μ粒子寿命データの解析 実験Ⅲ素粒子テーマ5回目 μ粒子寿命データの解析 バックグランドの見積もり μ粒子の原子核捕獲の影響 Unix(Linux)入門 Page1 ヒストグラム用語 1事象 事象数 fill bin幅 (度数) min max bin bin(ビン) …箱,容器 binning …[min,max]をbin分けすること fill …事象を対応するbinに詰める(足す) 2 バックグラウンド μ Start信号 コインシデンスを取っているので滅多に間違えない。 ここでは偽のスタート信号は無視する。 S1 Start信号+偽のStop信号 S2 S3のPMTの熱電子による偽のStop信号 Stopper S3の別の荷電粒子通過によるStop信号 S3 偽のStop信号事象の分布 Start信号とStop信号との間に時間相関はない e S3のレートは,せいぜい数百Hz以下 Start信号から20μsのゲート内では,一様に分布 バックグラウンドの影響 寿命を求める際に1binあたりのバックグラウンド数を評価 してデータから引き算し指数関数でFitすればよい 3 バックグラウンドの評価 1binあたりのバックグラウンドの数を見積もる 方法1 本物のμ粒子:寿命~2.2μs Δt=10μsの事象数は,Δt=0の約1% Δt>10μsではbkgの寄与しかないと仮定 方法2 2つの方法で求めてみて、それらが誤差 の範囲で一致することを確認する 4 方法2での誤差、ヒント 実験結果には誤差を必ずつけること。中心値だけでは測定 値としての意味をなさない。 フィットで測定値を求めた場合→統計誤差はフィットから得 られる。 方法2の誤差に関するヒント テキスト2-19式で NBG=T’•fS3•Rgate= T’ • n/t • 20x10-6•N/T = (20x10-6•T’)/(t•T) x n•N ΔNBG = (20x10-6•T’)/(t•T) x√[(Δn•N)2+(nΔ•N)2] = NBGx√[(Δn/n)2+(ΔN/N)2] (ΔNBG/NBG) = √[(Δn/n)2+(ΔN/N)2] 積の形になっている式の誤差の伝搬を考えるときは、誤差の伝 搬の計算を、相対誤差(ΔX/X)の表記に持っていくと計算が簡 5 単になる。 μ-の原子核捕獲(1) μ-が電子の代わりに原子核のK殻軌道にトラップされる μ+では,これは起こらない 原子核 荷電粒子が出ないので、S3信号は出てこない! この核反応の確率がμ→eννの崩壊の確率に追加 μ+p→ν+n反応の確率 μ→eνν崩壊の確率 :Λ(≡1/τa) : k (=1/τ) 単位時間当りのμーの消失(崩壊+核反応)数 6 μ-の原子核捕獲(2) この微分方程式の解は, 但し したがって単位時間当りのμ-消失数は, 観測されない(ν,n) 但し,我々の検出器で観測されうるのは,崩壊による事象のみ 一方μ+の方は (純粋にμ粒子の寿命) 7 μ-の原子核捕獲(3) μ-の見かけの寿命 Z≲30で使える近似式 Z依存性 K軌道半径~250fm/Z μ粒子の原点(原子核の場所)で の存在確率∝Z3 Protonの数:Z 原子核半径: 1.2fm×A1/3 われわれは、ストッパーを今回はAlで、次回はFeで測定するので、Z依存も見るこ とができるはず。 8 Fitting範囲(1) 観測される分布は, μ+,μ-,およびbkgからの寄与の重ね合わせ Nobs(t)=n+(t)+n-(t)+nbkg 分布からnbkgを引き,μ-の影響の少ない領域でexp関数フィット μ-は原子核捕獲の影響で早く崩壊 N o bs n (t ) n (t ) nbkg nbkg n (t ) n (t ) t [ s] 9 Fitting範囲(2) N obs (t ) nbkg 3 nbkg μ粒子崩壊事象が有意に存在 観測事象数が予想されるbkgの数よりも有意(3σ以上)に多い bkg数の統計的ゆらぎ:σ=√nbkg n (t ) 5 n (t ) μ-の寄与がμ+に対して少ない Nobs n (t ) 5 n (t ) N obs (t ) nbkg 3 nbkg n (t ) 5 n (t ) n (t ) Fit範囲 nbkg n (t ) t [ s] 10 Fitting範囲(2) N obs (t ) nbkg 3 nbkg μ粒子崩壊事象が有意に存在 観測事象数が予想されるbkgの数よりも有意(3σ以上)に多い bkg数の統計的ゆらぎ:σ=√nbkg n (t ) 5 n (t ) μ-の寄与がμ+に対して少ない もちろん、 μ-の項とμ+の項を両方フィットの n (t ) 5 n (t ) N (t ) n 3 n 式に組み込んで、同時にフィットすればもっと 優れた解析になる。テキストを参照しながら各 自工夫してよい。 Nobs obs bkg bkg n (t ) 5 n (t ) n (t ) Fit範囲 nbkg n (t ) t [ s] 11 解析プログラムを使った解析手順 1. binningを決定してヒストグラムを作成 2. nbkgの見積もり,入力 3. 方法1:10μs-20μsの事象数から 方法2:S3のレートから Fitting範囲の決定,入力 4. ROOTというsoftwareで mkhist.C と言う script を使用 N obs (t ) nbkg 3 nbkg n (t ) 5 n (t ) N0+:N0-=1.3:1を使う Fitting結果のsave PostScriptファイル(*.ps)でplotをファイルに保存 印刷: lpr *.ps 12 Unix(Linux)入門(1) ログイン(Login)する 大文字・小文字は区別される パスワードは打ち込んだ文字は画面にでない ターミナル(Terminal)ウィンドウを開く 計算機と文字(ASCIIキャラクター)を使って情報のやり取りを 行うアプリケーション この中でシェル(Shell)が動く シェル(Shell) ユーザーからの命令入力を受け付け,カーネル(Kernel)に伝える コマンド入力を促すプロンプト(Prompt)が出る [group1@hepe3pc7 ~]$ █ ←カーソル 13 ファイルシステム 木(tree)構造 tmp/ var/ group1/ data1.txt ルート(root) / etc/ group2/ data2.txt home/ Directoryは,fileや更に 下の階層のDirectoryへ のリンクの集合 group3/ group4/ tarou/ jirou/ このファイルを full pathで書くと /home/group3/data1.txt 14 Unix(Linux)入門(2) 現在のdirectoryを調べる $ pwd↵ (Print Working Directoryの略) /home/group1 ←アカウント(group1)のhome directory ログインした直後は,home directoryにいる fileやdirectoryの指定方法 絶対パス(path)指定 root directory(/)からの位置指定 /home/group3/tarou/ /home/group3/data1.txt … directoryを指定(最後の/は省略可) … fileを指定 相対パス指定 現在のdirectoryからの相対位置による指定 /home/group3/ において data1.txt = /home/group3/data1.txt tarou/mydata.txt = /home/group3/tarou/mydata.txt 15 Unix(Linux)入門(3) “.”, “..”, と “~” “.”(ドット)は,現在のdirectory(current directory)を表す “..”は,親directory(parent directory)を表す . = /home/group3の場合 ./tarou ../ ../group2 = /home/group3/tarou = /home/ = /home/group2 “~”は,home directoryを表す group3 アカウントの場合 ~/ ~/tarou = /home/group3/ = /home/group3/tarou 16 Unix(Linux)入門(4) home directoryの下に自分の作業directoryを作る mkdir 引数 (make directoryの略) 引数で与えられたdirectoryを作成する 各自,各グループのアカウントのhome directoryにいる状態で $ mkdir directory名↵ group3 アカウントの場合 mkdir tarou mkdir ~/tarou mkdir /home/group3/tarou 全て同じ動作 17 Unix(Linux)入門(5) directoryを移動する cd 引数 (change directoryの略) 引数で与えられたdirectoryへ移動 引数が省略された場合はhome directoryへ移動 各自の作成したdirectoryへ移動 $ cd directory名↵ $ pwd↵ cd cd .. cd . home directoryへ移動 親directoryへ移動 current directoryへ移動(つまり何も起こらない) 18 Unix(Linux)入門(6) directory内のfile/directoryリストを表示 ls 引数 (listの略) 引数で与えられたdirectoryのfile/dirリストを表示 引数が省略された場合はcurrent directoryのfile/dirリストを表示 $ ls↵ current directoryのfile/dirリスト 何も表示されない何もfile/dirがない $ ls ~↵ home directoryのfile/dirのリスト 同じグループの人が作成したdirectoryが見えるはず $ ls /home/wmass/zmass↵ 色々ファイルが置いてある $ ls –l /home/wmass/zmass/muon.kumac ↵ -rw-r--r-- 1 root exp3 13984 Dec 24 2003 /home/wmass/zmass/muon.kumac ファイルの詳細な情報が見える 19 Unix(Linux)入門(7) シェル(Shell)の便利な機能 History機能 過去に入力したコマンドがカーソルキーのでプロンプトに現れる パス名補完機能 途中までpathを入力した時点でTabキーを押すと残りを補完してくれる ls /home/ $ ls /home/w[Tab] ls /home/wmass $ ls /home/wmass/z[Tab] ls /home/wmass/zmass/ $ ls /h[Tab] 複数の候補がある場合は,uniqueに決まるところまで補完される /abc1 と /abc2 がある場合 /a[Tab] /abc 20 Unix(Linux)入門(8) ファイルのコピー・移動・削除 ファイルのコピー: cp 引数1 引数2 (copyの略) $ cp /home/wmass/exp3/mkhist.C ./↵ /home/wmass/exp3/mkhist.C をcurrent directoryへコピー $ ls ちゃんとコピーされているか確認 ファイルの移動: mv 引数1 引数2 (moveの略) mv ~/AL.dat ~/tarou/ home directoryにあるAL.datを~/tarouというdirectoryへコピー mv AL.dat AL2.dat current directoryにあるAL.datをAL2.datという名前に変更 ファイルの削除: rm 引数 (removeの略) (注意)一度消したファイルは,復活しない 21 Unix(Linux)入門(9) その他のコマンド $ less ***.txt text fileの内容を見る: less 引数 カーソル上下,スペースキーでページ送り,qで終了 $ a2ps ***.txt text fileを印刷 $ gv ***.ps PostScript言語で描かれた絵を表示する $ lpr ***.ps PostScript言語で描かれた絵を印刷する $ emacs ***.*** ファイルを編集する 拡張子 ファイルの種類(text, PostScript, etc)は,ファイル名に拡張子をつけて 区別(***.txt, ***.ps) 22 実験スケジュール 第1回(12/5/水):素粒子物理概説,μ粒子寿命測定法, 同軸ケーブルとインピーダンス,NIMモジュールの機能. 第2回(12/7/金):シンチレーション・カウンターの理解,HVカーブの測定. 第3回(12/12/水):タイミング・カーブの測定 第4回(12/14/金):寿命測定回路のセットアップ,寿命データ収集開始(Al) 第5回(12/19/水):[データ収集継続(Al)] UNIX入門,PAWを用いたμ粒子寿命測定 データの解析法 第6回(12/21/金):[データ収集継続(Fe)] Z粒子質量測定法概説,CDF検出器の概説, Event display,Z粒子の質量 第7回(12/26/水):[データ収集継続(Fe)] 軽い粒子(J/ψ)の質量 第8回(1/9/水):データ解析とグループ内でのまとめ 第9回(1/11/金):発表・討論 レポート提出(1/25/金):第9回の一週間後が締め切り backup 24 S3の計数率によるbackground評価 S3のカウントは,ほぼbackgroundによるもの S3の計数率 » μ粒子の崩壊事象 S3のカウントに対するμ粒子崩壊事象の寄与は無視してよ い。 start信号が発生し20μsのgate内にS3の信号が偶然 発生するbackgroundとなる 全測定時間内におけるbackgroundの総数 S3の計数率×ゲート幅(20μs)×start信号の数 S3の計数率 = S3の計数/測定時間 25
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