ブランド 選択行動の多様性に関する 固定的要因と外部

ブランド選択行動の多様性における特徴分析
静岡大学大学院情報学研究科
原野 朱加 湯浦 克彦
ブランド選択行動の多様性における特徴分析
目次
1. 背景と目的
2. 先行研究
3. 分析対象データ
4. 分析のアプローチ
5. 分析
6. 考察
7. 展望と課題
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ブランド選択行動の多様性における特徴分析
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1.背景と目的
【背景ーブランド選択行動ー】
同じブランドを
買い続ける人
ブランドロイヤリティが高い層
獲得できれば優良顧客に
新商品への感度が高い層
複数のブランドを
ブランドにこだわらず商品を試し
買ってみる人
てくれる可能性あり
ブランド選択行動の多様性における特徴分析
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1.背景と目的
【背景ーブランド選択行動ー】
【目的】
複数のブランドを
買ってみる人
(多様性購買)
「複数のブランドを買ってみる人」
をターゲットとする
マーケティング方法の提案
消費多様性購買行動をとる人々の
傾向や,行動を助長させる要因を分析
マーケティングターゲットを明確化
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2.先行研究
▽バラエティシーキング行動研究
プロモーションによる好みや考慮集合の変化,デモグラ
フィック属性の違い,他人との同化作用などが要因となり,
多様性のある購買行動がとられる
▽ブランド選択行動の多様性に関する固定的要因と
外部刺激の分析(筆者他, 2012)
ファーストフードとテレビを分析対象とする
→性別,消費価値観,インターネット利用度に差がみられた
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3.分析対象データ
野村総合研究所提供「インサイトシグナル」シングルソースデータ
【概要】
調査対象者3000人・調査期間2011年9月~10月
年齢・性別・既婚/未婚・職業…
【内容】
〇個人属性
流行にとらわれないほうだ/いいものを長く使いたい…
○消費価値観
○各ブランドに対する購入意向と購入実態
○主要サイトや企業ホームページなどのWebサイト閲覧回数
買いたい/買いたくない・買った/買っていない
各5~6段階 128ブランドを対象
ブランド選択行動の多様性における特徴分析
3.分析対象データ
【分析対象商品カテゴリ】
チョコレート
○明治 ミルクチョコレート
○ロッテ ガーナミルクチョコレート
○森永 ダース
○明治 アーモンドチョコレート
○明治 マカダミアチョコレート
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4.分析のアプローチ
特定のブランド
を購入
サンプル
A
複数のブランド
を購入
D
男性/車好き
女性/車好き
C
B
E
男性/PC好き
男性/PC好き
女性/PC好き
女性/PC好きが多い
F
男性/車好き
男性/車好きが多い
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5.分析
5.1 消費多様性タイプ設定
購入意向
購入実態
買いたい or 買いたくない
買った or 買っていない
認知
購入意欲
購入
結合
複数購入型
複数候補型
単購買型
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5.分析
5.1 消費多様性タイプ設定
購入意欲
購入
ブランドA
買いたい
買った
ブランドB
買いたい
買った
ブランドA
買いたい
買っていない
ブランドB
買いたい
買った
ブランドA
買いたい
買った
消費多様性
タイプ
ブランドB
Sample:0101
Sample:0102
Sample:0103
ブランドB
ブランドA
買いたくない 買っていない
複数購入型
複数候補型
単購買型
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5.2 分析対象グループ
(11月)
複数購入型
Group1
(12月)
複数購入型
複数候補型
Group2
単購買型
グループ名
・Group1
・Group2
・Group3
Group3
複数候補型
単購買型
Group3
4%
複数購入 複数候補
単購買
9月
517
1697
275
10月
550
1567
205
347
1245
72
分析対象
(Group1) (Group2) (Group3)
Group2
75%
Group1
21%
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5.3 分析方法
○利用モデル
(ロジスティック回帰モデル)
※参考書から補うこと。
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5.3 分析方法
○3つの分析
二項ロジット分析により2グループ間の差異を分析する
分析を3通りに分け,それぞれのグループに1/0値与える
Group1
分析a
分析b
分析
Group
値
分析a
Group1
1
Group2
0
Group1
1
Group3
0
Group2
1
Group3
0
分析b
Group2
Group3
分析c
分析c
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5.4 変数
○消費価値観のクラスター化
「安くて経済的なものを買う」
「周りの人と違う個性的なものを選ぶ」など33項目
クラスター分析(類似質問を集約)
変数名
概要
質問内容
S1
品質重視,熟考型
できるだけ長く使えるものを買う
日本製品を買う
S2
自分の趣向を優先
自分のライフスタイルにこだわる
S3
流行重視で経済的
流行にはこだわる
レンタルやリースをよく使う
S4
値段は気にせず
ブランド固執傾向
いつも買うブランドを決めている
有名ブランドなら高くても構わない
S5
商品にこだわりはあるが
安さ重視
アフターサービスを求める
プライベートブランドをよく買う
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5.4 変数
○独立変数
• 性別
• 年齢
• 結婚の有無
• 職業(主婦・学生・無職・会社員)
• 消費価値観S1~S5
• 消費先進度(Inovetor/Early/Late/Laggard)
• PC利用度
• SNSサイト利用度(表中SNS利用度)
• モバイルゲームサイト利用度(表中Game利用度)
• 動画関連サイト利用度(表中Movie利用度)
○従属変数
• 3つの分析ごとに設定したグループを表す1/0値
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5.5 分析結果
分析a(Group1vsGroup2)
Estimate (Std. Error)
(切片)
-3.727039 (0.459854) ***
0.038524 (0.006582) ***
年齢
0.079829 (0.033252) *
年収
S1
0.480776 (0.137487) ***
S2
-0.315552 (0.149328) *
S3
-0.528055 (0.146402) ***
消費先進度 0.459533 (0.088092) ***
PC利用度 -0.050390 (0.055069) *
Movie
-0.124973 (0.065819) .
分析c(Group2vsGroup3)
Estimate (Std. Error)
(切片)
2.22465 (0.27576) ***
0.23073 (0.09686) *
Movie
分析b(Group1vsGroup3)
Estimate (Std. Error)
-0.61561 (0.73553)
(切片)
0.03680 (0.01251) **
年齢
S1
0.60561 (0.27845) *
S3
-0.91657 (0.00401) **
消費先進度 0.65952 (0.31850) *
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6.考察
○グループ間の考察
Group1
有意な説明
変数が多い
差が大きい
Group2
Group3
有意な説明変数
が少ない
複数ブランドを購買する人と
複数ブランドを考慮する人では
大きな違いがある
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6.考察
○各グループの考察
年齢
年収
品質重視
流行重視
趣向重視
新商品へのアンテナ
PC利用度
Group1
Group2
Group3
高い
高い
○
×
×
高い
低い
若い
低い
×
○
○
若い
×
○
低い
高い
品質・流行・趣向に関する感度に
グループごと大きな違いがある
また複数商品を検討するグループは
インターネット利用度が高い
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6.考察
○商材の違いによる考察
(複数購買型の特徴)
テレビ
インターネット利用が多様性行
動を助長させる
好きなものにはお金をかける
チョコレート
流行や評判にはとらわれないが,
品質を重視する高収入,高年齢
インターネットは利用しない
ファーストフード
評判に敏感だが,流行にはとら
われない
無計画な購買はしない熟考型
複数検討型は情報発信傾向あり
複数購買・複数検討と
単購買の間に大きな差がある
複数購買と複数検討・単購買
の間に大きな差がある
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7.展望と課題
低関与商品における
外部刺激要因分析方法の検討
長期データへの応用
インターネット利用データとの組み合わせ