1/13 RHIC-PHENIX実験での 直接光子測定 東京大学原子核科学研究センター(CNS) 山口頼人 The 17th ICEPP Symposium 2/13 クォーク・グルーオン・プラズマ (QGP) Quark Gluon Plasma (QGP) 通常はハドロン内に閉じ込めら れているクォークが閉じ込めから 解放された状態 高温高密度で実現すると予想 Transition temperature: Tc~150-200MeV Transition energy density: ec~1GeV/fm3 実験的手法 高エネルギー重イオン衝突 RHIC (√sNN=200GeV : Au+Au) LHC (√sNN=5.5TeV : Pb+Pb) 3/13 系の時空間発展 Freeze-out Hadron Gas Hadronization QGP Pre-equilibrium 衝突で生成された系は時空間発展を行う。 当然、Freeze-out後にしか粒子を測定できない。 各段階での粒子生成、粒子への影響を知ることが重要。 → 各段階を特徴づけるプローブによる様々な測定が必要。 4/13 QGPからの熱光子 p r p g Hadron decay photons g q q g 直接光子 ≡ ハドロン崩壊 からの光子ではない光子 温度・QGP到達時間がわ かる。 QGP熱光子測定に最適な 横運動量領域 1.0<pT<3.0GeV/c バックグラウンド光子 初期衝突でのHard photon (80%以上は qg→qg) ハドロン崩壊からの光子 (シグナルの10倍以上) S.Turbide et al PRC 69 014903 5/13 Au+Au, d+Au, p+p衝突で系統的測定 熱光子測定のためには系統的測定が不可欠 p+p衝突 Hard photon d+Au衝突 Hard photon + 原子核効果 Au+Au衝突 Hard photon + 原子核効果 + QGP medium effect 主な原子核効果 Cronin効果 原子核内での多重散乱 → 収量増加 Nuclear shadowing パートン分布関数(特にgluon) が原子核と陽子では異なる → 収量減少 or 増加 6/13 PHENIX実験での直接光子測定 Au+Au p+p 電磁カロリメータで測定 pT<5GeV/c : 収量につく大きな不定性 電磁カロリメータのエネルギー分解能の劣化によりハドロン崩壊か らの光子(総光子収量の70%以上がp0→2g)を正確に取り除けない。 7/13 + 解決策:仮想直接光子g*→e e 測定 q 基本となるアイデア 光子生成プロセスには高次にe+e-生成プロセスが存在 仮想直接光子g*→e+e-の同定方法 g g* e+ e- q 光子生成率とe+e-生成率の関係性: Process dependent factor Direct g* : pT2»mee2の時、S(mee)~1 Dalitz decay : → e+e-質量分布に違いが生まれる。 p0質量以上の領域(mee>135MeV)で はS/Bが大幅に(4~5倍)改善される。 → e+e-質量分布の低質量領域において仮想直接光子に よる増加分が見える。 8/13 直接光子率の決定 f data mee 1 r f c mee r f dir mee Hadron r : direct g*/inclusive g* Direct g* 100<mee<300MeVで上式をfitして直接光子率を決定する。 p0の影響を抑えられ、pT2»mee2を満たす。 p+p-→e+e-の寄与がないと考えられる領域。 conversion pair, combinatorialは除去。 mee>300MeVでもFit結 果はデータ点に一致。 h→2gで測定されたh収 量が2倍にならないといけ ない。 A. Adare et al., PRL104,132301(2010) 9/13 直接光子率 μ = 0.5pT μ = 1.0pT μ = 2.0pT d gNLO dpT d gNLO d ghadron dp dp T T p+p, d+Au衝突 → pQCD計算からの予想とあまり変わらない。 Au+Au衝突 → 明らかにlow pTでの傾向が異なる。 → 直接光子率に総光子収量を掛けて、実直接光子収量を決定。 10/13 p+p, d+Auの比較 実光子測定の結果とス ムーズに繋がる。 d+Au: ●(g*) - ○(g) p+p : ■(g*) - ■(g) Ncoll scaled p+p結果と d+Au結果はconsistent d+Au結果はp+p結果の 重ね合わせとして理解でき る。 → 直接光子生成における 原子核効果は小さい。 11/13 d+Au, Au+Auと比較 pT<2GeV/cではd+Auから の予想よりも2倍以上。 → Non initial state effect 12/13 Inverse slope : T A. Adare et al., PRL104,132301(2010) exp + TAA scaled pp exponential + Ncoll scaled p+p fit をAu+Au結果にFit。 Au+Au fit function Inverse slope A exp( pT / T ) TAA App (1 pT2 / b)n Exponential part Binary-scaled p+p result A,T : free parameters Au+Au中心衝突について T = 221±19±19 MeV Fit to pp NLO pQCD (W. Vogelsang) → Transition temperature (~170MeV)より高い状態 13/13 まとめ 高エネルギー重イオン衝突を用いてQGPの存在検証と その性質理解を目的とした実験を行っている。 mid-rapidity領域では1.0<pT<3.0GeV/cは熱光子測定 に最適。 PHENIX実験ではp+p, d+Au, Au+Au衝突実験での低 横運動量直接光子測定に成功。 仮想直接光子g*→e+e-を利用した解析。 p+p衝突とd+Au衝突はconsistentな結果。 原子核効果は小さい。 Au+Au衝突では予想されるHard photon収量に対して超過収 量を観測。(pT<3.0GeV/c) Non initial state effect exponential fitのinverse slope T = 221±19±19 MeV → transition temperatureを越える高温状態
© Copyright 2024 ExpyDoc