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参考資料3
国内外におけるセルロース系エタノール製造技術との比較
本実証事業におけるセルロース系エタノール製造技術の特徴について
○
廃木材からのセルロース系エタノール製造技術としては、BJK以外、アメリカでガス化
合成による製造プラントが建設中であるが、糖化・エタノール発酵のプロセスを経るもの
はBJKが唯一である。
○ 現在、国内外でセルロース系エタノール製造技術開発が行われているが、ほとんどの
場合、C6からのエタノール製造あるいは、C5・C6同時糖化であり、特にC5・C6同時糖
化においては糖化酵素の開発段階であるものが多い。従って、プラントによる実証段階
には時間が必要な状況にある。
○ 一方、BJKにおいては、独自の製法として、希硫酸による前処理後にKO11を使用し
てC5(ヘミセルロース)のみからエタノールを製造している。この前処理残渣に多く含ま
れるC6(セルロース)に着目し、エタノールを製造するのが、今回のA/O法による前処
理及び糖化発酵プロセスである。
○ なお、C5・C6の同時発酵では、現在の技術レベルでは、発酵菌はエタノールに変換し
やすいC6を利用する傾向にあり、エタノールに変換しにくいC5が発酵されずに残ってし
まうという技術的課題がある。
セルロース系エタノール製造については工業化された例がない。従って、今回の実証は
世界で初めてセルロース系エタノール製造の工業化に向けての取り組みである。
セルロース系バイオエタノールに関する技術開発動向(国内動向)
プラント実証ならびにプロセス技術開発の事業
事業名称等
真庭バイオエタノール実証プラント
(NEODバイオマス等未利用エネルギー実証
試験事業)
建設廃木材を原料とする燃料用バイオエタ
ノール製造事業
(環境省地球温暖化対策ビジネスモデル
インキュベーター(起業支援)事業
実施主体
三井造船(株)
バイオエタノール・
ジャパン・関西(株)
稼働時期
2005年
生産能力
315L/日
原料
・酵素糖化
製材所廃材→稲わら ・遺伝子組み換え酵母によるC5糖・C6
(1dry-t/日)
糖同時発酵
・ゼオライト膜による無水化
2007年
1,400kL/年
建設発生木材
(4万~5万t/年)
(建設中)
1,040L/年
(4L/日)
稲わら・麦わら
(収穫面積100ha)
兵庫県ソフトセルロース利活用モデル地区(農 三菱重工(株)
林水産省ソフトセルロース利活用技術確立事 (財)ひょうご環境 (建設中)
業)
創造協会
800L/年
(16L/日)
稲わら・麦わら
(収穫面積4ha)
北海道ソフトセルロース利活用プロジェクト(農
大成建設(株)
林水産省ソフトセルロース利活用技術確立事
サッポロビール(株)
業)
プロセスの特徴
・遺伝子組み換え菌によるヘミセル
ロース由来C5糖発酵
・リグニンのエネルギー利用
-
・高圧水熱分解による糖化
セルロース系バイオエタノールに関する技術開発動向(海外動向)
○ 米国
○ EU
• 2007年よりエネルギー省(DOE)がセルロース系バイオエタノール生
産拠点プロジェクト(6カ所)に対して4年間で385億ドルの投資を開始。
企業名
Abengoa Bioenergy
場所
カンザス州
概要
設備能力;43千kL/年
原料:トウモロコシの茎・葉等の農業副
産物(2007年11月より稼働中)
Alico, Inc.
フロリダ州
Bluefire Ethanol, Inc.
カリフォルニア州
設備能力:53千kL/年 建設中
原料:剪定枝、野菜残さ
設備能力:72千kL/年
原料:都市ごみ(2009年末稼働予定)
Poet Bioenergy
アイオワ州
設備能力:118千kL/年
• 第6次欧州研究開発枠組計画の一環として、RENEWプロジェクト
(2004~2008年)とNILEプロジェクト(2005~2009年)でセルロース系
バイオエタノールに関する技術開発を実施中。
• NILEプロジェクトの一環として、SEKAB社が2004年よりスウェーデンで
松材チップを原料とする300~400L/日の実証プラントが稼働中。
• RENEWプロジェクトにも参加したAbengoa社が、スペインに麦わら等
を原料とする5,000kL/年の実証プラントを建設(2008年稼働予定)。
• ドイツでは2006年よりVW社及びSHELL社がカナダのIOGEN社と提携
してセルロース系バイオエタノールの技術開発を実施中。
• 英国INEOS 社が、2008年6月に埋立地ごみ1tを合成ガス化しバクテリ
アにより発酵させてエタノール400Lを製造する技術を2年以内に商業
化すると発表。
原料:トウモロコシの繊維や茎、葉、も
みがら(2011年稼働予定)
Iogen
アイダホ州
原料:大麦わら、麦わら等の農業副産
物(2009年稼働予定)
Range Fuels
ジョージア州
○ その他
設備能力:68千kL/年
設備能力:151千kL/年 建設中
原料:木質系廃棄物 ガス化合成
• DOEのゲノミクスGTL プログラムでは、微生物を利用したセルロース
系バイオエタノールの生産性向上に関する研究を継続的に実施、現
在はエネルギー作物及び糖化発酵併行技術開発を重点的に実施。
• 2008年3月にはDOEと農務省(USDA)の共同プログラムとして、植物
原料ゲノミクス研究事業10件に対して3年間で1,000万ドルの資金を
提供すると発表。
• 2008年4月には、DOEとUSDAによるバイオマス研究開発イニシアティ
ブとして、セルロース系バイオエタノール生産技術を含む21プログラ
ムに対して、3年間で1,845万ドルの支援を実施すると発表。
• カナダのIOGEN社は2004年より実証プラントを稼働中、2008年3月に
はカナダ連邦政府の次世代バイオ燃料ファンドを獲得して年内にフ
ルスケールの商業規模プラントの建設に着手すると発表。
• ブラジルでは、バガスからのセルロース系バイオエタノールの生産技
術開発に複数企業が取り組んでおり、Petrobras社が2007年10月に
パイロット設備を完成、Biocell社及びDedini社がそれぞれ2011年頃
にプラント稼働を計画中。