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日本における牛のアルボウイルス病の主な発生
発生年
発生地域
1949-50
中国,近畿,中部
北陸,東北
1959-61
関東以南
発生時期
症状
原因
秋~春
流死産,脳水腫
不明
8月末~11月 発熱、浮腫、流涎、
食道・咽喉頭麻痺
1972-73 九州南部から始まり、
関東、東北に至る
イバラキ病
夏~春
流早死産、関節湾
曲症・水無脳症
アカバネ病
嚥下障害
イバラキ病
1982
九州
秋
1985-86
九州
秋~春
1994
東北
10~11月
発熱、嚥下障害
ブルータング
1995-96
九州,中国
秋~春
死産,関節湾曲症
水無脳症,小脳形
成不全
アイノウイルス
1997
九州
秋
嚥下障害、流死産
イバラキ病
2001
九州、沖縄
9~12月
発熱,呼吸促迫
牛流行熱
水無脳症・小脳形成 チュウザン病
不全
現在確認されているシンブ血清群ウイルス
ウイルス
初分離年
Aino
Akabane
1964
1959
Douglas
Kaikalur
Oropouche
Peaton
1978
1971
1955
1976
Sabo
Sango
Sathuperi
Shamonda
Shuni
Simbu
Tinaroo
Yaba-7
1966
1965
1957
1965
1966
1955
1978
1963
分布
ベクター
日本・オーストラリア・東南アジア
日本・オーストラリア・
東南アジア・中東・アフリカ
オーストラリア・東南アジア
インド
中南米
日本(1999)・オーストラリア・
東南アジア
アフリカ
日本(1999)・アフリカ・インド
日本(2002)・アフリカ
アフリカ
アフリカ
アフリカ
オーストラリア
アフリカ
罹患動物
蚊・ヌカカ
蚊・ヌカカ
ウシ
ウシ・ヒツジ
ヌカカ
蚊
蚊・ヌカカ
ヌカカ
ウシ
ヌカカ
蚊・ヌカカ
蚊・ヌカカ
ヌカカ
蚊・ヌカカ
蚊
ヌカカ
蚊
ウシ・ヤギ
ウシ
ウシ
ウシ
ヒト・ウシ
ヒト
ウシ
ウシ
ブニヤウイルス科
オルソブニヤウイルス属
温暖化などの気象要因
により、ヌカカなどの媒介
昆虫の活動が活発化し、
熱帯・亜熱帯地域から強
風によって運ばれてくる
2011年欧州で発生
2002年九州侵入
1999年九州侵入
シンブ血清群
1999年九州侵入
アルボウイルス病ワクチン接種状況
牛異常産の発生状況
1988年11月から2007年2月までの九州・沖縄8県の牛異常産の発生頭数です。
流産,死産および先天異常子牛の分娩をそれぞれ示しています
イバラキ病の流行
アイノウイルス感染症の流行
アカバネ病の流行
アカバネ、チュウザンの流行
アカバネ病
届出伝染病
ブニヤウイルス科
ブニヤウイルス属
シンブ血清群
[疫学]
• 発生時期は夏~翌年春
• ウイルスの流行時期は夏~秋
• 北海道の道南が北限といわれているが、発生分布域が拡大する傾向
にある(平成11年 北海道渡島管内で発生)
• 主なベクターはヌカカ
• 妊娠牛が感染すると約30%の発病率で,異常産を起こす
•
[症状]
• 母牛はほとんど無症状
• 流産,死産,早産,および先天性の奇形を伴った異常子牛の分娩で
本病が疑われる。
• 異常子牛の症状は,起立不能,自力哺乳の弱い虚弱,四肢の弯曲や
脊柱弯曲あるいは斜頚などの体型異常,頭部の変形,目の白濁など,
• 臨床的にアイノウイルス感染症との区別は困難
アカバネ病
•
•
•
•
•
•
•
[診断]
1.病原学的診断
培養細胞(HmLu-1,BHK-21)によるウイルス分離
異常子牛の分娩時のウイルス分離は一般に困難
2.血清学的診断
流産および死産の場合は体液や血清を用いた中和試験
異常子牛の場合は初乳未摂取子牛の血清を用いた中和試験
[予防・治療]
•
ワクチン接種: ウイルスの流行期前(5月頃)までにワクチ
ン接種を完了することが望ましい
生ワクチンまたは3種(アカバネ病、アイノウイルス感染症、
チュウザン病)混合不活化ワクチンで予防します。
アカバネ病
Culicoides sonorensis
C. arakawae
ニワトリヌカカ
C. maculatus ミヤマヌカカ
C.oxystoma
ウシヌカカ
C.jacobsoni
キタオカヌカカ
C.matsuzawai マツザワヌカカ
C.punctatus
ホシヌカカ
C.sumatrae アマミヌカカ
カ
九州支場で採取される
主なヌカカの種類とその翅
アカバネ病
アイノウイルス感染症
届出伝染病
• [原因]
•
ブニヤウイルス科 ブニヤウイルス属 シンブ血清群
•
アイノウイルス
•
• [疫学]
•
発生時期は夏~翌年春
•
ウイルスの流行時期は夏~秋
•
現在のところ近畿地方が北限
•
主なベクターはヌカカ
•
妊娠牛が感染すると5%未満の発症率で,異常産を起こす。
•
• [症状]
•
母牛はほとんど無症状
•
流産,死産,早産,および先天性の奇形を伴った異常子牛の分娩で本
•
病が疑われる
•
異常子牛の症状は,起立不能,自力哺乳の弱い虚弱,四肢の弯曲,特
•
に,脊柱弯曲 あるいは斜頚を多く示す
•
臨床的にアカバネ病との区別は困難
•
アイノウイルス感染症
届出伝染病
•
• [診断]
•
1.病原学的診断
•
培養細胞(BHK-21)によるウイルス分離
•
異常子牛の分娩時にウイルス分離はされにくい
•
2.血清学的診断
•
流産および死産の場合は体液や血清を用いた中和試験
•
異常子牛の場合は初乳未摂取の血清を用いた中和試験
•
• [予防・治療]
•
ワクチン接種:ウイルスの流行期前(5月頃)までにワクチン
接種を完了することが望ましい
アイノウイルス感染症
アカバネウイルスはアイノウイルスと同じブニヤウイルス科、オルソブニヤウイルス属の
シンブ群に属するウイルスである。ピートンウイルス、サスペリウイルスあるいはシャモン
ダウイルスが近年日本でも分離されており、国内での定着は確認されていないものの、
外来性の牛の先天異常に関与するウイルスとして注意が必要である。
チュウザン病
届出伝染病
• [原因]
•
レオウイルス科 オルビウイルス属 パリアム血清群
•
カスバウイルス(チュウザンウイルス)
•
• [疫学]
•
発生時期は秋~翌年春
•
ウイルスの流行時期は夏~秋
•
これまでの発生は九州地方のみ
•
主なベクターはヌカカ
•
• [症状]
•
肉用牛(和牛)で多発する
•
母牛はほとんど無症状
•
虚弱または神経症状を伴った異常子牛の分娩で本病が疑われる。流産,
•
死産および早産は少なく,異常子牛の体型異常は見られない
•
異常子牛の症状は,起立不能,自力哺乳不能,神経症状(間欠的なて
•
んかん様発作,四肢の屈折や回転,後弓反張,呆然佇立や旋回運動な
•
ど)を示す
•
チュウザン病
• [診断]
1.病原学的診断
培養細胞(BHK-21)によるウイルス分離
2.血清学的診断 初乳未摂取異常子牛の血清を
用いた中和試験
•
• [予防・治療]
• ワクチン接種:ウイルスの流行期前(5月頃)
までに接種を完了することが望ましい
チュウザン病
チュウザン病
イバラキ病
届出伝染病
[原因]
レオウイルス科 オルビウイルス属 流行性出血熱ウイルス血清群
[疫学]
流行期が8~12月 ヌカカおよび蚊が媒介
牛同士の接触感染はない 死亡率は低い(発症牛の10%前後)
[症状]
主微は流涎・嚥下障害 発熱、結膜の充血・浮腫
不顕性感染が多い。
[診断]
1.病原学的診断
培養細胞(HmLu-1,BHK-21)によるウイルス分離
2.血清学的診断
中和試験 ゲル内沈降反応 補体結合反応
3.臨床診断
臨床症状(流涎・嚥下障害)の確認
[予防・治療]
1.予防
ワクチン接種。流行期の始まる前(6~8月)に接種完了のこと
2.治療
嚥下障害発症牛に対しては、補液及び誤嚥性肺炎の防止の対症療法
写真:種雄馬のキ甲瘻(原図:JRA総研栃木支所)
馬パラチフスが原因で起こる。
全身がうっ血し赤味を帯びている
牛ネオスポラ感染症
皮下の膠様浸潤と血様胸水および腹水の
増量