公正理論アプローチによる 苦情対応研究の再検討

苦情対応の顧客満足研究
~分配的公正・手続き的公正・相互作用的
公正の役割~
2006年11月16日
黒岩健一郎
1
本論文の構成

第1章:研究の目的と構成

第2章:文献レビュー

第3章:分析枠組みと仮説

第4章:検証方法

第5章:結果

第6章:議論
2
本論文の構成

第1章:研究の目的と構成

第2章:文献レビュー

第3章:分析枠組みと仮説

第4章:検証方法

第5章:結果

第6章:議論
3
1.問題の背景と問題意識

問題の背景

マーケティング目標が、「市場シェア」から「顧客維持」へ
収益の源泉(Fornell 1992)
事業戦略
攻撃
新規顧客
市場規模拡大
防衛
既存顧客
市場シェア拡大
スイッチング障壁の構築
顧客満足向上
4
1.問題の背景と問題意識
満足
再購買
購入
不満足
苦情
苦情対応
離脱
Fornell&Wernerfelt(1987)
5
1.問題の背景と問題意識

問題の背景




インターネットへの苦情掲載
新製品開発への活用
苦情の増加
問題意識

企業は苦情対応をどのようにすれば、顧客を維持で
きるのか。
6
1.問題の背景と問題意識

苦情の研究



苦情行動の記述研究(1970年代)
苦情行動の説明研究(1980年代)
苦情対応の研究(1980年代)

公正理論アプローチによる苦情対応の研究(1990年代-現
代)

Goodwin and Ross(1989) – Homburg and Furst(2005)ま
で多数。結論に齟齬。
7
2.研究の目的

公正理論アプローチによる苦情対応研究を整理
および吟味

公正理論の3次元と「苦情対応への満足」との関
係の解明
8
3.研究の範囲

消費者運動の政策策定
×

新製品開発への活用
×

苦情対応への満足
○


研究対象:物財 × 、サービス ○
時間軸:累積 ×、短期 ○
9
本論文の構成

第1章:研究の目的と構成

第2章:文献レビュー

第3章:分析枠組みと仮説

第4章:検証方法

第5章:結果

第6章:議論
10
第2章 文献レビュー
公正理論→4
苦情研究
苦情対応研究
苦情対応の効果研究→2
苦情行動研究→1
苦情対応の満足研究
公正理論アプローチ→5
その他のアプローチ→3
11
第2章 文献レビュー
公正理論→4
苦情研究
苦情対応研究
苦情対応の効果研究→2
苦情行動研究→1
苦情対応の満足研究
公正理論アプローチ→5
その他のアプローチ→3
12
1.苦情行動研究

消費者の苦情行動の記述


消費者の苦情行動の説明


どのくらいの割合の消費者が苦情を言うのか
なぜ消費者は苦情を言うのか
組織の苦情行動の研究

企業の苦情行動は、消費者のそれと同じか
13
消費者の苦情行動の記述
研究者
財
直接苦情
間接苦情
TARP(1979)
公共サービス
4%
96%
Day et al(1977)
耐久消費財
73%
23%
Bolfing(1989)
ホテル
49%
51%
Andreasen
(1984)
Andreasen
(1985)
医療サービス
48%
52%
内科医療サー
ビス
8%
92%
Stephens(2000)に加筆
14
消費者の苦情行動の記述

Harrison-Walker(2001)



インターネットの苦情フォーラム
苦情フォーラムのみで苦情を言う人の割合 19%
Holloway and Beatty(2003)


オンライン小売業に対する苦情
不満顧客の54%が苦情表明
15
消費者の苦情行動の説明

売り手の変数


買い手変数


デモグラフィック特性、パーソナリティ、信念や態度、
文化
状況変数


苦情対応への評判、補償政策
市場特性
苦情対象変数

財・サービスの種類、問題の重要性、提供物の価格
16
消費者の苦情行動の説明

苦情行動のモデル化



Landon(1977):
苦情行動=f(不満足、重要性、苦情を言うことから得
られる便益、パーソナリティ)
Oliver(1997)経済モデル
苦情行動=f(知覚便益、知覚コスト、成功の可能性)
Oliver(1997)行為モデル
苦情行動=f(能力、モチベーション)
17
組織の苦情行動の研究

Ping(1997)



関係性への満足、関係性からの退出コスト
Dart and Freeman(1994)
Hansen, Swan and Powers(1996),(1997)


企業の不満反応行動を類型化
消費者の類型と類似
18
第2章 文献レビュー
公正理論→4
苦情研究
苦情対応研究
苦情対応の効果研究→2
苦情行動研究→1
苦情対応の満足研究
公正理論アプローチ→5
その他のアプローチ→3
19
2.苦情対応の効果研究

適切な苦情対応は、再購買意図や口コミ意図に
ポジティブな影響を与えるか。

適切な苦情対応は、影響を与えている。



Gilly and Gelb(1982)
Spreng, Harrel and Mackoy(1995)
Tax, Brown and Chandrashekaran(1998)
20
2.苦情対応の効果研究
サービス・リカバリー・パラドックス
【顧客グループA】
サービスに満足
【顧客グループB】
サービスに不満
苦情を言う
苦情対応に満足
再購買率
<
再購買率
21
2.苦情対応の効果研究

Maxham and Netemeyer(2002)

1度目の苦情



SRPは発生する
不満原因は、不可抗力かもしれない。
2度目以降の苦情


原因帰属
SRPは発生しない
不満原因は、企業にある
22
第2章 文献レビュー
公正理論→4
苦情研究
苦情対応研究
苦情対応の効果研究→2
苦情行動研究→1
苦情対応の満足研究
公正理論アプローチ→5
その他のアプローチ→3
23
3.苦情対応の満足研究

Gilly and Gelb(1982)
対応スピード
苦情対応
への満足
弁償された割合
24
3.苦情対応の満足研究

Halstead, Droge and Cooper(1993)
補償への期待
購買後サービ
スへの期待
補償への
不確認
苦情対応
への満足
購買後サービ
スの不確認
25
3.苦情対応の満足研究

Conlon and Murray(1996)
言い訳
謝罪
苦情対応
への満足
正当化
26
3.苦情対応の満足研究

Gilly(1987)


Johnston(1995)


「実際の対応」ではなく「知覚された対応」
「従業員が関心を示すこと」「素早い対応」「コミュニ
ケーション」(臨界事象法)
Hoffman, Kelley and Rotalsky(1995)

苦情原因の分類、苦情対応の分類(臨界事象法)
27
3.苦情対応の満足研究

Mattila(2001)


Mattila and Patterson(2004)


関係性の種類
文化
Alexander(2002)

企業倫理
28
3.苦情対応の満足研究

Goodwin and Ross(1989)

社会心理学の公正理論の概念を導入
分配的公正
手続き的公正
苦情対応
への満足
相互作用的公正
29
第2章 文献レビュー
公正理論→4
苦情研究
苦情対応研究
苦情対応の効果研究→2
苦情行動研究→1
苦情対応の満足研究
公正理論アプローチ→5
その他のアプローチ→3
30
4.公正理論


古代ギリシャ時代(プラトン、アリストテレス)
哲学分野での公正(正義)の議論

ホッブズ(1651)


不正とは信約の不履行。それ以外は公正。
ロールズ(1958)


第一原理:すべての人に対する同様な自由と相容れる限り、
最も広範な自由への平等な権利を持つ
第二原理:不平等は、それがすべての人の利益になり、か
つその地位がすべての人に開かれている場合に許される
31
4.公正理論


哲学:分配する側の議論
社会心理学:分配される側の議論
※哲学分野では、Justiceを「正義」、Fairnessを「公正」と訳す。
社会心理学では、両者とも公正。

「コンフリクトが起きている状況に対する人の反
応を説明する理論」Lind and Tyler(1988)
32
4.公正理論

Homans(1961)



報酬が投資と費用に調和して分配されるとき、公正が
保たれる。
公正さは、自分と他者を比較することによって、評価
される。
公正さが失われると、不満・苦情・怒りといった感情的
行動が表れる。
33
4.公正理論

Adams(1965)

Homans(1961)とFestinger(1957)で理論構築。
Oa / Ia = Ob / Ib
Oa,Ia:被分配者aのアウトカムとインプット
Ob,Ib:被分配者bのアウトカムとインプット
34
4.公正理論

Thibaut and Walker(1975)




Adams(1965)の批判
報酬の分配結果の公正よりも、結果に至る意思決定
過程の公正が重要。
結果がマイナスでも手続きが公正なら満足する。
(Fair Process Effect)
結果の公正を分配的公正(Distributive Justice)、過
程の公正を手続き的公正(Procedural Justice)とした。
35
4.公正理論

手続き的公正は「道具」or「目的」

Folger(1977):道具派


手続き的公正が高くても、分配的公正が低いとフラストレー
ションが生じる。
Tyler(1987):目的派


手続き的公正が高ければ、分配的公正が低くても満足する。
(価値表出効果 Value-Expressive Effect)
フラストレーションが起きるのは、意思決定者に明らかな偏
りがあるとき。誠実さ、考慮感、結果の些細さも影響。
36
4.公正理論

Bies and Moag(1986)




第3の公正次元の提示
相互作用的公正(Interactional Justice)
コミュニケーションのスタイル
誠実さ、尊重、質問の礼儀正しさ、正当化
37
4.公正理論

公正の3次元

分配的公正


手続き的公正


意思決定結果の公正
意思決定プロセスの公正
相互作用的公正

コミュニケーション・スタイルの公正
38
第2章 文献レビュー
公正理論→4
苦情研究
苦情対応研究
苦情対応の効果研究→2
苦情行動研究→1
苦情対応の満足研究
公正理論アプローチ→5
その他のアプローチ→3
39
5.公正理論アプローチによる研究

苦情の文脈は「コンフリクトが起きている状態」で
あり公正理論が適用できる。

Goodwin and Ross(1989)からHomburg and
Furst(2005)まで多数の研究。

苦情対応の満足研究では、主流のアプローチに
40
5.公正理論アプローチによる研究

Goodwin and Ross(1989)
分配的公正
手続き的公正
苦情対応
への満足
相互作用的公正
41
5.公正理論アプローチによる研究

Smith, Bolton and Wagner(1999)
補償
分配的公正
対応速度
手続き的公正
苦情対応
への満足
謝罪
相互作用的公正
事前説明
42
5.公正理論アプローチによる研究

Collie, Sparks and Bradly(2000)


Mattila(2001)


他消費者への対応結果を知っている場合
Bowenのサービスの3分類
Maxham and Netemeyer(2003)

対応組織内の公正
43
5.公正理論アプローチによる研究

Mattila & Patterson(2004)


Homburg & Furst(2005)


文化
機械的アプローチ(ガイドラインの品質)、有機的アプローチ(人
材教育や組織文化)が公正3次元に影響
最近の研究の傾向


場合わけをして、公正次元と満足との関係
対応組織と公正次元との関係
44
5.公正理論アプローチによる研究
【研究間の齟齬】

苦情対応への満足に最も強く影響を与える次元




苦情対応への満足を高めるカットオフの役割



分配的公正:Goodwin & Ross(1990)、Smith, et al(1999)
手続き的公正:Maxham & Netemeyer(2003)、McCollough(1995)
相互作用的公正:Blodgett, Hill & Tax(1997)
分配的公正: Goodwin & Ross(1992)
相互作用的公正:McCollough, Berry & Yadav(2000),Blodgett, Hill &
Tax(1997)
手続き的公正の影響度


影響する:Tax, Brown & Chandrashekaran(1998)、Maxham &
Netemeyer(2003)
影響しない:Mattila(2001)、Blodgett, Hill & Tax(1997)
45
5.公正理論アプローチによる研究
【齟齬の原因】

概念規定・操作化が異なる(特に手続き的公正)
 Smith, Bolton & Wagner(1999)
「意思決定されコンフリクトが解決される手段にかかわる公正」



私の問題を解決するのに要した時間は、必要以上に長かった
ホテルは私の問題を扱う際に適切な柔軟性を示した
Maxham & Netemeyer(2003)
「失敗を解決するタイムリーさ/スピードを含め、企業の知覚利便性
/柔軟性、加えてリカバリー努力を行う際の方針や手続きの全体的
な知覚公正」




問題によって発生した混乱であるにもかかわらず、企業は公正にかつ素
早く対応した
企業は問題に対してタイムリーなやり方で対応したと感じる
企業は問題に対処するために公正な方針と慣例を持っていると信じる
方針と手続きに関しては、企業は問題を公正な方法で対処した。
46
5.公正理論アプローチによる研究
【齟齬の原因】

被説明変数(満足の概念)が異なる

苦情対応への満足



総合満足



Satisfaction with Complaint Handling (Tax et al 1998)
Service Recovery Satisfaction (Mattila 2001)
Total Satisfaction (McCollogh 1995)
Overall Satisfaction (Maxham & Netemeyer 2003)
混同

Post-Recovery Satisfaction (Mattila & Patterson 2004)
47
5.公正理論アプローチによる研究
【齟齬の原因】

状況によって異なる




Smith, Bolton & Wagner(1999) : 不満原因が結果orプロセス
Collie, Sparks & Bradly(2000) : 他者への対応を既知or未知
Mattila(2001) : サービスの種類
Mattila & Patterson(2004) : 文化
48
本論文の構成






第1章:研究の目的と構成
第2章:文献レビュー
第3章:分析枠組みと仮説
第4章:検証方法
第5章:結果
第6章:議論
49
1.分析枠組み
分配的公正
手続き的公正
苦情対応
への満足
再購買意図
総合満足
相互作用的公正
他要素
への満足
他者への
口コミ意図
50
概念規定

分配的公正


手続き的公正


苦情に対して企業行う対応結果についての顧客の知
覚公正
苦情に対して企業が行う対応結果を決定する方針や
手続きについての顧客の知覚公正
相互作用的公正

苦情に対して企業が行う対応過程における情報の伝
達スタイルについての顧客の知覚公正
51
概念規定

苦情対応への満足

苦情に対して企業が行う対応についての顧客が持つ
満足
52
2.仮説1

相互作用的公正は、苦情対応への満足を高め
るためのカットオフの役割を担う。
分配的
公正
相互作用的公正
低
分配的
公正
相互作用的公正
高
手続き
的公正
苦情対応
への満足
手続き
的公正
苦情対応
への満足
相互作用
的公正
相互作用
的公正
53
2.仮説1

苦情者は、企業が行う苦情対応を2段階で評価
している。まず、相互作用的公正が評価され、次
に分配的公正・手続き的公正が評価される。
対応終了
対応開始
分配的公正
の評価
t
相互作用的公正
の評価
手続き的公正
の評価
54
2.仮説2 (仮説1の対立仮説)

分配的公正は、苦情対応への満足を高めるた
めのカットオフの役割を担う。
分配的
公正
手続き
的公正
相互作用
的公正
分配的公正
低
苦情対応
への満足
分配的
公正
手続き
的公正
分配的公正
高
苦情対応
への満足
相互作用
的公正
55
2.仮説3

相互作用的公正が高い
場合、価値表出効果が発
生する。

Tyler(1987)によれば、フラ
ストレーションと価値表出効
果を分けるのは、「意思決
定者が誠実か」。
相互作用的公正は、誠実さ
という概念を含んでいて、最
初に評価される。
分配的
公正
相互作用的公正
高
苦情対応
への満足
手続き
的公正
56
2.仮説3

相互作用的公正が高い
場合、価値表出効果が発
生する。

Tyler(1987)によれば、フラ
ストレーションと価値表出効
果を分けるのは、「意思決
定者が誠実か」。
相互作用的公正は、誠実さ
という概念を含んでいて、最
初に評価される。
分配的
公正
相互作用的公正
高
苦情対応
への満足
手続き
的公正
57
2.仮説4

企業が苦情を訴えた顧客に対して人的に対応す
る場合の、相互作用的公正が及ぼす「苦情対応
への満足」への影響力は、非人的に対応する場
合のそれよりも大きい。
人的
顧客
非人的
企業
顧客
企業
58
本論文の構成






第1章:研究の目的と構成
第2章:文献レビュー
第3章:分析枠組みと仮説
第4章:検証方法
第5章:結果
第6章:議論
59
1.調査方法の選択

過去の研究




サーベイ:8本
シナリオ実験:9本
臨界事象法:1本
外的妥当性
内的妥当性
理論発見の文脈
インターネット調査


新鮮な苦情体験(1ヶ月以内)を持つ消費者を集めら
れる
一定数のサンプルを確保できる
60
2.概念の操作化

分配的公正



手続き的公正



過程支配権とスピード
6項目で測定
相互作用的公正



衡平(被った損失と受けた対応結果のバランス)
4項目で測定
正直さ、礼儀正しさ、努力、共感
4項目で測定
苦情対応への満足

3項目で測定
61
3.調査設計

データ収集方法


㈱インフォプラントのパネル(210,660名)を使用
予備調査




2005年8月19日~23日
無作為抽出した19,860名にメール配信
回収数:10,079名
本調査



2005年8月23日~24日
予備調査から対象となった856名にメール配信
有効回答数:598件
62
4.サンプルの属性
10代未満
10代
20代
30代
40代
50代
60代以上
63
4.サンプルの属性

50歳以上のサンプルの検定


50歳以上のサンプルと(58件)と50歳未満のサンプ
ル(540件)と平均値の差の検定
有意水準1%で、どの項目も差はない。
→ 50歳以上のサンプルも含め(598件)検証
64
4.指標の信頼性

Cronbachのα係数




分配的公正 0.702
手続き的公正 0.662
(2項目削除) → 0.834
相互作用的公正 0.776
苦情対応への満足 0.906
65
本論文の構成






第1章:研究の目的と構成
第2章:文献レビュー
第3章:分析枠組みと仮説
第4章:検証方法
第5章:結果
第6章:議論
66
結果
分配的公正
0.469**
手続き的公正
0.225**
相互作用的公正
苦情対応
への満足
0.262**
67
仮説1

相互作用的公正は、苦情対応への満足を高めるための
カットオフの役割を担う。
分配的公正
相互作用的公正 相互作用的公正
低
高
弱
強
手続き的公正
弱
強
相互作用的公正
強
弱
68
仮説1

分配的公正が苦情対応への満足に与える影響
力は、相互作用的公正が低い場合よりも高い場
合の方が強い。
CS = a + b・DJ + c・DJ・DUM
CS:苦情対応への満足
a:定数 b,c:係数 DJ:分配的公正
DUM:ダミー変数(相互作用的公正 低0、高1)
69
仮説1
CS = a + b・DJ + c・DJ・DUM
相互作用的公正 低 DUM=0
CS=a + b・DJ
相互作用的公正 高 DUM=1
CS=a + (b+c)・DJ
b=0.657** c=0.276 ** b+c=0.933
(** :t検定 1%有意水準で有意)
70
仮説1
相互作用的公正 低
相互作用的公正 高
苦
情
対
応
へ
の
満
足
苦
情
対
応
へ
の
満
足
分配的公正
分配的公正
71
仮説1

手続き公正が苦情対応への満足に与える影響
力は、相互作用的公正が低い場合よりも高い場
合の方が強い。
CS = a + b・PJ + c・PJ・DUM
CS:苦情対応への満足
a:定数 b,c:係数 PJ:手続き的公正
DUM:ダミー変数(相互作用的公正 低0、高1)
72
仮説1
CS = a + b・PJ + c・PJ・DUM
相互作用的公正 低 DUM=0
CS=a + b・PJ
相互作用的公正 高 DUM=1
CS=a + (b+c)・PJ
b=0.701 ** c=0.112 ** b+c=0.820
(** :t検定 1%有意水準で有意)
73
仮説1
相互作用的公正 低
相互作用的公正 高
苦
情
対
応
へ
の
満
足
苦
情
対
応
へ
の
満
足
手続き的公正
手続き的公正
74
仮説1

相互作用的公正が苦情対応への満足に与える
影響力は、相互作用的公正が低い場合よりも高
い場合の方が弱い。
CS = a + b・IJ + c・IJ・DUM
CS:苦情対応への満足
a:定数 b,c:係数 IJ:相互作用的公正
DUM:ダミー変数(相互作用的公正 低0、高1)
75
仮説1
CS = a + b・IJ + c・IJ・DUM
相互作用的公正 低 DUM=0
CS=a + b・IJ
相互作用的公正 高 DUM=1
CS=a + (b+c)・IJ
b=0.655 ** c:0.120 b+c=
(** :t検定 1%有意水準で有意)
76
仮説1
相互作用的公正 低
苦
情
対
応
へ
の
満
足
相互作用的公正 高
苦
情
対
応
へ
の
満
足
●
●
●
●
●
●
●
●
相互作用的公正
相互作用的公正
77
仮説1

相互作用的公正は、苦情対応への満足を高めるための
カットオフの役割を担う。
相互作用的
公正 低
弱
相互作用的
公正 高
強
検証
手続き的公
正
弱
強
○
相互作用的
公正
強
弱
○
分配的公正
○
78
仮説2

分配的公正は、苦情対応への満足を高めるためのカッ
トオフの役割を担う。
分配的公正 低
分配的公正 高
分配的公正
強
弱
手続き的公正
弱
強
相互作用的公正
弱
強
79
仮説2

分配的公正が苦情対応への満足に与える影響
力は、分配的公正が低い場合よりも高い場合の
方が弱い。
CS = a + b・DJ + c・DJ・DUM
CS:苦情対応への満足
a:定数 b,c:係数 DJ:分配的公正
DUM:ダミー変数(分配的公正 低0、高1)
80
仮説2
CS = a + b・DJ + c・DJ・DUM
分配的公正 低 DUM=0
CS=a + b・DJ
分配的公正 高 DUM=1
CS=a + (b+c)・DJ
b=0.674** c=0.164 ** b+c=0.838
(** :t検定 1%有意水準で有意)
81
仮説2
分配的公正 低
分配的公正 高
苦
情
対
応
へ
の
満
足
苦
情
対
応
へ
の
満
足
分配的公正
分配的公正
82
仮説2

手続き公正が苦情対応への満足に与える影響
力は、分配的公正が低い場合よりも高い場合の
方が強い。
CS = a + b・PJ + c・PJ・DUM
CS:苦情対応への満足
a:定数 b,c:係数 PJ:手続き的公正
DUM:ダミー変数(分配的公正 低0、高1)
83
仮説2
CS = a + b・PJ + c・PJ・DUM
分配的公正 低 DUM=0
CS=a + b・PJ
分配的公正 高 DUM=1
CS=a + (b+c)・PJ
b=0.734 ** c=0.078 b+c=
(** :t検定 1%有意水準で有意)
84
仮説2
分配的公正 低
分配的公正 高
苦
情
対
応
へ
の
満
足
苦
情
対
応
へ
の
満
足
●
●
●
●
●
●
●
●
手続き的公正
手続き的公正
85
仮説2

相互作用的公正が苦情対応への満足に与える
影響力は、分配的公正が低い場合よりも高い場
合の方が強い。
CS = a + b・IJ + c・IJ・DUM
CS:苦情対応への満足
a:定数 b,c:係数 IJ:相互作用的公正
DUM:ダミー変数(分配的公正 低0、高1)
86
仮説2
CS = a + b・IJ + c・IJ・DUM
分配的公正 低 DUM=0
CS=a + b・IJ
分配的公正 高 DUM=1
CS=a + (b+c)・IJ
b=0.674 ** c:0.109 ** b+c=0.783
(** :t検定 1%有意水準で有意)
87
仮説2
分配的公正 低
苦
情
対
応
へ
の
満
足
分配的公正 高
苦
情
対
応
へ
の
満
足
相互作用的公正
相互作用的公正
88
仮説2

分配的公正は、苦情対応への満足を高めるためのカッ
トオフの役割を担う。
相互作用的
公正 低
強
相互作用的
公正 高
弱
検証
手続き的公
正
弱
強
×
相互作用的
公正
弱
強
○
分配的公正
×
89
2.仮説3

相互作用的公正が高い
場合、価値表出効果が発
生する。

Tyler(1987)によれば、フラ
ストレーションと価値表出効
果を分けるのは、「意思決
定者が誠実か」。
相互作用的公正は、誠実さ
という概念を含んでいて、最
初に評価される。
分配的
公正
相互作用的公正
高
苦情対応
への満足
手続き
的公正
90
仮説3
分類
説明変数
相互作用的公正 分配的公正
高(n=289)
手続き的公正
標準化係数β
0.502 (**)
0.362 (**)
F値252.861** 調整済みR2 0.636
91
2.仮説4

企業が苦情を訴えた顧客に対して人的に対応す
る場合の、相互作用的公正が及ぼす「苦情対応
への満足」への影響力は、非人的に対応する場
合のそれよりも大きい。
人的
顧客
非人的
企業
顧客
企業
92
仮説4
従属変数:苦情対応への満足
ソース
タイプ III 平
方和
自由
度
修正モデル
380.504(a)
7
54.358
262.105
.000
.026
1
.026
.126
.723
16.881
1
16.881
81.396
.000
2.652
1
2.652
12.785
.000
10.101
1
10.101
48.704
.000
伝達方法
.010
1
.010
.051
.822
分配的公正 * 伝達方法
.504
1
.504
2.432
.119
手続き的公正 * 伝達方法
.325
1
.325
1.569
.211
相互作用的公正 * 伝達方法
.813
1
.813
3.921
.048
誤差
122.360
590
.207
総和
502.864
598
修正総和
502.864
597
切片
分配的公正
手続き的公正
相互作用的公正
平均平
方
F値
有意確率
93
仮説4
相互作用的
公正 低
差
相互作用的
公正 高
人的(n=
272)
▲0.9206
←1.2368→
0.3162
非人的(n=
326)
▲0.9263
←1.1953→
0.2690
94
本論文の構成






第1章:研究の目的と構成
第2章:文献レビュー
第3章:分析枠組みと仮説
第4章:検証方法
第5章:結果
第6章:議論
95
1.結論と示唆

相互作用的公正はカットオフの役割



公正3次元を並列に捉えるのではなく、異なる役割と
捉えることができる。
相互作用的公正は、基本。但し、必要以上に高くする
ことはない。
分配的公正と手続き的公正は代償的

相互作用的公正が高い場合は、分配的公正と手続き
的公正は代償的。どちらかを高めれば、満足は高め
られる。
96
結論と示唆
の苦
満情
足対
応
へ
分
配
的
公
正
手
続
き
的
公
正
相互作用的
公正
97
1.結論と示唆

苦情対応の形態と公正次元


人的対応と非人的対応では、公正3次元の影響度合
いが異なる。
人的対応の場合は、相互作用的公正を高める研修を
多めに行い、非人的対応の場合は少なめで良い。
98
2.研究の限界と今後の研究課題

限界





インターネット調査によるサンプルのゆがみ
日本のデータと欧米のデータとの比較
記憶に頼る形の調査方法
公正3次元は独立と仮定
今後の研究課題


公正3次元間の関係の解明
サービスの種類など状況による影響度の違い
99