2005年度 修士論文中間発表 スライド

修士論文 最終発表
多層的な知人関係に基づく
自己情報コントロールの実現
政策・メディア研究科 修士課程2年
仲山 昌宏
目的
• 多層的な知人関係を組み込んだ
知人ネットワークモデルの提案
– 多層的な知人関係
– 知人ネットワーク
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例:「公私の分離」
•
作品「釣りバカ日誌」の鈴木一之助氏
– 鈴木建設の社長「鈴木社長」
– 釣りバカ「スーさん」
•
要求事項
1. 社長としての行動を社の内外に対してSNSで
見せている
2. ある平社員を師匠に、日々釣りに出かけている
3. 平社員と特別の関係があることは伏せたい
4. この平社員とのやりとりにもSNSを使いたい
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事例の考察
• 社長として社内外へのつながりが存在する
• プライベートのつながりも存在するが、社長と
は切り離していることを明らかにしておきたい
プライベートの
知人
社長としての
知人
鈴木一之助
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要件定義
• 自分の秘密を守りたい
– 自分のプロフィールを秘密にしたい
– 自分の知人関係を秘密にしたい
– 自分の行動を秘密にしたい
• 特定の相手以外に対して秘密にしたい
– 知人(あるいは知人の知人)以外には見せない
– 一部の知人以外には見せない
– 完全に隠せない情報は別人として見せたい
• 自分以外にも秘密を守って欲しい
– どの情報が誰に対して秘密なのかを、秘密を共有する知
人に分かっていて欲しい
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知人ネットワーク
• 知人関係に基づく公開性の制御
例:IM, SNS
秘密にしたい情報(住所)
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公開範囲の設定
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多層的な知人関係
• 人間の知人関係は多層的である
– 「公私混同」
– 知人関係の「背景」の違い
A
B
プライベートの
知人
C
会社の社員と
しての知人
D
E
F
自分
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問題点(一つの利用者)
• 自分を表す利用者を一つだけ登録して使う
– 秘密が守れない
会社の社員と
しての知人
プライベートの
知人
自分
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問題点(別の利用者)
• 全く別の利用者登録を使い分ける
– 自分が複数に分かれてしまい、管理できない
– 知人ネットワークを辿ることで秘密が漏れてしまう
プライベート
の知人
鈴木一之助
(2)
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平社員
(釣りの師匠)
社長としての
知人
鈴木一之助
(1)
課長
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複数人格モデルの提案
• 複数人格モデル
– 利用者は複数の識別子を持つ→「人格」
– 知人関係の「層」ごとに一つの人格
• 「人格」が行動主体の
単位となる
知人
人格 A’
– 属性情報
– 知人関係
知人
人格 A
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自分
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複数の人格の管理
• 全ての人格も、自分の一部として管理できる
• 「人格」間の関係を特殊なリンクとして表現
人格間リンク
A’の知人
他人として見える
同一人物として見える
Aの知人
自己
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実装
• 目的
– 本モデルの実現可能性の評価
– 参照実装による本モデルの普及
• 概要
– 環境:Linux (CentOS 4.2) on IA32
– 言語:Perl 5.8
– フレームワーク:Catalyst
– RDBMS:MySQL 5.0.17
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モジュール構成
• MVCアーキテクチャ
– Model: DBIx::Class ORM
– View: Template-Toolkit
• 今回の主な実装部分
– Controller
– Model
– ViewのHTMLテンプレート
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Screenshot(1)
自分の人格の一覧
人格1の
知人
(全ての人格における)
知人の日記
人格2の
知人
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Screenshot(2)
人格1のプロフィール
人格1の
知人
人格1として書いた日記
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評価方針
1. 必要性の確認
2. 要件の実現
3. 実現可能性
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先行実験(概要)
•
目的:問題意識および方針の確認
•
手法:
1. 実装のプロトタイプ版の公開
2. 既存の人脈に基づく実験参加者の募集
3. システム内のアナウンスにより、ウェブ回答の
アンケートを実施
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先行実験(結果)
• 利用者数:30
• 登録された人格の数:47
– 3人格を登録: 4
– 2人格を登録: 9
• 同一人物リンク:11
• アンケート回答数:13
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先行実験(問題意識)
• 問題意識の確認
(振る舞いの使い分けの必要性)
– 「将来的にSNSのユーザ数が増えて会社の人と
のやり取りが避けられなくなったら必要」(Aさん)
– 「相手によって分けたい部分もあるし、ハンドルと
実名では交流関係も違う。 実名を明らかにしな
い方がうまくいく関係もある」(Bさん)
結論:多層的な知人関係が問題となっている
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先行実験(方針)
• 方針の確認
– 「GREEみたいに名刺管理、mixiのネタ系、そんな感じが
1つのSNSで使い分けられれば良い」(Cさん)
– 「参加に制約のあるネットワークであれば、複数の独立人
格を持たせてもらった方が、意見表明も含めて使いやす
い」(Dさん)
– 「SNSが巨大になればなるほど欲しい」(Eさん)
– 「悪いことをすると、複数の人格が一気に使えなくなるとい
うのは抑止効果」(Aさん)
結論:複数人格モデルは正しい方針
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要件の確認(1)
• 自分の秘密を守りたい
– 自分のプロフィールを秘密にしたい
→ これまで通り可能
– 自分の知人関係を秘密にしたい
→ 一部のSNSではこれまでも可能
– 自分の行動を秘密にしたい
→ 複数人格の使い分けにより可能
結論:十分に要件を満たしている
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要件の確認(2)
• 特定の相手以外に対して秘密にしたい
– 知人(あるいは知人の知人)以外には見せない
→ これまで通り可能
– 一部の知人以外には見せない
→ 一部のSNSではこれまでも可能
– 完全に隠せない情報は別人として見せたい
→ 複数人格の使い分けにより可能
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要件の確認(3)
• 自分以外にも秘密を守って欲しい
– どの情報が誰に対して秘密なのかを、秘密を共
有する知人に分かっていて欲しい
→ 複数の人格を使い分けていることを敢えて明
かすことで可能(同一人物リンク)
2015/09/30
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問題点(別の利用者)の解決
• 層が分かれることで、知人ネットワークをた
どって秘密が漏れることもなくなる
プライベートの
知人
社長としての
知人
平社員
(釣りの師匠)
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鈴木一之助
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課長
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規模性の評価(1)
• 実装内の処理に対して、どのような計算量が
発生するかを分析
• もっとも複雑なものは「知人かどうか」
– 「自分が持つ人格のどれか」が相手の知人
– 「自分が持つ人格のどれか」が、「相手の知人の
同一人物リンクの先」と知人
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規模性の評価(2)
• O(logL+m・logM+logN)
– L: システム内の利用者の総数
– M: システム内のリンクの総数 (従来同様)
– m: 利用者あたりの人格の個数 (ほぼ定数)
– N: システム内の同一人物リンクの総数
• 既存: O(logM)
• もっとも増分が多いのはリンクの総数(M)
結論:従来と同様の規模性を持つ
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まとめ
• 目的:複数人格モデルの提案
– 多層的な知人関係に応じた秘密を守れる
– 様々な知人関係の使い分けを管理できる
• 評価
– モデルの有効性を評価
– 先行実験による必要性の評価
– 本実装による規模性の評価
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今後
• Deployment
– 参照実装のSNSとしての完成度向上
– オープンソース化してリリース
• 分散化
– 異なるSNS間で複数人格を関連づけ
– 完全分散化
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