GridRPCを用いた汎用最適化計算システム

最適化計算ポータル
同志社大学大学院工学研究科
2002年度 732番 下坂久司
Gridの概要
広域ネットワーク上において,複数の計算資源および
情報資源をシームレスに利用するための基盤技術
• Gridの可能性
–
–
–
–
複数の計算資源を利用した分散並列処理
大規模データベースとのシームレスな結合
希少な観測装置,可視化装置との連携
サービスの組み合わせによる新しいシステムの構築
• Gridミドルウェア
– Globus,Legion : 基盤技術
– Condor,AppleS : スケジューラ
– MPICH-G2,GridRPC : プログラミングモデル
Grid上のアプリケーション作成を支援
GridRPC
• GridRPC
– RPCに基づくアプリケーションプログラミングモデル
– リモートシステム上のライブラリをネットワーク経由で呼び出す機能
– NetSolve,Ninf,Ninf-G
- ユーザビリティの高い
システムを構築可能
- 既存のアプリケーションを
容易にGridで利用可能
最適化計算システム
設計変数
次探索点の決定
目的関数
遺伝的アルゴリズム
シミュレーテッドアニーリング
傾斜法
解析計算,対象問題
構造解析,流体解析
タンパク質のエネルギー関数
TSP,JSP,ナップサック問題
• 大規模で複雑な最適化問題
– 大規模な計算資源の利用
– 対象となる問題,利用する計算環境に適した
高性能な最適化アプリケーションの適切な選択
研究目的
• Gridにおけるアプリケーション連携の必要性
– 最適化 : 大規模な計算資源と高性能なアプリケーションが必要
– Grid : 計算資源と情報資源の統合的な利用
GridRPCを用いたアプリケーション連携システム
• 提案システムの目標
–
–
–
–
既存のアプリケーションを容易にGridで利用可能
簡単な仕組みでアプリケーションの連携を実現
アプリケーションの選択と連携による最適化計算システムの構築
ユーザインターフェースとなるツールの開発
アプリケーション連携システムの概要
• Clientによるアプリケーションの選択と連携
• GridRPCによるアプリケーションの実行とアプリケーション間の情報交換
Serviceの基本機能
• アプリケーションの連携
– アプリケーションの情報交換はファイルを基本とする
– 入出力ファイルの交換とアプリケーションの実行
• GridRPCにより4つの基本機能を提供
1.入力ファイルの受信
2.アプリケーションの実行
3.出力ファイルの返信
4.出力ファイルを他のServiceに送信
基本機能の組み合わせで
アプリケーション連携を実現
アプリケーションの連携
• OptimizerとAnalyzerの連携
– Optimizerによる解析計算の実行
① 入力ファイルの送信 (設計変数)
② 解析処理
③ 出力ファイルの返信 (目的関数,制約条件)
Optimizerによる解析計算の実行
① 入力ファイルの送信
② 解析処理
③ 出力ファイルの返信
① Receive Files
(入力ファイルの受信)
② Run Application
(アプリケーションの実行)
③ Return Files
(出力ファイルの返信)
• Analyzerの基本機能を利用
• Optimizerからの3回のGridRPCにより実現可能
ユーザインターフェース
• アプリケーションの連携
– 入出力ファイルの送受信とアプリケーション実行
一意に決定可能
• GridRPCによるServiceの連携
– 利用するServiceの4つの基本機能の実行
• ユーザインターフェースツール
- ファイルによるアプリケーションの連携を記述
- GridRPCによるServiceの連携を自動生成
ツールの利用例
• Optimizerによる解析計算の実行
- Optimizer : 逐次2次計画法 (SQP)
- Analyzer : トラス構造解析 (fem_truss)
設計変数 (dv.value)
解析結果 (func.value)
設計変数 (truss.in)
解析結果 (truss.out)
最適化計算システムの構築
• Client,Optimizer,Analyzerの連携
– Clientによる最適化および解析の初期設定
– Optimizerによる解析計算の実行
② 初期設定を送信
① 初期設定を送信
④ 結果の返信
③ 最適化計算
① 設計変数の送信
③解析結果の返信
② 解析計算
最適化計算システム構築における問題点
• OptimizerとAnalyzer分離
– Optimizerは特定のAnalyzerに依存しない
– Optimizerは様々なAnalyzerに適用可能
• Optimizerのアプリケーション作成時に解析処理方法を
指定しない.
• Optimizerに解析処理の方法を指示する必要性
解析処理方法の指定
• 解析処理の設定ファイル
– アプリケーションの連携を記述した設定ファイルを生成
– Optimizerに送信し,実行時に設定ファイルを読み込む
設定ファイル
① Receive Files
② Run Application
③ Return Files
解析処理
① 設計変数の送信
③解析結果の返信
② 解析計算
初期設定ファイルの送信
• 最適化および解析の初期設定ファイルの送信
・アプリケーション連携ファイル
・最適化パラメータ
① Receive Files
(入力ファイルの受信)
・解析パラメータ
② Receive Files
(入力ファイルの受信)
最適化計算の実行
• Optimizerの実行
– Clientから送信された設定ファイルに従い,解析処理を実行
– 最適化の結果をOptimizerからClientへ返信
③ Run Application
(アプリケーションの実行)
④ Return Files
(出力ファイルの返信)
① Receive Files
② Run Application
③ Return Files
最適化計算システムの構築例
•
利用するアプリケーション
•
•
Optimizer : 逐次2次計画法 (SQP)
Analyzer : トラス構造解析 (fem_truss)
解析の初期設定 (fem_truss.in)
最適化の初期設定(adv_sqp.in)
最適化の初期点 (init.value)
まとめ
• GridRPCを用いたアプリケーション連携システム
– 最適化:大規模な計算リソースと高性能なアプリケーションが必要
– Grid :計算資源と情報資源のシームレスな統合
• 提案システムの特徴
– GridRPCを用いた4つの基本機能によるアプリケーションの連携
– Optimizerへの解析処理の指定による最適化計算システムの構築
– ユーザインターフェースとなるツールの提供
− 既存のアプリケーションを容易にGridで利用可能
− アプリケーションの選択と組み合わせによって,
最適化計算システムを容易に構築可能
研究業績
•
•
•
学術論文誌
– 廣安知之,三木光範,下坂久司,佐野正樹,筒井茂義
「分散確率モデル遺伝的アルゴリズム」
情報処理学会論文誌 :数理モデル化と応用 (TOM10) 掲載予定
海外発表
– Tomoyuki Hiroyasu,Mitsunori Miki,Hisashi Shimosaka,Yusuke Tanimura,Yasunari Mimura,Shinobu Yoshimura
「Structural Optimization by Real-Coded Probabilistic Model-building GA」
The second IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics (SMC02), 2002/10
– Tomoyuki Hiroyasu,Mitsunori Miki,Hisashi Shimosaka,Jack Dongarra
「Optimization Problem Solving System using GridRPC」
The 3rd IEEE/ACM International Symposium on Cluster Computing and the Grid (CCGrid2003), 2003/5
– Tomoyuki Hiroyasu,Mitsunori Miki,Masaki Sano,Hisashi Shimosaka,Shigeyoshi Tsutsui,Jack Dongarra
「Distributed Probabilistic Model-Building Genetic Algorithm」
The Genetic and Evolutionary Computation Conference (GECCO-2003), 2003/7
–
Hisashi Shimosaka,Tomoyuki Hiroyasu,Mitsunori Miki
「Comparison of Pulling Back and Penalty Methods for Constraints in DPMBGA」
The IEEE International Congress on Evolutionary Computation (CEC2003), 2003/12
国内発表
– 廣安知之,三木光範,下坂久司,佐野正樹,谷村勇輔,三村泰成,吉村忍
「NetSolveを用いたトラス構造物の最適化計算」,機械学会 第5回最適化シンポジウム2002 ,2002/10
– 廣安知之,三木光範,下坂久司
「確率モデル遺伝的アルゴリズムによるトラス構造解析」,情報処理学会 第9回 MPSシンポジウム,2003/1
– 下坂久司,廣安知之,三木光範
「GridRPCを用いた汎用最適化計算システム」,機械学会 第13回設計工学・システム部門講演会,2003/10
– 下坂久司,廣安知之,三木光範
「確率モデル遺伝的アルゴリズムを用いた構造物最適化」,機械学会 第13回設計工学・システム部門講演会,2003/10
– 下坂久司,廣安知之,三木光範
「GridRPCを用いた汎用最適化計算ポータルシステム」,情報処理学会 第10回 MPSシンポジウム,2003/10
– 他,3件