コンピュータ基礎演習 ー探索、整列ー 岩井 儀雄 [email protected] 線形探索と二分探索 線形探索法(linear search) データを最初から順番に探索する 例){2, 4, 5, 8, 9, 11, 6, 7, 15, 20} から15を探す 最初の要素から始めて9回目→計算量O(n) 二分探索法(binary search) データをあらかじめソートしておき,中央の要素から検 索する. 二分探索(binary search) {2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 11, 15, 20} から15を探す 1回目 {2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 11, 15, 20} 二分探索(binary search) {2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 11, 15, 20} から15を探す 2回目 {2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 11, 15, 20} 二分探索(binary search) {2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 11, 15, 20} から15を探す 3回目 {2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 11, 15, 20} 探索回数 計算量 3回 log2(n) O(log n) 整列(sort) 内部整列(internal sort) 主記憶上で行う整列 外部整列(external sort) 外部記憶装置(テープ等)上で行う 整列アルゴリズムの優劣→比較回数と交換回数の大小 安定な整列(stable sort) 同じ値を持つデータ間の順序関係が整 列の前後で保たれている 例)整列前: 7 9 5A 4 8 5B 2 整列後: 2 4 5A 5B 7 8 9 (安定) 整列後: 2 4 5B 5A 7 8 9 (不安定) 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 整列前 20 6 55 74 3 45 13 87 46 30 1回目 比較 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 6 55 74 3 45 13 87 30 46 入替 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 6 55 74 3 45 13 87 30 46 比較 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 6 55 74 3 45 13 30 87 46 入替 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 6 55 74 3 45 13 30 87 46 比較 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 6 55 74 3 45 13 30 87 46 比較 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 6 55 74 3 13 45 30 87 46 入替 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 6 55 74 3 13 45 30 87 46 比較 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 1回目 20 20 20 20 3 6 55 74 3 13 6 55 3 74 13 6 3 55 74 13 3 6 55 74 13 20 6 55 74 13 45 45 45 45 45 30 30 30 30 30 87 87 87 87 87 46 46 46 46 46 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 2回目 3 20 6 55 74 13 45 30 87 46 46 87 30 46 30 45 13 30 13 74 13 55 6 13 6 20 単純な整列(バブルソート) 配列の後ろから先頭に向かって走査し,もし隣り合う二つ の要素の大小関係が逆であったら入れ替える 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目 9回目 3 3 3 3 3 3 3 3 6 6 6 6 6 6 6 6 20 13 13 13 13 13 13 13 13 20 20 20 20 20 20 20 55 30 30 30 30 30 30 30 74 55 45 45 45 45 45 45 30 74 55 46 46 46 46 46 45 45 74 55 55 55 55 55 46 46 46 74 74 74 74 74 87 87 87 87 87 87 87 87 バブルソート(疑似コード) for (i←0..n-1) for (j←n-1..i) if !(a[j-1] ≦ a[j]) swap(a[j-1],a[j]) 右辺値の交換 整列アルゴリズムが満たす事後条件 < j] a[i] a[ j] i,j[i 計算量は O(n2) バブルソート(C言語) for (i←0..n-1) for (j←n-1..i) if !(a[j-1] ≦ a[j]) swap(a[j-1],a[j]) void bubble_sort(int a[],int n) { int I,j,t; for (int I=0; I<n-1; ++I) for (int j=n-1; j>I; --j) if (a[j-1] > a[j]) { t = a[j]; a[j] = a[j-1]; a[j-1] = t; } swap(a[j-1],a[j])に相当する } 単純な整列(選択ソート) 未整列部分から最小の要素を選び出し,それを未整 列部分の先頭と入れ替える a[1] a[0] 整列済 a[i –1] a[i] a[n –1] 未整列部分 未整列部分から最小値を取り出し 続けると下記の条件を満たす 整列アルゴリズムが満たす事後条件 < j] a[i] a[ j] i,j[i 選択ソート 整列前 20 1回目 6 55 入替 74 3 45 13 87 46 30 選択ソート 整列前 20 1回目 3 6 6 55 55 74 74 3 20 45 45 13 13 87 87 46 46 30 30 選択ソート 整列前 20 1回目 3 2回目 3 6 6 6 55 74 3 45 13 87 46 30 55 74 20 45 13 87 46 30 55 74 20 45 13 87 46 30 入替 選択ソート 整列前 20 1回目 3 2回目 3 3回目 3 4回目 3 5回目 3 6回目 3 7回目 3 8回目 3 9回目 3 6 55 6 55 6 55 6 13 6 13 6 13 6 13 6 13 6 13 6 13 74 74 74 74 20 20 20 20 20 20 3 20 20 20 74 30 30 30 30 30 45 45 45 45 45 45 45 45 45 45 13 13 13 55 55 55 55 46 46 46 87 87 87 87 87 87 87 87 55 55 46 46 46 46 46 46 46 55 87 74 30 30 30 30 30 74 74 74 74 87 選択ソート(疑似コード) for (i←0..n-2) lowest←argmin(a[j]) i<j<n swap(a[i],a[lowest]) 選択ソート(C言語) void selection_sort(int a[],int n) { int i,j,t,lowest,lowval; for (i = 0; i<n-1; ++i) { argminの計算部分 lowest = i; lowval = a[i]; for (j = i+1; j < n; ++j) if (a[j] < lowval) { lowval = a[j]; lowest = j; } t = a[I]; a[I] = a[lowest]; a[lowest] = t; } } 選択ソートの計算量 ループ n 回,argmin の計算量 O(n) 選択ソートの計算量は O(n2) 単純な整列(挿入ソート) 配列の一部分が整列済みの時に,残りの要素 を一つずつ整列済みの中に挿入する 整列前 20 6 55 1回目 6 20 55 2回目 6 20 55 3回目 6 20 55 4回目 3 6 20 5回目 3 6 20 6回目 3 6 13 7回目 3 6 13 8回目 3 6 13 9回目 3 6 13 74 74 74 74 55 45 20 20 20 20 3 3 3 3 74 55 45 45 45 30 45 45 45 45 45 74 55 55 46 45 13 13 13 13 13 13 74 74 55 46 87 87 87 87 87 87 87 87 74 55 46 46 46 46 46 46 46 46 87 74 30 30 30 30 30 30 30 30 30 87 挿入ソート(疑似コード) for (i←0..n-1) j←i while (! (a[j-1] ≦ a[j]) ) swap( a[j-1], a[j] ) j←j-1 計算量:外側ループ O(n) 内側ループ O(n) 合計: O(n2) コンピュータ基礎演習 ー計算量ー 岩井 儀雄 [email protected] 計算量(complexity) 時間計算量(time complexity) 空間計算量(space complexity) アルゴリズムがデータに対してどれくらい時間がかかるか を示す アルゴリズムがデータに対してどれくらい記憶領域を必要 とするかを示す 時間計算量と空間計算量はトレードオフの関係にあ ることが多い 計算機にとって記憶資源は潤沢にあるので,通常時 間計算量の方が重きを置かれることが多い オーダー記法O 計算量T(n)の上界値を評価するとき, O(f(n))という記法を用い,オーダーf(n) と 読む. c,n 0 c > 0, n n 0 T(n) cf (n) ある正定数cとn0が存在して,n0以上のnに対して, 常に T(n) ≦cf(n) が成立するという意味 n0の役割は有限個の例外を許すことにある. オーダー記法Ω 計算量の下界値のオーダーを表すには, 記法Ωを用いる.T(n)=Ω(f(n))とは, cn T(n) cf (n) 計算量とオーダ表記の関係 計算量の上界O 計算量 実際の計算量 有限個の 例外はOK 計算量の下界Ω n0 n オーダーの演算 T1 = O( f (n)), T2 = O(g(n)) T1 + T2 = O(max( f (n),g(n))) T1 T2 = O( f (n) g(n)) 例) T1 = O(n 2), T2 = O(n 3) T1 + T2 = O(n 3) T1 T2 = O(n 5) 最悪計算量と平均計算量 同じアルゴリズムでも入力するデータに応じ て計算量が変化する.そこで,客観的に測定 し評価する必要がある. 最悪計算量 worst case complexity 全ての入力パターンに対して最大の計算量を要す るものに基づいて定める 平均計算量 average complexity 全ての入力パターンとその入力の生起確率に基づ いて計算量の平均を求める
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