[雑草と作物の制御]vol.9 2013 p15~21 宮城県における除草剤抵抗性水田雑草発生の現状と課題 宮城県古川農業試験場 大川茂範 るこれら SU 抵抗性雑草の問題化の経緯と対応の ○はじめに 宮城県の水田水稲作では,スルホニルウレア系 現状,今後の対策・課題について報告する。 除草剤(以下 SU)が上市された 1980 年代末から, 図-1は普及指導員の達観を総合した結果だが, ミズガヤツリ,ヒルムシロ,ウリカワ,そしてヘ ホタルイ(当県では主にイヌホタルイ)は 20 年 ラオモダカといったかつての問題雑草の多くが、 以上前から問題雑草として認識されており,近年 卓効剤 SU の普及にともない駆逐されていった はその存在感を増している。SU 抵抗性雑草の問 (図-1)。しかし,クログワイはむしろ増加傾向 題が顕在化した後の 2003 年以降に調査草種に加 をたどり,SU の効かないノビエや諸々の田畑共 えられ(1998~2002 年本調査は中断) ,後に抵抗 通雑草(大型の湿性一年生雑草)がむしろ存在感 性が確認されたコナギやアゼナもなお一定の割合 を増している。そして、現在最も対策が求められ を占めており,抵抗性対策除草剤が普及した現在 ているのがイヌホタルイであり、オモダカ等と共 においても、当県における抵抗性問題が終焉して に SU 抵抗性個体群が広域にまん延している実態 いないことが伺える。 が把握されている。そこで本稿では、本県におけ 100% 塊 茎 繁 殖 多 年 生 雑 草 90% 80% オモダカ 70% 60% ホタルイ 50% 40% 湿 性 一 年 生 広 葉 雑 草 コナギ 30% アゼナ 20% 10% SU剤の登場 ノビエ 1982 1983 1984 ・ 1986 ・ 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 ・・・ ・・・ 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 0% 図-1 クログワイ ミズガヤツリ ヒルムシロ ウリカワ ウキヤガラ類 シズイ オモダカ ヘラオモダカ セリ マツバイ その他多年草 多年生イネ科 ホタルイ その他一年生 一年生カヤツリグサ ミズアオイ コナギ キカシグサ アゼナ イボクサ クサネム タカサブロウ タウコギ アメリカセンダングサ ノビエ以外の一年生 ノビエ 宮城県における水田雑草種の変遷 注)各普及センター調べ,農業振興課とりまとめの草種別発生面積調査(植調東北支部会報)より作図 当県における SU 抵抗性個体群の確認は,1996 ○SU 抵抗性雑草の実態把握と対策成分の普及 - 15 - 年のミズアオイ,1997 年のアゼナから始まり,順 100,000 水稲(子実)作付 にミゾハコベ,イヌホタルイ,タイワンヤマイ, クロメプロップ ベンゾビシクロン ブロモブチド 90,000 オモダカと各草種に拡大してきた(内野 2006)。 80,000 70,000 当試験場では SU 抵抗性雑草が問題となり始め ha た当初から, (公財)植物調節剤研究協会,東北農 60,000 50,000 40,000 業研究センター,東北各県担当者,県内各普及セ 30,000 20,000 ンター,各 JA,そして(株)デュポンをはじめ 10,000 とする農薬メーカー各社の協力もと,SU 抵抗性 0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 雑草の発生実態の解明と対策技術の開発・普及に 図-2 取り組んできた。特に現場対応の迅速化を目的と して,発根法(村岡 2000)を応用した SU 抵抗性 宮城県における主要な抵抗性対策成分の推 定使用面積の推移 注 1)県病害虫防除所調べ農薬出荷量調査より試算 水田雑草の簡易検定キット(ITO キット)を開発 注 2)2012 年は日本植物調節剤研究協会提供調査資料に基づく し(吉田 2004,吉田ら 2008),各普及センターと 注 3)複数の対策成分を含む場合も成分別に重複加算 連携しながら SU 抵抗性雑草の発生状況の調査を 行い(植調東北支部 2005, 2006),全県域にアゼ になり,ついには水稲作付面積の8割にも及ぶ圃 ナ・コナギ・イヌホタルイの SU 抵抗性個体が蔓 場で何らかのブロモブチド含有剤が使用されるに 延している実態を明らかにした。 至った。 このように既存草種に対して効果の高い抵抗性 あわせて,植調古川試験地と共同での抵抗性ホ タルイ対象の適用性試験や, (株)デュポンとの現 地試験を中心とした共同研究により,SU 抵抗性 雑草(特にイヌホタルイ)への対策成分として, 対策剤がほぼ全域に普及した一方で,SU のみな らず対策成分も含めた特定成分の偏重使用は,新 たな問題を引き起こすことになった。すなわち, クロメプロップ・ベンゾビシクロン・ブロモブチ ブロモブチドでは対応できないオモダカの SU 抵 ドの3成分が特に有効であることを示した。これ 抗性個体群が顕在化してきたことである。 により,いずれかの対策成分と SU・ヒエ剤を混 合した3~4成分の一発剤の使用が 2003 年以降 ○SU 抵抗性オモダカの実態把握と対策剤の普及 オモダカについては,県全体での発生面積割合 急激に普及していくことになった(図-2)。 対策除草剤の普及初期には,散布時の水管理の 良否や様々な変動要因により現地で十分な効果が 得られない事例がみられる剤もあり,使用条件の はさほど大きくないが局所的に多発する傾向があ り,県内各地に問題化している地域が散在してい る。 最適化が課題となっていた。しかし,ブロモブチ SU 抵抗性が疑われるオモダカの多発事例は既 ドについては使用条件によらず比較的安定した効 に 2002 年に報告されているが,実際にはその翌 果が得られたこともあり,2005 年以降,多くの地 年,県南 I 市のオモダカ多発圃場から採取した個 域でブロモブチドを含む対策剤が採用されるよう 体について,地上部再生法と ALS 遺伝子の解析 によって Pro197Ser の変異が生じた抵抗性個体 であることが初めて明らかになった(吉田ら - 16 - 2006)。さらに,2004・2005 年の現地試験の結果 たが,白化剤と同等にオモダカにも卓効を示す広 から,対策剤として,白化作用のあるベンゾフェ 殺草スペクトラムの褐変剤であるピラクロニルを ナップの効果が高いことを明らかとなり,2006 含む複数の一発処理剤が,各地域の基幹剤として 年には試験場内に養成したオモダカ試験圃場にて, 採択され急激に普及した(図-3)。このピラクロ オモダカに対する有効除草剤の選定(適用性試験) ニルの普及が抵抗性オモダカ防除に貢献したとい を開始した。2007 年には東北農業研究センターの う事実は,ピラクロニル剤連年施用によりオモダ 協力により,県内のオモダカ多発圃場における抵 カが沈静化した常発地において,従来のブロモブ 抗性個体の遺伝子変異型とその分布を調査した チド剤に戻したとたん猛烈にオモダカが再発した (大川ら 2008)。その結果,先に確認された ALS という事例を見ても逆説的にうかがい知ることが 遺伝子の変異型(Pro197Ser)とは異なる型の変 できる。 異(Pro197Leu)が生じた個体が県内の複数箇所 で確認され,両タイプが近接して見つかった地域 ○新たな ALS 阻害剤の登場と交差抵抗性個体 では両変異型の個体が交雑したことにより生じた 直近の当県における水田除草剤使用の大きな変 と思われるヘテロ個体(Pro197→Ser/Leu)も発 化は,一発剤の基幹成分で SU も含むアセト乳酸 見され,各地域で同時多発的に出現し局所的にま 合成酵素(ALS)阻害剤のシェアが大規模に入れ ん延・経代している様相が明らかとなった。ちな 替わったことである。一時普及面積の 8 割以上が みに,オモダカの矢尻葉が乱立し,白い花が咲き ベンスルフロンメチルであった SU 剤(ALS 阻害 乱れる県内水田の様子は,2009 年放送の NHK 報 の一種)は近年のピラクロニル混合剤の普及にと 道番組において「スーパー雑草」と称して紹介さ もないイマゾスルフロンの割合が高まっていたが, れている。 2012 度は本格上市されたプロピリスルフロンと 我々が提唱した,白化剤による抵抗性オモダカ ピリミスルファンに大きく置き換わった (図-4) 。 対策は体系処理を前提としたものであったため現 このうちプロピリスルフロンは大部分がピラクロ 場の一発剤志向に馴染まずにあまり普及しなかっ ニルとの 2 混剤,ピリミスルファンはフェントラ 100,000 100,000 水稲(子実)作付 水稲(子実)作付 90,000 90,000 80,000 80,000 70,000 70,000 60,000 50,000 ha ha 60,000 ピラクロニル テフリルトリオン ピラゾキシフェン ピラゾレート ベンゾフェナップ 40,000 30,000 50,000 プロピリスルフロン ピリミスルファン フルセトスルフロン ペノキススラム アジムスルフロン ピラゾスルフロンエチル イマゾスルフロン ベンスルフロンメチル 40,000 30,000 20,000 20,000 10,000 10,000 0 0 2002 2003 2004 2005 2006 図-3 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 宮城県における主要な白化剤とピラクロニル の推定使用面積の推移 図-4 2007 2008 2009 2010 2011 2012 宮城県における主要な ALS 阻害剤を含む 除草剤の推定使用面積の推移 注)図2の脚注と同じ。ベンゾビシクロンは図2参照。 注)図2の脚注と同じ - 17 - ザミドとの2混剤であり,2011 年に本格普及した テフリルトリオンを含む2混剤と共に,今日の少 ○除草剤の普及・変遷の原動力 成分指向を受けて,一気にシェアを拡大したもの 本県における特定除草剤の急激な普及拡大・入 である。この二つの ALS 阻害剤は,先行して上 れ替わりの背景としては,県産米のブランド力向 市されているペノキススラムやフルセトスル 上のため JA グループ宮城が中心となり推進して フロンと同じくノビエに対する効果も高く,従 いる「環境保全米」への取り組みの影響が大きい。 来の SU 剤と同様に多年生草種への卓効があり, 「環境保全米」は農水省特別栽培農産物に係る表 さらに大部分の SU 抵抗性雑草にも効果が高い 示ガイドラインに沿った特別栽培米であり,当初 ことが特徴である。これまでの試験場内での適 一部の JA を中心に取り組まれていた統一栽培基 用性試験や現地圃場での普及適用性試験でも 準に基づく水稲の特別栽培を全県的に拡大しよう 高い実用性が確認されており,2013 年に上市さ という取り組みである。取り組み目標は水稲作付 れたメタゾスルフロンと共に今後の一発処理 面積の 70%に設定され,一般消費者からの支持を 剤の基幹成分となっていくことが期待される。 得たこともあり,平成 24 年度の実績では県内水 ところが,プロピリスルフロン剤・ピリミスル 稲作付面積の 40%に達している(図-6)。各 JA ファン剤の本格デビューした 2012 年は,極めて では契約販売のロット確保と乾燥施設でのコンタ 特異的にイヌホタルイの残草が異常なほど多 ミを防ぐために, 「環境保全米」以外の集荷区分に い年であった(大川 2013)。残草の主な原因は おいても使用資材の統一を図る傾向があり,また, 6 月中旬の低温という気象的要因によると考え 単一 JA でのロット数量の確保が難しい場合には, られるが,不幸にも現場では,この異常な残草 複数の JA 間で,同一の栽培基準が用いられる場 が新規剤ゆえの不効と誤認され,新たな抵抗性 合もある。栽培基準(栽培暦)に掲載される除草 個体群の発生と噂されるまでに至った。一方で, 剤は基本的に1銘柄であり,各 JA が展示圃試験 誤解を拭うべく行った残草事例の発根法等に 等により有効性を確認した剤が選定される。その よる抵抗性検定の結果,既に ALS 阻害剤全般へ 選択においては特に SU 抵抗性雑草への有効性も の交差抵抗性が報告されている ALS2 遺伝子 の Trp574Leu 変異型個体群(内野 2007)が蔓延し 90,000 ている圃場が確認され(大川ら 2013 東北雑草 80,000 70,000 研 究 会 口 頭 発 表 ), 同 様 に 交 差 抵 抗 性 を 示 す 50,000 水稲作付面積 40,000 JA環境保全米 ha ALS1 遺伝子 の Asp376Glu 変異個体群の存在す 60,000 る圃場も確認された。その後,新たに県内 38 地点より採取したイヌホタルイの中にも ALS1 の Trp574Leu と ALS1 の Asp376Glu 変異個体群 30,000 20,000 10,000 0 が存在する圃場が各 1 地点ずつみつかっている。 すなわち,一連の新規 ALS 阻害剤の使用に際し ても抵抗性雑草対策を怠れないことが明らか 2006 図-6 2007 2008 2009 2010 2011 2012 宮城県における JA 環境保全米 (特別栽培米) 取り組み面積 注)JA 全農みやぎ・宮城県農産園芸課公表資料より作図 となっている。 - 18 - 重視されている。 定の問題草種の蔓延・顕在化を防止する効果は大 「環境保全米」への取り組みは,県産米のブラ きいと考えられる。 ンド力を高める重要な転機となっていると共に, これに連動した田んぼの生き物調査の実施等,水 ○除草剤抵抗性対策の現状と課題 田地帯の環境保全・生物多様性への生産者・消費 現在,宮城県では指導機関向けに発行している 者の関心を高める契機ともなっている。しかし反 稲作指導指針において,有効な対策成分の紹介と 面,栽培基準の統一化が徹底されたことで,雑草 基本的な除草剤使用の留意点を中心に SU 抵抗性 の種類や性質(抵抗性の有無)をみて除草剤・除 雑草への対応を指導しており(図-7;宮城県農 草体系を選択するという農家の営農判断における 業振興課 2008),病害虫・雑草防除指針において 自由度を制限する結果になったことも否定できな は,適用性試験等で有効性が確認された除草剤の い。特に前述の抵抗性オモダカや津波被災農地で 情報を順次紹介しているところである(宮城県農 問題となっているコウキヤガラのような局所的問 産園芸環境課 2012)。 題雑草に対してはこの枠組みで対応することは難 イヌホタルイについては,前述の通りブロモブ しい。一方で統一的な栽培基準の浸透には,県内 チドの安定した効果への信頼性が高く,イヌホタ 全域をより効果の高い新規剤に瞬時に切り替える ルイが多発する地域を中心に継続的に使用される ことができるという大きなメリットもある。あく ものとみられる。しかし,単一成分への偏重の弊 まで問題雑草のモニタリングと適切な対策決定の 害は既に経験済みであることから,今後上市され 体制がセットとなることが前提だが,異なる作用 る新規剤の多くに含まれるベンゾビシクロンや他 機構をもつ除草剤に,周期的に全面的に変更して の対策成分についても,より安定的な効果が得ら いくことができれば,特定成分の得手・不得手に れる使用法の検討を行っているところである。 由来する(抵抗性以外の難防除雑草も含めた)特 オモダカについては特に,効果的な防除法とし ○初期剤または一発処理剤の成分 ○中期剤の成分 ◎アゼナ類の 防除 プレチラクロール シメトリン カフェンストロール ペントキサゾン ◎イヌホタルイの 防除 MCPB 等 (初期剤) クロメプロップ ブロモブチド 粒状水中MCP (一発処理剤) ベンゾビシクロン ◎コナギの あれば バサグラン液剤 ストロールの組合せ ○初期剤の成分 ◎オモダカの 図-7 バサグラン粒剤 等 ブロモブチドとカフェン 防除 防除 必要が ○一発剤または中期剤 ベンゾフェナップ オモダカ以外の ピラゾキシフェン 発生草種を勘案 ピラゾレート して成分を選択 宮城県稲作指導指針掲載(2008 年版基礎編)の SU 抵抗性雑草対策 - 19 - て体系処理を薦めてきたものの,現場では一発処 世代交代と経営の大規模化が進む中で,今一度確 理での対応が中心となった経緯がある。しかし, 認されるべき時期にあり,農薬適正使用の指導面 2012 年度の残草問題や多年生雑草への対応の限 でも関係者間の協調が欠かせないものになると考 界,少成分・広殺草スペクトラム剤の相次ぐ開発 える。 もあり,県内 JA の中にも体系処理を見直す動き が出ている。クログワイやコウキヤガラ等の多年 謝辞 生雑草,水田輪作地帯における大型湿性一年生雑 本稿は 2013 年 3 月 1 日につくば市において行 草といった他の問題雑草対策とも合わせて,新規 われた植調関東支部雑草研究会・関東雑草研究会 成分や従来から定評のある体系処理剤も活用した, 合同研究会での講演要旨に若干の修正・加筆を加 安定的な除草体系を今後も提案していくべきであ えたものです。大学・独立行政法人や各都県の雑 ろう。 草研究者,各農薬メーカーの除草剤開発・研究者 ピリミスルファン,プロピリスルフロンそして の集まる雑草制御研究の中心地において,当県の メタゾスルフロンといった新規 ALS 阻害剤につ 実情について報告させて頂く機会を頂きましたこ いては,イヌホタルイ以外にもオモダカやその他 とに深く感謝申し上げます。今後も雑草防除・除 草種で前述の交差抵抗性が潜在することは確実と 草剤研究を介した地域間の交流を御継続頂ければ みられる。このことを認識しつつも,注意深くそ 幸いです。 の発生動向を見極め,異なる作用機作を持つ成分 との混合剤や体系使用を併用しながら,大部分を 占めるとみられる従来型 SU 抵抗性個体群やその 引用文献 1)内野彰 2006. 日本の水田雑草における SU 抵抗性 他の難防除雑草の防除対策に活用すべきと考える。 研究の現状について.雑草と作物の制御 2:2-14 2)内野彰 2007.水田雑草における除草剤抵抗性の生 以上,発生実態の把握と対策成分の普及という 観点から SU 抵抗性雑草の問題について述べたが, 理生態.農業及び園芸 82(11):1176-1181. 3)大川茂範・片岡由希子・中山壮一・吉田修一 2008. 著者が最も重要と感じるのは,地域間・関係者間 宮城県におけるスルホニルウレア抵抗性オモダカの での問題意識の共有と協調である。本県では前述 遺伝的変異と発生分布.雑草研究 53(別):18. の JA グループ宮城の牽引力によりダイナミック 4)大川茂範・北川誉紘・青木大輔・内野彰 2013. 宮 な対応が可能な一方で,局所的な問題への対応が 城県の水稲作圃場における ALS 阻害剤交差抵抗性イ 難しい側面もある。しかし,一地域の問題は県内 ヌホタルイの確認.雑草研究 58(別):94 全域に発展しうる問題の予兆でもある。各管内に 5)大川茂範 2011.宮城県における SU 抵抗性雑草の おけるこれらの局所的リスクも可能な限り丁寧に 発生実態と対策技術.日本植物調節剤研究協会東北 把握しつつ,地域内外の関係機関やメーカー各社 支部会報 46 号:14-19. とも問題意識を共有しながら,対策立案と効果検 6)大川茂範 2013 宮城県の 2012 年水稲作における雑 証を繰り返して順応的に対処して行く体制が必要 草発生の特徴について.日本植物調節剤研究協会東 である。適切な圃場管理・処理時期・水管理等, 北支部会報 48 号:13-16 除草剤使用に関する基本事項の徹底も,農業者の 7)村岡哲郎 2000 イヌホタルイの発根への影響を - 20 - 利用したスルホニルウレア抵抗性の簡易検定法. 北各県における農耕地雑草発生状況調査 植調 34:67-71. 調節剤研究協会東北支部会報 18-47 号. 日本植物 8)吉田修一 2004.スルホニルウレア抵抗性水田雑草 12)日本植物調節剤研究協会東北支部 2005.東北の SU の簡易検定キットの開発.日本植物調節剤研究協会 抵抗性雑草検定の取り組みを見る.日本植物調節剤 東北支部会報 39 号:3-6. 研究協会東北支部会報 40 号:7-14. 9)吉田修一・伊藤健二・内野彰 2006. スルホニル 13)日本植物調節剤研究協会東北支部 2006. SU 抵抗性 ウレア抵抗性オモダカ多発水田における効果的防除 雑草新簡易検定キットの改善効果.日本植物調節剤 法. 雑草研究 51(別):90-91. 研究協会東北支部会報 41. 10)吉田修一・伊藤健二・権田重雄 2008. 水田雑草の 14)宮城県農業振興課 2008「宮城県の稲作指導指針(基 スルホニルウレア系除草剤抵抗性簡易検定キットの 開発. 雑草研究 53(別) :6-9. 本編) 」(CD-ROM 版) 15)宮城県農産園芸環境課 2012「宮城県農作物病害虫・ 11)日本植物調節剤研究協会東北支部 1983-2012. 東 雑草防除指針」 コラム 日進月歩 昨年、いよいよ私も花粉症の仲間入りをし 技術の研究が進んでいるそうです。以前は「花 ました。花粉症は日本人30%が有病とされてお 粉症になったらずっと付き合っていかなけれ り(日本アレルギー学会、 2010)、多くの人 ばいけない」と言われていたのですが、花粉 が春先を中心にくしゃみや鼻水などで悩まさ 症対策の切り札として期待されます。 れています。花粉症を引き起こす植物は 60種 今更ながらですが、この花粉症対策のよう 類以上といわれ、通常の生活の中で 常になに に昔は当たり前のこととあきらめていたこと かしらの花粉と接しているといっても良いと が地道な研究によって大きく前進するという 思います。主にスギやヒノキが原因となるこ こと、日進月歩に変化する科学技術に対して とが多いとのことですが、 2013年に花粉が飛 常にアンテナを高くして日々の研究を進めて ばないヒノキが神奈川県で発見されました。 いかなければならないということを改めて感 すでにスギについては20年ほど前に無花粉株 じました。 が発見されていますので、これらの大量増殖 - 21 - 石井 利幸(山梨県) 22
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