土木計画学 第6回(11月9日) 調査データの統計処理と分析4 担当:榊原 弘之 統計的検定が必要とされる状況の例(1) 1.局所的な地震災害が全国に及ぼす影響を知るために, 被災地からやや離れたA県内のある地点における高速 道路の交通量を測定した.地震前の平均は50000台/日 であったが,地震後10日間の平均は49500台/日であった. 交通量が減少したといえるか? 2.地球温暖化の影響で,異常気象が増加するといわれる. ある地域において,過去10年間の平均年降水量は, 50年前に比べて500mm増加したという.降水量が増加 したといえるか? 統計的検定が必要とされる状況の例(2) 3.A市では,B市と比較して交通事故対策を重視 している.A市における人口当たり交通事故 発生率は0.1%,B市においては0.2%である. A市の交通事故対策は,交通事故の減少に 寄与しているのか? 「違い」があるか否かの判断基準を提供する 環境の変化 存在の有無を明らかにする 政策の効果 仮説検定の手順(P87)(両側検定「仮説より大きいか小さいか?」 の場合) 1.帰無仮説(Null Hypothesis)H0をたてる. 2. H0を検定するための統計量(パラメータ推定の場合と同じ)T を選び,その分布を特定する. P{T T1( )orT T2 ( )} となる T1( ), T2 ( ) を求める. 3.有意水準αを決め, 4.標本データの下でのTを求める. 5. T T1( )orT T2 ( ) であればH0を棄却,そうでなければ 棄却せず. T1 ( ) T2 ( ) あわせてα 仮説検定の手順 (片側検定「仮説よりも小さいか?」の場合) 1.帰無仮説(Null Hypothesis)H0をたてる. 2. H0を検定するための統計量(パラメータ推定の場合と同じ)T を選び,その分布を特定する. 3.有意水準αを決め, P{T T ( )} となる T ( ) を求める. 4.標本データの下でのTを求める. 5. T T ( ) であればH0を棄却,そうでなければ 棄却せず. T ( ) α 仮説検定の手順(片側検定「仮説より大きいか」の場合) 1.帰無仮説(Null Hypothesis)H0をたてる. 2. H0を検定するための統計量(パラメータ推定の場合と同じ)T を選び,その分布を特定する. 3.有意水準αを決め, となる T ( ) P{T T ( )} を求める. 4.標本データの下でのTを求める. 5. T T ( ) であればH0を棄却,そうでなければ 棄却せず. T ( ) α 第1種の過誤(Type I Error) 帰無仮説H0が正しいにも関わらず,棄却してしまう誤り 確率α 第2種の過誤(Type II Error) 帰無仮説H0が誤りであるにも関わらず,棄却しない誤り 確率β αを小さくすると βが大きくなってしまう β 第2種の過誤 α 第1種の過誤 1.母平均の検定(母分散がわかっているとき) 必要な値 標本平均値 標本数 n 有意水準 x 母分散 の下で, 1.帰無仮説:「母平均は 2. T 2 x ( / n ) 3.正規分布表から である.」 (標準正規分布N(0,1)に従う.) T1 ( ), T2 ( ), T ( ) を求める 2.母平均の検定(母分散がわからないとき) 必要な値 標本平均値 標本数 n 有意水準 x T S2 の下で, 1.帰無仮説:「母平均は 2. 不偏分散 x である.」 (自由度n-1のt分布に従う) 2 S /n 3.自由度(n-1)のt分布表から T1 ( ), T2 ( ), T ( ) を求める 3.母分散の検定(母平均がわかっているとき) 必要な値 母平均 有意水準 標本数 n の下で, 2 1.帰無仮説:「母分散は である.」 2. T (X i ) i 2 (自由度nのカイ2乗分布に従う) 2 3.自由度nのカイ2乗分布表から T1 ( ), T2 ( ), T ( ) を求める 4.母分散の検定(母平均がわからないとき) 必要な値 標本平均値 有意水準 標本数 x n の下で, 2 1.帰無仮説:「母分散は である.」 2. T (X i x) i 2 (自由度n-1のカイ2乗分布に従う) 2 3.自由度nのカイ2乗分布表から T1 ( ), T2 ( ), T ( ) を求める 二項母集団の場合(P86,P89例題5.1の2) 必要な値 標本比率 有意水準 p T n の下で, 1.帰無仮説:「母比率は 2. 標本数 P である.」 pP (正規分布に従う) p(1 p) / n 3.正規分布表から T1 ( ), T2 ( ), T ( ) を求める クロス集計(P80参照)の場合(P88,P89例題5.1の1) K L ( f m )2 ij ij 2 mij i 1 j 1 は自由度(K-1)(L-1)のカイ2乗分布に従う fij :i行j列の実際の度数 mij :i行j列の期待値 mij の算定(表5.5) 132 m11 272 71.8 500 132 m21 228 60.2 500 251 251 114.5 m12 272 136.5 m22 228 500 500 117 117 m13 272 63.6 m23 228 53.4 500 500 男女に差がない場合の分布の期待値 2 は自由度2のカイ2乗分布に従う(5.99以下なら棄却)
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