梅沢人間力アカデミー 『ゼミナール 経営学の基礎』 第3章 「経営組織」 1.分業の原理 「分業(=仕事の分割・細分化)に よって、生産性は著しく上昇する。」 2.経営=管理=経営管理 (Management): 「(企業内)分業に基づく協業の調整」 企業の中では、仕事が分割されて人々 に分担されてきた。この分割された仕事を 纏め上げる仕事がマネジメント(狭い意味 での経営、管理)の仕事である。 3.経営組織 仕事の分担関係と調整の権限 関係とを公式に定めたもの。 企業の目的達成のための、仕 事全体を分割する仕組みである と同時に、調整の仕組みでもあ る。 典型的な階層組織 社長 〔管理者〕 営 業 生 産 開 発 〔第一線〕 1 2 3 購 買 製 造 配 送 販 売 部長 サ ー ビ ス 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 係長 通常の組織は、仕事についての大枠の 分担関係を「部」として、その中での分担 関係を「課」として、さらに課の中での分担 関係を「係」として、階層的に組み立てら れている。 企業の規模がさらに大きくなれば、部の上 に「事業部」が、事業部の上にはさらに 「事業本部」が置かれ、それぞれ部および 事業部を統括する。 事業部には事業部長、部には部長、課 には課長、というようにそれぞれの部門に は部門長が任命されている。 部門長は、部門内の活動を調整すると共 に、各部門の活動を部門外のより大きな 活動の全体と調整させる責任を持ち、その 責任に対応した権限を公式に付与されて いる。 これが、上述の分担関係であり、権限関 係である。 これらを明示的に定めた規定として、職務 分掌規定( Job Specification )や標準作 業 手 順 ( Standard Operating Procedure、マニュアル)がある。 4.上司と部下 上へは 報告(report) 下へは 指揮(direction) 命令(command) 5.管理限界 ( Span of Control ) 一人で管理できる部下の最大人数 6.指揮・命令一元化の原則 (Unity of Direction and Command) 「上長は単一でなければならない」という 階層構造の基礎をなす原理・枠組み 典型的な階層組織 社長 〔管理者〕 営 業 生 産 開 発 〔第一線〕 1 2 3 購 買 製 造 配 送 販 売 部長 サ ー ビ ス 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 係長 7.ライン と スタッフ (Line and Stuff) トップから第一線までの指揮・命令 系統上の職位をライン、それを補佐 する職位をスタッフという。 典型的な階層組織 社長 〔管理者〕 営 業 生 産 開 発 〔第一線〕 1 2 3 購 買 製 造 配 送 販 売 部長 サ ー ビ ス 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 係長 8.マトリックス組織、 ネットワーク組織 トヨタ自動車の部門別、機能別管理 製品 製品 生産 企画 設計 準備 購買 製造 販売 品質 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 原価 ◎ ○ ◎ ◎ ○ ○ 技術 ○ ◎ ○ △ △ ○ 生産 △ ○ ◎ △ ◎ ○ 営業 ◎ ○ △ △ ○ ◎ 人事・事務 ○ ○ ○ ○ ◎ ○ 出典:青木茂「品質管理」Vol. 31, 1981 典型的なマトリックス組織(1) 社長 〔管理者〕 第1副社長 営 業 生 産 開 発 〔第一線〕 1 2 3 購 買 製 造 配 送 販 売 部長 サ ー ビ ス 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 係長 典型的なマトリックス組織(2) 社長 第2副社長 〔管理者〕 品 質 品 質 原 価 環 境 原 価 環 境 品 質 原 価 部長 環 境 〔第一線〕 1 2 3 開発 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 購買 製造 配送 販 売 サービス 係長 9.組織編成の四つのカテゴリー ・機能別(職能別): 研究開発、購買、製造、物 流、販売、財務、情報システム、経理、人事、・・・ ・顧客別: 法人、個人; 民需、軍需 ・地域別: 北海道、東北、関東甲信越、中部、 関西、中国、四国、九州; 東日本、西日本; 世 界5大陸 ・事業・製品別: テレビ、パソコン、半導体; キャ デラック、オールズモビル、ビュイック、ポンティ アック、シボレー、・・・ 10.三階層パラダイム: トップ、ミドル、ロアー トップ 上級管理者 役割 意思決 定のタイ プ 意思決 定問題 の構造 戦略策定、 全体管理 非定型 的、非 反復的 悪構造 長期 外向き 中間 中間 中間 中間 良構造 短期 内向き ミドル オペレーショ 中間管理者 ンの大枠の 管理 ロアー 個々のオペ 定型的、 下級管理者 レーションの 反復的 遂行・管理 意思決 関心の 定の対 方向 象期間 文献 1. Herbert A. Simon, The New Science of Management Decision, Revised Edition, Prentice-Hall, 2-nd ed.,1977. (邦訳:稲葉他訳、ハーバート A サイモン著、『意思決定の科学』、 産業能率大学出版部) 2. Herbert A. Simon, Administrative Behavior: A Study of Decision-making Processes in Administrative Organizations, The Free Press 4-th ed., 1997.(邦訳:松田武 彦他訳、ハーバート A サイモン著、『経営行動』、ダイヤモンド社) 3.伊丹、加護野 『ゼミナール 経営学入門』、日本経済新聞社、 1989 4.土屋守章、『現代経営学入門』新世社、1994 第4章 設問 1.なぜ組織が存在するか、説明しなさい。 2.チャンドラー仮説「組織は戦略に従う」につい て、あなたの考えを述べなさい。 3.最近「組織のフラット化が顕著になった」とい われる。その理由として思いつくことを挙げな さい。
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