インターネットを活用した 「暗黒星雲博物館」の作成

木曽2kCCDを利用した
暗黒星雲の多波長観測
学芸大学暗黒星雲チーム
土橋一仁、神鳥亮、上原隼、
佐藤文男(学芸大学)、柳澤謙史(OAO)
木曽シュミット望遠鏡
による暗黒星雲の研究
2000年11月〜
シュミット望遠鏡の広い視野(50’角)を活かし、
暗黒星雲を多波長(BVRI)でマッピングする。
得られるもの:減光量マップ、色マップ、などこれ
らより、暗黒星雲内部での、暗黒星雲毎の、
赤化曲線の変化(→ダストサイズの変化)
分子ガスとの相関(→ガス・ダスト比の変化)
を調べることが目的。
観測した天体:L1251、IC5146、Tau、OriA、Oph
North、その他比較的小さな暗黒星雲
4色測光の例:IC5146
B
V
R
I
暗木
黒曽
星シ
雲ュ
はミ
こッ
んト
なで
ふは
う。
に。
見。
え
ま
す
通常のスターカウントによるAλマップ
IC5146
B
V
R
I
L1251
B
V
R
I
試行錯誤の果てに。。。
2kCCDのデータの解析方法
を下記のようにすることにした
●通常のスターカウント法で、減光量 マップを作成する。
分解能〜4’程度(直径〜4’の固定円形ビーム)
→Aλマップ ‥ (13CO等のデータと比較)
●平均赤化法で、色マップを作成する。
分解能=5’〜 10’(10個の星が入るような可変ビーム)
→ E(B-V)、E(V-I)、E(V-R)マップ
●Cardelli et al. (1989)のRvとAλ/Avの経験則とこの観測
から得られた E(B-V)、E(V-I)、E(V-R) を使って、Rvを計算
する。
→Rvマップ
●平均赤化法で使用したビームを使って、減光量マップを作
り直す。
→AvとRvの関係を調べる。
L1251の場合について
L1251:コメタリーな形状の暗黒星雲
濃い頭→星形成活動有り
13COとの相関図
薄い尾→星形成活動無し
(名大4m鏡)
Avマップ(分解能は4’= 一定)
星形成が起きている頭の
部分では分子ガスも多い
KISO 2kCCD
色マップ
E(B-V)のマップ
他の色マップも
良く似ている
EB-V vs. EV-I
Rv=Av/EB-V
ダストの大き
さを反映
薄い尾の部分
(Rv~3)
濃い頭の部分
(Rv=3〜6)
Rvの分布
星が形成されて
いる高密度の部
分でRvが大きい
→ダストの成長?
Av対Rvの相関図
薄い尾
濃い頭
星形成の起きている濃い頭では、Avと共に
Rvも増加、つまりダストが成長している。
結論
L1251について、 星形成の起きている濃い頭の部分と、
星形成の起きていない薄い尾の部分では、以下の違い
が見られた。
濃い頭
薄い尾
Avとともに
増加
Avの高い所では
頭打ち
Rvの分布
3〜6
3程度(フラッ
星形成活動
有り
無し
分子ガス(13CO)
つまり、星形成が起きているような高密度領域では
ダストも成長し、分子ガスも多量に形成されている。
これらの結果は。。。
Kandori, Dobashi, Uehara, Sato, Yanagisawa, 2003,
“ Extensive Extinction Maps of Dark Clouds at Multiple Wavelengths”,
The Proceedings of the IAU 8th Asian-Pacific Regional Meeting, Volume II,
p. 153-154
及び、
Kandori, Dobashi, Uehara, Sato, Yanagisawa, 2003,
“Grain Growth in the Dark Cloud L1251”,
Astron. J., 126, in press
として世に出すことができました。ご協力に感謝します。
今後の展望
(1)他の暗黒星雲のデータ解析
L1251を綿密に調査し、解析方法をほぼ確立
できたので、これを他の暗黒星雲にも当ては
める。
(2)NIR、MIR
2MASSやASTRO-Fで近〜中間赤外での減光量
マップを作成し、赤化曲線の変化を暗黒星雲
内外で描く
(3)分子輝線のデータ
東大60cmグループおよび大阪府立大学受信器
開発チームとの連携のもと、2本以上の回転
遷移のデータ(CO等)を調べ、ガスの密度・
温度と赤化曲線の特徴の相関を調査する。