の径は5~8μm

細胞への酸素や栄養素の授受を直接行っているとこ
ろ
ショックにおける生体反応

ショックは単独の疾患ではなく一つの症候群

ある原因で血圧低下→微小循環障害→重要臓器の
機能低下(心、腎、肺、肝、消化管、血液)→生体反
応

生体反応はショックにおける悪循環を形成し病態を
ますます悪化させる原因となる。
防御機構1
血圧低下、心拍出量原因
↓
重要臓器の灌流量の低下
↓
圧受容体が反応
↓
交感神経、副腎髄質からカテコールアミン(ノルアドレナ
リン、アドレナリン)を分泌
↓
心拍数増加、心収縮力増強、末梢血管抵抗上昇
↓
血圧上昇、主要臓器の血流維持
防御機構2
血圧低下、心拍出量原因
↓
重要臓器の灌流量の低下
↓
傍糸球体細胞からのレニン↑
↓
レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の興奮
↓
末梢血管収縮、尿量低下
↓
血圧の上昇
ショックの進行
ショックがある限度を超えて進行
↓
防御機構は一層高度に反応
↓
組織血流量の低下の進行
↓
微小循環経の障害
↓
組織の低酸素
↓
嫌気性代謝→乳酸蓄積→アシドーシス
ショックの進行
微小循環系の障害
↓
血管内皮細胞の障害、血管透過性の亢進
↓
血漿漏出、血液凝固能の亢進
↓
微小循環での血流停滞、血球の凝集


膵由来の心筋抑制因子による心機能低下
微小血栓形成による播種性血管内凝固(DIC)
さらなる微小循環系の障害
組織細胞の機能障害の進行
メディエーターの働き
メディエーター:血中に存在、あるいはショックなどの生体
への侵襲により血中に新たに出現したり活性化されてく
る種々の液性因子の総称
ショックが重症化あるいは遷延した時に生じる重要臓器不
全の発生原因として注目されている
有名なものとしてはヒスタミン、種々のホルモン、サイトカ
イン等
サイトカインはSIRSの原因としてその重要性が報告されて
いる
ショックにおける細胞の変化
ショック→細胞の低酸素状態→種々の変化が生じる



細胞膜の機能低下→細胞内部のイオンの変化
ミトコンドリア→膨化する
エネルギー代謝の変化→嫌気性代謝のみ(ATP2mol)


ちなみに好気性代謝ではATP38molが得られる
細胞膜の維持不可能→細胞消化
→酵素の漏出、Na・水の細胞内流入、Kの流出
ショック→細胞機能障害→細胞の崩壊
12:30 お昼休み
ショック・循環不全
ショックにおける生体反応と臓器障害
復習
ショックの基本的病態を言いなさい
ショックの基本的病態
重要な臓器の組織潅流量の低下
復習
どんな患者を見た時にショックだなと思うか?
ショックの5P

pallor 顔面蒼白

prostration 虚脱

perspiration 冷汗

pulselessness 脈拍触知不能

pulmonary deficiency 呼吸不全
「具合い良そう(ぐあいよそう)」

ぐ=ぐったり

あ=汗

い=息苦しい

よ=弱い脈拍

そう=蒼白
ショックの病態生理
ショックの治療を急ぐ理由
1.難治性ショックから死に移行する
2.ショックから回復しても臓器障害が発生する
臓器障害とその発生機序
ショック臓器:ショックに続発する臓器障害

急性循環不全であるショックより回復し、
ショックより離脱した後に発生する各種の重
要臓器の機能障害

ショックの予後を左右する重要な問題
臓器障害とその発生機序
ショックに続発する臓器障害
腎臓
肺
肝臓
消化管
血液
急性腎不全
ショックが原因で、腎よりの水分・電解質・代謝
産物・老廃物の排泄ができなくなった状態
腎の機能低下により体液の恒常性(ホメオス
ターシス)が維持できなくなった状態
急性腎不全の病態
急性腎不全:「腎前性」・「腎性」・「腎後性」
ショックによるものは「腎前性」・「腎性」
「腎前性」:

出血性ショック、敗血症性ショック、心原性ショックなどによ
り腎を流れる血液量が減少し、腎の有効血液量が不足し
た際に生じる一時的な腎機能低下。器質的変化はない。
「腎性」:

ショックが持続したり、重症であった場合、腎実質細胞の
虚血やメディエーターの活性化が起きる。これにより尿細
管、糸球体、細小血管に器質的変化が生じる
急性腎不全の臨床所見

尿量の低下
乏尿:300ml/日以下、無尿:100ml/日以下
 溢水→左心不全→肺水腫


血中のBUN、Cre、Kの増加


高K血症による心停止
透析療法が必要となる
急性呼吸不全
(成人呼吸促迫症候群:ARDS)

ショック後に発生する急性呼吸不全

敗血症性ショックでは高頻度に発生する

出血性ショックではショックが改善後に発生す
るが、ショックの持続時間と密接な関係があり、
10時間以上持続する出血性ショックでは
ARDSは必発
ARDSの病態

肺毛細血管の透過性の亢進
肺の間質、肺胞の浮腫、水腫
 高度の低酸素血症


ショックの後最初の24時間で肺水腫が生じ、1
~6日続く。その後、肺の間質への炎症細胞
の浸潤や線維芽細胞の増加が起こり、7~14
日で肺繊維化が出現する(不可逆変化)
ARDSの臨床所見


頻呼吸、呼吸困難
通常の酸素投与では改善しない低酸素血症




PaO2/FiO2<160
チアノーゼ、不整脈、低血圧
胸部X線写真で両側びまん性の間質あるいは
肺胞性肺水腫像を呈する
非心原性肺水腫
急性肝不全の病態

ショックに伴う肝不全は、その豊富な予備力に
よって、あまり表面にでることが多くない

遷延化したショックや敗血症性ショックの場合
は重篤な肝障害が高度に出現する

原因としては血流減少、低酸素、循環障害、
細菌毒素による細胞障害等があげられる
急性肝不全の臨床所見

肝不全になったということは
多臓器不全を起こしている可能性が極めて高い
 敗血症が存在している場合が多い


他の臓器不全を伴わないショック後の肝障害
は容易に回復する

生命維持に関わる肝の役割は極めて大きい
急性胃粘膜病変(AGML)の病態

ショックの治療中や離脱後に上部消化管か
らの出血を惹き起こす

次の3要素の相対的な関係によりAGMLは
発生すると考えられている
1.
2.
3.
胃酸分泌:攻撃因子(H+とペプシン)の上昇・増加、
防御因子(粘液)の低下
胃粘膜血流:粘膜血流量の低下、血液のpHの低
下、胃粘膜細胞内pHの低下
胃粘膜関門破綻因子:胆汁酸
急性胃粘膜病変(AGML)の臨床所見




AGMLは胃・十二指腸に多い。特に胃体部
を中心とした広範囲のびらんや多発する浅
い潰瘍であることが多い
出血性ショックでは2~4%、敗血症性ショック
では50~60%に見られる
吐血、下血として症状が発現する
H2ブロッカーや胃粘膜保護剤の投与等が行
われる
播種性血管内凝固(DIC)

Disseminated Intravascular Coagulation

ショックにより血液凝固系が活性化され、血
管内で血液の凝固が進行し、全身の血管内
で微小血栓が多発する状態

凝固因子が消費されて欠乏するため出血傾
向を来す

微小血栓によって臓器血流障害が生じ臓器
不全を起こす
DICの臨床所見


紫斑性出血斑、下血、血尿、歯肉出血、鼻出
血等の全身のあらゆるところからの出血
DICの治療は原疾患の治療が第一



ショックでは低潅流による組織の低酸素血症から
の早期離脱
敗血症では感染巣の除去
抗凝固療法、凝固因子の補充
多臓器不全(MOF)

Multiple Organ Failure : MOF

ショックによる臓器不全が2つ以上の重要臓
器に発生したもの
予後は極めて不良、全体で救命率は30~
40%、4臓器以上になると10%程度


救急集中治療によりショックそのものの死亡
率は低下したが、その結果MOFが増加して
きてた
MOFの臨床経過


ショック状態が遷延すると、あるいは重症なショック
程、重要臓器障害の発生頻度、MOFの発生頻度も
増加する
典型的な臨床経過
1.ショックの時期
2.発症24時間までの蘇生期
3.肺障害のみられる7~10日までの代謝亢進期
4.その後の肝・腎障害期
この経過中にDIC、AGML、敗血症、中枢神経障害を起こ
し死亡することが多い
MOFと全身炎症性反応症候群
(SIRS)

ショックの後、様々なメディエーターによる細
胞障害が発生する

全身の過剰な炎症反応によるもの→SIRS

このSIRSがMOF発症の大きな原因

SIRSからの早期離脱がMOFの予防となる
14:10
ショック・循環不全
ショックの症状と重症度評価・診断
復習
ショックの基本的病態を言いなさい
ショックの基本的病態
重要な臓器の組織潅流量の低下
復習
どんな患者を見た時にショックだなと思うか?
ショックの5P

pallor 顔面蒼白

prostration 虚脱

perspiration 冷汗

pulselessness 脈拍触知不能

pulmonary deficiency 呼吸不全
「具合い良そう(ぐあいよそう)」

ぐ=ぐったり

あ=汗

い=息苦しい

よ=弱い脈拍

そう=蒼白
出血性ショックの症状
心原性ショックの原因
1.
心筋障害によるもの
急性心筋梗塞、急性心筋炎、開心術術後(低心拍
出量症候群)
2.
大動脈、肺疾患によるもの
急性肺塞栓、緊張性気胸、大動脈解離
3.
その他
心タンポナーデ、心筋挫傷、心室中隔穿孔
閉塞性ショック
→心タンポナーデ、緊張性気胸、肺塞栓
心原性ショックの症状
1.
心筋収縮力低下によるもの(急性心筋
梗塞等)
蒼白、冷汗、呼吸促迫、血圧低下、乏尿
肺うっ血→肺水腫→泡沫状血痰、起座呼吸
2.
閉塞性ショック
肺うっ血は見られない
頚静脈の著明な怒脹
心原性ショックの症状

左室収縮力
低下により
左房圧が上
昇

これにより
肺静脈圧が
上昇し、肺
うっ血、肺水
腫となる
閉塞性ショックの症状

心臓への血
液流入およ
び拡張障害
が起きるた
め頚静脈の
怒脹が見ら
れる

肺うっ血は
ない
敗血症(感染)性ショックの症状
1.
ウォームショック (warm shock)
初期には皮膚は温かく乾燥、高熱、悪寒戦
慄、意識状態の変化(昏迷、興奮)、頻脈、
尿量減少、血圧は正常か軽度低下、過呼
吸
心拍出量の増加、末梢血管の拡張、呼吸
性アルカローシス
敗血症(感染)性ショックの症状
2.
コールドショック (cold shock)
ウォームショックから改善せず進行した状
態。意識障害の進行、四肢冷感、皮膚蒼白、
冷汗、頻脈、血圧低下、尿量の減少
低酸素血症、代謝性アシドーシス
心拍出量低下、末梢血管収縮
神経原性ショックの症状
1.
脊髄性ショック
損傷レベル以下の弛緩性運動麻痺、麻痺
性イレウス、知覚障害、末梢血管拡張、低
血圧、徐脈
2.
脳死に伴うショック
末梢血管拡張による高度の低血圧、深昏
睡、無呼吸、散瞳
アナフィラキシーショックの症状
1.
初期症状
蕁麻疹様発疹、嘔気、胸内苦悶、咳嗽
2.
進行すると
気道狭窄による呼吸困難、チアノーゼ、喘
鳴、血圧低下、頻脈、意識障害、痙攣
ショックの重症度
1.ショック指数
出血性ショック、熱傷ショックなど循環血液量が減少したショックに用いら
れる重症度判定法
ショック指数 = 心拍数/収縮期血圧
Ex. 心拍数60、血圧120なら 0.5
心拍数120,血圧60なら 2
正常は0.5以下、軽症は0.5~1.0、中等症は1.0~1.5、重症は1.5~
2.0、最重症2.0以上とされている
ショック指数 1.0の場合、およそ1000mlの出血があると推定できる
ショックの重症度
2.ショックスコア
1.循環器系:①収縮期血圧、②脈拍数
2.中枢神経機能:③意識障害の程度
3.組織の血液潅流:④尿量
4.代謝系の指標:⑤BE(Base
Excess)過剰塩基
上記の5つの項目を用いスコア化して重症度を算
定する方法。0~4は非ショック、5~10は軽症から
中等度ショック、11~15は重症ショックと判定
ショックの重症度
2.ショックスコア
14:40
ショック・循環不全
ショックの診断と救急処置
ショックの基本的病態
重要な臓器の組織潅流量の低下
ショックの典型的な症状(5P)

pallor 顔面蒼白

prostration 虚脱

perspiration 冷汗

pulselessness 脈拍触知不能

pulmonary deficiency 呼吸不全
「具合い良そう(ぐあいよそう)」

ぐ=ぐったり

あ=汗

い=息苦しい

よ=弱い脈拍

そう=蒼白
看護のポイント

ショックの前兆を発見する

ショックの原因とタイプを診断する

ショックの救急処置
ショックの前兆を発見する

ショックは生命が危機に瀕した状態

僅か数分~数十分の診断・治療の遅れ
が生死を分ける

確かな診断を下そうとして慎重になりす
ぎるのは正しくない
↓

ショック準備状態、すなわちショックの前
兆を見逃さないことが大切
急変時におけるショックの診断
脈を触れる

ショック状態では末梢動脈の拍動が触れにくい



血圧が低下する
末梢血管が収縮する
脈圧が減少する

橈骨動脈の拍動が触れないか微弱ならショックを
疑う

上腕動脈拍動が触れなければ血圧測定不能な程
の低血圧と判断可能

総頚動脈、大腿動脈はショック時でも原則として触
知可能、触れなければ心停止
左右差があれば動脈閉塞、動脈解離を疑う

血圧の測定



ショック状態では原因がなんであれ血圧は
低下する
収縮期血圧が90mmHg以下であればショッ
クを疑う
血圧が低下したあとでショックと診断したの
では遅い場合がある

血圧を維持する機構が強力であり、本当に
危険な状態に陥るまでは、かろうじて血圧だ
けは保たれるため
血圧の測定

出血性ショックの
場合、30%を超え
ると、血圧が急激
に下がる。

発見が遅いと、急
に血圧が低下し
てしまう危険性が
ある
脈拍数(または心拍数)

ショック状態では脈拍数が増加するのが普通


成人で90/分以上の頻脈が続く場合は要注意



交感神経興奮のため
血圧が100/80でも、心拍数110であればショッ
クの前兆と考えて良い
ショック指数(=脈拍/収縮期血圧)を考える
心原性ショックの場合は頻脈にならない場合
もある。更に心拍数と脈拍数が一致しない場
合もある。
末梢循環の観察





ショック状態では手足が冷たく蒼白になる
冷汗をかいて、皮膚はじっとりと湿る

交感神経興奮によるもの

皮膚や筋肉の血管が収縮し手足の血流が乏しくな
るために起こる
出血性ショックや心原性ショックの比較的早期から
例外なく見られる重要なサイン
爪床を圧迫して復活するまで2秒以上かかるとき
は血流が悪い
感染性ショックにおけるウォームショックの場合は
手足は暖かい
意識状態の観察

最初は落ち着きがない・見当識障害・不隠・
無気力・無関心

血圧が極端に低下すると体動が少なくなり、
呼び掛けにも反応しなくなる

ショック準備状態の患者が臥位から急に立
上がると、めまいが起きて失神することがあ
る(起立性低血圧)
呼吸の観察


ショック状態では呼吸が浅く早くなる
20回/分以上の呼吸数は要注意

ショックが悪化して血圧が低下すると呼吸の
リズムが乱れたり、呼吸数が減少する

失調性呼吸がでたということは心停止が目
前にせまっている状態
まとめ
血圧低下はほとんど最後の症状であることに注意
ショックの原因とタイプを診断する

ショックの種類によって治療方針に影響を与える
ため、ある程度の鑑別診断が要求される

安全な体位を決めたり、ショックパンツを装着する
ためにはショックの型を区別する必要がある

搬送医療機関の選定や病院側の受け入れ準備の
ためにも原因や重症度がわかってる必要がある
状況証拠と症状
心電図

心原性ショックの診断に心電図が不可欠

理想的には十二誘導心電図をとるべきだが、
モニターだけでも十分に役に立つ

危険な不整脈や心拍数の急激な変動も瞬
時にわかるので、搬送中の監視としては有
用である
ショックの救急処置








呼吸の安全確保
出血の制御
酸素投与
体位
ショックパンツ
輸液
保温
バイタルサインの経過記録
呼吸の安全確保

あらゆる危険な状況で呼吸を安全に維持
することが最優先される

顔面に外傷がある場合は口腔内の血液
や凝血塊を除去する
嘔吐していれば誤嚥を防ぐようにする
必要なら人工呼吸を行う




マスクとアンビューバッグ
マウストウマウス
出血の制御

外傷において大きな外出血があれば止血
処置を行う



出血部位の直接圧迫
下肢や骨盤の出血の場合はショックパンツ
骨折部位に副木を当てることも出血軽減に
繋がる
酸素投与

ショック状態では末梢組織は極端な酸素不
足に陥っているため、低酸素血症はなんと
しても避けたい状況。
↓
呼吸の補助が必要としなくても酸素投与は早め
の方が良い
体位

出血性ショックの場合は下肢を挙上すること
が進められる




下半身の血液を心臓に戻ってきやすいように
するため
搬送時はショックパンツが便利
骨盤部分を挙上するのは呼吸運動を妨げる
ので進められない
心原性ショックでは下肢挙上が逆効果になる
ことがあるので注意

例:起座呼吸
ショックパンツ

出血性ショックの場合ショックパンツの良い適
応である



血液を心臓に戻す効果(前負荷増加)
末梢血管抵抗を高める効果(後負荷増加)
心原性ショックやうっ血性心不全では逆効果
になるので使用してはいけない
輸液

心原性ショックを除いて、乳酸加リンゲル液
の輸液を可能な限り早期に開始し、急速に入
れるのが望ましい
保温

感染性ショックを除いて体温は低下傾向とな
り、震えを起こす場合がある


毛布などで体温低下を防ぐ
小児は低体温を起こしやすいので注意
バイタルサインの経過記録

ショックはダイナミックな状態であり、刻々と変
化するのが常である

脈拍数(心拍数)・血圧・呼吸数の三項目につ
いては5~10分毎に測定して、記録すること
が望ましい
15:20
ショック・循環不全
まとめ
ショックの基本的病態
重要な臓器の組織潅流量の低下
ショックの典型的な症状(5P)

pallor 顔面蒼白

prostration 虚脱

perspiration 冷汗

pulselessness 脈拍触知不能

pulmonary deficiency 呼吸不全
「具合い良そう(ぐあいよそう)」

ぐ=ぐったり

あ=汗

い=息苦しい

よ=弱い脈拍

そう=蒼白
ショックの分類
循環血液量減少性ショック



失血(内出血や外出血、それぞれに外傷性と非外傷性がある)
脱水(体液喪失(血漿、消化管液、汗など))
心原性ショック




心収縮力低下(急性心筋梗塞、心筋炎など)
機械的障害(僧帽弁逆流、大動脈弁逆流など)
「閉塞性ショック」(心タンポナーデ、緊張性気胸など)
その他のショック




感染性ショック(敗血症性ショックともいう)
アナフィラキシーショック
神経原性ショック
循環について
血圧の仕組み
血圧 = 心拍出量 x 血管抵抗
血圧の仕組み
最高(収縮期)・最低(拡張期)血圧と
脈拍数の関係

脈拍数が増加
→拡張期が減少
→心臓に十分血液が充満しない
→一回拍出量が減る
→収縮期圧が低下、末梢血管が収縮するた
め拡張期圧は上昇
出血に伴う変化
血圧を測るときの注意
必ず両側で測定すること
左右差があれば解離性動脈瘤が疑われる
各種ショックの原因と発生機序
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
循環血液量減少性ショック
心原性ショック
アナフィラキシーショック
感染性(細菌性)ショック
神経原性ショック
熱傷ショック
その他のショック
ショックにおける生体反応と臓器障害
ある原因で血圧低下
→微小循環障害
→重要臓器の機能低下(心、腎、
肺、肝、消化管、血液)
→生体反応
微小循環について
心血管系
導管系

血液の輸送が
主な目的
抵抗血管系

血圧や血流量
の調整
微小循環系

ガス、物質交換
容量血管系

リザーバー
(70%の血液)
臓器障害とその発生機序
ショックに続発する臓器障害
腎臓
肺
肝臓
消化管
血液
MOF(多臓器不全)
出血性ショックの症状
心原性ショックの症状
1.
心筋収縮力低下によるもの(急性心筋
梗塞等)
蒼白、冷汗、呼吸促迫、血圧低下、乏尿
肺うっ血→肺水腫→泡沫状血痰、起座呼吸
2.
閉塞性ショック
肺うっ血は見られない
頚静脈の著明な怒脹
敗血症(感染)性ショックの症状
1.
ウォームショック (warm shock)
初期には皮膚は温かく乾燥、高熱、悪寒戦
慄、意識状態の変化(昏迷、興奮)、頻脈、
尿量減少、血圧は正常か軽度低下、過呼
吸
心拍出量の増加、末梢血管の拡張、呼吸
性アルカローシス
敗血症(感染)性ショックの症状
2.
コールドショック (cold shock)
ウォームショックから改善せず進行した状
態。意識障害の進行、四肢冷感、皮膚蒼白、
冷汗、頻脈、血圧低下、尿量の減少
低酸素血症、代謝性アシドーシス
心拍出量低下、末梢血管収縮
神経原性ショックの症状
1.
脊髄性ショック
損傷レベル以下の弛緩性運動麻痺、麻痺
性イレウス、知覚障害、末梢血管拡張、低
血圧、徐脈
2.
脳死に伴うショック
末梢血管拡張による高度の低血圧、深昏
睡、無呼吸、散瞳
アナフィラキシーショックの症状
1.
初期症状
蕁麻疹様発疹、嘔気、胸内苦悶、咳嗽
2.
進行すると
気道狭窄による呼吸困難、チアノーゼ、喘
鳴、血圧低下、頻脈、意識障害、痙攣
ショックの重症度
1.ショック指数
出血性ショック、熱傷ショックなど循環血液量が減少したショックに用いら
れる重症度判定法
ショック指数 = 心拍数/収縮期血圧
Ex. 心拍数60、血圧120なら 0.5
心拍数120,血圧60なら 2
正常は0.5以下、軽症は0.5~1.0、中等症は1.0~1.5、重症は1.5~
2.0、最重症2.0以上とされている
ショック指数 1.0の場合、およそ1000mlの出血があると推定できる
看護のポイント

ショックの前兆を発見する

ショックの原因とタイプを診断する

ショックの救急処置
状況証拠と症状
ショックの救急処置








呼吸の安全確保
出血の制御
酸素投与
体位
ショックパンツ
輸液
保温
バイタルサインの経過記録